JP6610995B2 - 撹拌用回転体および撹拌装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体その他の各種流体を撹拌し、混合、分散等を行うための撹拌用回転体および撹拌装置に関する。
従来、例えば2種類以上の流体を混合したり、流体中に添加した各種粉末等を均一に分散させたりする場合には、流体中で羽根車を回転させる撹拌機が使用されている。この羽根車には一般的にプロペラ翼やタービン翼が設けられており、回転することで流体を流動させて撹拌を行う。
このような撹拌機は、流体を収容するタンクに恒常的に設置されて使用されるものが多いが、この他にも、例えば塗料等を使用直前に現場で撹拌するためのハンディタイプのものがよく使用されている。このハンディタイプの撹拌機は、一般的にハンドドリル型の駆動装置の駆動軸の先端に羽根車を設けて構成されている。そして、使用者は、駆動装置を両手に持ち、先端の羽根車を塗料等の被撹拌物が収容された容器内に挿入して回転させ、撹拌を行う。
しかしながら、このハンディタイプの撹拌機では、鋭利な翼端を持つ羽根車を高速で回転させることから非常に危険であり、取扱に注意を要するという問題があった。また、突起の多い羽根車を容器にぶつけてしまった場合や、羽根車が疲労破壊を起こした場合に、羽根車の先端や容器の一部が欠けて、または削れて被撹拌物内に混入しやすいという問題があった。
また、羽根車は被撹拌物と衝突することによって被撹拌物を流動させるため、羽根車を備える撹拌機では、回転する羽根車を被撹拌物内に投入する際、または被撹拌物内で羽根車の回転を開始する際に、反動によって羽根車が振られやすいという問題があった。このため、使用者が撹拌機の操作になれていない場合には、羽根車を容器にぶつけたり、被撹拌物を容器外に飛散させたりといったような事態が頻発していた。
また、羽根車では、被撹拌物に沈降物が含まれるような場合に、羽根車を容器の底壁に接触させながら撹拌を行わなければ沈降物をうまく分散させることができないため、羽根車と容器の壁面の接触により発生する破片や削りカスが被撹拌物内に混入しやすいという問題があった。
このような問題を解決するものとして、特許文献1には、回転軸を中心に回転する本体と、本体の表面に設けられる吸入口と、本体の表面に設けられる吐出口と、吸入口と吐出口を繋ぐ流通路と、を備え、吸入口は吐出口よりも回転軸に近い位置に配置され、吐出口は吸入口よりも回転軸から遠心方向外側の位置に配置される撹拌用回転体が開示されている。
この特許文献1の撹拌用回転体は、用途を問わずに安全且つ効率的な撹拌を行うことが可能である上に、被撹拌物の液面に渦ができにくく、波立たない静かな撹拌が可能となっている。
また、この特許文献1を改良したものとして、特許文献2には、吸入口、吐出口または流通路の内部を通過する被撹拌物と衝突可能に形成される衝突部材が設けられた撹拌用回転体が開示されている。
この特許文献2の撹拌用回転体は、特許文献1と同様に、用途を問わずに安全且つ効率的な撹拌を行うことが可能である上に、被撹拌物に混ぜられた粉体等の塊の破砕が可能となっている。
特許第4418019号公報 特開2012−139632号公報
特許文献1及び特許文献2の撹拌用回転体は、開示される内容のとおり、安全且つ効率的な撹拌を行うことが可能であるが、同様の構成でより強力な撹拌が求められることがあった。
また、特許文献2に開示される撹拌用回転体は、開示される内容のとおり、粉体等の塊の破砕が可能であるが、同様の構成でより確実な破砕が求められることがあった。
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、安全で効率的かつ強力な撹拌が可能な撹拌用回転体を提供することである。
また、この発明の別の目的は、安全で効率的かつ紛体等をより確実に破砕することが可能な撹拌用回転体を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項1の記載によれば、回転軸を中心に回転する本体と、前記本体の表面に設けられる吸入口と、前記本体の表面に設けられる吐出口と、前記吸入口と前記吐出口を繋ぐ流通路と、を備え、前記吸入口は前記吐出口よりも前記回転軸に近い位置に配置され、前記吐出口は前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側の位置に配置され、前記吸入口、前記吐出口または前記流通路には、前記吸入口、前記吐出口または前記流通路を通過する被撹拌物の流動を発生させる流動部材が設けられることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項2の記載によれば、前記流動部材は、前記吐出口または吐出口側流通路に設けられる面状部材であり、前記面状部材の前記回転軸に近い部分が回転方向の前進側に配置されることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項3の記載によれば、前記流動部材は、前記吸入口または吸入口側流通路に設けられる面状部材であり、前記面状部材の前記吸入口に近い部分が回転方向の前進側に配置されることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項4の記載によれば、前記面状部材の回転方向の前進側に刃部を備えることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項5の記載によれば、前記流通路は1つの前記吸入口から複数の前記吐出口に分岐するように構成されることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項6の記載によれば、前記流動部材は、前記吸入口または吸入口側流通路に設けられ、翼接続部と前記翼接続部に放射状に取り付けられる複数の翼とを有し、前記翼接続部は前記回転軸の略延長線上に配置され、前記翼の前記吸入口に近い部分が回転方向の前進側に配置されることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項7の記載によれば、前記翼の前記翼接続部と反対の側で前記吸入口または前記吸入口側流通路に接続されることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項8の記載によれば、前記翼接続部を前記回転軸に接続することを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項9の記載によれば、前記翼の回転方向の前進側に刃部を備えることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項10の記載によれば、前記流動部材は、前記翼接続部が吐出口側流通路にかからないように配置されることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌用回転体は、請求項11の記載によれば、さらに、前記吐出口または吐出口側流通路に、前記回転軸に近い部分が回転方向の前進側に配置される面状部材が設けられることを特徴とする。
