JPS6315777Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は配水管を流れる水の流量を計量する量
水器の器差調整装置に関するものである。

背景技術 一般に量水器内を流れる実際の流量は、流量メ
ータが支持する値と一致せず若干の誤差即ち器差
が発生する。この器差の発生原因としては、上記
量水器内に収納された羽根車の形状や流量、ある
いは羽根車に対応して設けられた水の流入孔や流
出孔の形状の不適切等があげられる。従つて量水
器内を流れる流量と流量メータが支持する値とを
一致させるためにその器差調整を行なう必要があ
つた。

そこで従来の器差調整では、乱流によつて前記
羽根車を押圧する水流の方向を変える方法や、一
部の水を羽根車を介さずにバイパスさせる方法等
が用いられており、前者の方法は流量メータの性
能を量水器内の流量に合致させるもので、後者の
方法は量水器内の流量を流量メータの支持値に合
致させるものである。

以下上記方法による従来の器差調整装置の代表
例を添付図面に基づいて詳述すると次の通りであ
る。

まず前述の羽根車を押圧する水流の方向を変え
る方法による器差調整装置を第１図に示す。図示
の如く流入口１及び流出口２を有する外箱３の軸
芯に垂直な方向に開口部４を設け、通水通路５を
区画する隔壁６を上記外箱３に一体形成する。該
隔壁６に有底筒状の内箱７を嵌着し、該内箱７の
側壁８に設けられた複数個の流入孔９及び流出孔
１０のうち流入孔９は外箱３の流入口１に通じ、
流出孔１０は外箱３の流出口２に通じている。こ
の内箱７内底面に起立保持された支軸１１に羽根
車１２を回転自在に嵌挿して該羽根車１２を内箱
７内に収納する。内箱７と略同径を有する有底筒
状の仕切箱１３を該内箱７上方の開口部に嵌着
し、上記羽根車１２を支持する。この仕切箱１３
上方には内箱７内の羽根車１２の回転によりその
流量を支持する流量メータ（図示省略）が取付け
られている。該仕切箱１３下面には、羽根車１２
を押圧する水流に乱流を生じさせるための板状の
調整器１４が位置修正可能に螺子止めされてい
る。従つて器差調整時には、該調整器１４によつ
て羽根車１２を押圧する水流の方向を変えて乱流
を生じさせ、該羽根車１２の回転力を変化させる
ので、前記流量メータ（図示省略）が量水器内の
流量に合致する適正値を支持するように上記調整
器１４の取付位置を修正する。

次に一部の水を羽根車を介さずにバイパスさせ
る方法による２種類の器差調整装置を第２図及び
第３図に示す。第２図に示す器差調整装置では、
尖端部を有する螺子であるニードルバルブ１５が
外箱３の所定部位に出入り可能に傾斜させて螺着
されており、外箱３の隔壁６に設けられたバイパ
ス孔１６ａに上記ニードルバルブ１５の尖端部が
挿入されている。また仕切箱１３の側壁にはバイ
パス孔１６ｂが設けられている。従つて器差調整
時には、上記ニードルバルブ１５を正又は逆回転
させてニードルバルブ１５の尖端部とバイパス孔
１６ａとの隙間の大きさを調整する。これによつ
て量水器内を流れる流量と流量メータ（図示省
略）の指示値との器差に相当する流量分をバイパ
ス孔１６ａ，１６ｂに流れる流量で調整し、量水
器内の流量を流量メータの指示値に合致させる。
また第３図に示す器差調整装置では、内箱７の側
壁に流入側から流出側へ器差調整用バイパス孔１
６が貫通成形され、上記内箱７の底面所定部位
に、種々の径の貫通孔を複数個穿設した円板状の
調整弁１７が正逆回転可能に装着されている。従
つて器差調整時には、調整弁１７を正又は逆回転
させ、貫通穴を選定して上記バイパス穴１６に流
れる流量を調整し、該バイパス孔１６に流れる流
量で器差に相当する流量分を調整することにより
量水器内の流量を流量メータの指示値に合致させ
る。よつてこの調整には適正な貫通穴を選定しな
ければならない。

