JPS628242B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、圧延材の形状を制御する機構を備え
てなる多段圧延機に関する。

近年、圧延材の板幅方向の厚み形状を制御する
ために、四段圧延機におけるワークロールのベン
デイング法が開発されて種々実施されているが、
これまでのロールベンデイング法では圧延材の形
状を制御する能力に限界があつた。

即ち、形状が良好な特に板幅方向に板厚変化の
少ない圧延製品を得るには、ワークロールが圧延
荷重等によつて変形するのをできるだけ少なく
し、且つロールベンデイングによる修正能力を大
きくすることが重要である。

従来の四段圧延機には垂直方向のロールベンデ
イング装置しかなく、このためそれによるロール
のクラウン修正量は少く、且つ単純な放物線状の
形状のみの修正であり、これでは単純な耳のびや
中のびの形状が修正できる程度であつた。又ロー
ル軸長の1/2以下の狭幅の板に対しては効果が少
く、良好な形状修正効果が得られなかつた。

本発明は前記実情に鑑みなしたもので、上、下
ワークロールのうちいずれか一方を小径として該
小径ワークロールを上、下バツクアツプロールに
対して圧延ライン下流側に適宜ずらして設けると
ともに、前記小径ワークロールと小径ワークロー
ル側バツクアツプロールとの間に中間ロールを配
設し、流体ジヤーナル軸受を内蔵せる分割型控え
ロール及び該控えロールに支持され前記小径ワー
クロールに接する押えロールを前記小径ワークロ
ールのずらし側に配設したことを特徴とする形状
制御機能を有する多段圧延機、に係るものであ
る。

以下図面を参照しつつ本発明の実施例を説明す
る。

第１図に示す如く、上、下ワークロール１，２
と該上、下ワークロール１，２を支持する上、下
バツクアツプロール３，４と、前記上ワークロー
ル１と上バツクアツプロール３との間に配設した
中間ロール５とよりなる５段圧延機において、前
記上ワークロール１を強度上許容し得る範囲で小
径に形成し、且つ該上ワークロール１を圧延ライ
ン下流側方向に適宜ずらした位置に配置せしめ
る。この状態で圧延材８の圧下圧延を行つた場合
には、上ワークロール１がずらし側に逃げるよう
に撓む。

この撓みを利用して形状制御を行うために上ワ
ークロール１の圧延ラインずらし側外周面に対
し、上ワークロール１に押圧して上ワークロール
１の水平方向の撓みを調整するようにした上ワー
クロール１と略同一長さを有する押えロール６を
配設し、該押えロール６に対し、ロール幅方向に
適宜複数分割した補強ロール７を圧延ラインのず
らし側に設けて前記押えロール６を支持せしめ
る。各補強ロール７は適宜な支持体９にて支持さ
れ、該支持体９はハウジング１１に設けたスクリ
ユーロツド式（シリンダ式等でもよい）移動装置
１０により上ワークロール１と押えロール６とを
結ぶ直線方向移動可能に構成されている。尚、補
強ロール７は押えロール６と上ワークロール１を
結ぶ直線を挾んだ位置に２個宛配設してもよい
（第１図仮想線参照）。