また、この発明に係わる撹拌装置は、請求項12の記載によれば、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の撹拌用回転体を用いたことを特徴とする。
この発明によれば、安全で効率的かつ強力な撹拌ができる撹拌用回転体を提供することが可能となる。
また、この発明によれば、安全で効率的かつ紛体等をより確実に破砕することができる撹拌用回転体を提供することが可能となる。
撹拌用回転体1の一例を示した平面図 撹拌用回転体1の一例を示した図1の正面図 撹拌用回転体1の一例を示した図1の底面図 撹拌用回転体の使用例を示した概略図 撹拌用回転体1の別の一例を示した底面図 撹拌用回転体1の別の一例を示した図5の断面図 撹拌用回転体1の別の一例を示した図5に用いられる翼状部材の概略図 撹拌用回転体1のさらに別の一例を示した側面図
<第1の実施例>
以下に図面を用いて本発明の第1の実施例としての撹拌用回転体1の構造について説明する。図1は撹拌用回転体1の一例を示した平面図、図2は撹拌用回転体1の一例を示した図1の正面図(側面図も同一)、図3は撹拌用回転体1の一例を示した図1の底面図である。なお、図1および図2では、一部を断面にして示している。
これらの図に示されるように、撹拌用回転体1は、略砲弾形状の本体10と、本体10の表面に設けられた複数の吸入口12と、本体10の表面に設けられた複数の吐出口14と、吸入口12と吐出口14を繋ぐように本体10の内部に形成された流通路16と、吸入口12および吐出口14に配置された流動部材17と、から構成されている。なお、一部を断面にしている部分の流動部材17が他の流動部材17より小さい(幅が狭い)のは、後述するように、角度を有する流動部材17が、断面で切り取られた状態で図示されているためである。
本体10は、この例では、略砲弾形状、詳細には円柱の一方の底面10bを球面状に構成した形状、換言すれば円柱と半球を組み合わせた形状となっている。本体10の他方の底面10aの中心には、モータ等の駆動装置の駆動軸20が接続される接続部18が設けられている。従って、撹拌用回転体1は、本体10の中心軸Cを回転軸として回転するように構成されている。なお、駆動軸20と接続部18の接続方法は、例えばネジや係合等、既知のいずれの方法であってもよい。
本実施形態では、本体10を流通路16以外の部分を中実に構成することで、本体10の強度を高めるようにしている。本体10を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。本実施形態の本体10は、シンプルで加工しやすい形態となっているため、製造方法に制限されることなく、多種多様な材質から本体10を構成することが可能となっている。
また、本体10をこのようにシンプルな形状に構成することより、回転軸に対する不釣合いの発生を少なくすることができる。このため、本実施形態では、不釣合いの発生しやすい羽根車等とは異なり、回転時の振動や振れ回り等を解消しやすくなっている。
吸入口12は、本体10における接続部18の反対側となる一方の底面10b(すなわち、本体10の先端部)に設けられている。本実施形態では、4つの吸入口12を、中心軸Cを中心とする円周上に等間隔で並べて配置すると共に、中心軸Cと同一方向に形成している。
吐出口14は、本体10の側面10cに設けられている。本実施形態では、4つの吐出口14を、各吸入口12に対して本体10の半径方向(遠心方向)外側となる位置(中心軸Cから中心軸Cに垂直な方向に離れた位置)にそれぞれ配置している。また、中心軸Cに対して直交する方向に吐出口14を形成している。なお、本実施形態では、吸入口12および吐出口14の形状(断面形状)を円形に構成しているが、吸入口12および吐出口14の形状は特に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。
流通路16は、1つの吸入口12と1つの吐出口14を繋ぐ略トンネル状の通路として形成されている。従って、本体10の内部には、4つの流通路16が形成されている。各流通路16は、吸入口12から中心軸C方向に沿って直進した後に直角に曲がり、本体10の遠心方向に向けて直進して吐出口14に到達するように形成されている。すなわち、本実施形態の流通路16は、中心軸C方向の軸方向部分となる吸入口側流通路16aおよび中心軸C方向の遠心方向部分となる吐出口側流通路16bから構成されている。
本実施形態では、流通路16をこのように構成することで、ドリル等による穴加工で容易に吸入口12、吐出口14および流通路16を形成できるようにしている。具体的には、吸入口12の位置から中心軸C方向に沿った穴加工、および吐出口14の位置から中心軸Cに向けた穴加工によって容易に吸入口12、吐出口14および流通路16を形成することができる。
なお、流通路16の断面形状は、特に限定されるものではなく、吸入口12および吐出口14の形状や位置、または加工方法等に応じて適宜の形状に構成することができる。また、本実施形態では、加工のしやすさから流通路16を略直角に曲折するL字状に構成しているが、これに限定されるものではなく、滑らかに湾曲した曲線状の通路として流通路16を構成してもよいし、吸入口12と吐出口14を一直線状に繋ぐように流通路16を構成してもよい。なお、このように流通路16を構成する場合には、吸入口流通路16aは後述する吸入となる流動を発生させる流動部材17が配置される箇所で、吐出口側流通路16bは後述する吐出となる流動を発生させる流動部材17が配置される箇所となる。
このような流通路16の構成により、流通路16内の流動抵抗を減少させることができるため、後述する流動部材17との協働により撹拌用回転体1が引き起こす流動をさらに強力にし、撹拌能力を向上させることができる。
