JPS6317419Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は可撓性を有する矩形の外刃をアーチ
状に張設してその内面に内刃体を摺動させる電気
かみそりに係り、詳しくはその外刃構造に関する
ものである。

この種電気かみそり、たとえば往復動電気かみ
そりとして、第７図に示すように内刃体５１の軸
線方向、換言すれば往復動方向（矢印ａ，ｂ方
向）における一端から他端まで延びる突条５２，
５２を外刃５３の表面に膨出形成するとともに、
上記各突条５２に多数のスリツト５４を横断して
形成することにより、主に長毛に対する捕捉性の
向上を図ろうとしたものが提案されている。

ところで、この種かみそりでは、アーチ状に張
設された状態の外刃が内刃体の刃先の曲率に沿つ
て密接することが重要であると同時に、皮膚から
の押込力によつても外刃がその特質を生かして無
理なく変形することが、切れ味の向上に不可欠で
ある。

しかるに、上記構成のものは外刃５３の各突条
５２が往復動方向の一端から他端に連続して延び
ているため、この部分に対して皮膚からの押し込
み力が付勢されても上記突条５２がリブ作用とし
て働き押し込み力に応じた変形が起こりにくく、
逆に強い押し込み力の場合には、急激に上記突条
５２がつぶされて第８図の内面エツジ部５２ａの
みが内刃体５１の刃先５１ａに局部的に当たつて
偏摩耗を起こしやすい。

また、上記外刃５３をアーチ状に湾曲させた場
合、第９図実線のように上記突条５２，５２の部
分が湾曲の節となつてこの突条５２，５２の部分
で急激に折り曲がる結果、突条５２，５２間、つ
まり外刃５３の頂部５３ａが平坦状となる。この
ため内刃体５１の曲率に対して上記頂部５３ａが
沿わなくなり、刃先の損耗を招く。

さらに、上記構成のものでは、スリツト５４が
突条５２を横断して形成されているだけであるか
ら、上記突条５２は皮膚の弛み部分を張らす作用
はなく、このためこの部分の長毛を起毛して効率
よく捕捉しにくいうえ、スリツト５４そのものに
も、かみそり自体を縦横に動かさないと長毛が入
りにくい等の諸種の欠点がある。

この考案は上記欠点を解消するためになされた
ものであり、外刃の表面における内刃体の軸方向
と交差方向に向いたスリツトと半球状突部とを交
互に上記軸方向に沿つて形成し、さらに上記スリ
ツトは、隣接する半球状突部の一方のすそ野部分
から他方の反対側すそ野部分へ向けて交差するよ
うに配設することにより、長毛用のスリツトへの
皮膚のたれ込みを抑制しつつ、皮膚を隣接する半
球状突部間で皮膚を緊張させて長毛を起立させ長
毛にたいする捕捉性がよく、しかも外刃と内刃体
との密着も良好に保たれて切れ味の向上する電気
かみそりを提供することを目的とするものであ
る。

以下、この考案の一実施例を図面にしたがつて
説明する。

第１図において、１は合成樹脂などからなる本
体ケース、２は本体ケース１の上端に嵌着された
外刃ホルダで、この外刃ホルダ２には外刃３が張
設されている。４は上記本体ケース１内に収納さ
れたモータであり、このモータ４の回転軸５には
偏心軸６が固定されている。７は上記偏心軸６に
レバー８を介して連結された振動子であり、この
振動子７の上面には駆動杆７ａが突設されてお
り、この駆動杆７ａの先端に内刃体ホルダ９を連
結してある。１０は多数の内刃小刃１１をパイプ
１２などで串し刺し状に支持させてなる内刃体で
あり、この内刃体１０は上記内刃体ホルダ９に保
持されるとともに、押し上げばね１３のばね力を
受けて外刃３の内面に圧接されており、モータ４
の回転力が上記振動子７を介して内刃体１０に伝
達されることにより、内刃体１０は矢印ａ，ｂ方
向へ往復動される。

上記外刃３は可撓性を有するものであり、周知
プレス方法、エツチング法や電鋳法などにより第
２図のように矩形状に形成されている。上記外刃
３の表面には、第３図に拡大して示すように上記
内刃体１０の軸方向と直交する方向（矢印ｃ方
向）の両端部位に位置して、上記軸方向と交差す
る方向に向いた第１のスリツト１４と半球状突部
１５とが交互に上記軸方向に沿つて配設されてい
る。

スリツト１４は第５図のように一方の半球状突
部１５のすそ野部分から他方の突部１５の反対側
すそ野部分へ向けて交差するように配すれば、半
球状突部１５の最高点に皮膚が達した時、スリツ
ト１４の位置が中間点になることによつて突部１
５の高さが低い時はスリツト１４が突部１５に接
近し最も高いときに離れることによつて、必要以
上の皮膚のたれ込みを防止することができる。１
６は上記軸方向に沿つて並列配置された第２のス
リツトであり、このスリツト１６の配列位置は上
記半球状突部１５と第１のスリツト１４を設けた
内側近傍部位に設定されている。１７は多数の切
刃小孔、１８は補強板、１９は係止片である。

