JPS6312851Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、上下に折り曲げて重ねた一枚の布
の重合部を縫合するように重合部を上下送り片に
より挾んで布送り方向へ移送しながら縫目を形成
するミシンにおいて、重合部の上下布の送り量を
所定のものにするために上下布間に配置した布案
内装置に関するものである。

従来、たとえば第１図及び第８図に示すように
三つ巻き具を介して三つ折りにした布Ｌの重合部
を上下送り片３，５の間に挾み、その作動により
先方へ移送しながら縫合する場合、各層部の布
l₁，l₂，l₃間の摩擦抵抗等のために上下送り片に
よる送り量が所定のものとならず、上下の布間に
布ズレを生じてイサリ等の原因となつた。

このため、たとえば実開昭52−32451号公報に
見られるもののように、三つ巻き具から上下送り
片の間に舌片を突出させ、上下送り片による所定
の送り量を布に与えるものが知られているが、こ
れによれば、舌片が三つ巻き具に固定されている
ため、舌片を使用しないときや舌片が損傷したと
きには三つ巻き具を舌片がないものに交換した
り、損傷のないものに交換しなければならず、三
つ巻き具を複数箇必要として部品点数を多くしコ
ストを高価にするとともに交換作業のため能率を
低下する等の欠点が生じた。

この考案は、上記従来のものの欠点を除去する
ことを目的とする。

この考案の実施例を図面により説明すると、布
送り方向手前に切欠部１を形成した押え足２は送
り歯３の布送り方向先方部３ａ上方に対向し、常
には弾性力により針板４に圧接され、作業者の押
え上げ操作により弾性力に抗して針板４上方に離
隔可能とする。押え足２の切欠部１に配置する送
り足５は送り歯３の布送り方向後方部３ｂ上方に
対向し、常には弾性力により針板４に圧接される
とともにミシン主軸（図示しない）に連動し布送
り方向へ前後動して布送り作用を行なう。駆動部
（図示しない）に連結した送り足レバー６が押え
足２上端に係合し、押え足２が針板４上方に離隔
する押え上げ時に送り足５は弾性力に抗して押し
上げられ針板４上方へ離隔する。押え足２及び送
り足５の布送り方向手前には布端縁を布送り方向
に沿つて三重に折り重ねる公知の三つ巻き具７が
配置してある。

保持板８をミシンの面板９の下端に固定し、保
持板８に設けた垂直軸１０に保持腕１１を回動可
能に支持する。Ｌ字形の分離板１２を下端に固定
する作用体１３は上端及び中間部に上下方向に沿
う長孔１４，１５を形成し、中間部の長孔１５に
上下方向の弾性力を生じる圧縮巻きばね１６を嵌
入する。両側端を折曲してコ字状とした支持体１
７とその両折曲端に接する支持板１８との間に作
用体１３を上下方向へ摺動可能に嵌入し、作用体
１３の長孔１４を上下方向へ摺動可能に貫通する
ねじ１９が支持体１７のねじ孔２０及び支持板１
８のねじ孔２１に螺合し、作用体１３の長孔１５
に対し上下方向へ摺動可能とし圧縮巻きばね１６
下方に貫通したねじ２２が支持体１７のねじ孔２
３及び支持板１８のねじ孔２４に螺合し、それに
より支持体１７、支持板１８、作用体１３は結合
され、ねじ２５により保持腕１１先端に固定す
る。略Ｕ字形とし両先端を保持板８の孔２６に抜
き差し可能とするようにく字状に外方へ折曲した
板ばね２７を保持腕１１に固定し、嵌合時に弾性
力により保持腕１１を保持板８に係止し、そのと
き作用体１３下端の分離板１２下端は送り歯３の
後方部３ｂと送り足５との間に配置される。

