JPS6310211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、取鍋を傾動させて金属溶湯を鋳型に
注ぐ鋳造用注湯装置に関するものである。

（従来技術） 一般に、鋳造を行うにおいて、鋳型に金属溶湯
を注ぐ注湯装置（例えば実開昭53−21113号参照）
は、取鍋を傾動用シリンダにて傾動させて取鍋に
収容した金属溶湯をその注ぎ口から鋳型の湯口に
所定量注いだ後、湯切りを行うために取鍋の傾き
を少し戻すものであるが、従来はこの注湯のため
の前方への傾動と湯切りのための戻し傾動とを単
一の傾動用シリンダの伸縮操作にて行つているも
のであるが、手動操作による傾動制御では戻し量
がばらつきサイクルタイムが長くなる問題があ
る。

すなわち、戻し量が少ない時には、注ぎ口から
溶湯が後だれして湯切れが完了するまでに長い時
間を要する一方、戻し量が必要以上に多い時に
は、次の注湯傾動時に多く傾動させる必要があ
り、ロスタイムが大きくなるものである。

しかして、順次注湯を進行するについて取鍋を
傾動する角度が大きくなるものであるが、傾動シ
リンダを一定の長さだけ戻しても取鍋の角度の大
小に応じてその戻る角度が変化するため、取鍋を
一定角度だけ戻して正確に最適湯切り位置にする
には細かい調整を必要とするものである。

（考案の目的） 本考案は上記事情に鑑み、取鍋の角度検出等に
よる制御手段を付設することなく簡単な機構の採
用により、細かい調整なしに確実に湯切りができ
る戻し量が得られるようした鋳造用注湯装置を提
供することを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案の鋳造用注湯装置は、支持台に上下揺動
可能に支持した取付アームに取鍋を保持し、支持
台に上下揺動可能に支持した傾動アームと上記取
付アームの間に、傾動アームに対して取付アーム
を揺動させる戻し用シリンダを配設するととも
に、支持台と傾動アームの間に傾動アームを取付
アームとともに揺動させる傾動用駆動手段を配設
し、注湯のための取鍋の傾動を傾動用駆動手段に
よつて行い、湯切りのための戻しを戻し用シリン
ダによつて行うようにしたことを特徴とするもの
である。

（考案の効果） 取鍋を傾動するための傾動アームと傾動用駆動
手段の他に、取付アームと戻し用シリンダを設け
て、注湯後湯切りを行うときには、この戻し用シ
リンダのみの作動により所定角度戻すようにした
ことにより、細かい調整なしに戻し量を一定角度
として湯切りが確実にでき、戻し量の過不足によ
る無駄時間を減少してサイクルタイムの短縮化を
図ることがで処理能率を向上することができると
ともに、注湯操作が簡略化して作業性の改善が行
える。

（実施例） 以下、図面により本考案の実施例を説明する。

注湯装置１の全体を示す第１図において、２は
キユポラ等によつて上方から供給された金属溶湯
を収容する取鍋、３は取鍋２の両側の床等に立設
された略Ｌ字形の支持台を示している。

上記支持台３の上端の支点３ａには、取付アー
ム４および傾動アーム５の一端が枢着されてそれ
ぞれ上下移動可能に支持され、取付アーム４の上
部に形成された凹部４ａに取鍋２の両側に突設さ
れた支持ピン２ａ，２ａが係合して、この取付ア
ーム４上に取鍋２が脱着自在に保持されている。

また、取付アーム４と傾動アーム５の間には戻
し用シリンダ６が配設され、傾動アーム５と支持
台３の間には傾動用駆動手段としての傾動用シリ
ンダ７が配設され、戻し用シリンダ６の伸縮作動
により傾動アーム５に対して取付アーム４が揺動
し、傾動用シリンダ７の伸縮作動により傾動アー
ム５が取付アーム４とともに揺動し、取付アーム
４の傾動に応じて取鍋２が傾いてその注ぎ口２ｂ
から金属溶湯を鋳型８に注ぐものである。

上記戻し用シリンダ６および傾動用シリンダ７
には第２図に示す如き油圧回路が接続されてい
る。戻し用シリンダ６および傾動用シリンダ７の
前室６ａ，７ａもしくは後室６ｂ，７ｂを圧力源
１１もしくはオイルリザーバ１２に接続して伸縮
動作の切換制御を行う制御弁１０は、４ポート３
位置切換弁で中立位置１０ＢはABR接続形式に
設けられ、この制御弁１０と傾動用シリンダ７の
後室７ｂとの間の油路にはシーケンス弁１３とパ
イロツトチエツク弁１４が直列介装されるととも
に、シーケンス弁１３と並列にチエツク弁１５が
設けられている。

