JPS6312041Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、動力舵取装置の制御弁に関する。

動力舵取装置の制御弁の一つとして、同軸的か
つ相対回転可能に配設されてハウジングに軸支さ
れトーシヨンバーにより連結された第１軸及び第
２軸と、これら両軸と同心的に設けられて両軸間
の回転変位を軸方向変位に変換する変換機構と、
前記両軸に略平行に設けられて軸方向変位により
圧力油の供給流路を切換える四方切換弁たるスプ
ールバルブと、前記変換機構によつて得られた軸
方向変位を前記スプールバルブに伝える伝達手段
とを備えた制御弁がある。この制御弁において
は、スプールバルブが両軸に略平行に設けられて
いて、スプールバルブの外径を小さくすることが
できるため、スプールバルブに形成する溝の加工
精度を高めることなく容易に所望の特性（パワー
ステアリング特性）を得ることが可能であるもの
の、伝達手段の構成いかんによつては、スプール
バルブが不正確に軸方向変位して、上記した特性
が得られないことがある。

本考案は、かかる課題に対処すべくなされたも
ので、以下にその一実施例を図面に基づいて説明
する。第１図は自動車用ラツク・ピニオン式動力
舵取装置の制御弁１００を示しており、制御弁１
００はギヤハウジング１１に液密的に固着したバ
ルブハウジング１２を有している。バルブハウジ
ング１２は、油圧ポンプ（図示せず）に接続され
るインレツトポート１２ａ、公知の油圧シリンダ
（図示せず）の一方の油室に接続されるポート１
２ｂと環状溝１２ｃ、油圧シリンダの他方の油室
に接続されるポート１２ｄと環状溝１２ｅ、及び
リザーバ（図示せず）に接続されるリターンポー
ト１２ｆを有していて、第１軸２０と第２軸３０
を同軸的に軸支している。またバルブハウジング
１２の内部には、両軸２０，３０間の回転変位を
軸方向変位に変換する変換機構４０が両軸２０，
３０と同心的に設けられるとともに、軸方向変位
により圧力油の供給流路（換言すれば、ポート１
２ａ，１２ｂ，１２ｄ，１２ｆ間の連通）を切換
える小径のスプールバルブ５０が両軸２０，３０
に略平行に設けられ、また変換機構４０によつて
得られた軸方向変位をスプールバルブ５０に伝え
る伝達手段６０が設けられている。

第１軸２０は、中空状に形成されていて、中央
部にてニードルベアリング２１を介してバルブハ
ウジング１２に回転自在に軸支され、下端にてニ
ードルベアリング２２を介して第２軸３０の上端
に相対回転可能に接続され、内部に挿通したトー
シヨンバー２３により第２軸３０に連結されてい
る。なお、トーシヨンバー２３は、その上端にて
ピン２４により第１軸２０の上端に結合され、そ
の下端にてピン２５により第２軸３０に結合され
ている。また、第１軸２０の下部外周には、第２
図にて示したように、断面Ｖ字形状の一対の螺旋
溝２０ａ，２０ａ及び軸方向に延びる一対の切欠
２０ｂ，２０ｂが設けられている。なお、第１軸
２０の上部はシール部材２６を通してバルブハウ
ジング１２外に突出していて、ステアリングホイ
ール（図示せず）に接続される。

第２軸３０は、液密的にシールされてギヤハウ
ジング１１内に延出していて、上部にてボールベ
アリング３１を介して両ハウジング１１，１２に
回転自在に軸支され、図示を省略した下端にてボ
ールベアリングを介してギヤハウジング１１に回
転自在に軸支されている。この第２軸３０はピニ
オン３０ａを一体的に有していて、ピニオン３０
ａはギヤハウジング１１内にてステアリングリン
ケージの一部に一体的に形成したラツク１３（油
圧シリンダの作動によつて押動される）と噛合し
ている。また第２軸３０は、その上端に第１軸２
０の各切欠２０ｂ，２０ｂ内に突出する一対の突
出片３０ｂ，３０ｂを有していて、これら各突出
片３０ｂと各切欠２０ｂ間には周方向に所定の間
隙（第１軸２０と第２軸３０の相対回転を許容す
る間隙）が設けられている。