流動部材17は、面状の部材であり、吸入口12および吐出口14にそれぞれ設けられている。この流動部材17は、吸入口12または吐出口14を通過する被撹拌物の流動をさらに発生させて強化するための部材であり、詳細は後述するが、特許文献1に開示の撹拌用回転体に付加することで、より強力な撹拌を実現し、かつ同時に紛体等の塊をより確実に破砕するためのものである。
本実施形態において、吸入口12または吸入口側流通路16aに設けられる流動部材17aは、回転軸である中心軸Cの遠心方向に横断するように設けられた面状部材であり、かつ、その法線が中心軸Cと垂直(90°)方向の成分のみとならない(具体的には、曲面のない平板であれば該平板の法線が中心軸Cと垂直方向の成分のみとならない状態、曲面であればその曲面のどの部分の法線をとっても中心軸Cと垂直方向の成分のみとならない状態であり、特許文献2における図4(a)の16aに設けらた17や図8(c)の12側に設けられた複数の17のように、その法線が中心軸Cと垂直方向の成分のみ(90°以外の角度を有さない)となるものは本実施形態の流動部材17aとはならない)ように構成されている。
また、この流動部材17aは、その法線が中心軸Cと平行(0°)方向の成分のみとならない(具体的には、曲面のない平板であれば該平板の法線が中心軸Cと平行方向の成分のみとならない状態、曲面であればその曲面のどの部分の法線をとっても中心軸Cと平行方向の成分のみとならない状態であり、特許文献2における図4(b)の16aに設けられた17のように、その法線が中心軸Cと平行方向の成分のみ(0°以外の角度を有さない)となるものは本実施形態の流動部材17aとはならない)ように構成されている。
本実施形態の流動部材17aは、上述のような条件を満たした上で、吸入口12に近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されるように構成されている。具体的には、図2に示すように、本体10を矢印方向に回転(正回転)させた際に、流動部材17aが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させるように角度を設定した構成となっている。即ち、特許文献2における図9(a)の16aに設けられた17は、吸入口12に近い部分が回転方向の前進側に配置されていないので、本実施形態の流動部材17aの構成とはなっていない。
また、特許文献2における図9(b)の16aに設けられた17は、回転方向が不明であり、本実施形態の流動部材17aの構成の開示とはなっていない。
なお、図1乃至図3での流動部材17aは平板となっているが、この構成の限定されるものではなく、例えば各種インペラ(羽根車)のように、曲面で構成されていたり、折り曲げた平板で構成されていたりしても、吸入1口2に近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されることで流動部材17aが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させる構成であれば、どのようなものでも良い。
また、上述した、本実施形態の流動部材17aがその法線が中心軸Cと垂直方向の成分のみとならない構成で、かつ、その法線が中心軸Cと平行方向の成分のみとならない構成であるとしたのは、このような構成では流動部材17aが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させることができないためであり、この点において、本実施形態の流動部材17aは、単なる特許文献2で開示されるような衝突部材ではない。
なお、撹拌の業界においては、モータ等の駆動装置30の側から駆動軸20及び接続部18で接続された本体10を見た時に、時計回りに回る方向を正回転、反時計回りに回る方向を逆回転と一般に称しており、本実施形態もこれに倣って図1乃至図3の回転方向を正回転と説明している。
また、撹拌の業界においては、一般に、撹拌機を正回転させた時は被撹拌物を容器底面に向かって押し下げる下降流を発生させることが通常となっている。例えば、「撹拌機一筋半世紀 阪和化工機株式会社」のホームページの中に「エアを意図的に巻き込む逆回転攪拌」として「通常,撹拌機の回転軸(シャフト)が回転する方向は時計回りに回転します。この通常の回転を正回転と呼びます。逆回転とは通常とは反対方向,つまり反時計回りに攪拌軸(シャフト)を回転させて行う攪拌のことを指しています。正回転と逆回転の大きな違いは正回転は押し下げた液流発生させ,逆回転は掻き揚げの液流を発生させます。逆回転を用いる目的としては攪拌する液体にエア(空気)を取り入れたい攪拌で行う攪拌技術です。」と説明している。
(参考URL:http://www.hanwa−jp.com/kakuhan−gyakukaiten.html)
また、同様に、特開2009−247927号公報に開示される曝気撹拌機においては、図3や図5とその説明の通り、軸先端に取り付けられたインペラは下降流を発生させるように構成されている。
これらに対して、本実施形態の流動部材17aは、通常とは逆に、本体10を正回転させた際に被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させるように角度を設定することで、撹拌用回転体1が本来有する流動を発生させる機能と協働させ、さらに強力な撹拌能力を発揮させることが大きな特徴となっている。
次に、本実施形態において、吐出口14または吐出口側流通路16bに設けられる流動部材17bは、中心軸Cと平行な方向に横断するように設けられた面状部材であり、かつ、その法線が中心軸Cと平行(0°)方向の成分のみとならない(具体的には、曲面のない平板であれば該平板の法線が中心軸Cと平行方向の成分のみとならない状態、曲面であればその曲面のどの部分の法線をとっても中心軸Cと平行方向の成分のみとならない状態であり、特許文献2における図8(c)の16bの外側(中心軸Cに遠い側)に設けられた17のように、その法線が中心軸Cと平行方向の成分のみ(0°以外の角度を有さない)となるものは本実施形態の流動部材17bとはならない)ように構成されている。
