JPS6311519B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、岩盤、岩石又はコンクリート等の岩
体の静的破砕工法に関し、とくに１本のロツドに
嵌装された複数の筒状弾性体の列をその長さ方向
に圧縮する時に生ずるその半径方向膨張力により
岩体を破砕する工法に関する。 従来技術 従来、岩盤、岩石又はコンクリート等を破壊す
るには、これらに穿つた孔の中に爆薬を挿入し、
これを爆発させて破壊する動的破砕工法が行なわ
れてきたが、環境上の制約から、近年は種々の静
的破砕工法が考案され実施されている。 爆薬を用いない静的破砕工法として、孔の中に
膨張性の薬品を注入するものが知られているが、
この工法には、効果が発現するまでに長時間を要
するほか作業性に劣る欠点がある。また、孔の中
にくさびを打ち込む工法や小型のヂヤツキを挿入
する工法も考案されているが、これらの従来工法
には、低劣な作業性、器具損傷の多発、複雑な器
具の機構などの欠点がある。 さらに、単一の弾性体を岩体に穿つた孔に挿入
し、その弾性体を孔の長さ方向に圧縮した際に生
ずる孔の半径方向の膨張力により岩体を破砕する
工法も知られている。しかし、単一弾性体では、
場合により所要の破砕力を発生するためかなりの
長さが必要になるが、弾性体が長くなるに従つて
膨張力の均一性が失われ、破砕に要する長さ方向
圧縮力が不当に大きくなる欠点があつた。 発明の目的 従つて、本発明の目的は従来技術の上記欠点を
解決した岩体の静的破砕工法を提供するにある。 発明の構成 上記目的を達成するため、本発明による岩体破
砕工法は、岩盤、岩石又はコンクリート等の岩体
に穿つた孔に、複数の硬質ゴムなどの弾性体の列
を挿入し、その弾性体列を孔口及び孔奥から上記
孔の長さ方向に圧縮し孔の周壁方向に膨張させて
孔を押し広げることに依り岩体を破砕するにあ
る。 実施例 発明の一実施例を示す第１図に於て、岩盤、岩
石又はコンクリート等の岩体１に孔２を穿ち、そ
の中に硬質ゴム等からなる複数の弾性体３を一列
に挿入する。好ましくは、弾性体３を第２図に示
す様に円筒状に形成し、その中心軸線に添つて軸
孔３Ａを設ける。岩体の孔２の孔奥には下部加圧
部材４を配置し、ロツド５の下端を下部加圧部材
４に固着する。図示例では、ロツド５に螺着した
ナツトを下部加圧部材４とし、弾性体３の軸孔３
Ａにロツド５を挿入し、ロツド５を孔２の外まで
延ばす。弾性体３の頂面には孔２の孔口から上部
加圧部材６を臨ませる。 上部加圧部材６の頂部にジヤツキベース７を取
付け、ロツド７を上部加圧部材６及びジヤツキベ
ース７を貫通して延在させ、ロツド５の頂部にナ
ツト８を螺着し、ナツト８とジヤツキベース７と
の間に中空ジヤツキ９を作用させる。中空ジヤツ
キ９により下部加圧部材４に矢印Ａで示す上向き
の力を作用させると共に上部加圧部材６に矢印Ｂ
で示す下向きの力を作用させると、複数の弾性体
３は孔２の長さ方向に圧縮され孔２の周壁方向に
膨張する。しかも、個々の弾性体３の長さは比較
的短いので、弾性体３の周壁の撓みは少なく、弾
性体３の周壁方向膨張は周壁全面から有効に岩体
１へ伝達される。この孔２の周壁方向膨張が一定
限度に達すると、岩体１が効果的に破砕される。
こうして本発明の目的である岩体の静的破砕が達
成される。 次に本発明の具体例を第１図及び第３図を参照
して説明する。 例 第１図に示す様に、岩盤からなる岩体１に直径
100mm、深さ1500mmの孔２を穿つた。JIS硬度95の
硬質ウレタンチユーブからなり、第２図に示す様
に、外径95mm、内径36mm、長さ90mmであり両端に
テーパーをつけた弾性体３を用意した。ロツド５
の下端にナツトを螺着して構成した下部加圧部材
４を孔２内に挿入し、弾性体３の軸孔３Ａをロツ
ド５に挿通することにより弾性体３をロツド５を
取付け、必要に応じて隣接する弾性体３の間に座
金１０を間挿した。ロツド５に弾性体３の上方に
中空ラムからなる上部加圧部材６、ジヤツキベー
ス７及び中空ジヤツキ９を一体的に装着し、ロツ
ド５の上部を中空ジヤツキ９に貫通させロツド５
の上端にナツト８を螺着した。こうして、第１図
に示す様に複数の弾性体３を孔２の底部に配置し
た。同図から明らかな様に、ロツド５の下端の底
部加圧部材４は孔２の孔奥に配置され最奥の弾性
体３の底面に係合し、最上端弾性体３の頂面に中
空ラムからなる上部加圧部材６の下端が係合し
た。 中空ジヤツキ９を作動して上端ナツト８とジヤ
ツキベース７との間隔を広げ、ロツド５を介して
下部加圧部材４を引上げると共に上部加圧部材６
を押下げることにより弾性体３を孔２の長さ方向
に圧縮した。その結果、弾性体３は孔２の周壁方
向に膨張し、第１図及び第３図に示す様に岩体１
に亀裂１１が発生し、岩体１が破砕された。孔２
の深さを変えて実験し、それぞれ亀裂１１が発生
した時の圧力を測定した。その結果を第１表に示
す。 以上の実験から明らかな様に、本発明による破
砕工法は能率よく且つ経済的に岩盤、岩石又はコ
ンクリート等の岩体を破砕するものであり、特に
弾性体１個の場合に比して亀裂発生出力を60％以
下に低下させ得ることが実証された。

【表】 発明の効果 本発明によつて得られる効果を列挙すれば次の
通りである。 (1) 比較的小さい圧力で短時間に静的な岩体破砕
の目的を達成することができる。 (2) 器具の構造が簡単であり器具が安価である。 (3) 構造・操作が簡単で作業性がよい。 (4) 作業時の器具損傷が少ない。 (5) 高能率で経済的に実施できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の断面図、第２図は
弾性体の斜視図、第３図は実験結果の説明図であ
る。 １……岩体、２……孔、３……弾性体、３Ａ…
…軸穴、４……下部加圧部材、５……ロツド、６
……上部加圧部材、Ａ，Ｂ……圧縮方向。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下端に下部加圧部材が固着されたロツドにそ
   れぞれ軸孔を有する複数の筒状弾性体を嵌装し、
   前記筒状弾性体の頂部に上部加圧部材を係合さ
   せ、岩体に穿つた孔に前記筒状弾性体を挿入し、
   前記下部加圧部材と前記上部加圧部材とを介して
   前記弾性体へ前記孔の長さ方向の圧縮力を加え、
   前記弾性体を孔の周壁方向に膨張させることによ
   り岩体を破砕してなる岩体の破砕工法。