JPS628497Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車輛に設備する燃料計に関するもの
で、特には垂直式燃料計の抵抗体に関する。

自動車等の車輛における燃料残量を計量する従
来法は、燃料液面の増減変化に追従して上下動す
る浮子の変位をこの浮子に連係したアーム端にお
ける電気接点の円弧運動に変換し、該接点が巻線
抵抗体を摺動して抵抗値変化の電気信号として取
り出し、この信号をバイメタル式またはコイル式
のレシーバーユニツトで残量表示するようにした
ものが主流である。このような従来の燃料計によ
れば、巻線抵抗体はそれ自体で精度が悪くまた摺
動範囲も短かいため、液面変位に対する絶対精度
が低いこと、浮子がアームの一方端に取り付けら
れているのでその為の所要スペースが必要である
こと、また、燃料タンクが変形状に形成された場
合、燃料残量に対する抵抗値変化の直線性が出な
いなど種々の難点がある。

このような諸問題を克服する手法として垂直式
燃料計が近年種々提案されてきた。斯かる垂直式
燃料計の構造は、燃料タンクに装着する上蓋と、
この上蓋を通すかまたは通さずに燃料タンク内部
と連絡させる燃料吸入管と、電気的接続を図るた
めの端子類および抵抗体をタンク内の燃料液面に
対して垂直方向に取り付ける金具とを備える。抵
抗体は、表面を陽極酸化したアルミニウム若しく
は紙フエノール樹脂等の材料からなる基板の一方
面または両面に比抵抗の高い導電金属箔を貼着し
てエツチング手段で抵抗パターンを適宜形成した
形態のものが適用される。また、この抵抗体の周
囲には、燃料液面の変動に追従して上下動する浮
子と、この浮子に取り付けられ抵抗体と接触して
抵抗値変化を検出するための接触子と、これら構
成要素を保護すると共に燃料液面の急激な変動を
緩和するためのオリフイスを設けた外筒と、並び
に外筒底部において構成要素の少なくとも抵抗体
下端部を保持する底板とを有する。ここで抵抗値
変化の電気信号をバイメタル式、直読式メーター
若しくは差動コイル式メーターに加えて燃料残量
をアナログ表示させるか或いは該電気信号をＡ−
Ｄ変換処理した上でデジタル表示するのは、従来
と同様であるが、特に抵抗体はエツチング手法等
で抵抗パターンを任意的に形成することが容易で
あつてそれ故に抵抗パターンの絶対精度を簡単に
高めることができることおよび変形の燃料タンク
に対してもそれに対応した抵抗パターンを簡便に
形成可能であるため残量と抵抗値との直線性を確
保できること、また、抵抗体を細長く形成できる
ので液面変化の分解能を上げることが容易である
こと並びに外筒のオリフイスの作用で車体の揺れ
等に起因する急激な液面変動を抑制でき従つて表
示メーターに精度の高い形式を採用できること等
がこの垂直式燃料計の大きな特長である。

この形式の燃料計は上記から分るとおり燃料タ
ンク内の燃料残量を従来方式と比較した場合には
かなり高い精度で計量できるが、ここで問題とな
るのは第１図１および２に示す如く、燃料タンク
３１の取付け位置におけるボデー３０と燃料タン
クの位置関係にあり、燃料計３３の端子部をボデ
ー側より離す事が必要であり、かつ、このタンク
３１の最深部に燃料計３１を設置しなければなら
なかつた。その為、設置場所に制限される虞があ
つた。

本考案は、上記を考慮して、第２図および第３
図の如く、抵抗体１０のベース材としてポリエス
テルフイルム或いはBT樹脂フイルム等の耐薬品
性を有する可撓性部材を使用し、斯かるベース材
に所要の抵抗体パターン１０Ａを形成して外筒３
と一体または別体の底部１１から該抵抗体１０の
ガイド１４の下端部を外部に突出せしめ、この突
出した部分を例えばナツト１２で外筒底部１１に
支持するようにしたものである。上記のように、
ガイド１４をその下端部が外筒底部１１から外部
に突出するように構成するときには、先ず外部端
子７と共にこの抵抗体１０の上端部を上蓋に金具
５で適宜取り付け、次に接点９を装着した浮子８
をこの抵抗体１０に挿通した状態で抵抗体の下部
を固定ガイド２０にねじ止め、カシメ等で適宜取
り付け、これらを外筒３内に配装するようにガイ
ド１４の下端部を外筒底部１１から外部に突出さ
せるだけでよく、最後にナツト１２を第３図に示
すようにガイド１４の下端部に設けたねじ部に固
定するだけで簡単に抵抗体１０の固定作業と組立
作業を了えることができる。ここで抵抗体１０の
下端部の支持手段としては上記の外、第４図の如
く、ガイド１４の下端部に嵌合する円形バネ３４
で外筒底部１１に固定することも可能であり、い
ずれの手段も抵抗体１０の固定がほぼワンタツチ
で行なえるので燃料計の組立作業が大幅に軽減さ
れ外部振動によるゆるみ等が好適に解消され計測
精度の向上にも寄与するものである。また、本考
案によると、抵抗体１０がフレキシブル性を有し
ていることにより、燃料計を傾斜して取り付ける
ことが可能となる。例えば第５図のように、燃料
タンクに燃料計を傾斜して取り付けた場合、抵抗
体１０がフレキシブル性を有していることによ
り、浮子８の傾斜が抵抗体１０により緩和され、
燃料計の傾斜角度より小さな傾斜になり、浮子の
液面３４の変動に対する追従性が増し従来制限さ
れていた取り付け位置が大幅に緩和されるもので
ある。

以上のとおり、本考案はこの種の垂直式燃料計
の抵抗体における組み付け作業が他の部品と同時
的に行なえるようになるので、組立作業性の改善
を図れる。また、本考案によると、抵抗体をフレ
キシブルに構成してあるので、浮子の傾斜が抵抗
体により緩和され、浮子の液面の変動に対する追
従性を改善して従来制限されていた取付け位置の
自由度を確保できることとなり、これにより取り
付け位置の問題が解消することにより精度向上に
資するところ多であつて実用性の極めて高いもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図１および２は燃料タンク並びにボデーに
対する垂直式燃料計の取り付け状態を示す図、第
２図は本考案の垂直式燃料計に従つて構成された
抵抗体の支持構造を部分的に示す斜視図、第３図
は本考案による垂直式燃料計の概念的断面構成
図、第４図は第２図に示すガイドの保持用円形バ
ネを示す斜視図、そして第５図は本考案の垂直式
燃料計の設置態様として傾斜状態での取り付け状
態を概念的に示す図である。 ３……外筒、８……浮子、９……接触子、１０
……抵抗体、１４……ガイド、３０……ボデー、
３１……燃料タンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料の液面変動に追従して上下動する浮子に装
   着された接触子が抵抗体と接触しながら液面変化
   を抵抗値変化の電気信号として取り出すようにし
   た垂直式燃料計において、この燃料計を車両の燃
   料タンクに斜傾状態で取付け得るように上記抵抗
   体のベース材を可撓性部材で形成して浮子の傾斜
   を該抵抗体で緩和するように構成した垂直式燃料
   計。