ところが第１図に示すような器差調整装置で
は、その調整時に量水器自体を分解しなければな
らず、その分解に非常に時間がかかり、また調整
も熟練を要する。更に調整器１４等の部品点数が
多く、長時間使用すると該調整器１４の螺子止め
も緩むおそれがあつて調整精度が低下する場合も
あつた。また第２図に示す器差調整装置では、長
時間使用しているとニードルバルブ１５の尖端部
とバイパス孔１６ａとの隙間が詰まるおそれがあ
り精度が低下する場合もあつた。更に第３図に示
す器差調整装置でも、第１図に示す装置と同様に
その調整時には分解しなければならず、非常に手
間がかかり、調整弁１７の貫通穴を選定する際に
も熟練を要していた等種々の欠点があつた。

考案の開示 本考案は上記従来の問題点に鑑み、これを解決
したもので、器差調整を容易且つ短時間に行うこ
とを可能ならしめる量水器の器差調整装置を提供
することを目的とする。

そこで本考案は上記目的の達成手段として、流
入口及び流出口を有する外箱に、前記流入口及び
流出口と対応する流入孔及び流出孔を側壁部に穿
設すると共にその内部に羽根車を回転自在に支持
してなる内箱を嵌着し、更に羽根車の回転により
計測される流量の表示部を前記内箱の上方に装着
してなる量水器に於いて、前記内箱にその側壁を
貫通する器差調整用バイパス孔を設けると共にこ
の内箱の上面に蓋体を密着固定し、この蓋体に穿
設された貫通穴内に、上端に流量調整工具との係
合部位を形成し下端に前記バイパス孔の断面形状
と略同一形状の調整穴を設けた円板部を形成して
なる調整弁を回動自在に嵌着し、前記調整穴を蓋
体の下端面に形成された凹部を介して前記器差調
整用バイパス孔と連通させ、該バイパス孔の流量
を外部からの調整弁の回動によつて調整可能に構
成したことを特徴としている。このようにすれば
上記目的も容易に達成することができ、十分な効
果を得る。

考案を実施するための最良の形態 本考案に係る器差調整装置を添付図面に示す実
施例で説明すると次の通りである。

第４図は本考案に係る量水器及びその器差調整
装置の実施例で、該量水器は羽根車と流量メータ
とを磁石式の連動方式としたものである。同図に
於て、３は水の流入口１及び流出口２を有する外
箱で、その中間部分には水流の方向と略直交する
ように上方に向つて開口した円筒部１８が一体成
形されている。この外箱３に形成された円筒部１
８内の下端には、その全周にわたつて段部１９が
形成されている。２０は外箱３の円筒部１８に形
成された段部１９に嵌着される内箱で、これは有
底の円筒状に成形された内部筐体２１と、該内部
筐体２１よりも大径の外部筒体２２と、該外部筒
体２２と内部筐体２１の間に形成された環状隙間
の中間部位に一体成形された水平の仕切板２３と
で構成されている。ここで第５図及び第６図は上
記内箱２０の上面図及び下面図を示すものである
が、図示の如く内部筐体２１の側壁下部、即ち仕
切板２３の下部に所定個数の流入孔２４を、また
側壁上部、即ち仕切板２３の上部に所定個数の流
出孔２５を夫々略水平面上で所定角度だけ傾斜さ
せて設けている。２６は仕切板２３の下部で且つ
下方に切欠かれた流入口で、これは仕切板２３で
区画された下方隙間部２７に連通している。２８
は仕切板２３の上部で且つ上方に切欠かれた流出
口で、これは仕切板２３で区画された上方隙間部
２９に連通している。３０は内部筐体２１内の底
面に放射状に突出成形した整流用リブ、３１は器
差調整用バイパス孔（以下単にバイパス孔と称
す）で、これは内部筐体２１の側壁に沿つて貫通
成形され、下方隙間部２７と上方隙間部２９とを
直接連通している。