又、前記補強ロール７は高負荷下で高速回転可
能で且つ押えロール６を押付け撓ませた際の撓み
に対応できるようジヤーナル軸受を内蔵した構成
としてある。即ち、第２図に示す如く、中心軸に
沿つて穿設した動圧流路２１、静圧流路２２及び
もどり流路４４を備えた軸２３にフランジ部２
５、中径部２６、小径部２７より成り、中径部２
６に後述するシール２８及び内輪２９の先端が嵌
入する中空部を形成した偏心ブツシユ２４を嵌入
する。半断面形状が凸字状且凸部頂面を球面仕上
げした内輪２９を前記小径部２７に回転自在に嵌
合し、前記内輪２９に内面を前記凸部頂面と合致
し得る球面仕上した傾動輪３０を軸２３の中心軸
方向にのみ回動し得る様嵌合せしめ、更に外輪３
１を傾動輪３０に嵌入固着し、外輪３１に嵌着し
た抜止めリング３２で外輪３１と傾動輪３０間の
軸方向の移動を防止する。前記偏心ブツシユ２４
の小径部２７の先端には片面を穴ぐり加工したシ
ールリング３３を嵌着し、前記内輪２９を偏心ブ
ツシユ２４の中径部２６とシールリング３３で挾
み込むとともに、前記中径部２６と内輪２９間及
びシールリング３３と内輪２９間にシール２８を
挾設する。内輪２９と偏心ブツシユ２４の回転摺
動面４２である小径部２７の外周面には適宜油溜
３４を形成しており、該油溜３４と動圧流路２１
とを動圧連絡路３５で連通し、又前記油溜３４と
内輪２９・傾動輪３０間の傾動摺動面４３とを油
路３６で連通し、両摺動面に動圧流路２１より潤
滑油を供給し得る様にする。更にシール２８付近
に一端を開口し他端をもどり流路４４に開口する
排油路３７を偏心ブツシユ２４・軸２３間、シー
ルリング３３・軸２３間にそれぞれ設ける。前記
回転摺動面４２の負荷側には静圧ポケツト３８を
設け、該ポケツト３８と静圧流路２２とを静圧連
絡路３９で連通し、更に前記動圧連絡路３５と静
圧連絡路３９からの漏油をシールする為軸２３と
偏心ブツシユ２４間にＯリング４０を埋設する。

更に、第３図に示す如く、上、下ワークロール
１，２と中間ロール５との両軸端部に（尚、同図
においては中間ロール５の軸端部のみを示す）ダ
ブルチヨツク１２，１２′を設け、且つ夫々のチ
ヨツク１２，１２′の上下部にシリンダ１３，１
３′を設け、上、下ワークロール１，２及び中間
ロール５を垂直方向の湾曲を与えるベンデイング
装置１４を備える。

前記構成の５段圧延機において、圧延材８の形
状制御を行うに当つては、移動装置１０の作動に
より補強ロール７を介して押えロール６への押付
け力を各別に調整して該押付け力の変位を垂直方
向変位とし、上ワークロール１の撓みを長さ方向
各部において自在に調整するようにする。この際
補強ロール７を押えロール６に強く押付けるとそ
の部分の上、下ワークロール１，２間隙が減少し
てその部分の圧延材８の板厚が減少し、又逆に補
強ロール７の押付け力を弱めるとその部分の板厚
が増大するように作用する。又移動装置１０の作
動により幅方向に複数個設けられている各補強ロ
ール７を同時に押えロール６側に押圧或は離反さ
せる方向に移動調整することができる。このよう
に補強ロール７の位置を調整することにより上ワ
ークロール１の撓みを複数個所において自在に調
整することができるので、圧延材８の形状を任意
に制御することができる。

ここで前記補強ロール７の作動を詳述するに、
動圧流路２１に潤滑用油を供給し、静圧流路２２
には静圧用高圧油を供給する。潤滑油は動圧流路
２１から動圧連絡路３５及び油路３６を通つて、
回転摺動面４２、傾動摺動面４３のそれぞれに供
給され、又高圧油は静圧流路２２から静圧連絡路
３９を通つて静圧ポケツト３８に供給される。斯
る状態で補強ロール７を稼動させれば、外輪３
１、傾動輪３０及び内輪２９は一体となつて回転
し、該回転により前記回転摺動面４２には潤滑油
を介し流体動力学の原理で動圧が発生し負荷を支
持する。又外輪３１の回転中心に対し軸２３が傾
動した場合は、即ち、上ワークロール１の撓みを
調整するために補強ロール７を押えロール６側に
押圧して押えロールの撓みに対応して補強ロール
７が傾動する力を受けた場合は、傾動摺動面４３
において滑りを生じ外輪３１は軸２３に対し無理
なく傾動し、補強ロール７には偏つた負荷は生じ
ない。前記回転摺動面４２を潤滑した油は排油路
３７を通つてもどり流路４４へ回収され、シール
２８は油が外部へもれない様シールする。更に外
輪３１の非回転時には静圧ポケツト３８に供給さ
れている高圧油によりローラにかかる負荷は支持
される。この高圧油はＯリング４０によつてシー
ルされ潤滑油同様外部に漏れることはない。

