JPS63111604A - 歪取焼鈍時に鋼板の焼付きのない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は方向性電磁鋼板用の絶縁皮膜処理剤に関し、特
に巻鉄心製造時の成型後歪取り焼鈍の際に表面皮膜の融
着による鋼板同志の焼付きがなく、皮膜密着性のよい絶
縁皮膜を有する電磁鋼板の製造方法に関するものである
。

〈従来の技術〉 一般に電動機、変圧器等の鉄心材料として用いられる方
向性電磁鋼板は所望の巾にスリット後、ゾロブレラシブ
タイプ、トランコマシンタイプ等の巻鉄心成型機によシ
、切断→巻加工→プレス成型が行われ、次いで８００〜
８５０℃で連続炉又は箱型炉中で焼鈍し、加工歪の除去
と磁気特性の向上が図られる。

この際の歪取焼鈍で鋼板の焼付きが生じると、鋼板間の
導通が生じたシ、焼付きによる絶縁皮膜の絶縁性の劣化
や、皮膜張力低下筒によりトランス鉄損の劣化をひき起
す。また焼付がある場合は、歪取焼鈍後のレーシングと
呼ぶ巻線作業時に鋼板同志を剥離するのに多大な労力を
要するため、加工性の面で重大な問題を生ずる。

このため、従来から歪取焼鈍での焼付き防止策として特
に焼付きの生じないコーティング処理剤の開発が望まれ
ていた。

方向性電磁鋼板に用いられる絶縁皮膜としては、一般的
には鉄損と磁歪特性の向上及び絶縁性の向上のため、熱
膨張の小さい化合物を主体とした皮膜が用いられている
。

例えば特公昭５３−２８３７５では鉄損と磁歪の改善の
ためにコロイド状シリカ−リン酸アルミニウム系、特開
昭５０−７９４４２ではコロイド状シリカ−リン酸マグ
ネシウム系皮膜が磁歪改善法として開示されている。

ところが、これらリン酸塩を主成分とするコーティング
剤を塗布焼付した鋼板を巻鉄心製造に使用した場合、巻
加工後のプレス成型時に数１０ｋｌ？／ｃｒｎ２からｌ
　Ｏ０ＩＫ９／ｃｍ２以上にも及ぶ高圧力で成型される
ため、８００〜８５０℃の高温で歪取焼鈍を行う際に焼
付によシ前述の磁性不良や加工性不良のトラブルを引き
起こし易い問題があった。

また、歪取焼鈍中の絶縁皮膜処理剤によるグラス皮膜の
侵蝕による皮膜密着性の低下により、レーシング作業中
での皮膜発紛物の発生による作業環境の問題も改善が望
まれていた。

〈発明が解決しようとする問題点〉 本発明は方向性電磁鋼板の歪取焼鈍時における鋼板の焼
付性と皮膜密着性の有効な改善を与えるのが目的である
。

〈問題を解決するだめの手段〉 本発明者等は、リン酸塩−コロイド状シリカ−クロム化
合物系の絶縁皮膜処理剤において、リン酸塩を構成する
成分条件について検討した結果、特にリン酸塩を製造す
る際の酸化物または水酸化物／Ｈ３ＰＯ４の比が歪取焼
鈍における皮膜の焼付現象と密着性の低下に非常に重要
な影響を及ぼしていることを見出した。

即ち、リン酸として一般的に製造され市販されているも
のとしては、計算上、重リン酸塩と呼んでいるもので、
例えばリン酸アルミニウムの場合、理論式上はＡｔ２０
３＋６Ｈ５ＰＯ４→２ｋｌ（ＨｚＰＯ４）　５　＋　３
Ｈρからなる重リン酸アルミ組成のものでＡｔ２０３／
Ｈ３ＰＯ４のモル比が０，１６組成のものであり、リン
酸Ｍｇの場合、理論式上はＭｇＯ＋２Ｈ３ＰＯ４→Ｍｇ
（Ｈ２ＰＯ４）２＋Ｈ２０からなる重リン酸組成のもの
で、　ＭｇＯ／）Ｉ、ＰＯ４のモル比が０．５０組成の
ものである。ところがこれらリン酸塩は理論式上の化合
物だけでなく、他の構造をもったリン酸塩化合物や、フ
リーのＨ３ＰＯ４等によりて構成されている。またこれ
らリン酸塩は濃度によっても溶液中の構成化合物の安定
性が異なることから安定性のために一般的にはリン酸ア
ルミニウムとしてＹ′１５（ｌ溶液Ａｔ２０３／Ｈ３Ｐ
Ｏ４のモル比０．１６〜０．１７．リン酸マグネシウム
の場合５０チ溶液ＭｇＯ／Ｈ，ＰＯ４のモル比０．４〜
０．５程度のものが市販されている。

本発明者等は、これらリン酸塩を構成する前記モル比に
ついて鋭意検討した結果、コーティング処理剤中のリン
酸塩のモル比をリン酸アルミニウムの場合、Ａｔ２０３
／Ｈ３ＰＯ４のモル比０．１７以上。