更に第４図に於て、３２は羽根車で、これは内
部筐体２１内の底面に起立保持された支軸３３に
回転自在に嵌挿されて上記内部筐体２１に収納さ
れている。３４は蓋体で、これはＯリング等を介
して上記内箱２０に密着固定されている。３５は
該蓋体３４の所定部位に穿設された貫通穴に回動
自在に嵌着された調整弁で、その上端には流量調
整工具（図示省略）との係合部位として機能する
凹所３６が形成され、且つ下端に前記バイパス孔
３１の断面形状と略同形状の調整穴３７を設けた
円板部３８が形成されている。この調整穴３７は
バイパス孔３１に連通し、調整弁３５を回動させ
ることにより開度を変えられるような位置に設け
られている。３９は蓋体３４下端面に所定位置に
設けられた凹部で、これは調整穴３７、即ちバイ
パス孔３１と上方隙間部２９とを連通させるため
のものである。４０は上ケースリングネジで、こ
れを介してその上方に上ケースである流量メータ
（図示省略）が取付け固定される。

上記構成による器差調整を説明すると次の通り
である。

外箱３の流入口１から流入した水は、内箱２０
の流入口２６から下方隙間部２７に入り、内部筐
体２１に設けられた流入孔２４から該内部筐体２
１内に流れ込む。この流れ込んだ水流は内部筐体
２１内の羽根車３２を回転させながら上昇し、流
出孔２５から上部隙間部２９へ流出し、内箱２０
の流出口２８から外箱３の流出口２へと流れ出
る。この内部筐体２１内の水流による羽根車３２
の回転が流量メータ（図示省略）に伝達され、内
箱２０内の流量即ち量水器内の流量に相当する値
を上記流量メータが表示する。また上記水流とは
別の水流が内部筐体２１内の羽根車３２を通過す
ることなく、内箱２０底面下方の通水通路５ら上
記内部筐体２１の側壁に設けられたバイパス孔３
１に流入し、調整弁３５の調整穴３７から蓋体３
４の凹部３９を介して上方隙間部２９に流出し、
さらに内箱２０の流出口２８から流出する。そこ
で器差調整にはこの水流を利用し、上記バイパス
孔３１の流量を調整する。器差調整時には、調整
弁３５の上端に形成された凹所３６に合つた先端
部を有する流量調整工具、例えば回転棒（図示省
略）等により該調整弁３５を所定角度だけ回動
し、調整穴３７の開度を調整する。これによつて
バイパス孔３１から流出する流量が調整され、器
差に相当する流量分が調整されることにより量水
器内の流量を流量メータの指示値に合致させる。

以上説明したように本考案は、内箱の側壁部に
器差調整用バイパス孔を設け、この内箱の上部に
配設された蓋体に調整弁を設けて上記バイパス孔
内の流量を調整するようになしたことにより、従
来のように量水器をすべて分解する必要がなく、
上ケースリングネジを締付けたままの状態で器差
調整が可能となり容易に且つ短時間で行える。ま
た上記のように外部から器差調整可能であると共
にその調整には熟練を必要としないので簡単に行
える。更に長時間の使用にも耐え、調整精度が低
下することもない。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来の量水器の器差調整装
置を示す断面図、第４図は本考案に係る量水器の
器差調整装置の実施例を示す断面図、第５図は内
箱の上面図、第６図は内箱の下面図である。 １……流入口、２……流出口、３……外箱、２
０……内箱、２４……流入孔、２５……流出孔、
３１……器差調整用バイパス孔、３２……羽根
車、３４……蓋体、３５……調整弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流入口及び流出口を有する外箱に、前記流入口
   及び流出口と対応する流入孔及び流出孔を側壁部
   に穿設すると共にその内部に羽根車を回転自在に
   支持してなる内箱を嵌着し、更に羽根車の回転に
   より計測される流量の表示部を前記内箱の上方に
   装着してなる量水器に於いて、前記内箱にその側
   壁を貫通する器差調整用バイパス孔を設けると共
   にこの内箱の上面に蓋体を密着固定し、この蓋体
   に穿設された貫通穴内に、上端に流量調整工具と
   の係合部位を形成し下端に前記バイパス孔の断面
   形状と略同一形状の調整穴を設けた円板部を形成
   してなる調整弁を回動自在に嵌着し、前記調整穴
   を蓋体の下端面に形成された凹部を介して前記器
   差調整用バイパス孔と連通させ、該バイパス孔の
   流量を外部からの調整弁の回動によつて調整可能
   に構成したことを特徴とする量水器の器差調整装
   置。