JPH0418938B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、自動給湯装置を使用したダイカスト
機への給湯法に関する。

（従来の技術とその問題点） 従来、自動給湯装置によりダイカスト機へ溶湯
を給湯する場合、保持炉から溶湯汲み上げたラド
ルはダイカスト機の給湯位置迄移動する際内部溶
湯が零れないようにほぼ水平状態に保持され、そ
のままの姿勢で給湯指令を待つているので、給湯
指令が出てから給湯を開始する迄に相当時間が掛
り、鋳造サイクルを長びかせる一要因となつてい
た。

そこで、この様な不都合を解決する給湯法とし
て保持炉から溶湯を汲み上げたラドルをダイカス
ト機の給湯位置迄移動こせるその移動中に順次傾
斜させて行き、それによつて、給湯指令が出てか
ら給湯を開始する迄の時間の短縮化を図る様にし
たものが提案された（実開昭50−121013号公報、
実開昭50−121014号公報参照）。

しかし乍ら、上記した従来法の様に溶湯を汲み
上げたラドルをその移動中に傾斜させることは移
動動作に起因して生じる振動に加えて自分自身の
傾斜動作に起因して生じる振動が加わることにな
り、内部溶湯が乱れて零れ易くなる。又、従来法
の様に内部溶湯が零れない程度まで傾斜させたま
まラドルをダイカスト機の給湯位置まで移動させ
ると、給湯位置に到達して停止するその停止時の
慣性により内部溶湯が押し出されてその一部が給
湯位置（射出スリーブ）の回りに零れる大きな要
因になるばかりか、射出スリーブ内に入り込んだ
溶湯の一部が固化してしまつて射出時に金型キヤ
ビテイ内に入り、それが成形品中に溶け合わない
状態で混在して内部欠陥による強度の低下を招く
ことになつたり、最悪の場合は金型湯道やゲート
部が塞がれてしまつて射出不能といつた非常事態
を引き起す危険があつた。

しかも、上記従来法では、保持炉から溶湯を汲
み上げたラドルをダイカスト機の給湯位置迄移動
させる過程で順次傾斜させるための複雑な給湯機
構を備えた独自の給湯装置を必要とするものであ
り、新たな装置への交換、設置を余儀無くされる
ものであつた。

（発明が解決しようとする課題） 本発明はこの様な従来法の有する問題に鑑みて
なされたものであり、その解決しようとする技術
的課題は、新規な給湯装置を格別必要とすること
なく給湯動作における給湯時間の短縮化を図るこ
とにある。

（技術的課題を達成するための手段） 上記課題を達成するために本発明が講じる技術
的手段は、保持炉から溶湯を汲み上げたラドルを
該保持炉上において水平状態に保持し、その水平
姿勢のままダイカスト機の給湯位置迄水平に移動
させた後、該給湯位置において給湯指令が出る迄
の間にラドルを溶湯が零れない限度まで傾斜させ
て待機させる様にしたことを特徴とする。

