JPS62949Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、本体内に、インキ筒に連通する弁孔
を常時閉成する弁体が摺動自在に弾発され本体先
端部には弁孔に連通する内腔部と先端小径孔が軸
方向に貫設され、ペン先が装着されていると共に
内腔部に於て多数の毛細管間隙が開口するペン先
外周部に環状のインキ吸蔵体が装着された筆記具
の改良に関する。

係る構造の筆記具は、通常溶剤に樹脂を溶解し
た樹脂溶液に着色剤として顔料を分散せしめた液
状のいわゆる顔料インキをインキ筒内に収納し、
例えばペン先の末端部を弁体先端に当接して、ペ
ン先を本体内へ押込むことにより、弁体を摺動
し、弁孔を開孔して、インキをペン先へ導出する
と共に余剰のインキをインキ吸蔵体に吸蔵せしめ
て使用に供するよう構成されているがペン先を上
方へ向けた状態で放置すると比重の大きい顔料が
沈降して樹脂溶液と分離するいわゆるインキ分離
現象や、インキが自重落下するいわゆるインキド
ロツプ現象が生じ再筆記の際筆跡の色が薄くな
る。或は、色がつかなくなる欠点がある。この現
象は特に振動が負荷された場合に顕著である。

本考案者は、係る欠点に解消すべく構造上より
種々実験の結果ペン先に於るインキドロツプはペ
ン先外周部に接触し、インキが導通するインキ吸
蔵体の影響が大であることを知見し本考案に至つ
たものである。

以下本考案実施例について説明する。

(A)は軸筒を兼るインキ筒１と先細り状となつた
先端部筒２よりなる筆記具本体である。

３はインキ筒１と連通する通孔４を有する弁箱
であり、インキ筒１の開口部５に鍔６を当接して
嵌合されている。７は内筒であつて基部には外側
に環状外突縁８、内側に弁孔９を有する環状内突
縁となつた弁座１０が、末端部には嵌合筒部１１
が、そして基部先端側には筒状部１２が形成され
ている。

又、筒状部１２は軸方向に弁孔９に連通する孔
１３が貫設され且つ孔１３の周壁面に開口して連
通する複数のインキ保持溝１４，１４…が放射状
に形成されている。

そして、内筒７は、嵌合筒部１１が環状外突縁
８を鍔６に当接して弁箱３に密嵌されている。又
軸方向に連通する先端小径孔１５、孔１５より大
径の内腔部１６、内腔部１６よりも大径の螺子孔
１７が貫設された先端部筒２がインキ筒１の開口
螺子部に螺合されて、鍔６と環状外突縁８がイン
キ筒１の開口部１′と先端部筒２の段２′間に挾着
され、筒状部１２が内腔部１６の中程まで挿入さ
れた状態で水密に固定されている。

１９は弁箱３内に装着されたこま状を呈する弁
体である。弁体１９は中間部に形成された環状突
縁２０と弁箱３の底部２１間に装着された押バネ
２２により、大径部２３の先端側に形成された傾
斜面部２４が、弁座１０に当接し、常時弁孔９を
閉孔する様摺動自在に弾発されている。

そして孔１３の内径より僅かに小なる外径に形
成された先端棒状部２５が弁孔９より突出し孔１
３内に位置している。

２６は繊維の集束体を樹脂加工したものや、合
成樹脂粒子の焼結体等よりなり、外周部に開口す
る多数の毛細管間隙を有する公知のペン先であ
る。本実施例におけるペン先２６は中継管２７を
介して先端側に、軸方向にインキ流通間隙が形成
されたポリアセタール等よりなる合成樹脂杆体２
８を、末端側にインキ誘導部材とせる樹脂加工さ
れた繊維の集束体２９を一体に連設して形成され
ている。

ペン先２６は先端部３０が先端小径孔１５より
突出した状態で該孔１５および内腔部１６に挿入
され、その末端部３１は孔１３に挿通され且つ弁
体１９の先端棒状部２５の先端に当接され、ペン
先２６を本体Ａ内方に押圧した時は押バネ２２の
弾性に抗して弁体１９を末端側へ摺動し得る様摺
動自在に装着されている。