この考案は以上のような構成であり、押え足２
が上昇位置にあるとき、送り足５は針板４上方に
離隔し、このとき作用体１３はねじ２２に下端を
係合する圧縮巻きばね１６により上方への作用力
を受け、支持体１７、支持板１８間を上方へ摺動
して分離板１２下端は針板４上方且つ送り足５下
方へ離隔する中間位置に位置する（第５図）。従
つて三つ巻き具７を介して三つ折りにした布Ｌを
縫合部へ配置するときには押え足２を上昇位置と
し、三つ巻き具７より引き出した布Ｌの下層部l₁
を分離板１２と針板４との間に挿入し、中層部l₂
及び高層部l₃を送り足５と分離板１２との間に挿
入する。このとき分離板１２は送り足５及び針板
４に対し上下に離れているので布Ｌの挿入は容易
である。

縫合作業のために押え足２を針板４上に下げる
と、送り足５は弾性力により下降して布Ｌの中、
高層部l₂，l₃を挾んで分離板１２に圧接して下方
へ押圧し、作用体１３は巻きばね１６をねじ２２
との間で圧縮するように下降し、それにより分離
板１２は下層部l₁を挾んで針板４に圧接される
（第６図）。

分離板１２を使用しないときには、保持腕１１
を板ばね２７が保持板８の孔２６から離脱するよ
うに回動し、分離板１２を送り歯３の後方部３ｂ
上方から側方へ離隔する（第１図）。

以上のようにこの考案によれば、ミシン機枠に
支持した分離板１２をして、押え足２が押え上げ
により針板４上方に離隔しているときには、針板
４より上方に離隔する送り足５の下方に離隔し且
つ針板４上方に離隔して位置し、押え足２が針板
４上に下降するときには、送り足５により下方に
押圧されて針板に圧接するようにしたことによ
り、送り足との間に挾持した分離板上方の布と、
送り歯との間に挾持した分離板下方の布とを上下
送り部材３，５による所定の送り量により移送で
きるので布ずれを防止し、製品の品質を向上する
効果が得られるとともに、分離板を使用しないと
きまたは舌片が損傷したときには分離板をミシン
機枠から取りはずせばよいので、三つ巻き具に設
けた従来のもののように舌片を有しない三つ巻き
具または損傷のない分離板を有する三つ巻き具と
交換する面倒な作業を不要とし且つ部品点数を少
なくしてコストを低減する効果が得られ、また三
つ巻き具以外の巻き具を使用する場合にも利用で
きる。

また、押え上げ時に分離板と針板、送り足間が
離隔するので、送り足と分離板及び分離板と針板
間への布の挿入が容易となり能率を向上する等の
効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例のミシンの斜視図、第２図は
案内装置の分解斜視図、第３図は針落ち部を通る
布送り線上の断面図、第４図は案内装置の平面
図、第５図は押え上げ時の作用体の断面図、第６
図は押え上げ時の作用体の断面図、第７図は保持
腕の係止手段の断面図、第８図は分離板を設けな
いときの縫合部の断面図である。 図において、５は送り足、７は布折り器、８，
１１，１７，１８は支持体、１２は分離板、１３
は作用体である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 下送り歯３上方に対向し常には弾性力により針
   板に圧接しミシン主軸に連動して下送り歯と同期
   し布上面において布送りの四運動をするとともに
   押え足の上昇に連動して針板上方へ離隔して係止
   可能とした送り足５と、 送り足よりも布送り方向手前に配置し布の布送
   り方向先方への移動に伴ない次第に布を布送り方
   向に沿い上下に折り重ねるように案内可能とした
   布折り器７と、 送り足上方のミシン機枠に固定した支持体８，
   １１と、 下送り歯と送り足との間において折り重ねた上
   下布間に対向して針板上面に平行する分離板１２
   を下端に固定し支持体に対し上下動可能に且つ分
   離板を下送り歯と送り足の間に位置する作用位置
   及びそれより離隔する不作用位置とに上端を一固
   定直線を中心に回動可能に支持し常には送り足の
   弾性力よりも弱い上方への弾性力を受ける作用体
   １３と、 支持体と作用体との間に配置し送り足が針板上
   方へ離隔するとき分離板が送り足及び針板から離
   隔する両者間に位置するように作用体を上方への
   弾性力に抗して係止可能とした係止手段１４，１
   ５，１９，２２、 とを備えたミシンの布案内装置。