JPS629829B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、砕氷の如き小氷を堆積して貯蔵する
と共に、先入れの古い方の小氷を先行して取り出
すことが可能な氷貯蔵装置に関する。

（従来の技術） 砕氷，板厚が３〜10mm程度のプレートアイス，
板厚３mm以下のスライスアイス等の氷（それ等を
総称して小氷という）は鮮魚の保冷などの目的で
多量に使用されるものであり、一般に貯氷庫に相
当量貯蔵しておいて、必要なときに適当量を随時
取り出して使用している。

この小氷は堆積し貯蔵している間に表層が一た
ん溶けた後、２次氷となつて一体化し易く、大き
い氷塊となつて小氷の形で取り出すのが容易でな
いし、２次氷となつて再結氷することにより、庫
内壁間にブリツジ状となつて停滞し、下方から連
続的に取り出すのが難かしいものである。

従来の氷貯蔵装置は、断熱容器内に上部から砕
氷を供給して貯溜し、レーク装置と称する氷かき
取り装置で上部から砕氷をかき取つて排出する構
造の装置が殆どであつた。

（発明が解決しようとする問題点） 上述する従来装置は上部から供給し、上部から
取り出す方式のものであるから、貯蔵された氷を
定期的に全量排出する操作を行わない限り、底部
の砕氷が何時までも残つて２次氷結化し、数ケ月
をそのまま経過しようものなら、遂にはアイスバ
ーン状となつて、レーク装置では排出が不可能と
なる欠点があつた。

このような点から、本発明者等は、上部から供
給した砕氷を、上部からでなく下部から排出する
ことによつて上記の問題点を解決しようと試みた
のであるが、ハウジング（容器）内の砕氷が、互
いに結合してブリツジ現象を起生し、しかも氷特
有の小氷どうしが固着するという物性のためによ
り強力な結合状態を呈して、下から排出しても空
洞が発生して上方部の砕氷が落下しなくなり、連
続的な氷取り出しが行なえないことを認識したの
である。

そこで本発明は従来装置の欠陥を根本的に解消
し得ると共に、ブリツジ現象による氷取り出しの
困難な点を克服することが可能な親規にして機械
化に好適な氷貯蔵装置を発明するに至つたもので
あつて、氷の掻きとり及び収集が可能なスクリユ
ーコンベアと、収集された小氷を一個所に取り出
し得る氷取り出し部とをハウジング底部に設ける
構成を特徴とし、もつてアイスバーンを解消し得
る氷貯蔵ならびに小氷の円滑な搬出を小動力の下
で果させることを本発明は主な目的とする。

（問題点を解決するための手段） しかして本発明は実施例を示す図面によつても
明らかなように、氷貯蔵装置をハウジング，スク
リユーコンベア，氷取り出し部，前後駆動手段及
び軸回転駆動手段の五要素により構成したもので
あつて、ハウジングは小氷供給口を上部に開口す
る一方、相対向する辺が平行かつ水平の方向に延
長した直方形状の底面を備えていて、小氷供給口
から供給した小氷を内部に堆積貯溜し得る構造で
ある。

スクリユーコンベアは、両端部から互いに逆の
送りピツチのフインが周設されてなる複数本の回
転軸を前記ハウジングの底部に、互いに平行をな
す水平方向かつ前記底面の対向する２辺と平行に
延長せしめると共に、全体が軸直角方向の往復動
可能に設けられている。

氷取り出し部はハウジングの底面にスクリユー
コンベアの回転軸と直交する方向に延び、かつ上
方に向けて開口させて設けており、前記スクリユ
ーコンベアによつて掻き集められた小氷を順次受
け容れることが可能である。

一方、前後駆動手段及び軸回転駆動手段はスク
リユーコンベアに関連させて設けてなり、前者の
駆動手段は、スクリユーコンベア全体を回転軸と
直角の方向に往復動させるものであり、また、後
者の駆動手段はスクリユーコンベアの回転軸をフ
インの送りピツチが中央に向くよう回転せしめる
ためのものである。

