JPS62851Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の属する技術分野〕 本考案は自動車のエンジンの駆動力を車輪に伝
達するプロペラシヤフトの分解装置に関する。

〔従来技術の説明〕

従来、自動車のトランスミツシヨン側からリ
ア・アクスル側に駆動力を伝達するために用いら
れているプロペラシヤフトのユニバーサルジヨイ
ントの分解、すなわちフランジヨークとスライデ
イングヨーク及びエンド・ヨークとを結合するス
パイダ部分の分解はハンマーによる叩き出し等に
よつて行なつていた。しかし車輛が長時間使用さ
れて走行距離が延びた場合には、プロペラシヤフ
トのこの部分の錆、泥などのために、ハンマーに
よる叩き出しによつてはその分解が困難となり、
したがつてスパイダ部分に取り付けられているニ
ードルローラベアリング等の取りはずしも困難で
あつた。又、この分解のために、ハンマーによる
過度の叩き出しは、プロペラシヤフト自体の変
形、バランスの悪化、損傷につながるという欠点
があつた。あるいはプレスによつて、このプロペ
ラシヤフトの分解を行なうことも可能であるが、
この場合にはプレスの持ち運び及び分解作業時の
プロペラシヤフトの固定に支障をきたすという欠
点があつた。

〔考案の目的〕

本考案はかかる上記の欠点に鑑みてなされたも
ので、その目的はプロペラシヤフトの分解すなわ
ち、フランジヨークとスライデイングヨーク及び
エンド・ヨークとの結合部の分解を、ハンマー等
を使用せずしたがつてプロペラシヤフトを変形さ
せることなく、容易にかつ確実に行なうことがで
きるプロペラシヤフトの分解装置を提供すること
にある。

〔考案の要旨〕

本考案はフランジヨークとスライデイングヨー
クとをスパイダ部で結合したプロペラシヤフトを
固定保持するための枠体と、 この枠体の両側壁に穿設された第１のネジ孔と
それぞれ螺合する押さえボルトと、 これらの押
さえボルトの一端側に遊嵌状に固設された該プロ
ペラシヤフト用押さえ部と、 該プロペラシヤフトが該押さえボルトの押さえ
部により該枠体に固定保持されたときに、該プロ
ペラシヤフトのフランジヨークあるいはスライデ
イングヨークを押圧して該スパイダ部から分離す
るための分離部材と、 該枠体に穿設された第２のネジ孔に螺合され
て、遊嵌状に固定された該分離部材を該フランジ
ヨークあるいはスライデイングヨークに対し押圧
する押圧ボルトとを有することを特徴とするもの
である。

〔実施例による説明〕

以下本考案をその実施例について添付図面を参
照して説明する。

第１図はプロペラシヤフトが固定された本考案
によるプロペラシヤフト分解装置の正断面図、第
２図は第１図の部分側断面図、第３図、第４図は
それぞれ第１図のＡ部およびＢ部の部分拡大図で
ある。尚、各図において、同一部分には同一の参
照番号を付して説明する。図において、プロペラ
シヤフトの分解装置１は断面逆Ｕ字状の剛性のあ
る固定アームすなわち枠体２を有している。枠体
２の末端部上壁３にはネジ孔４が穿設され、ネジ
孔４には、押圧ボルト５が螺合されている。枠体
２の内側に位置する押圧ボルト５の一端側には分
離部材になる中空円筒６が遊嵌状に固着され、枠
体２の外側に位置するその他端側には、押圧ボル
ト５の頭部７が固着されている。枠体２の両側壁
８の先端部には、ネジ孔９が穿設され、ネジ孔９
にはそれぞれ押さえボルト１０が螺合されてい
る。前述と同様に、枠体２の内側に位置する押さ
えボルト１０の一端側には、剛性を有する断面略
Ｕ字形の押さえ部１１が遊嵌状に固着されてい
る。この押さえ部１１の形状は、これによつて押
さえられる後述のプロペラシヤフトの相手部品の
形状と嵌合するように形成される。枠体２の外側
に位置するその他端側には、押さえボルト１０の
頭部１２が固着されている。尚、押圧ボルト５と
中空円筒６との遊嵌状結合の一例を第３図に示す
と、押圧ボルト５の先端部１３が偏平に広がり、
この偏平な先端部１３をわずかなすきまを有して
包覆する鋼の包覆体１４が、一方でボルト５を貫
通せしめ、他方で中空円筒６に溶着されている。
したがつて、押圧ボルト５は中空円筒６と包覆体
１４との間で回転自在になると共に中空円筒６を
保持することができる。この遊嵌状結合は押さえ
ボルト１０と押さえ部１１との間にも同様に用い
られている。尚、押圧ボルト５は中空円筒６を枠
体２の内側に位置してネジ孔４に螺合され、押圧
ボルト５が上壁３から突出した後、その頭部７が
溶着される。押さえボルト１０の場合についても
同様である。これは押圧ボルト５、押さえボルト
１０のネジ部を狭むそれらの両端の幅がネジ孔
４、ネジ孔９よりも大きいために行なうものであ
る。