従つて、補強ロール７は、高速回転に対しても
発熱焼付の心配がなく、外輪３１の傾動（軸の傾
動）に対しても軸受に偏荷重やこじりを生ぜず、
又静圧ポケツトと組合せると回転静止時にも流体
潤滑となり摩擦力が極減する。

更に、前記水平方向からの操作に、上、下ワー
クロール１，２に備えたベンデイング装置１４の
操作を併用することにより、圧延材８の形状制御
をより高精度に行うことができる。

更に又、前記操作に、中間ロール５に備えたベ
ンデイング装置１４の操作を併用することによ
り、圧延材８の形状制御を高精度に且つ高範囲に
わたつて行うことができる。

尚、前記実施例において、ロール６，７群には
上ワークロール１と平行に移動可能な構造を加え
てもよく、更に補強ロール７に対し押えロール６
のみを又押えロール６に対し補強ロール７のみを
上ワークロール１と平行に移動可能な構造を加え
てもよい。

第４図は本発明の他の実施例を示すもので、圧
延ラインずらし側において、上ワークロール１と
上バツクアツプロール３とを結ぶ直線上及び上ワ
ークロール１と下バツクアツプロール４とを結ぶ
直線上に中間ロール５及び下ワークロール２を偏
心配設したものであり、この方式の場合、中間ロ
ール５と下ワークロール２の水平分力が発生しな
いようになる。

尚、本発明は前記実施例では上ワークロールを
小径と成し且つ圧延ライン方向へずらした場合を
例示したが、下ワークロールについても同様な構
成としてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱
しない限り種々変更を加え得ることは勿論であ
る。

如上のように本発明によれば、 () ワークロールのうち一方を極力小径とし且
つ圧延ライン方向へずらして配置し、これを水
平方向から制御するので、水平曲げを大きくと
れ垂直方向演算クラウン量を大きくでき、圧延
力の減少、圧延動力の減少が図れるとともに、
制御能力を大きくとれる。

() 押えロールを支持する分割型の補強ロール
を個々に移動調整することにより、複合波等の
複雑な形状制御が可能となる。

() 控えロールを流体ジヤーナル軸受にて支持
しているので、負荷能力が増し且つ高速性を向
上できる。

() 調整に要する力が小さいのでエツジマーク
が付かない。

() 垂直方向から制御を併用することにより高
精度、高範囲の制御を行うことができる。

() ワークロール駆動が可能であるとともに、
ワークロールがトルク制限を受ける場合には中
間ロールを駆動することもできる。

() 中間ロールと大径ワークロールを駆動する
ことにより異速圧延が可能となる。

() 中間ロールと大径ワークロールを小径ワー
クロールと夫々のバツクアツプロール間に偏心
配置すれば、中間ロールと大径ワークロールに
水平分力を発生させないで済む。

等の優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の圧延機の一例を示す側面図、
第２図は補強ロールの詳細を示す断面図、第３図
は垂直方向のベンデイング装置の説明図、第４図
は本発明の他の実施例図である。 １，２……ワークロール、３，４……バツクア
ツプロール、５……中間ロール、６……押えロー
ル、７……補強ロール、８……圧延材、１０……
移動装置、１４……ベンデイング装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上、下ワークロールのうちいずれか一方を小
   径として該小径ワークロールを上、下バツクアツ
   プロールに対して圧延ライン下流側に適宜ずらし
   て設けるとともに、前記小径ワークロールと小径
   ワークロール側バツクアツプロールとの間に中間
   ロールを配設し、流体ジヤーナル軸受を内蔵せる
   分割型控えロール及び該控えロールに支持され前
   記小径ワークロールに接する押えロールを前記小
   径ワークロールのずらし側に配設したことを特徴
   とする形状制御機能を有する多段圧延機。