JPS6310833Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、研削液等の清浄に使用するスラツ
ジ分離用遠心分離機の改良に係り、遠心分離した
スラツジの含水量を著しく減少させた遠心分離機
に関する。

非鉄金属加工機の切削液や、ラツピング加工等
の仕上加工機の研削液、電解研摩・放電加工等の
特殊加工機に使用する液の清浄には遠心分離機が
多用されている。

かかるスラツジ分離用遠心分離機は、従来、上
部は広くて蓋を有し、下部は狭窄して開口した回
転釜を高速回転させる構成からなり、例えば開口
付近よりインペラー等で拡散させ、あるいは上部
より釜内に挿通したパイプを通して汚液を拡散流
入させ、比重の大きいスラツジを回転釜の外周内
壁に堆積させるもので、外周より所定距離の回転
釜の上部位置に穿孔した流出口から、スラツジを
含まない清浄液を分離する構成である。

従つて、スラツジは回転釜外周内壁より所定距
離離れた上記の流出口付近まで堆積するが、当然
この堆積したスラツジ内に液分が含まれるため、、
回転釜に固定用ピンなどを係合させて停止させ、
内蔵するスクレーパ等で釜内壁に堆積したスラツ
ジを掻き落す際に、この液分も同伴してしまい、
分離したスラツジの含水率が高いという問題があ
り、この問題を解決し、ほぼ乾燥したスラツジを
分離できるスラツジ分離用遠心分離機は提案され
ていないのが現状であつた。

この考案は、工作加工機等の研削液よりスラツ
ジをほぼ乾燥した状態で分離除去し、研削液を清
浄化するスラツジ用遠心分離機を目的としてい
る。

すなわち、この考案は、フレームに固着した上
下方向の中空軸と、中空軸内に挿通した回転軸の
下部との各々に相互に逆方向に固定される一方ク
ラツチを介して回転自在に軸支し下部のみ開口し
た回転釜と、軸下端に固着し回転釜内に当接回転
するスクレーパとから構成され、回転釜下部より
流入する汚液を遠心分離し液分を回転釜上部の円
周端より所定距離おいた流出口より流出するスラ
ツジ分離用遠心分離機において、回転釜上部円周
端にバルブシートを介して排出口を設け、回転釜
の回転数に応じて開度を可変となしたバルブを装
着したことを特徴とするスラツジ分離用遠心分離
機である。

排出口は、回転釜上部円周端に設けて回転釜内
壁に滞積するスラツジ中の液分を排出するもの
で、回転釜の回転数に応じて開度を可変となした
バルブ構成とし、バルブシート及びバルブの形
状，形態等は多種のものが利用でき、例えば、電
磁的にまたは油圧，圧空で検知した回転釜の回転
数に応じて、予め設定したバルブ開度とする構成
のもの、あるいは実施例と同様に部材に掛る遠心
力とバネ力を利用して自動的に開度を可変とする
構成のもの等多種のものが利用でき、バルブ形状
及び定常遠心分離作動中のバルブの開度は、回転
数，釜形状寸法，スラツジ種等に応じて、適宜選
定する。

この排出口を設けることにより、釜内壁に滞積
したスラツジ中の液分を分離排出できる。また、
この排出口入口にスラツジ捕捉用フイルターを装
着しても、液分とともにスラツジも僅かである
が、排出されるので、例えば、回転釜始動時の低
速回転中に、上記バルブを大きく開き、流入する
汚液で排出口たるバルブ及びバルブシートを洗浄
し、同液は再度釜流入側へ循環させ、この洗浄後
に釜回転速度を早めるとともに、バルブ開度を小
さくしてゆき、定常回転で所定の開度に保持すれ
ばよい。

以下に、この考案による実施例を図面に基づい
て詳述する。第１図はこの考案による遠心分離機
の縦断正面図、第２図は排水バルブユニツトの詳
細を示す断面図である。

遠心分離機の箱型の本体フレーム２は、設置床
に固定する基台１に一体に固着してあり、本体フ
レーム２の下方の基台１内にはスラツジ受け車９
が配置してある。

本体フレーム２の上面には回転釜や回転軸等を
垂下装着するカバー板３がボルト止めしてあり、
カバー板３には駆動系の減速機ボツクス４が載置
されている。また、減速機ボツクス４の上面には
スクレーパ４２を駆動するためのギヤードモータ
５が載設され、本体フレーム２の側面には回転釜
駆動用の極数変換モータ６が駆動軸を上に装着さ
れている。