変換機構４０は、第１軸２０の螺旋溝２０ａ，
２０ａに係合する一対のボール４１，４１と、ボ
ール４１，４１を転動可能に保持する筒状ボール
リテーナ４２及びリテーナリング４３と、第２軸
３０の上端に半径方向へ突設した一対のピン４
４，４４とにより構成されている。ボールリテー
ナ４２は低摩擦係数の材料により形成されてい
て、下端に設けた軸方向のスリツト４２ａ，４２
ａ内にはピン４４，４４がそれぞれ嵌入してい
る。この変換機構４０においては、両軸２０，３
０間の回転変位がボールリテーナ４２の軸方向変
位に変換される。なお、第１図において、両軸２
０，３０及び変換機構４０は第２図の−線に
沿つて縦断した面が展開して示されている。

スプールバルブ５０は、下部外周に環状溝５０
ａ，５０ｂ，５０ｃを有していて、バルブハウジ
ング１２に形成した内孔１２ｇ内に軸方向へ摺動
可能に嵌挿されている。このスプールバルブ５０
の上下には防振用スプリング５１，５２が設けら
れ、またスプールバルブ５０の下端には防振用オ
リフイス５０ｄが形成されている。このスプール
バルブ５０においては、第１図図示中立位置にお
いて、常時リターンポート１２ｆに連通している
上方の環状溝５０ａがバルブハウジング１２の環
状溝１２ｃに連通し、常時インレツトポート１２
ａに連通している中央の環状溝５０ｂがバルブハ
ウジング１２の両環状溝１２ｃ，１２ｅに連通
し、常時リターンポート１２ｆに連通している下
方の環状溝５０ｃがバルブハウジング１２の環状
溝１２ｅに連通している。

伝達手段６０は、第１軸２０の外周に同心的に
配置した筒状部材６１と、この筒状部材６１に螺
着したピン６２からなる。筒状部材６１は、その
上下外周にてバルブハウジング１２に軸方向へ摺
動可能に支承されていて、下端外周には変換機構
４０のボールリテーナ４２が軸方向へ移動不能か
つ回動可能（軸方向変位伝達可能）に連結されて
いる。ピン６２は、筒状部材６１の半径方向に延
出していて、その球状先端６２ａにてスプールバ
ルブ５０の軸心を横切つて穿設した貫通孔５０ｅ
内に嵌入してスプールバルブ５０に係合してい
る。このピン６２は、球状先端６２ａがスプール
バルブ５０の略軸心においてスプールバルブ５０
に係合するように、その螺合量を調整された上で
ロツクナツト６３により固定されていて、ピン６
２からスプールバルブ５０に軸方向変位が無理な
く伝わり、スプールバルブ５０を傾斜させること
なく円滑に軸方向へ摺動させることができるよう
になつている。

このように構成した制御弁１００において、第
１軸２０を第２軸３０に対して右（又は左）に回
してトルクを加えると、トーシヨンバー２３がね
じれるとともに、両軸２０，３０間にトルクに応
じた相対回転が生じ、この相対回転に応じてボー
ルリテーナ４２が上方（又は下方）に変位し、こ
の変位が伝達手段６０を介してスプールバルブ５
０に伝わつてスプールバルブ５０が上方（又は下
方）へ変位し、インレツトポート１２ａがポート
１２ｂ（又は１２ｄ）のみと連通するとともに、
ポート１２ｄ（又は１２ｂ）がリターンポート１
２ｆと連通する。したがつて、油圧ポンプからの
圧油がポート１２ｂ（又は１２ｄ）を通して油圧
シリンダの一方の油室（又は他方の油室）に供給
され、油圧シリンダの作動による油圧助勢作用が
得られる。