以上のような構成になる本実施例の作用につい
て以下に述べる。

第１図、第２図から明らかなように、プロペラ
シヤフト１５はフランジヨーク１６とスライデイ
ングヨーク１７とが十字状のスパイダ１８の各端
部に取り付けられたニードル・ローラ・ベアリン
グ１９を介して、このスパイダ１８によつて結合
されている。そして、ニードル・ローラ・ベアリ
ング１９は、スライデイングヨーク１７に刻設さ
れているスナツプリング用溝２０に嵌め込まれて
いるスナツプリング２１によつてスパイダ１８に
保持されている。このプロペラシヤフト１５を分
解するには、まずスナツプリング２１を取りはず
し、プロペラシヤフト１５のフランジヨーク１６
の側部が押さえボルト１０の押さえ部１１によつ
て固定され得るようにプロペラシヤフト１５を枠
体２の内側に挿入する（第１図参照）。そして、
押さえボルト１０を回転させることによつて、押
さえ部１１でフランジヨーク１６をそのセンター
で固定する。このとき、押圧ボルト５の中空円筒
６がプロペラシヤフト１５の十字状スパイダ１８
の延長上になるように、プロペラシヤフト１５は
枠体２の内側で左右の幅を調節されて枠体２に固
定される。すなわち、押圧ボルト５を回転して中
空円筒６を下降させたときに、ニードル・ロー
ラ・ベアリング１９を取り付けた十字状スパイダ
１８が中空円筒６内に収容されるように固定され
る。したがつて、押圧ボルト５を回転させて中空
円筒６を下降させ、さらに回転させて締め込むこ
とによつて、中空円筒６の先端端縁部がスライデ
イングヨーク１７を下方へ押し下げると共に、中
空円筒６内には十字状スパイダ部のニードル・ロ
ーラ・ベアリング１９が入ることになる（第２図
参照）。その後、ボルト５を逆転させて中空円筒
６を上方へ持ち上げ、スライデイングヨーク１７
からほとんど分離したニードル・ローラ・ベアリ
ング１９を引張ることによつてそれを取りはず
す。同様にしてプロペラシヤフト１５のスパイダ
１８の反対側についても行なう。このようにして
プロペラシヤフト１５の分解を行なうと、従来の
プレスによる分解と比べてフランジヨーク１６の
センターすなわちニードル・ローラ・ベアリング
を取り付けたスパイダ１８のセンターを支持して
分解することになり、フランジヨーク１６がぐら
つかず、スライデイングヨーク１７がストレート
に下方へ動くようになるので、プロペラシヤフト
１５の分解が確実，容易に行なえる。また、ハン
デイタイプなので、持ち運びも便利である。

〔考案の効果〕

以上説明してきたように本考案によれば、プロ
ペラシヤフトの分解をハンマー等を使用せずに確
実、容易に行なうことができ、したがつて、ハン
マー等によつてプロペラシヤフトを変形、損傷さ
せることがなく又バランスを悪くさせることがな
いという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はプロペラシヤフトが固定された本考案
によるプロペラシヤフト分解装置の正断面図、第
２図は第１図の部分側断面図、第３図、第４図は
それぞれ第１図のＡ部およびＢ部の部分拡大図で
ある。 ２……枠体、４，９……ネジ孔、５……押圧ボ
ルト、６……中空円筒（分離部材）、８……枠体
の側壁、１０……押さえボルト、１１……押さえ
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フランジヨークとスライデイングヨークとをス
   パイダ部で結合したプロペラシヤフトを固定保持
   するための枠体と、 この枠体の両側壁に穿設された第１のネジ孔と
   それぞれ螺合する押さえボルトと、 これらの押さえボルトの一端側に遊嵌状に固設
   された該プロペラシヤフト用押さえ部と、 該プロペラシヤフトが該押さえボルトの押さえ
   部により該枠体に固定保持されたときに、該プロ
   ペラシヤフトのフランジヨークあるいはスライデ
   イングヨークを押圧して該スパイダ部から分離す
   るための分離部材と、 該枠体に穿設された第２のネジ孔に螺合され
   て、遊嵌状に固定された該分離部材を該フランジ
   ヨークあるいはスライデイングヨークに対し押圧
   する押圧ボルトとを有することを特徴とするプロ
   ペラシヤフトの分解装置。