また、この流動部材17bは、その法線が中心軸Cと垂直(90°)のみとならない(具体的には、曲面のない平板であれば該平板の法線が中心軸Cと垂直のみとならない状態、曲面であればその曲面のどの部分の法線をとっても中心軸Cと垂直のみとならない状態であり、特許文献2における図4(a)の16bに設けられた17、図4(b)の16bに設けられた17及び図8(c)の16bの内側(中心軸Cに近い側)に設けられた17のように、その法線が中心軸Cと垂直のみ(90°以外の角度を有さない)となるものは本実施形態の流動部材17bとはならない)ように構成されている。
本実施形態の流動部材17bは、上述のような条件を満たした上で、回転軸Cに近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されるように構成されている。具体的には、図1及び図3に示すように、本体10を矢印方向に回転(正回転)させた際に、流動部材17bが被撹拌物を吐出口側流通路16bから掻き出す流動を発生させるように角度を設定した構成となっている。即ち、特許文献2における図9(a)の16bに設けられた17は、回転軸Cに近い部分が回転方向の前進側に配置されていないので、本実施形態の流動部材17bの構成とはなっていない。
また、特許文献2における図9(b)の16bに設けられた17は、回転方向が不明であり、本実施形態の流動部材17bの構成の開示とはなっていない。
なお、図1乃至図3での流動部材17bは平板となっているが、この構成の限定されるものではなく、例えば各種インペラ(羽根車)のように、曲面で構成されていたり、折り曲げた平板で構成されていたりしても、回転軸Cに近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されることで流動部材17bが被撹拌物を掻き出す流動を発生させる構成であれば、どのようなものでも良い。
また、上述した、本実施形態の流動部材17bがその法線が中心軸Cと平行方向の成分のみとならない構成で、かつ、その法線が中心軸Cと垂直のみとならない構成であるとしたのは、このような構成では流動部材17bが被撹拌物を掻き出す流動を発生させることができないためであり、この点において、本実施形態の流動部材17bは、単なる特許文献2で開示されるような衝突部材ではない。
ここで、改めて、撹拌用回転体1の作動について図1乃至図4を用いて概略説明する。図4は、撹拌用回転体の使用例を示した概略図である。本実施形態の撹拌用回転体1は、流体である被撹拌物内において、駆動軸20に駆動されて中心軸Cを中心に回転することにより、被撹拌物を撹拌する。
具体的には、撹拌用回転体1は、モータ等の駆動装置30に繋がる駆動軸20に接続され、容器40内に収容された流体である被撹拌物50内に浸漬された状態で使用される。駆動装置30は、容器40や架台等に固定されるものであってもよいし、使用者が保持して操作するものであってもよい。
流体中に撹拌用回転体1を浸漬して回転させると、流通路16内に進入した流体も撹拌用回転体1と共に回転することとなる。すると、流通路16内の流体に遠心力が作用し、吸入口側流通路16a及び吐出口側流通路16b内の流体は撹拌用回転体1の半径方向外側に向けて流動する。吐出口14は、吸入口12よりも本体10の半径方向外側に設けられているため、吐出口14とそれに接続する吐出口側流通路16bでは吸入口12とそれに接続する吸入口側流通路16aよりも強い遠心力が働くこととなる。従って、流体は、撹拌用回転体1が回転している限り吸入口12から吐出口14に向けて流動する。すなわち、吐出口側流通路16b内の流体が吐出口14から噴出すると共に、外部の流体が吸入口12から吸入口側流通路16a内に吸引される。
これにより、撹拌用回転体1の周囲の流体には、吐出口14のある側面10cから放射状に広がる流動と、吸入口12のある撹拌用回転体1の先端部に向かう流動が発生することとなる。なお、撹拌用回転体1の先端部に向かう流動は、吸入口12の回転により旋回流となる。この結果、図4に示すように、被撹拌物50内に複雑な循環流が発生し、この循環流により被撹拌物50は十分に撹拌される。
また、容器40の底に滞留している滞留物を分散させる場合には、撹拌用回転体1の先端部を容器40の底に近づければよい。このようにすることで、吸入口12から滞留物を吸い上げて吐出口14から噴出し、滞留物を被撹拌物50内に十分に分散させることができる。また、容器40の角部に滞留している滞留物を分散させる場合には、撹拌用回転体1の先端部を容器40の角部に近づければよい。本実施形態では、本体10を略砲弾形状に構成しているため、狭隘な角部にも吸入口12を十分に近づけることができる。
また、本実施形態において、本体10を略砲弾形状に構成すると共に、流動部材17を吸入口12または吐出口14から突出しないように内側に配置することにより、撹拌用回転体1を容器40の壁面にぶつけた場合にも撹拌用回転体1または容器40が破損したり削れたりする可能性が低くすることができる。この結果、安心して撹拌用回転体1を容器40の壁面に近づけることができ、容器40の隅々まで十分に撹拌を行うことが可能であると共に、撹拌用回転体1または容器40の破片や削りカス等が被撹拌物50に混入し難いようにすることができる。
なお、図1乃至図4における回転は正回転となっているが、本実施形態の撹拌用回転体1は、上述した撹拌原理より、逆回転させても正回転と同じく、吐出口側流通路16b内の流体が吐出口14から噴出し、外部の流体が吸入口12から吸入口側流通路16a内に吸引される。ただし、上述したように、図1乃至図4に示す吸入口側流通路16a側の流動部材17aは、本体10を正回転させた際に被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させるように角度を設定した構成であるので、逆回転させた場合には、吸入口12に近い部分が回転方向の前進側に配置されない構成、即ち、本実施形態の構成とはならなくなるので、吸入口12における外部の流体の吸入を妨げることになる。
また、同様に、吐出口側流通路16b側の流動部材17bは、本体10を正回転させた際に被撹拌物を掻き出す流動を発生させるように角度を設定した構成であるので、逆回転させた場合には、中心軸Cに近い部分が回転方向の前進側に配置されない構成、即ち、本実施形態の構成とはならなくなるので、吐出口14における流体の突出を妨げることになる。