二価金属のリン酸塩の場合Ｍ＋＋Ｏ／Ｈ３ＰＯ４のモル
比０．５以上にすることにより、歪取焼鈍時の焼付現象
が著しく改善されると共に皮膜の密着性が劣化しないこ
とを見出すことに成功したものである。

〈発明の構成・作用〉 本発明のコロイド状シリカ−リン酸塩−クロム化合物系
絶縁皮膜処理剤ではモル比をリン酸塩のＭ＋＋＋２０５
／Ｈ３ＰＯ４≧０．１７　、　Ｍ＋＋Ｏ／Ｈ３ＰＯ４≧
０．５とすることにより、従来、一般的に製造されてい
るリン酸塩を使用する場合に比し、巻鉄心を成型、焼鈍
するに際し、焼付がなく、皮膜の密着性に優れ、磁性、
絶縁性とも優れた絶縁皮膜処理剤とする。

次に実験データにもとづき説明する。

重量％でＣ：　０．０７２　、　Ｓｔ　：　３．２８　
、Ｍｎ　：０．０７５゜Ｓ：０．０２６．酸可溶液礒／
＝：　０．０２９　、　Ｎ　：　０．００８０を含む珪
素鋼スラブを公知の方法で熱延→焼鈍→冷延して最終板
厚０．３０ｍ＋とじ、次いで脱炭焼鈍の後、ＭｇＯを主
成分とする焼鈍分離剤を塗布し、１２００℃で２０ｈｒ
の最終仕上焼鈍を行った。

この仕上焼鈍によって鋼板表面には前記焼鈍分離剤と脱
炭焼鈍で形成した５１０２を主成分とする酸化層の反応
によりグラス皮膜（フォルステライト皮膜）が形成され
た。その後、鋼板表面の余剰の焼鈍分離剤を水洗と軽酸
洗で除いて供試材とした。この鋼板に２０％コロイド状
シリカ１００容量部に対し、５０チリン酸アルミニウム
液として■：Ａｔ２０３／Ｈ３Ｐ０４（モル比）＝０．
１６．■：モル比＝０．２０を夫々容量で６０容量部配
合と無水クロム酸を６重量部配合した溶液を焼付後の重
量で６１　／　ｍ　となるように塗布し、８００℃、３
０１う 間連続焼鈍ラインでヒー）　フッ）　＝ング処理と焼付
処理を行った。

これらのコイルからサンプルを切出し、第１図（Ａ）に
示すように積層し、１００　ｋｇ／１ｙｎ２の圧縮力で
締付け？ルト締めした後、８５０℃Ｘ４Ｉｌの焼鈍を行
った。

この焼鈍後の鋼板の焼付状態を第１図（Ｂ）に示す様に
一枚一枚の鋼板の剥離荷重をバネ測りで測定した結果と
焼鈍後の鋼板２０＋ｗφでの曲げ試験結果及び磁性測定
の結果を第１表に示す。

第１表 焼鈍後の剥離荷重はＡｔ２０３／Ｈ５Ｐｏ４のモル比が
０．１６の場合には平均で８０ｇ／ｃｒｎ２であったの
に対し、Ａｔ２０３／Ｈ３Ｐｏ４モル比０．２０の場合
は５１ｉ／ｃｒｎとほとんど焼付きが生ぜず、著しく改
善する傾向が見られた。又、２０ｍφによる曲げ剥離テ
ストでは、Ａｔ２０．／Ｈ３Ｐｏ４モル比０．１６の場
合、やや剥離が生じたのに対し、Ａｔ２ｏ５／Ｈ３Ｐｏ
４モル比０．２０の場合は全く剥離がなかった。

次に磁気特性ＶｉＡｔ２０３／Ｈ３Ｐｏ４モル比０．２
０１７）方は焼鈍での変化は全くなかったのに対しモル
比０．１６の場合は３チ程度鉄損の劣化が見られた。

この様にモル比増加により改善効果が生じる原因として
は、Ｈ３ＰＯ４の相対的減少により、リン酸塩中のフリ
ーのリン酸分が減少することと、不安定なリン酸塩の比
率が減少し、高温での歪取焼鈍中に皮膜成分中から分離
したｐｏ；−等による焼付が減るためと推察される。こ
れにより、皮膜焼付劣化による鉄損の劣化も生じないも
のと考えられる。同様にモル比増加のものはフリーリン
酸等による焼鈍中のグラス皮膜の侵蝕反応が生じないた
め、密着性も改善されるものであろう。

次に本発明で仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板に絶縁皮膜形
成のために塗布する処理剤の組成について述べる。

本発明ではコロイド状シリカを５ｉｏ２として１００重
蓋部に対しＡｌ、　Ｍｇ　、　Ｃａ　、　Ｚｎ　等のリ
ン酸塩の１種又は２種以上を１００〜３００重量部とク
ロム化合物をＣｒ　Ｏｓとして１０〜５０重量部からな
るコーティング処理剤で、この際使用するす７　ＨｔＪ
Ｅ　（７）組成ヲ−Ｅ−ｋ比テＭ査３０．／Ｈ３ＰＯ４
≧０．１７　。