以上述べた各手段を要件とする本発明におい
て、氷取り出し部が収集機能を持つスクリユーコ
ンベアを備えた構成とすることは所定個所に集中
して小氷を連続的に、しかも、円滑に排出し得る
点で好ましく、さらに、ハウジングが下方に向け
て内法水平断面積が漸増する周面を有する構成と
したことは、ハウジングが鉛直方向に深い場合、
堆積している小氷群をスクリユーコンベアの掻き
取りに見合わせて、ハウジング底面に向け安定的
に落下させ得る点で好ましい態様である。

（作 用） 本発明はスクリユーコンベアを前後駆動手段及
び軸回転駆動手段を付勢することにより、前後の
水平移動及び掻き取りのための回転を行わせて、
小氷を下層から順に掻き取つて氷取り出し部に搬
出できる。

しかもスクリユーコンベアはハウジングの内部
で先に供給されている古い方の小氷から順に掻き
取り、隅，縁の小氷まで残さず２次元的に収集し
て氷取り出し部に送らせることが可能であり、こ
の場合の両駆動手段の動力はハウジングの容積に
左右されなく小容量で済む。

本発明はまた、スクリユーコンベアが互いに平
行な複数本の回転軸を並設して有するので、氷掻
き取り能力が増大すると共に、一本のスクリユー
では該スクリユーの移動方向を基準として背部に
砕氷が移送されないまま残氷するおそれがあるの
に対して残氷を発生させず確実に移送できる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづき詳
細に説明する。

第１図乃至第４図において、１は小氷を収容し
貯蔵するためのハウジングであつて、小氷供給口
２を上部に開口して有し、かつ、上面，底面およ
び側面からなる周面のうち少くとも側面の内壁に
断熱壁３を使用した保冷庫に形成しており、この
断熱壁３の内面を平滑にしている。

上記ハウジング１は底部を、相対向する辺が平
行かつ水平の方向に延長した直方形状の水平面に
開口させていて、この底部に底板４を当て合つて
該底板４を底面に形成し、さらに内法水平断面積
が上方から下方に向けて漸増すると共に、どの部
分の水平断面形状についても相似形をなす如き截
頭四角錐形の立方体をなしている。

前記底面４は側壁と遊離した別体に形成してい
ると共に、該底面４の対向する２辺と平行に延長
せしめた横長ケーシング１２を一体に有してい
て、横長ケーシング１２の底中心部に開口１３を
設けると共に、ケーシング内にスクリユーコンベ
ア５を収設している。

なお、横長ケーシング１２は長手側壁面を下方
部程絞らせた断面漏斗状をなすダクト形態のもの
であつて、絞つた底部の中心部に前記開口１３が
穿設されている。

この横長ケーシング１２を有する底面４は、該
ケーシング１２の長手方向に直交する水平方向の
往復動可能に横設した移動パネルＰに形成してい
て、この往復動を円滑に行わせる前後駆動機構に
ついては後述する。

しかして横長ケーシング１２内に収設してなる
スクリユーコンベア５はケーシング１２の長手方
向に沿わせて互いに平行に並べた複数本例えば２
本の回転軸９，９に対してらせん状のフインを周
設せしめており、フインは各回転軸９，９の中央
部で分断させて、その両側に、一方が右ねじ、他
方が左ねじとなるように対称的に設けており、さ
らに隣り合う回転軸９，９相互間では、一方が右
ねじ、他方が右ねじで対向するように、これも亦
対称的に設けている。

かゝる構造を有するスクリユーコンベア５は各
フインが両端部から中央部に向け互いに逆の送り
ピツチで設けられているので、両回転軸９，９に
夫々嵌着した歯車相互を噛合させて、両回転軸
９，９を反対方向で、かつ、フインの送りピツチ
が中央に向くように回転せしめると、第３図に矢
示線で示す方向の搬送機能を発揮し、かくして中
央部に設けた開口１３に向けて小氷などの搬送物
体を収集搬送することができる。

第１図及び第２図において、７は氷取り出し部
であり、ハウジング１の底面４における中央部に
設けた前記開口１３に臨む直下方に、スクリユー
コンベア５の回転軸９と直交する方向に延び、か
つ上方に向け開口させて設けており、例えば丸樋
状のダクトに形成している。