なお、本実施形態では、吸入口12および吐出口14の両方に流動部材17を設けているが、吸入口12または吐出口14のいずれか一方のみに流動部材17を設けるようにしてもよいことは言うまでもない。また、複数の吸入口12の一部のみ、または複数の吐出口14の一部のみに流動部材17を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、図示において流動部材17が吸入口12または吐出口14の内側近傍に配置されているが、これに限定されるものではなく、流通路16の内部に設けても良いし、複数設けても良い。
また、流動部材17aや流動部材17bの回転方向の前進側に刃部を備えるように構成し、被撹拌物50中に含まれる粉体等の塊を効率的に破砕できるようにしても良い。
以上のように、本実施形態における撹拌用回転体1は、従来通り、安全且つ効率的な撹拌を行うことが可能であるうえに、流動部材17aによる掻き揚げる流動や流動部材17bによる掻き出す流動との協働でより強力な撹拌が可能となる。
また、流動部材17aによる掻き揚げる流動や流動部材17bによる掻き出す流動は、吸入口12や突出口14で複雑で強力な乱流を発生させるため、従来と比べて、溶け切れなかった粉体等の塊を確実に破砕することや固体の溶解やゲル状物の液化が可能となる。
<第2の実施例>
図面を用いて本発明の第2の実施例としての撹拌用回転体1の構造について説明する。図5は撹拌用回転体1の別の一例を示した底面図、図6は撹拌用回転体1の別の一例を示した図5の断面図、図7は撹拌用回転体1の別の一例を示した図5に用いられる翼状部材の概略図である。
図5及び図6によれば、撹拌用回転体1は、略円筒形状の本体10と、本体10の表面に設けられた1つの吸入口12と、本体10の表面に設けられた複数の吐出口14と、吸入口12と吐出口14を繋ぐように本体10の内部に形成された流通路16と、吸入口12または吸入口側流通路16aに配置された流動部材17と、から構成されている。
本実施形態における流動部材17は、図7に示す通り、複数の翼17cと複数の翼17cが放射状に取り付けられる翼接続部17dとから構成される翼状部材であり、吸入口12または吸入口側流通路16aに設けられている。
なお、図7に示す翼状部材は本体10に取り付けられる前の例えば金属板から切り取られた状態を示しており、本体10に取り付ける際は、翼17cの一方辺17fを翼接続部17dと平面に保ったまま他方辺をねじり、該平面に対して翼17cに角度を与えてから本体10に取り付ける。なお、図5に示す翼17cの幅が図7に示す翼17cの幅より小さいのは、図5の翼17cが翼接続部17dに対して角度を有しているためである。
なお、図6の断面図は、翼状部材の取り付け状態をわかりやすくするために本来の断面図とは若干異なっている。具体的には、正確な断面図では吸入口12は直線となるが、翼17cの形状や角度及び取り付け状態をわかりやすくするために曲線で図示している。また、正確な断面図では図7の8枚の翼17cのうちの4枚の翼17cが断面図に図示されることになるが、わかりにくいため、奥側2枚の翼17cのみを図示している。
本体10は、この例では、その軸方向の長さに比して軸断面方向に幅広(即ち偏平)な略円筒形状となっている。また、本体10の他方の底面10aの中心には、モータ等の駆動装置の駆動軸20が接続される接続部18を有する接続ボス部19が設けられ、駆動軸20を回転軸として回転するように構成されている。なお、駆動軸20と接続部18の接続方法は、例えばネジや係合等、既知のいずれの方法であってもよい。また、本実施形態における本体10の接続部18は貫通穴になっているので、例えば、駆動軸20を流動部材17を設けていない本体10の接続部18に貫通させて、そのまま該本体10の吸入側流通路16aにも挿通し、その後、本実施形態の本体10の接続部18貫通させることで、撹拌用回転体1を多段に構成することが可能である。
本実施形態では、本体10を流通路16以外の部分を中実に構成することで本体10の強度を高めるようにしている。本体10を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。また、この第2の実施例では、第1の実施例よりさらにシンプルで加工しやすい形態となっているため、製造方法に制限されることなく、多種多様な材質から本体10を構成することが可能となっている。
また、このように本体10をさらにシンプルな形状に構成することで、回転軸に対する不釣合いの発生を少なくすることができるため、回転時の振動や振れ回り等を非常に解消しやすくなっている。
本実施形態の吸入口12は、円形の形状となっており、本体10における接続部18の反対側となる一方の底面10b(すなわち、本体10の先端部)に駆動軸20の回転中心と略同心で1つ配置されている。
吐出口14は、円形の形状で本体10の側面10cに設けられている。本実施形態では、4つの吐出口14を、吸入口12に対して本体10の半径方向(遠心方向)外側となる位置(駆動軸20から駆動軸20に垂直な方向に離れた位置)にそれぞれ配置している。また、駆動軸20に対して直交する方向に吐出口14を形成している。なお、本実施形態では、吸入口12および吐出口14の形状(断面形状)を円形に構成しているが、吸入口12および吐出口14の形状は特に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。
流通路16は、本実施形態においては、本体10の内部で1つの吸入口12から4つの吐出口14に分岐するように構成されている。従って、本体10の内部には、1本の吸入口側流通路16aと、この吸入口側流通路16aから四方に分岐する4本の吐出口側流通路16bが形成されている。また、吸入口側流通路16aは駆動軸20と略同心の略円筒形となっている。また、吐出口側流通路16bは、吸入口側流通路16aに吸入口12と反対の側で接続され、駆動軸20に対して直角で本体10の遠心方向に向けて形成される略円筒形となっている。すなわち、本実施形態の流通路16は、第1の実施例と同様に、駆動軸20の軸方向部分となる吸入口側流通路16aおよび駆動軸20の遠心方向部分となる吐出口側流通路16bから構成されている。
このように、本実施形態では、第1の実施例よりさらに容易にドリル等による穴加工で吸入口12、吐出口14および流通路16を形成できるようになっている。具体的には、吸入口12の位置から中心軸C方向に沿った穴加工、および吐出口14の位置から中心軸Cに向けた穴加工によって容易に吸入口12、吐出口14および流通路16を形成することができる。