Ｍ＋２０／Ｈ，ＰＯ４≧０．５０となる様に使用するリ
ン酸塩組成と配合比を限定するものである。

これらの限定理由を述べる。

計算上、重リン酸塩として使用するリン酸塩のモル比は
上述の様にリン酸アルミニウムの場合０．１７以上が良
く、Ｍｇ　、　Ｚｎ　、　Ｃａ等の２価金属塩の場合は
０．５０以上が良い。これはこれらのモル比以上で歪覗
焼鈍時の焼付現象等が著しく改善されるためである。好
ましくけ、例えばリン酸アルミニウムの場合は０．１８
以上、リン酸マグネシウムの場合０．５５以上である。

逆にモル比が小さくなればなる程焼付が著しく大となり
、焼鈍後の皮膜剥離も大きくなる。

コロイド状シリカは、皮膜の熱膨張率を小さくし、皮膜
焼付処理時に鋼板に張力を付与し、鉄損を改善するため
と、緻密な皮膜形成能により平滑で絶縁性に優れた皮膜
を形成するのに効果的である。配合比率が前述の範囲外
では皮膜の張力効果が極端に弱くなり、鉄損改善が小さ
くなる。

無水クロム酸或いはクロム酸化合物は皮膜中のリン酸分
との反応により、例えばＣｒ　ＰＯ４等の安定化合物を
形成し皮膜の吸湿性の防止効果がある。

配合比率が重リン酸塩１００〜３００重量部に対し、Ｃ
ｒ　Ｏｓとして１０〜５０重量部でこの効果があるが、
これ以下ではペタツキ防止効果が弱く、これ以上ではＣ
ｒ＋６によるペタツキが、生じて却って良くない現象が
見られる。

この絶縁皮膜処理剤を仕上焼鈍後の鋼板に塗布し、焼付
ける温度は３５０℃以上である。この温度以下でけＣｒ
＋６からＣ，＋３への還元反応の進行が不完全で吸湿性
が生じることから制限される。

次に実施例について述べる。

〈実施例１〉 方向性電磁鋼板（厚み０．３　ｖｍ　）の最終仕上焼鈍
後の同一コイルから互いに隣接して試料を切出し、表面
の焼鈍分離剤を水洗と軽い酸洗によシ除き供試材とした
。このガラス皮膜をも鋼板上にリン酸塩としてリン酸ア
ルミニウムとリン酸マグネシウムのモル比を変えて製造
した液を用いて第２表に示す配合比率で調合した処理液
を鋼板の片面当り５、！ｉ’／ｍで塗布後８００℃で３
ＯＮ間連続炉中で乾燥焼付処理を行った。この鋼板から
サンプルを切出シ、６０ｋｌ？／ｍ２の締付圧力で締付
けた後、デルト締めし８５０℃で４ｈｒの焼鈍を行った
。

焼鈍後の鋼板１枚毎の剥離荷重と２０＋ｍａφ曲げによ
る皮膜密着性の評価結果を第２表に示す。リン酸アルミ
ニウム、リン酸マグネシウムの何れもモル比の高い場合
には焼鈍による焼付がほとんど発生せず皮膜密着性の低
下が見られなかったのに対し、モル比の低す場合は焼付
による剥離荷重が大きく、焼鈍後の皮膜密着性が著しく
低下する傾向が見られた。

以下余白 〈発明の効果〉 この発明は、以上述べたように構成しかつ、作用せしめ
るようにしたから、方向性電磁鋼板から巻鉄心製造時の
成型後に行なわれる歪取焼鈍に際し、焼付が発生せずか
つ皮膜密着性にすぐれた方向性電磁鋼板を得ることがで
き、工業上大きな効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図（（転）は、本発明の電磁鋼板用皮膜形成方法の
実施例におけるサンプルの歪取焼鈍時のサンプルの積層
状態を示す図、 第１図（Ｂ）は、歪取焼鈍終了後、層間の焼付状態を調
査するときの態様を示す図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １、コロイド状シリカをＳｉＯ＿２として１００重量部
   に対し、Ａｌ、Ｍｇ、Ｃａ、Ｚｎの中から選ばれるリン
   酸塩の１種または２種以上を１００〜３００重量部とク
   ロム化合物の１種又は２種以上をＣｒＯ＿３として１０
   〜５０重量部からなる絶縁皮膜処理剤において、前記リ
   ン酸塩のモル比（酸化物モル数／Ｈ＿３ＰＯ＿４モル数
   ）をＡｌの場合０．１７以上、Ｍｇ、Ｃａ、Ｚｎの場合
   ０．５以上とするコーティング処理剤を仕上焼鈍された
   電磁鋼板上に塗布し３５０℃以上で焼付けることを特徴
   とする歪取焼鈍時に鋼板の焼付きのない方向性電磁鋼板
   の絶縁皮膜形成方法。