JPS6313595B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は合成樹脂よりなるスピーカー用振動
板、特にポリエチレン、ポリプロピレン等ポリオ
レフイン系合成樹脂を用いた振動板の改良に関す
る。

従来、スピーカー用振動板の材料としては紙パ
ルプ、又は金属箔等が多用されている。

このような従来の振動板材料はそれぞれ長所及
び短所を有しており必ずしも振動板材料として満
足されているわけではない。

たとえば、紙パルプは密度が小さい反面ヤング
率が小さい為充分なる剛性を有する振動板を得る
ことができない。

又金属箔を成形した振動板は剛性が高い反面、
内部ロスが極めて小さい為に特定の周波数におい
て共振が発生し、これによる再生周波数特性の劣
化が問題となる。

又相方において製造の頬瑣な事も欠点とされて
いる。

又近年になり合成樹脂特にポリプロピレンやポ
リエチレン等のポリオレフイン系合成樹脂よりな
る振動板が現出している。

この種の合成樹脂材は比較的密度が小さい（ρ
＜1.0ｇ／cm²）わりにはヤング率が大きく（すな
わちＥ／ρが大きい）ので剛性の大きい振動板を
形成することができる。

内部ロスが大きいので振動板の共振の鋭度を小
さく抑制することができる。

更に、真空又は圧空成形により簡単にかつ大量
に製品を提供することができる等の利点を有す
る。

しかるに周知のごとく、当該ポリオレフイン系
樹脂は無極性の結晶構造を有するため接着性が極
めて乏しい欠陥を有する。

したがつて、当該ポリオレフイン系樹脂を振動
板に採用するにあたつてはエツジ、及びコイルボ
ビンとの接着強度が問題となり、これを解決する
ため種々の提案がなされている。

たとえば、当該樹脂の表面をコロナ放電やガス
炎又は化学的処理によつて活性化する手段やサン
ドブフストによる粗面処理がある。

これらの処理によつて一応の接着性の改良がみ
られるが、一方コストの面からみると、このよう
な処理手段を付加することは好ましくない。

そこで、この発明ではポリオレフイン系樹脂を
塩素化することにより極性基を有するごとくし、
もつて接着性の改良を行なうとともに、これにと
もなうコストアツプを最小に、かつポリオレフイ
ン系樹脂の有する特性の劣化を最小限にしたもの
であり、以下塩素化ポリエチレンについて更に詳
しく説明する。

塩素化ポリエチレンはポリエチレンを四塩化炭
素、クロロホルム、トリクロルエチレン等の溶液
又は懸濁液とし、60℃以下で塩素化することによ
り、又はポリエチレン紛末を水性懸濁液下塩素ガ
スで塩素化して得られる。

これらをフイルム状に成形することにより塩素
化ポリエチレンの振動板素材が完成される。

これを住来と同様に真空又は圧空成形すること
によつて振動板（コーン形状、ドーム形状等）が
得られる。

このような塩素化ポリエチレンによりなる振動
板は塩素による活性基によつて、接着性が改良さ
れ、他の処理を行うことなくしてエツジやコイル
ボビンとの間に充分なる接着強度を得ることがで
きた。

又当該塩素化ポリエチレン単体のみでなく、こ
れを構成の一部とした複合振動板に適用する場合
には種々の利点を有する。

たとえば、当該塩素化ポリエチレン振動板に剛
性を付与するために、チタン、ベリリウム、マグ
ネシウム、アルミニウム等もしくは、これらの合
金、化合物、及び上記金属の剛性を更に高め得る
ためにボロン層を表面に形成したもの、又は塩素
化ポリエチレンより剛性の高い熱可塑性樹脂、た
とえばポリスチレン、スチレンを主体とした共重
合体、ABS樹脂、PVC、ポリカーボネート、ポ
リブチレンテレフタレート又はこれに炭素繊維、
炭素フレーク、シリコンカーバイド、ガラス繊
維、ガラスフレーク、芳香族ポリアミド繊維を混
入した強化熱可塑性合成樹脂等を積層した振動板
を提供する場合において、当該金属又は熱可塑性
樹脂との間に極めて大なる接着力を得ることがで
きる。

又塩素化が45％程度の塩素化ポリエチレンは常
温において内部ロスが最大となるため、剛性の大
なる振動板の欠点である共振を効果的に抑制する
ことが可能となる。

又、当該塩素化ポリエチレンをポリエチレンに
混合することにより、ポリエチレン単体のものに
比較して接着力を増大せしめることができ、又ポ
リエチレンの物性の損失を最小限にすることがで
きる。又他の塩素化ポリオレフインである塩素化
ポリプロピレンを混入してもよい。

なお以上の説明は塩素化ポリエチレンについて
説明したが同様に塩素化ポリプロピレンについて
も同様の効果が得られる。

以上に説明したごとく、この発明は塩素化した
ポリオレフイン、又は当該塩素化ポリオレフイン
を構成の一部とした複合体よりなる振動板であ
り、他の処理工程を含むことなく接着性を改良す
ることが可能となり、従来と同様に組立を行うこ
とができた。

又複合体においては塩素化ポリオレフインの内
部ロスを効果的に利用でき、再生周波数特性のす
ぐれたスピーカーの提供が可能となつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 塩素化されたポリオレフイン系樹脂、又はこ
   れを構成の一部とする複合体より形成されたこと
   を特徴とするスピーカー用振動板。 ２ 複合体が塩素化されたポリオレフイン系樹脂
   の表面に金属箔を貼着したものであることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載のスピーカー用
   振動板。 ３ 複合体が塩素化されたポリオレフイン系樹脂
   の表面に、これよりヤング率の大きい熱可塑性樹
   脂又は強化熱可塑性樹脂を成層したものであるこ
   とを特徴とする特許請求第１項記載のスピーカー
   用振動板。 ４ 複合体が塩素化されたポリオレフイン系樹脂
   とポリオレフイン系樹脂の混合物であることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載のスピーカー
   用振動板。