また、流動部材17としての翼状部材は、図5及び図6に示すように、一方辺17fの翼接続部17dと反対の側となる翼先端17eを吸入口12または吸入口側流通路16aに溶接や接着または切り込みへのはめ合い等の既知の方法で接続されている。なお、この接続は複数ある翼先端17eの全てで行っても良いし、一部のみでも良い。また、この接続は着脱可能としても良い。
本実施形態において、吸入口12または吸入口側流通路16aに設けられる翼状部材としての流動部材17は、上述のとおり、複数の翼17cと複数の翼17cが放射状に取り付けられる翼接続部17dとから構成されている。また、翼接続部17dは駆動軸20の略延長線上に配置されているので、複数ある翼17cの各々が翼接続部17dから回転軸である駆動軸20の遠心方向に横断するように設けられることになる。
このような翼17cは、その法線が中心軸Cと垂直(90°)方向の成分のみとならない(具体的には、曲面のない平板であれば該平板の法線が駆動軸20と垂直方向の成分のみとならない状態、曲面であればその曲面のどの部分の法線をとっても駆動軸20と垂直方向の成分のみとならない状態であり、特許文献2における図4(a)の16aに設けられた17や図8(c)の12側に設けられた複数の17のように、その法線が駆動軸20と垂直方向の成分のみ(90°以外の角度を有さない)となるものは本実施形態の翼17cとはならない)ように構成されている。
また、この翼17cは、その法線が駆動軸20と平行(0°)方向の成分のみとならない(具体的には、曲面のない平板であれば該平板の法線が駆動軸20と平行方向の成分のみとならない状態、曲面であればその曲面のどの部分の法線をとっても駆動軸20と平行方向の成分のみとならない状態であり、特許文献2における図4(b)の16aに設けられた17のように、その法線が駆動軸20と平行方向の成分のみ(0°以外の角度を有さない)となるものは本実施形態の翼17cとはならない)ように構成されている。
本実施形態の翼17cは、上述のような条件を満たした上で、複数ある翼17cの各々が翼接続部17dから回転軸である駆動軸20の遠心方向に横断する状態で、かつ、各々の翼17cが吸入口12に近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されるように構成されている。具体的には、図5及び図6に示すように、本体10を矢印方向に回転(正回転)させた際に、各々の翼17cが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させるように角度を設定した構成となっている。
即ち、この翼状部材としての流動部材17は、吸入口12を通過する被撹拌物の流動をさらに発生させて強化するための部材であり、特許文献1に開示の撹拌用回転体に付加することで、より強力な撹拌を実現し、かつ同時に紛体等の塊をより確実に破砕するためのものである。
なお、図5乃至図6での翼17cは平板となっているが、この構成の限定されるものではなく、例えば各種インペラ(羽根車)のように、曲面で構成されていたり、折り曲げた平板で構成されていたりしても、吸入口12に近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されることで、翼17cが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させる構成であれば、どのようなものでも良い。
このように、本実施形態の翼状部材としての流動部材17がその法線が中心軸Cと垂直方向の成分のみとならない構成で、かつ、その法線が中心軸Cと平行方向の成分のみとならない構成であるとしたのは、このような構成では流動部材17aが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させることができないためであり、この点において、翼状部材としての流動部材17は、単なる特許文献2で開示されるような衝突部材ではない。
また、付言すれば、特許文献2における図9(a)の16aに設けられた17は、吸入口12に近い部分が回転方向の前進側に配置されていないので、本実施形態の翼17cの構成とはなっていない。
さらに、特許文献2における図9(c)の16aに設けられた17は、16a全体を駆動軸20の遠心方向に横断するように設けられた状態で角度を有し、吸入口12に近い部分が回転方向の前進側と前進側ではない側の両方に配置される構成となるため、本実施形態のような駆動軸20の略延長線上に配置された翼接続部17dから各々の翼17cの吸入口12に近い部分が回転方向の前進側に配置される構成とは異なり、被撹拌物を掻き揚げる流動と掻き出す流動の両方を発生させてしまい、結果として吸入口12における外部の流体の吸入を妨げることになるため、より強力な撹拌を実現することができない。
また、特許文献2における図9(b)の16aに設けられた17は、回転方向が不明であり、本実施形態の翼17cの構成の開示とはなっていない。
なお、特許文献2の段落0072には「吸入口12を1つだけ設けた場合には、流通路16の軸方向部分16aに螺旋形状の流動部材17や、プロペラ翼またはタービン翼等の形状をした衝突部材17を設けるようにしてもよい」との開示がある。しかしながら、この開示においても、回転方向が不明であり、本実施形態の翼17cの構成の開示とはなっていない。
また、単に組み合わせるだけであれば、撹拌の業界において一般である、撹拌機を正回転させて被撹拌物を容器底面に向かって押し下げる下降流を発生させるプロペラ翼等と組み合わせることが自然であり、前述の阪和化工機株式会社のホームページの中で、わざわざ通常とは異なると説明される「エアを意図的に巻き込む逆回転攪拌」である「逆回転(掻き揚げの液流を発生させる)を用いる目的としては攪拌する液体にエア(空気)を取り入れたい」を組み合わせることは、当業者であっても容易に想達できるものではない。
そもそも、撹拌の業界において、撹拌機を正回転させた際に被撹拌物が容器底面に向かって押し下げる下降流を発生させるプロペラ翼等と組み合わせる理由は、逆回転(掻き揚げの液流を発生させる)させると、撹拌流に大きな渦流が発生し、見た目は派手だが旋回流(駆動軸20の周りを回る流れ)ばかりで被撹拌物に必要な上下流(駆動軸20方向の流れ)が発生しにくく撹拌の効率が悪い、また、阪和化工機株式会社のホームページで説明されるように、意図的に巻き込む必要がない場合には、発生する大きな渦流で巻き込まれた大量のエアにより被撹拌物に不要な泡立ちが発生する等の問題があるためである。