この氷取り出し部７には、スクリユーコンベア
１４が前記ダクト内に水平に収設されていて、コ
ンベア軸をダクトの長手方向に沿つて前記スクリ
ユーコンベア５の回転軸９と直交させた配置とな
して、前記ハウジング１を固定するためのフレー
ム１５に回転可能に取設していると共に、原動機
１８に連結していて、氷取り出し部７の端部に設
けた氷取り出し口１６に向けて物体を搬送し得る
方向に回転が付与されるようになつている。

しかして移動パネルＰに形成した底面４を往復
動させるための前後駆動機構は、スクリユーコン
ベア５を一体的に備えた移動パネルＰを水平の移
動可能に支持する多輪形トロリー２１と、該多輪
形トロリー２１の複数個の歯車輪２２，２２を噛
合下で支承してフレーム１５に固定し横設せしめ
た１対のラツクレール２３，２３と、駆動用の歯
車輪２２に連繋せしめた原動機２４とからなつて
おり、前後駆動手段の要素である原動機２４によ
つて駆動用歯車輪２２を可逆運転させると、移動
パネルＰ及びスクリユーコンベア５は円滑に所定
の水平方向に運動が成されるのである。

ここで移動パネルＰとハウジング１の側壁下部
とは気密的な摺接関係を保持させておかないと冷
気の漏出があつて保冷上好ましくないので、この
摺接部分に断熱的かつ気密的な処理を施すことが
望ましいのは言う迄もない。

なお、第２図中６はスクリユーコンベア５の回
転軸９に連結した原動機であつて、回転軸９をら
せんフインの送りピツチが軸中央に向くよう回転
させる軸回転駆動手段の要素をなすものである。

以上述べた構成の氷貯蔵装置は、ハウジング１
の上壁部に設置した製氷機１９から送り出された
小氷を、小氷供給口２から供給してハウジング
１内に集積させ、低温下で貯蔵することができる
のであるが、前述するように集積した小氷は２次
氷となり、再結氷することを避け得ず、従つてバ
ラ状の小氷が結合して大きい氷塊となる。

この状態で氷の取り出しの必要に迫られると、
前記原動機６，２４を付勢して、スクリユーコン
ベア５を回転させると共に、該コンベア５及び移
動パネルＰを小氷の掻き落し量に適合した速度で
往復動させると、ハウジング１内の下層部に堆積
していた氷群は回転し、かつ水平移動するスクリ
ユーコンベア５によつて全面に亘り万遍なく平均
的に掻取られるので、掻取りが行われなくて小氷
が滞量する個所はなくなり、溶融する無駄は排除
されるし、氷取ち出し量も安定し、さらにハウジ
ング１の収容スペースの利用効率がより一層向上
する特長が発揮される。

このように下層部の氷塊から順次掻き落される
と共に、スクリユーコンベア５によつて中央の開
口１３に集められることにより、掻き取つた小氷
は氷取り出し部７に連続的に搬出される一方、ハ
ウジング１内の貯氷は自重によつて落下して順次
スクリユーコンベア５により掻き取られると共
に、搬出される。

その際、強固なブリツジ現象が発生するような
ことがあつがも、ハウジング１は各部における内
法水平断面積が下方に向つて漸次増大する構造で
あるので、下方に残された部分が存しなくて全面
に亘つて空洞が形成されることによつて、それに
見合つて抵抗なく円滑に落下し空間を埋めること
が可能となり、従来問題とされていた空間の形成
による氷取り出しの中断現象は解消されて、小氷
を間断のない連続状態で取り出すことができる。

この場合に、前記スクリユーコンベア１４を駆
動させることによつて、搬出した小氷を定位置の
氷取り出し口１６から連続的に取り出すことが可
能である。

なお、第１図および第４図において２０は冷気
漏出を防止するために前記開口１３に関連して設
けた板バルブであり、一方、移動パネルＰの駆動
源２４としては回転モータの他に流体圧シリンダ
２４′を用いても勿論差支えない。

次に第５図および第６図は本発明の他実施例の
要部を示すものであつて、前述の例がスクリユー
コンベア５を移動パネルＰの下側に取設して一体
的な移動可能となしたものであるのに対して、ハ
ウジング１の底面直上部にスクリユーコンベア５
を水平方向の移動可能に設けた構造であつて、送
りピツチを夫々中央部に向けた２基の相対形スク
リユーコンベア３１，３１を並設してトロリー２
１に搭載している。