カバー板３の内面には中空軸２０がその上部フ
ランジを介して垂下固定してあり、中空軸２０内
には回転軸１１が挿通され、回転軸１１上端はギ
ヤードモータ５の駆動軸に装着したカツプリング
１０に回転自在に軸支され、さらにスリーブ１２
を環装して電磁クラツチ１３が装着され、接続時
にギヤードモータ５の駆動をうける。また、電磁
クラツチ１３の下方にはＶベルトシーブ１４が嵌
着してあり、極数変換モータ６の駆動軸に嵌着し
たＶベルトシーブ１６とにベルト１５を介して回
転駆動する。

回転釜は頭部と中空軸２０周囲壁を形成する上
釜２５と、回転釜の下部開口を形成し外周壁を構
成する下釜２６との２部品構成で、上釜２５は中
空軸２０の上部に上一方クラツチ２１を介し、中
空軸２０の下部にスペーサー２３とナツト２４で
中空軸２０に固定される軸受２２で軸支され、こ
こでは上一方クラツチ２１の外輪が右回りのとき
フリーで、外輪が左回りのとき固定される構成で
ある。また、上釜２５の中空軸２０側の下端はベ
アリング３０の外輪３２に固定され、回転軸１１
の下部に嵌着した内輪３１に装着した下一方クラ
ツチ３３を介してベアリング３０に軸支される。
この下一方クラツチ３３は上一方クラツチ２１と
は逆に、外輪３２が右回りのとき固定され、左回
りのときフリーとなる構成である。

また、上釜２５の頭部には外円周端から所定距
離の位置に、スラツジを分離した清浄液の流出口
２７が複数個開孔してあり、中空軸２０のフラン
ジより上釜２５の上面間に固定インペラー２８が
該フランジに固着され、上釜２５上面突出周縁に
装着するカバーとでラビリンスシールを構成する
インペラーカバー２９を付設し、さらに流出パイ
プ８を接続してある。

次に、回転軸１１の下端には、台円錐型の連結
フランジ４０が固着してあり、連結フランジ４０
の上部は上釜内壁にベアリング４１で軸支され、
外周部には下釜２６の外周内壁に滞積したフラツ
ジを掻き落すためのスクレーパ４２が固着してあ
り、該ベアリング４１の上部にはラビリンスシー
ルを形成するシール部材４３，４４がスクレーパ
４２と上釜２５とに固着してある。

この連結フランジ４０には、下端にインペラー
５４が止着してあり、下部全体を囲うように円錐
ガイド５０が配置されて突出部でボルト止めして
あり、同時に回転する。この円錐ガイド５０は下
部開口にベアリングホルダー５１を介して閉塞さ
れ、ベアリングホルダー５１には、汚液の流入口
５３がベアリング５２で軸支され、本体フレーム
２内底部に配管した汚液の流入パイプ７に固定接
続される。

排水バルブユニツト６０は、上釜２５の外周端
の複数カ所に設けてあり、排出口となるバルブ穴
６１を水平方向に穿孔してあり、釜内との連通口
にフイルター６２が装着され、排出出口側にバル
ブシート６３が嵌着してあり、バルブシート６３
とフイルター６２間のバルブ穴６１に鋼球７４が
転動自在に封入されている。

バルブ穴６１の上方には、バルブフレーム６４
が固着され、バルブフレーム６４の切欠部に皿バ
ネ６７がスペーサー６８を介して挿入され、その
切欠部を通る水平方向の孔にブツシユ６９，７０
を介して摺動自在にガイドピン６５が嵌入され、
また、ガイドピン６５の先端にピン７１でプレー
ト７２が止着され、プレート７２の下端にはバル
ブシート６３の孔部内に挿通して鋼球７４のシー
トへの侵入を調節する調整ボルト７３が螺着して
あり、プレート７２はガイドピン６５を介して、
通常はバネ力でバルブフレーム６４に密着し、回
転釜の回転時に遠心力で皿バネ６７に抗して外出
する。従つて、調整ボルト７３は回転釜の停止時
あるいは低速回転時に、バルブシート６３内に侵
入し、高速回転時に最も侵入が少なくなる構成で
ある。

また、このバルブ穴６１より排出される汚液
は、本体フレーム２内の下釜２６下部に近接させ
て付設した汚液受け８０により回収し、再び汚液
の流入パイプ７側に戻す構成である。

以上の構成からなるこの考案による遠心分離機
の作動を説明すると、まず、電磁クラツチ１３を
切断した状態で、極数変換モータ６を低速で始動
して回転軸１１を右回りさせると、下一方クラツ
チ３３は固定され、上一方クラツチ２１はフリー
となるため、上釜２５は右回転し、また、連結フ
ランジ４０を介してスクレーパ４２及び円錐ガイ
ド５０とインペラー５４も同様に回転する。