（実施例） 以下、本発明実施の一例を説明すれば、第１図
は本発明給湯法を実施する自動給湯装置の一例を
示し、この給湯装置はラドル回転用駆動軸１に一
端部が枢着された上部アーム２及び連結アーム３
と、一端部が上部アーム２の他端部に枢着連結さ
れ他端部（先端部）には保温炉Ｂの溶湯Ｃを汲み
上げるラドルＡを枢着具備するラドル支持アーム
４と、このラドル支持アーム４の一端部近傍の途
中部位から前記連結アーム３の他端部に亘り夫々
枢着連結されて両アーム３，４を連結する下部ア
ーム５と、一端部がアーム移動用駆動軸６に固着
され他端部が下部アーム５の前記連結アーム３と
の枢着部近傍の途中部位に枢着連結された駆動ア
ーム７とから四辺形リンク機構に構成され、アー
ム移動用駆動軸６に連結する不図示のアーム移動
用モーターの正逆回転動作（時計方向と反時計方
向の回転）に伴う駆動アーム７の前記駆動軸６を
支点とする回転移動によつてリンク機構が変位
し、その変位状態に追従して移動するラドル支持
アーム４の保持炉Ｂ上における上下移動並びに保
持炉Ｂ上からダイカスト機Ｄの給湯位置、図示例
の場合射出スリーブＥの給湯口Ｆ上へ、この給湯
口Ｆ上から保持炉Ｂ上へと往復スイング移動する
様に構成されている。尚、保持炉Ｂ上におけるア
ーム移動用モーターの正転動作（時計方向の回
転）に伴うラドル支持アーム４の下降移動限は、
アーム４の先端より突出（垂下）させた状態で該
先端部に止着装備されている湯面検知器（電極棒
など）１０が保持炉Ｂ内溶湯Ｃの湯面に接触する
ことによつて出力される信号（制動信号）による
アーム移動用モーターの停止によりラドル支持ア
ーム４の下降移動限、換言すれば保持炉Ｂ内溶湯
Ｃの湯面に接触した時にON動作する湯面検知器
１０からアーム移動用モーターに信号が出力さ
れ、アーム移動用モーターが停止することによつ
てラドル支持アーム４のその下降移動限が制動さ
れる。それによつて、ラドルＡは保持炉Ｂ内溶湯
Ｃ中に没入浸漬した状態となり、ラドルＡ内に溶
湯Ｃを汲み取る様になつている。一方、ラドル回
動用駆動軸１、上部アーム２とラドル支持アーム
４との連結軸８及びラドルＡを固着支持する回動
軸９には不図示のスプロケツトが夫々配設されて
おり、ラドル回転用駆動軸１と連結軸８、この連
結軸８と回動軸９との各スプロケツト間に亘つて
不図示のチエーンを架け渡すことによつてラドル
回転用駆動軸１と回動軸９とを連繋せしめ、ラド
ル回転用駆動軸１に連結されている不図示のラド
ル回転用モーターの正逆回転動作（時計方向と反
時計方向の回転）に伴う回動軸９の回転によつて
ラドルＡを第２図に示す如く、保持炉Ｂ内から溶
湯Ｃを汲み上げる傾斜姿勢（→′）、汲み上げ
た溶湯Ｃを保持炉Ｂ上からダイカスト機Ｄの射出
スリーブＥの給湯口Ｆ上まで移送する水平姿勢
（→→）、給湯口Ｆ上において水平姿勢から
溶湯Ｃを該給湯口Ｆから射出スリーブＥ内に注湯
する傾斜姿勢（→）に回動変位するこれらの
給湯動作をダイカスト機Ｄの鋳造サイクルに連繋
して繰り返す、即ち ダイカスト機Ｄの制御部に記憶されている給湯プ
ログラムに基づて繰り返す様に構成されている。

そこで、本発明給湯法では、溶湯Ｃを汲み上げ
たラドルＡを保持炉Ｂ上からダイカスト機Ｄの射
出スリーブＥの給湯口Ｆ上まで水平姿勢で移動さ
せた後（→→）、該給湯口Ｆ上において給
湯指令が出る迄の間に、ダイカスト機Ｄの制御部
を構成するシーケンス回路のタイマー制御所謂シ
ーケンス制御によりラドルＡを前記水平姿勢から
内部溶湯Ｃが零れない限度まで給湯口Ｆ方向へ回
動変位させた傾斜姿勢（給湯待機姿勢）で待機さ
せる様にしたものである（→）。