そしてトロリーフレーム３２に設けた開口３４
をスクリユーコンベア３１，３１の進行方向と直
交して、ハウジング１の底面中央部に設けた氷取
り出し部７の上方開口部に臨んで移動可能となし
ている。

氷取り出し部７にはスクリユーコンベア１４を
備えているのは前述例と同様の構造である。

この例は、スクリユーコンベア３１をハウジン
グ１の底部全巾に亘つて有効に作用する長さに保
持せしめる一方、歯車輪２２、ラツクレール２３
等の前後駆動手段はハウジング１に対し側方に逃
がした位置に設けている。

従つてハウジング１内の小氷を隅部に至るまで
確実に掻き取ることが可能である。

（発明の効果） 本発明は以上詳述したところから明らかなよう
に、ハウジングの底部に設けたスクリユーコンベ
アによつて、先に収容した古い小氷から順に先行
して掻き取り搬出する構造であるので、下層部で
アイスバーンになり易い氷から先出しが可能で、
ハウジング内に固まり切ることにより形成される
大形の根氷の残存を排除することができ、同時に
底面を平面に形成しているので小氷の容積効率が
向上する。

さらにスクリユーコンベアが搬送方向に直角な
方向に移動しながら小氷を掻き取る構造であるか
ら、ハウジングの底面全面に亘つて氷の掻き取り
が可能であつてブリツジ現象を解消し得ると同時
に、ブリツジ現象に抗した自重落下を円滑に行わ
せて空転を排除し、小氷を途切れることなく連続
的に取り出すことができる。

しかも本発明は複数本のスクリユーを並設せし
めたことにより、掻き取り能力は増大し、さらに
掻き取つても移送し得ずに残氷する如き問題は解
消され、確実な移送が可能となる。

また、ハウジングが水平断面積の大きい大容積
形であつても、局部的に集中して破砕及び移送を
行えば良いことからスクリユーコンベアに小形の
ものを使用し得て移動トルク及び駆動トルクは小
さくて済むので動力費を大巾に節減できる。

しかもスクリユーコンベアが回転軸の中央部に
向けて小氷を両側から送らせる構造であるので、
スクリユーコンベア自体の軸方向へのスラスト荷
重が互いに打ち消し合うため氷取り出し部への移
送が確実かつ円滑に行えると共に氷取り出し部の
構造が簡略化される利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の１実施例に係る一部省略
示正面図、第２図は同じく側面図、第３図及び第
４図は第１図々示装置におけるスクリユーコンベ
ア部の部分示平面図および部分示正面図、第５図
及び第６図は本発明装置の他実施例に係る概略示
正面図及び概略示側面図である。 １……ハウジング、２……小氷供給口、４……
底面、５……スクリユーコンベア、７……氷取り
出し部、９……回転軸、１４……スクリユーコン
ベア。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 小氷供給口を上部に開口する一方、相対向す
   る辺が平行かつ水平の方向に延長した直方形状の
   底面を備えて小氷を貯蔵し得るハウジング、 両端部から互いに逆の送りピツチのフインが周
   設されてなる複数本の回転軸を前記ハウジングの
   底部に、互いに平行な水平方向かつ前記底面の対
   向する２辺と平行に延長せしめると共に、全体を
   軸直角方向の往復動可能に設けたスクリユーコン
   ベア、 前記ハウジングの底面にスクリユーコンベアの
   回転軸と直交する方向に延び、かつ上方に向け開
   口させて設けた氷取り出し部、 スクリユーコンベアを前記回転軸と直角の方向
   に往復動せしめる前後駆動手段、 スクリユーコンベアの前記回転軸をフインの送
   りピツチが中央に向くよう回転せしめる軸回転駆
   動手段からなることを特徴とする氷貯蔵装置。 ２ 氷取り出し部がスクリユーコンベアを備えて
   いる特許請求の範囲第１項記載の氷貯蔵装置。 ３ ハウジングが、下方に向けて内法水平断面積
   が漸増する周面を有する特許請求の範囲第１項記
   載の氷貯蔵装置。