上記構成において、外刃３を皮膚に押しつけて
剪断操作すれば、上記皮膚は半球状突部１５の各
間で張られた状態となり、換言すればこの部分で
伏臥した長毛が起毛され、ついで第１のスリツト
１４に効果的に捕捉されることになる。

たとえ上記第１のスリツト１４で捕捉されなか
つた毛も隣接する部位に第２のスリツト１６が存
在しているため、この第２のスリツト１６で確実
に捕捉される。

上記半球状突部１５は、皮膚と当接する外面側
の半径が1.8〜1.2mmで高さは平坦外面から0.7〜
1.0mm程度で、各隣接する半球状突部１５間距離
は２mmで設定されている。

このように隣接間距離Ｌと高さＴとの比（第４
図）が約２倍であれば、皮膚、ことに長毛の生じ
やすい頬の部分では、皮膚の絞り効果が助長さ
れ、かつこの隣接する半球状突部１５，１５の中
間にスリツト１４を配しているため、長毛の誘い
込みを更に一層向上させることができるのであ
る。

またスリツト１４に連接されるスリツト１６の
数は、スリツト１４の約３倍に増加させるととも
に、スリツト１６の幅を細くすることによつて、
突部１５間のスリツト１４で予め切断され半端な
長さになつた長毛を、誘い込むチヤンスを増すと
ともに、皮膚の垂れ込みを防止している。

さらに、上記外刃３が皮膚からの押圧力を受け
ても、内刃体１０の軸方向に沿つて突部１５が間
欠的に配設されているだけだから、外刃３の可撓
性が十分発揮されるとともに、強い押圧力であつ
ても上記突部１５に左右されずに無理なく変形し
て内刃体１０を押し下げることができる。

とくに、上記外刃３をアーチ状に張設する際
に、上記半球状突部１５の部位は従来の突条と異
なり変形時の節とはなりにくいけれども、かりに
上記半球状突部１５が節となつて外刃３の頂部３
ａの部位が平坦化になろうとしても、上記第２の
スリツト１６の部位が第６図のように柔軟性のあ
る屈曲帯として湾曲することにより、上記頂部３
ａ部位の平坦化がなくなり、内刃体１０の刃先の
曲率に良好に倣うことになり、刃体の保護が図れ
るとともに切れ味を向上させることができる。

なお、上記実施例では往復動電気かみそりを例
に説明したものであるが、上記外刃３は、螺線刃
を形成したロール状内刃体を回転させる、いわゆ
るロータリ式のものにも適用できることは勿論で
ある。

また、上記実施例では、半球状突部１５とスリ
ツト１４を、外刃３の表面における内刃体１０の
軸方向と直交する方向の両端部位に設けたが、電
気かみそり本体に、握り状態での方向性があると
きは、外刃３の表面が最も多く皮膚に向く側もし
くはきわぞり刃のような他の部品が存在しない側
だけの一方向側や頂部等に設けることも可能であ
る。

勿論、上記半球状突部１５の配列は直線状だけ
でなく、ゆるく波打たせて湾曲状に配列し、皮膚
の当接具合（一般に皮膚は丸味をおびて外刃に当
たる）に適合させ、突部１５の皮膚張架、毛の誘
い込み効果を向上させることができるものであ
る。

以上のように、この考案は可撓性を有する矩形
の外刃３をアーチ状に張設し、その内面に内刃体
１０を摺動させる電気かみそりにおいて、上記外
刃３の表面における内刃体１０の軸方向と交差方
向に向いたスリツト１４と半球状突部１５とを交
互に上記軸方向に沿つて形成し、さらに上記スリ
ツト１４は、隣接する半球状突部１５の一方のす
そ野部分から他方の反対側すそ野部分へ向けて交
差するように配設することにより、皮膚を保護し
つつ緊張させて、長毛の捕捉性が高まり、しかも
外刃と内刃体との密着性が良くなる電気かみそり
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る電気かみそりの一例を
示す頭部の断面図、第２図は同電気かみそりの外
刃の張設前の斜視図、第３図は同外刃の要部を示
す拡大斜視図、第４図〜第６図は同要部の説明
図、第７図〜第９図は従来例の説明図である。 ３……外刃、１０……内刃体、１４……スリツ
ト、１５……半球状突部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 可撓性を有する矩形の外刃３をアーチ状に張設
   し、その内面に内刃体１０を摺動させる電気かみ
   そりにおいて、上記外刃３の表面における内刃体
   １０の軸方向と交差方向に向いたスリツト１４と
   半球状突部１５とを交互に上記軸方向に沿つて形
   成し、さらに上記スリツト１４は、隣接する半球
   状突部１５の一方のすそ野部分から他方の反対側
   すそ野部分へ向けて交差するように配設した電気
   かみそり。