次に、本発明給湯法についてそれを実施する好
適的な制御具体例を上述した自動給湯装置の周知
給湯動作との関係において説明すると、以下の通
りである。

第３図ａは上述したラドルＡの各回動変位姿勢
（回動角度）を検知制御するLS１，LS２，LS３
を夫々配設して示すラドルの回動制御概略図であ
り、第３図ｂはラドル支持アーム４の上下移動並
びにスイング移動位置を検知制御するLS４，LS
５を夫々配設して示すアームの移動制御概略図で
あり、ここで、LS１はラドルＡが保持炉Ｂ内か
ら溶湯Ｃを汲み上げる傾斜姿勢（→′）にな
つた時にON動作、LS２は溶湯Ｃを汲み上げたラ
ドルＡが保持炉Ｂ上からダイカスト機Ｄの射出ス
リーブＥの給湯口Ｆ上まで移動する水平姿勢（
→→）になつた時にON動作、LS３は給湯口
Ｆ上においてラドルＡが溶湯Ｃを該給湯口Ｆから
射出スリーブＥ内に注湯する傾斜姿勢（）にな
つた時にON動作する様に夫々設定され、ラドル
回転用モーター又はラドル回転用駆動軸１の回転
に連繋させてその回転部位に配設されており、
LS４はラドル支持アーム４が保持炉Ｂ上におい
て上昇及び降下移動するその移動途中まで上昇及
び降下（第２図のラドル位置ａ）した時にON動
作、LS５はラドル支持アーム４が保持炉Ｂ上か
らその前進移動限までスイング移動（第１図のラ
ドル位置ｂ）した時にON動作する様に夫々設定
され、アーム移動用モーター又はアーム移動用駆
動軸６の回転と連繋させてその回転部位に配設さ
れている。

そして、以上の如く構成されている周知の給湯
制御系との関係において示した第４図の動作線図
及び第５図のフローチヤートによる本発明給湯法
の制御は、ラドルＡが第２図の位置ａから位置ｂ
まで水平姿勢のまま移動されて（→→）
LS５がONになると、LS５から出力される信号
によりタイマーがスタートすると同時にラドル回
転用モーターが逆転動作（反時計方向の回転）す
る機構に且つタイマーがスタートして一定時間経
過した後にタイマーがON（タイムアツプ）にな
るとラドル回転用モーターが停止する機構にシー
ケンス回路のタイマープログラムを新たに変更加
えることによつて、LS５から信号が出力されて
シーケンス回路のタイマーがスタートすると同時
にラドル回転用モーターを逆転動作させると共
に、予め設定された一定時間（ｎ秒）後にタイマ
ーがONになるまでラドル回転用モーターを逆転
動作させてラドルＡを水平姿勢から傾斜姿勢（給
湯待機姿勢）まで回動変位させ（→）、タイ
マーがONになると同時にラドル回転用モーター
を停止させて給湯指令が出るまでその傾斜姿勢で
待機させる（）。

