JPS6313690Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、スライドフアスナーの両噛合エレ
メント列の末端部に左右のフアスナーストリンガ
ー双方へ跨がつて取付けられ、しかも装飾的機能
をもつた下止具に関するものである。本考案の目
的は、装飾的機能を損なうことなくフアスナーテ
ープに強固に取付けられ、その取付け操作が簡単
になり、更に長期に亘つて強固な取付け状態を維
持し得るスライドフアスナー用下止具を提供する
ことにある。

装飾性をもつスライドフアスナー用下止具は、
一般の下止めに比べてスライドフアスナーの長手
方向に長く且つ巾広くして大きく形成し、表面に
適宜の模様を施こしたものである。この種の下止
具として、例えば実公昭49−37763号公報によつ
て提案されたものが知られている。当該公報の下
止具は、止め金片Ｂと当て金片Ｃとで構成され、
止め金片Ｂを断面コ字状に形成し、フアスナーテ
ープを突き通して裏面へ突出する数片の尖端係止
片を設けたものであり、当て金片Ｃは、前記止め
金片の裏面にフアスナーテープを介して当接する
もので、当て金片Ｃの各尖端係止片を屈曲して当
て金片Ｃに係止して固定するものである。ところ
が、装飾性下止具は前述の如く通常のものより大
きいものであり、これを尖端係止片によつて固定
する場合、その本数を多くするか一本の大きさを
大きくすれば良いが、テープに差し通すためにテ
ープを傷つけその強度を低下する恐れがあり、本
数又は大きさに限度がある。しかし本数が少なか
つたり或いは小さくなるとテープに対する取付け
強度が弱く、しかも尖端係止片は単に屈曲して加
締めたものであるから、その加締めが強すぎる
と、表面の装飾性を損なうこともあり、使用中に
尖端係止片が浮きあがる欠点が多分にあつた。

この考案は以上説明した尖端係止片によらず他
の手段で取付けることができる下止具を工夫し
て、従来の欠点を解決したもので、実用新案登録
請求の範囲に記載した構成を有する下止具におい
て、上下板の両側縁部を加締めて鋸歯状歯をテー
プに喰い込ませて取付けるが、特に下板における
連結柱より左右部を上板に向つて傾斜して、装飾
を施こした上板に支障を来たすことなく強固に取
付けられるものである。

以下、この考案による実施例によつて説明する
と、第１図と第２図に示す如く、縦方向が横方向
より長い上板１と、該板１と同じ大きさの下板２
とが、上下に所定の間隔Ｈをおいて相対向し、長
手方向の基端部中央において連結柱３で互いに一
体に連結してあり、上板１の表面には適宜の意匠
をもつ模様などの装飾が施こしてあつて、該上板
１の両側縁に下板２に向つて垂下するフランジ
４，４を全長に亘つて設けて、上下板１，２の相
対向する両側縁部間の間隔ｈを前記上下板１，２
間の所定の間隔Ｈより狭くし、且つ狭くした両側
縁部の相対向面にそれぞれ鋸歯状歯５，６を設け
たもので、この鋸歯状歯５，６は上下板１，２の
全長に設けても良いが殆んどその必要がなく、少
なくとも連結柱３を設けた基端部より連結柱３の
長さより長い範囲に亘つて設けてあればよい。ま
た、下板２の下面両側部にそれぞれ隆起条より成
る凸部７，７を突設したものである。尚、凸部
７，７は図示してないが隆起条でなく、単独の隆
起体を複数個長手方向に列設しても良く、また、
凸部７，７は下板２の長手方向全長に設けても良
いが、前述の鋸歯状歯５，６の長さとほぼ同じ長
さに亘つて設ける場合もある。上記の下止具は、
第４図図示の如く、テープｔ，ｔの対向する一側
縁上面にエレメント列ｅを取付けたスライドフア
スナーＦに取付けるものである。