ところで、この制御弁１００においては、伝達
手段６０が筒状部材６１とピン６２により構成さ
れ、筒状部材６１がバルブハウジング１２に軸方
向へ摺動可能に支承されているため、またピン６
２がその球状先端６２ａにてスプールバルブ５０
に同スプールバルブ５０における略軸心において
係合しているため、上記した作動時において筒状
部材６１が傾斜することなく軸方向に摺動し、ま
たピン６２がスプールバルブ５０を傾斜させるこ
となく軸方向へ摺動させる。したがつて、変換機
構４０によつて適正に変換された軸方向変位がス
プールバルブ５０に正確に伝わつて、所期のパワ
ーステアリング特性を得ることができる。またこ
の制御弁１００においては、筒状部材６１がハウ
ジング１２に支承されているため、作動時及び非
作動時を問わず、仮りに両軸２０，３０が各ベア
リング２１，２２，３１等のガタに起因して傾斜
しても、この傾斜は変換機構４０においてボール
４１，４１と螺旋溝２０ａ，２０ａ間及び／又は
ピン４４，４４とスリツト４２ａ，４２ａ間の傾
斜とされて筒状部材６１に悪影響を与えない。し
たがつて、両軸２０，３０の傾斜によつてスプー
ルバルブ５０が変位するといつた不具合は生じ
ず、安定したパワーステアリング特性が得られ
る。

なお、本考案は上記実施例に限らず、同軸的か
つ相対回転可能に配設されてハウジングに軸支さ
れトーシヨンバーにより連結された第１軸及び第
２軸と、これら両軸と同心的に設けられて両軸間
の回転変位を軸方向変位に変換する変換機構と、
前記両軸に略平行に設けられて軸方向変位により
圧力油の供給流路を切換えるスプールバルブと、
前記変換機構によつて得られた軸方向変位を前記
スプールバルブに伝える伝達手段とを備えてなる
種々の動力舵取装置の制御弁にも適宜変更して実
施し得るものである。

以上要するに、本考案においては、同軸的かつ
相対回転可能に配設されてハウジングに軸支され
トーシヨンバーにより連結された第１軸及び第２
軸と、これら両軸と同心的に設けられて両軸間の
回転変位を軸方向変位に変換する変換機構と、前
記両軸に略平行に設けられて軸方向変位により圧
力油の供給流路を切換えるスプールバルブと、前
記変換機構によつて得られた軸方向変位を前記ス
プールバルブに伝える伝達手段とを備えてなる動
力舵取装置の制御弁において、前記伝達手段を、
前記両軸と同心的に配置されて前記ハウジングに
軸方向へ摺動可能に支承されかつ前記変換機構に
軸方向変位伝達可能に連結された筒状部材と、こ
の筒状部材に半径方向へ位置調整可能に組付けら
れて球状先端にて前記スプールバルブにその軸心
を横切つて穿設した孔内に嵌入して前記スプール
バルブとその略軸心において係合し前記筒状部材
の軸方向変位を前記スプールバルブに伝えるピン
とにより構成したことに特徴がある。これによ
り、本考案においては、変換機構によつて適正に
変換された軸方向変位がスプールバルブに正確に
伝わつて、所期のパワーステアリング特性を得る
ことができるといつた効果や、両軸の傾斜によつ
てスプールバルブが変位するといつた不具合に生
じず、安定したパワーステアリング特性が得られ
るといつた効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す動力舵取装置
の制御弁の縦断面図、第２図は第１図の−線
に沿う横断面図である。 符号の説明、１００……動力舵取装置の制御
弁、１２……バルブハウジング、２０……第１
軸、２３……トーシヨンバー、３０……第２軸、
４０……変換機構、５０……スプールバルブ、６
０……伝達手段、６１……筒状部材、６２……ピ
ン、６２ａ……球状先端、６３……ロツクナツ
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 同軸的かつ相対回転可能に配設されてハウジン
   グに軸支されトーシヨンバーにより連結された第
   １軸及び第２軸と、これら両軸と同心的に設けら
   れて両軸間の回転変位を軸方向変位に変換する変
   換機構と、前記両軸に略平行に設けられて軸方向
   変位により圧力油の供給流路を切換えるスプール
   バルブと、前記変換機構によつて得られた軸方向
   変位を前記スプールバルブに伝える伝達手段とを
   備えてなる動力舵取装置の制御弁において、前記
   伝達手段を、前記両軸と同心的に配置されて前記
   ハウジングに軸方向へ摺動可能に支承されかつ前
   記変換機構に軸方向変位伝達可能に連結された筒
   状部材と、この筒状部材に半径方向へ位置調整可
   能に組付けられて球状先端にて前記スプールバル
   ブにその軸心を横切つて穿設した孔内に嵌入して
   前記スプールバルブとその略軸心において係合し
   前記筒状部材の軸方向変位を前記スプールバルブ
   に伝えるピンとにより構成したことを特徴とする
   動力舵取装置の制御弁。