本実施形態で説明する撹拌用回転体1において、このように通常では問題となる掻き揚げる流動を発生させるのは、撹拌用回転体1が本来有する流動を発生させる機能と流動部材17とを協働させ、さらに強力な撹拌能力を発揮させるためという明確な目的があるからであり、この目的がない状態では、本実施形態で説明される吸入口12に近い部分を回転方向の前進側として掻き揚げる流動を発生させる構成に思い至ることは不可能である。
また、撹拌用回転体1が本来有する構成には被撹拌物の液面側となる底面10a側に液流を発生させる構成がないため、撹拌用回転体1は被撹拌物の液面に渦を発生させにくく、波立たない静かな撹拌が可能となっている。また、本実施形態で説明する撹拌用回転体1においても、流動部材17で発生する渦流は撹拌用回転体1の流通路16内に閉じ込められるので、通常の掻き揚げる流動を発生させるプロペラ翼等と異なり、撹拌流に大きな渦流が発生しない。このため、本実施形態の撹拌用回転体1は、さらに強力な撹拌が可能であるにも拘わらず、被撹拌物の液面に渦ができにくく、波立たない静かな撹拌が可能であるという、大きな特徴を有している。
以上のように、本発明の第2の実施例に係る本実施形態により、安全且つ効率的な撹拌を行うことが可能であるうえに、翼状部材としての流動部材17による掻き揚げる流動との協働でより強力な撹拌が可能となる。
さらに、本発明の第2の実施例に係る本実施形態では、第1の実施形態と比して、図5に示すように流動部材17の掻き揚げる流動を発生させる翼部17cを複数設けることが容易で、さらにより強力な撹拌が可能となる。
また、本発明の第2の実施例に係る本実施形態では、第1の実施形態と比して、吸入口12を1つにしたため相対的に穴径が大きくなるので、流動部材17を設けることが容易になっている。
また、本発明の第2の実施例に係る本実施形態では、複数の吸入口12または吸入口側流通路16aに個別に流動部材17を設けない構成であるので、第1の実施形態と比して、加工や接続が容易なばかりでなく、その洗浄も容易となっている。
さらに、本発明の第2の実施例に係る本実施形態では、掻き揚げる流動を発生させる翼部17cを多数設置できるので、吸入口12でさらに複雑で強力な乱流を発生させられるため、溶け切れなかった粉体等の塊を確実に破砕することや固体の溶解やゲル状物の液化が可能となる。
<第3の実施例>
図面を用いて第2の実施例の変形例となる本発明の第3の実施例としての撹拌用回転体1の構造について説明する。図8は撹拌用回転体1のさらに別の一例を示した側面図である。なお、第2の実施例と構成が同じ箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図8によれば、撹拌用回転体1は、略円筒形状の本体10と、本体10の表面に設けられた1つの吸入口12と、本体10の表面に設けられた複数の吐出口14と、吸入口12と吐出口14を繋ぐように本体10の内部に形成された流通路16と、吸入口12または吸入口側流通路16aに配置された流動部材17と、から構成されている。
本実施形態における流動部材17は、図8に示す通り、図示しない複数の翼17cと複数の翼17cが放射状に取り付けられる翼接続部17dとから構成される翼状部材であり、吸入口12または吸入口側流通路16aに設けられている。なお、図8の側面図は、翼状部材の取り付け状態をわかりやすくするために複数の翼17cの紙面手前側の翼17cのみを図示している。
この第3の実施例に係る本実施形態では、流動部材17としての翼状部材は、図8に示すように、接続部18を貫通させた駆動軸20の先端に設けられた駆動軸延長部20aに、翼接続部17dを溶接、接着、切り込みへのはめ合い、またはネジ止め等の既知の方法で接続されている。なお、この接続は着脱可能としても良い。なお、本実施形態では、駆動軸20の直径に比して翼接続部17dの直径が小さいため、駆動軸延長部20aを先端に向かって細くなるように削っている。
なお、翼接続部17dは駆動軸20から延長される駆動軸延長部20aに接続されているので、複数ある翼17cの各々が翼接続部17dから回転軸である駆動軸20の遠心方向に横断するように設けられることになる。
本実施形態の翼17cも、上述した第2の実施例と同様に、複数ある翼17cの各々が翼接続部17dから回転軸である駆動軸20の遠心方向に横断する状態で、その法線が中心軸Cと垂直方向の成分のみとならない構成で、かつ、その法線が中心軸Cと平行方向の成分のみとならない構成に加えて、各々の翼17cの吸入口12に近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されるように構成されている。具体的には、図8に示すように、本体10を矢印方向に回転(正回転)させた際に、各々の翼17cが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させるように角度を設定した構成となっている。
即ち、この翼状部材としての流動部材17は、吸入口12を通過する被撹拌物の流動をさらに発生させて強化するための部材であり、特許文献1に開示の撹拌用回転体に付加することで、より強力な撹拌を実現し、かつ同時に紛体等の塊をより確実に破砕するためのものである。
なお、図8での翼17cは平板となっているが、この構成の限定されるものではなく、例えば各種インペラ(羽根車)のように、曲面で構成されていたり、折り曲げた平板で構成されていたりしても、吸入口12に近い部分や近い側が回転方向の前進側に配置されることで、翼17cが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させる構成であれば、どのようなものでも良い。
このように、本実施形態の翼状部材としての流動部材17も、流動部材17aが被撹拌物を掻き揚げる流動を発生させるものであり、第2の実施例と同様であるため説明は省略するが、単なる特許文献2で開示されるような衝突部材ではない。
以上のように、本発明の第3の実施例に係る本実施形態により、安全且つ効率的な撹拌を行うことが可能であるうえに、翼状部材としての流動部材17による掻き揚げる流動との協働でより強力な撹拌が可能となる。
さらに、本発明の第3の実施例に係る本実施形態では、第1の実施形態と比して、流動部材17の掻き揚げる流動を発生させる翼部17cを複数設けることが容易で、さらにより強力な撹拌が可能となる。