第３図に示す下止具は、図示してないがエレメ
ントの上下脚間にテープの対向する一側縁を挟ん
で形成したスライドフアスナーに取付けるもので
あつて、その構成は前述の下止具と殆んど変らな
いが、上板１の上フランジ４，４に加え、下板２
にも上フランジ４，４と相対向する下フランジ
８，８を設け、上下のフランジ４，４・８，８の
相対向面にそれぞれ鋸歯状歯５，６を刻設して、
上下板１，２の両側縁部間の間隔を狭めたもので
ある。

尚、前記各鋸歯状歯５，６は特に第５図によつ
て明示される如く、上下板１，２の長手方向の先
端部（連結柱３側とは反対側）より基端部に向つ
てなびくように形成して、下止具のスライドフア
スナーの挿入を容易化している。

この考案は以上の構造であつて、スライドフア
スナーＦに取付けた状態を第４図から第６図に示
す如く、下止具はスライドフアスナーＦの下端よ
り両テープｔ，ｔに跨がつて差し込まれ、連結柱
３の先端をエレメント列ｅの末端に突き合せた状
態を保つて、プレスのパンチとダイで上下板１，
２を互いに寄り合うように加締めて取付けられ
る。そこで、この様に加締めた際、下板２の加締
力が双方の凸部７，７より加えられるため、下板
２の連結柱３と対応する部分は連結柱３の支えに
よつて加締められないが、その両側部分に加締力
が集中することから、第６図図示のように、該両
側部分が上板１に向つて傾斜した状態に屈折し、
両凸部７，７の下面と下板２の連結柱３と対応す
る部分の下面とが、殆んど同一平面上に位置する
ように変形された時、上下の各鋸歯状歯５，６が
テープｔ，ｔに深く喰い込んで加締められるもの
である。しかし、下板２の連結柱３より外れた前
部は、支えがないため、上板１と下板２が平行に
加締められるものである。尚前記プレスのパンチ
とダイは、それらの相対向面を水平に形成したも
のを使用すれば良い。

以上のように、この考案によるスライドフアス
ナー用下止具は、実用新案登録請求の範囲に記載
した構成により、スライドフアスナーに上下板を
互いに寄り合うように加締めて取付ける際に、下
板がその両側の凸部と連結柱とによつて、下板の
連結柱に対応する部分より左右側部が上板に向つ
て傾斜して加締められるので、単に上下板を平行
に加締めるものと違い、加締め強度が強められる
と同時に、下板は前述の如く傾斜して塑性変形さ
れるので、長期の使用に対して弾性変形すること
なく常に加締めた状態が維持されるものである。
更に、スライドフアスナーに取付ける際、単純な
プレス操作で取付けられ、且つテープに刺し傷を
付けることなく取付けられることから、スライド
フアスナーの強度を低下することなく、しかも上
板に何らの変形を与えないで取付けられるので、
装飾性をもつ下止具として最適の効果を奏するも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるスライドフアスナー用
下止具を上方より見た斜視図、第２図は同じく下
方より見た斜視図、第３図は同じく類例を示す斜
視図、第４図はスライドフアスナーに下止具を取
付けた状態を示す正面図、第５図は第４図−
線矢視の端面図、第６図は第４図−線矢視の
端面図である。 １……上板、２……下板、３……連結柱、４…
…上フランジ、５，６……鋸歯状歯、７……凸
部、８……下フランジ、Ｆ……スライドフアスナ
ー、ｔ……テープ、ｅ……エレメント列。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 上下に所定の間隔Ｈをおいて相対向する上板
   １と下板２とが、それらの長手方向の基端部中
   央において連結柱３によつて互いに一体に連結
   してあると共に、上下板１，２の相対向する両
   側縁部間の間隔ｈが前記上下板１，２間の所定
   の間隔Ｈより狭く形成してあり、該両側縁部の
   上下相対向面に鋸歯状歯５，６を設け、且つ下
   板２の下面における連結柱３と対応する位置の
   両側部に凸部７，７を設けてあることを特徴と
   するスライドフアスナー用下止具。 ２ 前記上下板１，２の両側縁部の間隔が、上板
   １より下板２に向つて垂下するフランジ４で狭
   く形成してある実用新案登録請求の範囲第１項
   記載のスライドフアスナー用下止具。