上記の低速回転時に、流入口５３より汚液を流
入させると、円錐ガイド５０内でインペラー５４
に拡散されて回転釜内に入つてくるが、排水バル
ブユニツト６０の調整ボルト７３はまだ鋼球７４
を内側へ押して十分に開孔しているため、汚液は
ここより釜外に排出され、バルブ穴６１及びバル
ブシート６３内に先の操業時に付着したスラツジ
等を流出させて清掃する。

ついで、所定時間の清掃終了後に極数変換モー
タ６の回転を上げて所定の高速回転に引上げる
と、排水バルブユニツト６０のガイドピン６５が
遠心力で外出することにより、鋼球７４はバルブ
シート６３内に侵入してゆき、調整ボルト７３は
十分にバルブシートより外出し、鋼球７４がバル
ブシート６３に密着し、ついで通常の遠心分離作
動に入り、下釜２６外周内壁にスラツジが滞積
し、スラツジを分離した清浄液は上釜２５の流出
口２７より流出する。

この清浄液が流出したときは回転釜と同速度で
流出するため、上釜２５の上面部カバーによるラ
ビリンスシールで密閉して配置した固定インペラ
ー２８は、ポンプとして機能して清浄液を送り出
し、例えば、流出パイプ８に接続した工作機まで
比較的近い場合は通常設置する送り出しポンプが
不要となる効果が得られる。

所定時間の遠心分離を終了し、極数変換モータ
６の回転を下げて低速回転に保持すると、排水バ
ルブユニツト６０において、調整ボルト７３がバ
ルブシート６３内に侵入して鋼球７４とバルブシ
ート６３との間に所定の開度を形成する。このと
き、下釜２６内壁に滞積したスラツジ中の液分は
脱水され、排水バルブユニツト６０より排出され
るため、極めて含水率の低いスラツジを回収でき
る。

所定時間の遠心分離及び上記の脱水を終了する
と、極数変換モータ６への通電が遮断され、回転
釜が停止したのち、電磁クラツチ１３が通電され
てギヤードモータ５の回転が回転軸１１に伝達さ
れる。このとき回転軸１１を左回転させると、下
一方クラツチ３３はフリーとなり、上一方クラツ
チ２１が固定されるため、上釜２５，下釜２６は
停止してスクレーパ４２のみ回転し、釜内に滞積
したスラツジを掻き落し、スラツジ受け車９内に
落下させ、回収する。

以上に詳述した如く、この考案による遠心分離
機は、排出バルブユニツト６０をけたことによ
り、従来装置では不可避な釜内滞積スラツジ中の
液分をほとんど分離でき、遠心分離効率を著しく
向上させることができる。また、従来装置では、
釜内のスラツジ掻き落し時に回転釜を停止させる
のにピン等の係合部材を使用していたが、この考
案では一方クラツチ２１，３３を使用して自動化
しているため、操作性にすぐれており、さらに、
清浄液の流出時に、内蔵する固定インペラー２８
によるポンプ動作によつて、送り出しを行ない、
送り出しポンプを不要にするか、あるいは容量の
小さいポンプの設置のみでよい効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による遠心分離機の縦断正面
図、第２図は排水バルブユニツトの詳細を示す断
面図である。 １……基台，２……本体フレーム、３……カバ
ー板、４……減速機ボツクス、５……ギヤードモ
ータ、６……極数変換モータ、７……流入パイ
プ、８……流出パイプ、９……スラツジ受け車、
１１……回転軸、１３……電磁クラツチ、１４，
１６……Ｖベルトシーブ、２０……中空軸、２
１，３３……一方クラツチ、２５……上釜、２６
……下釜、２７……流出口、２８……固定インペ
ラー、４０……連結フランジ、４２……スクレー
パ、５０……円錐ガイド、５３……流入口、５４
……インペラー、６０……排水バルブユニツト、
６１……バルブ穴、６１……フイルター、６３…
…バルブシート、６４……バルブフレーム、６５
……ガイドピン、６７……皿バネ、６８……スペ
ーサー、６９，７０……ブツシユ、７１……ピ
ン、７２……バルブプレート、７３……調整ボル
ト、７４……鋼球、８０……汚液受け。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フレームに固着した上下方向の中空軸と、中空
   軸内に挿通した回転軸の下部との各々に相互に逆
   方向に固定される一方クラツチを介して回転自在
   に軸支し下部のみ開口した回転釜と、軸下端に固
   着し回転釜内に当接回転するスクレーパとから構
   成され、回転釜下部より流入する汚液を遠心分離
   し液分を回転釜上部の円周端より所定距離おいた
   流出口より流出するスラツジ分離用遠心分離機に
   おいて、回転釜上部円周端にバルブシートを介し
   て排出口を設け、回転釜の回転数に応じて開度を
   可変となしたバルブを装着したことを特徴とする
   スラツジ分離用遠心分離機。