JPS6313788Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は撹拌機に於ける翼の構造に係わり、
更に詳しくは撹拌翼の周囲、上下方向の液体を効
率良く撹拌できるようにした撹拌機に於ける翼の
改良に関するものである。

従来の撹拌翼には、第１図に示すようなパドル
形の翼や、第２図に示すようなスクリユー式の翼
が一般に使用されている。そして、かかる撹拌翼
による液体の混合は、翼の近傍、特に周囲にある
液体全体を図の矢印に示すように左右又は上下方
向に撹拌するものである。

しかしながら、このような従来の撹拌翼にあつ
ては、液体との接触面積を大きくして撹拌効率を
高めるために翼の形状自体を大きくしたり、翼の
回転数を増したりしているが、反面液体との接触
抵抗が大きくなり、撹拌翼を回転駆動する駆動電
動機の出力も大きなものとしなければならなかつ
た。

また、従来の撹拌翼は、回転駆動軸を中心とし
て、その周囲に画一的な形状の翼を取付けたもの
であつたため、撹拌翼周囲の液体は効率良く撹拌
できても、撹拌翼の内側と外側及び上下方向の液
体を効率良く撹拌するのは構造的に難かしかつ
た。従つて撹拌には、多大な時間と手間を要して
おり、また駆動力を大きくすることから多大な設
備とコストアツプとなる問題があつた。

この考案は、係る従来の問題点に着目して案出
されたもので、その目的とするところは撹拌翼を
中心としてその周囲と、内外及び上下方向の液体
を効率良く撹拌できるとともに、大きな駆動力を
用いずに簡単な構造で、かつ短時間に液体を撹拌
できる撹拌機における翼の構造を提供するもので
ある。

この考案は上記目的を達成するため、回転駆動
軸の先端に、仕切板を介して１対の中空円板を対
称状に、かつこの中空円板間に所定の空間部が形
成され、その空間部内に一定間隔を隔てて放射状
に前記仕切板が複数枚配設されるように取付ける
ことにより撹拌翼を構成し、この撹拌翼の内部に
形成された空間部に流体を導入するためのラツパ
状の開口部を前記両中空円板の中心部に形成し、
かつ該ラツパ状の開口部と前記空間部との連結部
に丸味をつけたことを要旨とするものである。

以下、添附図面に基づいて、この考案の実施例
を説明する。

第３図は、この考案を実施した撹拌機１の断面
図を示し、この撹拌機１は中空状の槽２の中心部
に減速電動機３及び軸受部材４を介して回転駆動
軸５が内装されている。

回転駆動軸５の先端には、第４図に示すように
２枚の中空円板６ａ，６ｂと、この中空円板６
ａ，６ｂ間に所定の間隔を隔てて放射状に介設さ
れた複数枚の仕切板７とにより構成される撹拌翼
８の中心部が装着されている。

前記中空円板６ａ，６ｂの上下開口部９ａ，９
ｂは、液体Ｗが流入しやすいように、上下方向に
向つてラツパ状に形成され、またその上下開口部
９ａ，９ｂ内には、液体Ｗを翼内に積極的に導入
させるためのガイド翼１０が取付けられている。

このガイド翼１０は、その内側が回転駆動軸５
に固定され、また外側は中空円板６ａ，６ｂの開
口部９ａ，９ｂの内壁面に固着されていて、撹拌
翼８を回転駆動軸５に固着する機能をも兼ねるも
のである。

なおガイド翼１０の枚数、取付角度は被撹拌流
体の性能に応じ適宜変更するものである。

また前記中空円板６ａ，６ｂを接合する仕切板
７間の空間部１１は、前記上下開口部９ａ，９ｂ
から流入した液体を槽２の内壁面に値設されたバ
ツフル１２側に向つて放射状に放出させる液体Ｗ
の流出通路となると共に、ラツパ状の開口部と前
記空間部１１との連結部１３に丸味がつけられて
いる。

なお前記中空円板６ａ，６ｂの上下開口部９
ａ，９ｂの開口面積及びガイド翼１０の角度及び
形状は、撹拌機１の運転条件により決定するもの
である。

この考案は上記のように構成され、減速電動機
３を介して回転駆動軸５が所定の方向に回転し、
これと同時に撹拌翼８も所定の方向に回転する
と、中空円板６ａ，６ｂのラツパ状に形成された
上下開口部９ａ，９ｂから、図の矢印方向に流体
Ｗが流入し上下からの流体が衝突し乱流となり、
即にこの所で十分なる混合をされ、翼内に流入し
た液体Ｗは仕切板７間の空間部１１（流出通路）
を通つて、撹拌翼８の周囲に放射状に放出され
る。

このように液体Ｗを撹拌することによつて、撹
拌翼８の周囲の液体Ｗは、その上下方向に環流
し、槽２内全体の液体Ｗが撹拌されることにな
る。

この考案は、上記のように、即ち、回転駆動軸
５に仕切板７を介して上下の円板６ａ，６ｂが取
付けられる構造であるため、全体構造が簡単であ
る。さらに、流体導入口をラツパ状に形成したた
め、流体の導入がスムーズに行えると共に、ラツ
パ状の開口部と空間部との連結部１３に丸味がつ
けてあるため、導入された流体は垂直流から水平
流れへの変化がスムーズに行われることになる。
したがつて、撹拌翼の上下方向の液体を、その周
囲方向に放射状に放射させて、槽全体の液体を効
率良く撹拌させることができ、また、液体との接
触抵抗も小さいので、大きな駆動力を必要としな
い上、多大な設備も設けなくても良く、更に、短
時間に効率良く撹拌できるのでコストダウンも図
ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、従来の撹拌翼の説明図、
第３図はこの考案を実施した撹拌機の断面図、第
４図は撹拌翼の正面図、第５図は第４図の底面
図、第６図は撹拌翼の要部側断面図、第７図は同
平面図である。 １……撹拌機、５……回転駆動軸、６ａ，６ｂ
……中空円板、７……仕切板、８……撹拌翼、９
ａ，９ｂ……上下開口部、１１……空間部（流出
通路）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転駆動軸の先端に、仕切板を介して１対の中
   空円板を対称状に、かつこの中空円板間に所定の
   空間部が形成され、その空間部内に一定間隔を隔
   てて放射状に前記仕切板が複数枚配設されるよう
   に取付けることにより撹拌翼を構成し、この撹拌
   翼の内部に形成された空間部に流体を導入するた
   めのラツパ状の開口部を前記両中空円板の中心部
   に形成し、かつ該ラツパ状の開口部と前記空間部
   との連結部に丸味をつけたことを特徴とする撹拌
   機に於ける翼の構造。