また、本発明の第3の実施例に係る本実施形態では、第1の実施形態と比して、吸入口12を1つにしたため相対的に穴径が大きくなるので、流動部材17を設けることが容易になっている。
さらに、本発明の第3の実施例に係る本実施形態では、掻き揚げる流動を発生させる翼部17cを多数設置できるので、吸入口12でさらに複雑で強力な乱流を発生させられるため、溶け切れなかった粉体等の塊を確実に破砕することや固体の溶解やゲル状物の液化が可能となる。
また、本発明の第3の実施例に係る本実施形態では、駆動軸20に予め翼状部材としての流動部材17を接続しておくことが可能であり、第2の実施例と比して、加工や接続が容易なばかりでなく、駆動軸20を取り外しての翼状部材の洗浄や着脱可能に設定された翼状部材であればさらに洗浄が容易となっている。
なお、上述した第2の実施例及び第3の実施例において、翼状部材としての流動部材17は、その接続部分が駆動軸20の遠心方向部分となる吐出口側流通路16bにかからないようにする、即ち、被撹拌物が複数の翼17c同士の隙間または翼17cと吸入口側流通路16aとの隙間の何れも通過しない状態で吐出口側流通路16bに流入しないように構成すると、さらに強力な撹拌と、吸入口12近傍でのさらに複雑で強力な乱流による粉体等の確実な破砕、固体の溶解やゲル状物の液化が可能になる。
また、上述した第2の実施例及び第3の実施例において、回転方向の前進側に配置される翼17cの吸入口12に近い部分や近い側(例えば一方辺17f)に刃部を備えるように構成し、被撹拌物中に含まれる粉体等の塊を効率的に破砕できるようにしても良い。
さらに、上述した第2の実施例及び第3の実施例において、第1の実施例と同様に、吐出口14または吐出口側流通路16bに、回転軸20に近い部分が回転方向の前進側に配置される流動部材17を設けても良い。
また、上述した第2の実施例及び第3の実施例において、翼状部材としての流動部材17を吸入口12から突出しないように内側に配置することで、撹拌用回転体1を容器40の壁面にぶつけた場合にも撹拌用回転体1または容器40が破損したり削れたりする可能性が低くするようにしても良い。
また、上述した第2の実施例及び第3の実施例において、駆動軸20は吸入口12の反対の面となる底面10aの側に取り付けるよう説明したが、例えば翼状部材としての流動部材17を挿通(または取り付け)した駆動軸20を、吸入口12の側から挿通して翼状部材を吸入口側流通路16a内に配置し、その後、貫通穴である接続部18に取り付けるように構成しても良い。
以上、詳細に説明した通り、本実施形態における撹拌用回転体1は、従来通り、安全且つ効率的な撹拌を行うことが可能であるうえに、撹拌用回転体1が本来有する流動を発生させる機能と流動部材17とを協働させ、さらに強力な撹拌能力を発揮させることが可能である。
また、本実施形態における撹拌用回転体1は、流動部材による流動が吸入口12や突出口14で複雑で強力な乱流を発生させられるため、溶け切れなかった粉体等の塊を確実に破砕することや固体の溶解やゲル状物の液化が可能となる。
さらに、本実施形態における撹拌用回転体1は、撹拌流に大きな渦流を発生させないようにできるため、強力な撹拌能力を発揮させられる上に、被撹拌物の液面に渦ができにくい、波立たない静かな撹拌が可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の撹拌用回転体および撹拌装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本実施形態における撹拌用回転体1は、撹拌装置のインペラとして用いることが可能である。
また、本実施形態における撹拌用回転体1は、船舶用の推進器としても用いることが可能である。
1・・撹拌用回転体、10・・本体、10a・・底面、10b・・底面、10c・・側面、12・・吸入口、14・・吐出口、16・・流通路、16a・・吸入口側流通路、16b・・吐出口側流通路、17、17a、17b・・流動部材、17c・・翼、17d・・翼接続部、17e・・翼先端、17f・・一方辺、18・・接続部、19・・接続ボス部、20・・駆動軸、20a・・駆動軸延長部、30・・駆動装置、40・・容器、50・・被撹拌物、C・・中心軸

Claims (7)

  1. 回転軸を中心に回転する本体と、前記本体の表面に設けられる吸入口と、前記本体の表面に設けられる吐出口と、前記吸入口と前記吐出口を繋ぐ流通路と、を備え、前記吸入口は前記吐出口よりも前記回転軸に近い位置に配置され、前記吐出口は前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側の位置に配置され、
    前記吸入口、前記吐出口または前記流通路には、前記吸入口、前記吐出口または前記流通路を通過する被撹拌物の流動を発生させる流動部材が設けられ
    前記流動部材は、前記吸入口または吸入口側流通路に設けられ、翼接続部と前記翼接続部に放射状に取り付けられる複数の翼とを有し、
    前記翼接続部は前記回転軸の略延長線上に配置され、
    前記翼の前記吸入口に近い部分が回転方向の前進側に配置されることを特徴とする撹拌用回転体。
  2. 前記翼の前記翼接続部と反対の側で前記吸入口または前記吸入口側流通路に接続されることを特徴とする請求項に記載の撹拌用回転体。
  3. 前記翼接続部を前記回転軸に接続することを特徴とする請求項に記載の撹拌用回転体。
  4. 前記翼の回転方向の前進側に刃部を備えることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の撹拌用回転体。
  5. 前記流動部材は、前記翼接続部が吐出口側流通路にかからないように配置されることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の撹拌用回転体。
  6. さらに、前記吐出口または吐出口側流通路に、前記回転軸に近い部分が回転方向の前進側に配置される面状部材が設けられることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の撹拌用回転体。
  7. 請求項乃至請求項のいずれかに記載の撹拌用回転体を用いたことを特徴とする撹拌装置。
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