上記制御弁１０が伸長位置１０Ａにあるときに
は、戻し用シリンダ６および傾動用シリンダ７の
後室６ｂ，７ｂには圧油が供給されて両者は伸長
作動する。その際、シーケンス弁１３はパイロツ
ト圧が上昇することにより開動作し、パイロツト
チエツク弁１４を順方向に通つて傾動用シリンダ
７に圧油が供給される。

制御弁１０が中立位置１０Ｂにあるときには、
戻し用シリンダ６は前後室６ａ，６ｂともオイル
リザーバ１２に接続されて短縮する一方、傾動用
シリンダ７の後室７ｂは不作動状態にあるパイロ
ツトチエツク弁１４により作動油の流出が阻止さ
れて停止状態にある。

また、制御弁１０が短縮位置１０Ｃにあるとき
には、戻し用シリンダ６および傾動用シリンダ７
の前室６ａ，７ａに圧油が供給されて両者は短縮
作動する。その際、傾動用シリンダ７の後室７ｂ
はパイロツトチエツク弁１４がパイロツト圧の上
昇で逆方向の流通を開くことにより、オイルリザ
ーバ１２に開放されて短縮作動する。

次に上記実施例の作用を説明すれば、第１図の
作動前の状態で取鍋２に金属溶湯を受け、鋳型８
が所定位置に来たときに、制御弁１０を伸長位置
１０Ａに操作すると、戻し用シリンダ６が伸長動
作し、取付アーム４は傾動アーム５に対して離れ
る方向に回動する。戻し用シリンダ６がストロー
クエンドに達した後、回路圧が上昇するとシーケ
ンス弁１３が開いて傾動用シリンダ７が伸長動作
する。この傾動用シリンダ７により傾動アーム５
は上方に回動して戻し用シリンダ６を介して取付
アーム４を取鍋２と共に傾動させる。

取鍋２の傾動により溶湯が注ぎ口２ｂから鋳型
８に所定量注湯されたときには、制御弁１０を中
立位置１０Ｂに操作し、傾動用シリンダ７を停止
状態にする一方、戻し用シリンダ６を短縮して取
付アーム４は傾動アーム５に近付くように戻る方
向に回動し、湯切りを行う。この戻し角度は戻し
用シリンダ６のストロークに対応した取付アーム
４の一定の揺動角度である。湯切り後、鋳型８を
交換して、次の鋳型８が所定位置に来たときに上
記と同様の操作を繰返す。

注湯が終了したときもしくは溶湯を補給すると
きには、制御弁１０を短縮位置１０Ｃに操作する
と、戻し用シリンダ６および傾動用シリンダ７の
短縮動作により取付アーム４および傾動アーム５
は復帰回動して第１図の状態に戻るものである。

上記実施例によれば、戻し用シリンダ６を別に
設けたことにより、このストローク分だけの戻り
量を得て、細かい調整なしに湯切りを容易確実に
行うことができる。また、上記油圧回路によれ
ば、戻し用シリンダ６のための特別の操作を必要
とせず、傾動および戻しの動作を単一の制御弁１
０のみの操作で行うことができるものである。

なお、上記油圧回路の構成は、基本的には傾動
用シリンダ７は取鍋２を傾動するときに順次伸長
動作する一方、戻し用シリンダ６は取鍋２を傾動
するときには伸長し、注湯後に短縮動作するよう
に両者を連係作動させるべく構成すればよく、上
記実施例の回路構成のほか種々設計変更可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す鋳造用注湯装
置の側面図、第２図は油圧回路図、第３図は作動
状態を示す鋳造用注湯装置の側面図である。 １……注湯装置、２……取鍋、３……支持台、
４……取付アーム、５……傾動アーム、６……戻
し用シリンダ、７……傾動用シリンダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属溶湯を収容する取鍋と、支持台に上下揺動
   可能に支持され上記取鍋を保持する取付アーム
   と、支持台に上下揺動可能に支持された傾動アー
   ムと、取付アームと傾動アームの間に配設され傾
   動アームに対して取付アームを揺動させる戻し用
   シリンダと、支持台と傾動アームの間に配設され
   傾動アームを取付アームとともに揺動させる傾動
   用駆動手段とを備えたことを特徴とする鋳造用注
   湯装置。