JPS6311068Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は内容物を収容する本体が外壁体とその中
に取外し可能に嵌装された内壁体とによつて構成
されている二重壁容器に関するものである。

従来、外壁体とその中に嵌装された内壁体とを
結合する手段として両者に雌ねじおよび雄ねじを
形成しねじ込み結合する方式、接着剤によつて結
合する方式などが知られているが、ねじで結合す
る方式は本体が円形でなければならず、或いは非
円形のときは円形のねじ部を設けなければならな
いのできわめて限られた容器にしか適用できな
い。これに対して、接着剤で結合する方式は本体
の形状に関係なく適用できるので、化粧用コンパ
クトの中皿の固定などに利用されている。しかし
ながら、接着剤の種類によつて硬化時間，使用適
量が異なるので工場で組付け製造するにあたつて
管理が面倒であり、また消費者の手に渡つた後に
おいて内容物を消費し新しい内壁体と交換すると
き強固に結合していて取外しが著しく困難乃至不
可能なことがあり、或いは接着力が不充分である
と衝撃などで内壁体が外壁体から剥離する心配が
あつた。

更に、外壁体と内壁体の底に凹凸を対向形成し
それらの嵌合いによつて互いに固定することも考
えられているが、単なる凹凸の嵌合いではそれら
の寸法、形状が正確に一致していないと嵌合い不
可能或いはがたつきが生じ、製造にあたつて高度
の寸法精度を要する。

本案はこれら従来の欠点を除去し、本体の形状
に関係なく外壁体と内壁体とをきわめて容易且つ
安定よく組付け固定することができ、しかも内壁
体の取外し交換が容易な二重壁容器を提供するも
のである。

即ち、本案は本体が外壁体とその凹所の中に嵌
装された内壁体とからなる二重壁容器において、
外壁体の凹所の底部と内壁体の底部とに取付孔と
突子とが対向して形成され、前記突子は複数個の
弾性力を有する係止部片に分割されているととも
に先端外径が前記取付孔の直径よりも大きい形状
とされており、前記突子が前記取付孔に係止部片
を中心方向へ曲げて差込まれることによつて内壁
体が外壁体に固定されている構成としたことを特
徴としている。

以下本案の実施例を図面に就いて説明する。

第１，２図は本案を化粧用コンパクトに実施し
た例を示すものであつて、裏面に鏡１を有する蓋
体２と上面に開放した凹所３を有する外壁体４と
が蝶番５によつて開閉可能に連結され、これらの
蓋体２と外壁体４とは蝶番５と対向する側縁部の
係止部６，７を互いに係合し弾性力で掛止するこ
とによつて閉じ合せられる。

外壁体４は凹所３を囲んだ周壁部８と底部９と
からなり、底部９の四隅角部には適当深さの取付
孔１０が設けられていると共に適宜の場所に突き
出し孔１１が貫通形成されている。

内壁体１２は前記凹所３にほゞ密に嵌装される
ものであつて、周壁部１３と底部１４とからなる
皿状に形成され、底部１４の裏面の四隅角部には
突子１５が突出形成されている。突子１５は第３
図で拡大して示したように短円柱体の先端外側周
縁に突条１６を形成して直径上を通る溝１７によ
り二つの弾力性を有する係止部片１８に分割して
構成されている。

第４図は外壁体４と内壁体１２とが互いに固定
されて化粧用コンパクトの本体を構成している状
態を示すもので、互いの周壁部８，１３を案内と
して内壁体１２を凹所３へ嵌装し、その際に突子
１５の係止部片１８が取付孔１０へ中心方向に曲
げられて差込まれ、係止部片１８の弾性によつて
突条１６が取付孔１０の孔壁に圧接して固定され
ている。尚、突条１６の外径は取付孔１０の直径
よりも大きい。

内壁体１２は突き出し孔１１に細い棒を差込ん
で押すことにより、或いはその周壁部１３の突縁
１９と外壁体４の周壁部８との接触面にナイフ等
を差込んでとじることによつて凹所３から取外す
ことができる。

第５図は取付孔２０を貫通形成して前記実施例
に示されている突き出し孔と兼用させたものであ
つて、突子１５の先端の突条１６は取付孔２０の
段部２１に係合圧接して内壁体１２を外壁体４に
固定している。

第６図は突子３０の異なる実施例を示し、先端
へ向つて次第に厚肉となる円弧形の二個の係止部
片３１を円上間隔を与えて配置して構成され、先
端外径は取付孔３３の直径よりも大きい。

第７図は外壁体４と内壁体１２とが互いに固定
されて本体を構成している状態を示すもので、突
子３０の係止部片３１が取付孔３３の中心方向へ
曲げられて差込まれ、外側周面３２が孔壁に圧接
している。

尚、取付孔を内壁体の底部に設けると共に突子
を外壁体の底部に設けることもあり、且つこれら
は少なくとも各一個設けられるもので、その場所
および個数は任意であり、更に突子は三個以上の
係止部片で構成される場合もある。

また、外壁体と内壁体とは合成樹脂または金属
の内から選ばれた適宜の材料で作られる。

以上のように本案は、外壁体の凹所に嵌装した
内壁体をそれらの底部に形成した取付孔に弾力性
のある複数個の係止部片からなり先端外径が取付
孔直径よりも大きい突子を差込んで孔壁へ圧接す
ることによつて固定したものであるから、取付孔
および突子を高度の寸法精度で形成しなくても係
止部片の弾性力で内壁体を一定の力で安定よく外
壁体の中に保持することが可能となるのである。
そして取付孔は溝肉の外壁体，内壁体にも形成で
きるので化粧用コンパクトのように扁平な容器に
適用できると共に、多角形、円形その他の任意の
形状の容器にもそのまゝ適用でき、しかも接着剤
を用いていないので内壁体の組付けばかりか取外
し交換が容易に行えるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の実施例を示す分解斜視図、第２
図は内壁体の裏面斜視図、第３図は突子の斜視
図、第４図は本体の拡大縦断面部分図、第５図は
本案の異なる実施例の縦断面部分図、第６図は突
子の異なる実施例の斜視図、第７図は本案の更に
異なる実施例の縦断面部分図である。 ３……凹所、４……外壁体、９……底部、１
０，２０，３３……取付孔、１２……内壁体、１
４……底部、１５，３０……突子、１８，３１…
…係止部片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体が外壁体とその凹所の中に嵌装された内壁
   体とからなる二重壁容器において、外壁体の凹所
   の底部と内壁体の底部とに取付孔と突子とが対向
   して形成され、前記突子は複数個の弾性力を有す
   る係止部片に分割されているとともに先端外径が
   前記取付孔の直径よりも大きい形状とされてお
   り、前記突子が前記取付孔に係止部片を中心方向
   へ曲げて差込まれることによつて内壁体が外壁体
   に固定されている二重壁容器。