３２はペン先２６の外径より大なる内径を有す
るフエルトや発泡ウレタンフオーム等よりなる環
状のインキ吸蔵体であり、内筒７の筒状部１２の
先端側に位置する内腔部１６に於て、ペン先２６
の外周部に装着されている。

３３はペン先２６の外周部と環状のインキ吸蔵
体３２の内周面間に装着された遮断体である。本
実施例於る遮断体３３は合成樹脂よりなる筒状体
に形成されており、両者間のインキの導通を遮断
している。

３４はペン先２６の外周部と遮断体３３間に形
成された環状のインキ通路であり、通常インキの
表面張力によりインキが保持される程度の間隙に
形成することが望ましい。

従つて、本体Ａを把持して例えばペン先２６の
先端部３０を筆記面へ押しつけるとペン先２６が
本体Ａの末端側へ摺動して弁体９を押圧し、弁体
９は押圧バネ２２の弾性に抗して摺動する。

結果、弁座１０と傾斜面部２４の当接が解除さ
れ弁孔９が開孔し、インキがインキ筒１より弁孔
９を介して孔１３へ流入する。

次いで筆記面への押しつけを解くと押バネ２２
の作用によりペン先２６および弁体１９は元位置
に復帰し弁孔９は閉孔されて、インキの流入が停
止されるが、孔１３に流入したインキは、ペン先
２６の末端部３１の外周部、およびインキ通路３
４を経て遮断体３３の内側に位置するペン先２６
の外周部より、毛細管作用により集束体２９へ浸
透し合成樹脂杆体２８先端へ導出されると共に、
筒状部１２のインキ保持溝１４，１４…に保持さ
れ、更に過剰にインキが供給された場合には該溝
を経由してインキ吸蔵体３２に保持されインキが
ボタ洩れすることなく筆記に供することができ
る。

又、不使用時に於てはペン先２６を上方へ向け
た状態で放置してもペン先２６の外周部と吸蔵体
３２の内周面間に遮断体３３を有し、両者間のイ
ンキの導通が遮断されているので吸蔵体３２の影
響を受けることはなく長期に放置した場合でも良
好に再筆記が可能である。又特に振動を付加した
時に於る効果が顕著である。

尚、実施例に於て形成したインキ保持溝１４，
１４…を設けた筒状部１２は省略しても良いし、
弾性材よりなるインキ筒を押圧して弁孔を開孔す
る構造の筆記具にも使用できる。

本考案は以上の様に構成されるので、インキが
供給過剰となつた場合でもボタ洩れすることなく
良好に筆記できると共にペン先を上方へ向けた状
態で放置してもインキドロツプし難く、再筆記性
が良好である効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図 本考案実施例の一部省略縦断面図、第
２図 第１図のａ−ａ部横断面図、第３図 第１
図のｂ−ｂ部横断面図。 Ａ……筆記具本体、１……インキ筒、２……先
端部筒、９……弁孔、１５……先端小径孔、１６
……内腔部、１９……弁体、２６……ペン先、３
２……インキ吸蔵体、３３……遮断体、３４……
インキ通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体内に、インキ筒に連通する弁孔を常時閉孔
   する弁体が摺動自在に弾発され、本体先端部には
   弁孔に連通する内腔部と先端小径孔が軸方向に貫
   設されペン先が装着されていると共に、内腔部に
   於て多数の毛細管間隙が開口するペン先の外周部
   に環状のインキ吸蔵体が装着された筆記具に於
   て、多数の毛細管間隙が開口するペン先２６の外
   周部と環状のインキ吸蔵体３２の内周面間に、イ
   ンキの導通を遮断する筒状の遮断体３３を配設す
   ると共に、前記外周部と遮断体３３間に、弁孔９
   と連通するインキ通路３４を形成してなる筆記
   具。