而して、第４図に示す動作線図及び第５図に示
すフローチヤートに基づけば、給湯スタート指令
（ON）が入ると、アーム移動用モーターの逆転
動作に伴うアーム移動用駆動軸６を支点とする駆
動アーム７の回転移動によつてリンク機構が変位
し、その変位状態に追従するラドル支持アーム４
の上昇移動により保持炉Ｂ内溶湯Ｃ中に没入浸漬
しているラドルＡは傾斜姿勢のまま該溶湯Ｃ中か
ら取り出される（→′）。溶湯Ｃを汲み上げた
ラドルＡがラドル支持アーム４の上昇移動により
第２図の位置ａまで移動されLS４がONになる
と、LS４からアーム移動用モーター及びラドル
回転用モーターに信号が出力され、アーム移動用
モータが停止してラドル支持アーム４の上昇移動
が位置ａにおいて一旦停止し、アーム移動用モー
ター停止と略同時ラドル回転用モーターの逆転動
作がスタートし、該逆転動作に伴うラドル回転用
駆動軸１に連結する回転軸９の回転によつてラド
ルＡが水平姿勢になるまで回動変位する（′→
）。ラドルＡが水平姿勢（）になつてLS２が
ONになると、LS２からラドル回転用モーター及
びアーム移動用モーターに信号が出力され、ラド
ル回転用モーターが停止すると共に該モーター停
止と略同時にアーム移動用モーターの逆転動作が
スタートし、該逆転動作に伴う上述したリンク機
構の変位状態に追従するラドル支持アーム４の上
昇移動並びにその前進移動限までのスイング移動
によりラドルＡから第２図の位置ａから位置ｂま
で水平姿勢のまま移動される（→→）。ラ
ドルＡがドル支持アーム４のスイング移動により
第２図の位置ｂまで水平姿勢（→→）のま
ま移動されLS５がONになると、LS５からアー
ム移動用モーター及びラドル回転用モーター更に
はこのラドル回転用モーターの逆転動作が同時に
スタートする様にタイマープログラムを新たに加
えておいたシーケンス回路のタイマーに信号が出
力され、アーム移動用モーターが停止すると共に
シーケンス回路のタイマーがスタートしそれと同
時にラドル回転用モーターの逆転動作がスタート
する。すると、ラドルＡは予め設定された一定時
間内におけるラドル回転用モーターの逆転動作に
より直ちに水平姿勢から給湯口Ｆ方向へ回動変位
せしめると共に一定時間が経過したあとタイマー
がONになり、ラドル回転用モーターが停止する
ことによつて給湯指令が出るの待機する内部溶湯
が零れない限度の傾斜姿勢となる（→）。そ
して、指令が出るとラドルＡはラドル回転用モー
ターの逆転動作により更に射出スリーブＥの給湯
口Ｆ方向へ回動変位せしめて直ちに内部溶湯を射
出スリーブＥ内に注湯する（→）。以後は従
来と同様の給湯動作によつてラドルＡは第２図の
位置ａに移動戻され後（→→）、再び保持
炉Ｂ内溶湯Ｃ中に没入浸漬され（′→）、次の
給湯スターマに備える。

（作用効果） 本発明の給湯法は叙常の如植構成してなるか
ら、以下の作用効果を奏する。

傾斜姿勢で溶湯を汲み上げたラドルを保持炉上
において水平状態に保持し、その水平姿勢のまま
ダイカスト機の給湯位置迄水平移動させて停止さ
せるまで従来の給湯装置による給湯動作と何ら変
わることなく、ラドルの移動中及び給湯位置への
停止時に溶湯を零すことなく作動し得、そのラド
ルの停止後に給湯指令が出るまでの時間を利用し
て、給湯位置において溶湯が零れない限度までラ
ドルを傾斜させた状態にして待機させるだけであ
るので、従来の給湯装置に若干の電気的操作を加
えるだけの変更で実施することができる。

従つて、従来同様溶湯を零す虞れのない最適な
姿勢でラドルを動作させ得るのは勿論、複雑な給
湯機構を備えた独自の新規な給湯装置に交換する
等の大幅な変更作業の必要がなく、簡便且つ安価
な方法にて給湯動作にける給湯時間の短縮化を図
り得て、給湯能率を向上させて鋳造サイクルのア
ツプを図り得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明給湯法を実施する自動給湯装置
の一例を示した正面図である。第２は本発明給湯
法に係る各過程におけるラドルの状態（姿勢）を
現した模式図である。第３図ａはLS１，LS２，
LS３を夫々配設して示すラドルの回動制御概略
図である。第３図ｂはラドル支持アームの上下移
動並びにスイング移動位置を検知制御するLS４，
LS５を夫々配設して示すアームの移動制御概略
図である。第４図は本発明給湯法に係る動作線図
である。第５図は本発明給湯法に係るフローチヤ
ートである。 図中、Ａはラドル、Ｂは保温炉、Ｃは溶湯、Ｄ
はダイカスト機、Ｅは射出スリーブ、Ｆは給湯
口、である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 保持炉から溶湯を汲み上げたラドルを該保持
   炉上において水平状態に保持し、その水平姿勢の
   ままダイカスト機の給湯位置迄水平に移動させた
   後、該給湯位置において給湯指令が出る迄の間に
   ラドルを溶湯が零れない限度まで傾斜させて待機
   させる様にしたことを特徴とするダイカスト機へ
   の給湯法。