JPS627090B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、袋体貨物の荷積み荷降し方法に関す
るものである。

既知の如く、我国における化学工場等は海沿い
に発達し、生産工場等で生産された粉粒体、塊体
状の製品は袋詰めされた袋体貨物として船等に積
載され、他の工場、倉庫等に輸送されるのが普通
である。

そして、このような袋体貨物を例えば船で輸送
するにあたつては、パレツト上に袋体貨物を多段
に積み重ねしたものを一単位として、パレツト共
と船倉に多段に積み上げるようにし、目的地にお
いてパレツト共と荷降しするようにしたパレツト
輸送方法をとるのが一般的である。

しかしながら、このようなパレツトを用いた袋
体貨物のパレツト輸送方法にあつては、輸送貨物
でないパレツトを搬ぶこととなり、輸送後パレツ
トを回収しなければならないという問題と、パレ
ツトが嵩高であるために、船等の輸送手段に積載
される袋体貨物の量が制限されて輸送効率が低下
するという問題があつた。

本発明者は、このような問題を解決することを
目的として種々検討を行なつた結果、次のような
知見を見い出すに至つた。

すなわち、パレツトは大量の袋体貨物を一括し
て船等への積込み、さらに一括して積み降しを行
うための補助具として使用されているという点で
ある。

したがつてパレツトに代わる一括搬送補助具と
して一括して袋体貨物を梱包することのできる梱
包手段を用いれば前述した問題は一応解決される
こととなるが、袋体貨物を梱包する梱包手段が、
単に袋体貨物を包むようなものであつては、輸送
先における荷解き作業に手間がかかる、換言すれ
ば袋体貨物を手作業によつてパレツトに移し変え
なければならないということである。

これらのことから、袋体貨物の一括梱包および
一括荷解きが可能なシート体形式の搬送具を用
い、かつパレツト載置面を備えると共に、この搬
送具をパレツトの所定位置上に載置させることの
できる案内手段を備えた荷降し台を輸送先に用意
すれば、袋体貨物を隙間なく積載して輸送可能
で、しかも輸送先にあつては荷降し台に用意され
たパレツトの上に梱包荷姿のままで荷解きできる
ことに着目し、本発明をなすに至つたものであ
る。

而して本発明の要旨とするところは、底部に幅
方向両側へのシート拡開を許容するためのスリツ
トが設けられた吊り用シート体を用いて、袋体貨
物の多数を一まとめに一括梱包した搬送の一単位
を、船倉等に多段に積み重ねして搬送し、荷降し
時には、少なくとも矩形面の一側端部にパレツト
取出用の開放部と、他の側端部の少なくとも一つ
には吊り用シート体と接触しながらこれを荷降し
案内する案内部材とを有する荷降し台を用いて、
この上に予め載置されたパレツトの上に前記吊り
用シート体により袋体貨物の多数を一まとめに一
括梱包した搬送の一単位を荷降しし、その後前記
吊り用シート体は、スリツトを拡開させながら袋
体貨物の底から抜き取ることを特徴とする荷積荷
降し方法にある。

以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説明
する。

第１図は本発明の方法に使用される搬送シート
体の一実施例を示している。

図中、１は滑りがよく、しかも強靭な樹脂シー
ト、合成繊維シート、例えばポリプロピレン、ポ
リエチレンで形成された矩形状の胴布を示し、そ
の中央に長手方向に沿つてスリツト２が設けられ
ている。

３は前記スリツト２を挾むようにして前記胴布
１の両端に一対突出するようにして縫合された吊
り手を示し、この吊り手３は胴布１と同一のある
いは吊りベルトとして強度を有するシート材で長
円状の帯体に形成したものを胴布１の裏面に縫合
し、荷役の際袋体貨物の全重量が胴布１に均一に
加わるようにしている。また吊り手３を胴布１の
両端に各々一対設けているのは、荷役の際各吊り
手３にクレーン等のフツクを掛けて４点吊りを行
い、多段に積み重ねられた袋体貨物の水平バラン
スを得るためである。

４は胴布１の中央領域幅方向に一定の間隔で設
けられた基準線を示し、この基準線４内に袋体貨
物等が載置されるようにしている。なお、この一
対の基準線４の間隔は市販のパレツト等の規格に
合わせて決められている。そして、この一対の基
準線４の若干内側には、前記スリツト２の裂け目
を拡散させるための引抜き手５が胴布１の両側端
から突出するようにして胴布１に縫合されてい
る。この引抜き手５は前記胴布１と同一のあるい
は吊りベルトとして強度を有するシートで帯状に
形成されたものをたすき掛けにして胴布１の裏面
側に縫合して形成されている。このためこの引抜
き手５に引張力を加えて前記スリツト２の裂け目
を拡開させる際に、袋体貨物等が載置される胴布
１の中央部分に均一な力が加わることになる。

６は前記胴布１の一端側に前記スリツト２を挾
むようにして設けられた結び紐を示し、袋体貨物
の荷造りの際、胴布１の他端に対向して設けた結
び輪７にこの結び紐６を結んで袋体貨物の荷造り
を行うようにしている。

以上のように構成された搬送シート体によれ
ば、袋体貨物等は、前記胴布１の中央部に多段に
積み重ねされて、胴布１により荷造りされるよう
になつている（以下このような搬送シート体によ
り袋体貨物の多数を一括梱包した搬送の一単位を
搬送ユニツトと称す）。そして、荷役の際は、前
記吊り手３にクレーン等のフツクを掛けて船等へ
積み込み、また荷解きの際は、板搬送ユニツトを
パレツト上に載置して、前記引抜き手５を上方に
引き上げならが、前記スリツト２の裂け目を拡げ
て、胴布１を袋体貨物の下から引抜き、袋体貨物
を、その多段に積み重ねされた荷姿のままでパレ
ツト上に載置させることができるようになつてい
る。

第２図イは、前述したような搬送ユニツトを安
定して吊り下げると共に、搬送シート体の拡開を
容易に行うことのできる吊り具の一実施例を示し
ている。

この吊り具は２個の搬送ユニツトを吊り下げる
ことができるもので、図中、８は剛性部材、例え
ばパイプ材で形成された剛性の枠体を示し、その
四隅には、この枠体８をクレーン等のフツクに吊
持させるためのワイヤーロープ９が各々設けられ
ている。この各ワイヤーロープ９の各長さは等し
くしているので、枠体８は水平バランスが安定し
てクレーン等のフツクに吊持されている。また前
記枠体８からは各々等長の吊りワイヤー１０が４
本１組で２組吊り下げられ、その下端には各々荷
吊り用フツク１１ａ，１１ｂ，１１ｃ，１１ｄ，
１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄが設けられてい
る。この荷吊り用フツク１１ａ，１１ｂ，１１
ｃ，１１ｄは例えば第１図に示したような搬送シ
ート体の吊り手に掛けて搬送ユニツトを吊り下げ
るためのもので、各荷吊り用フツクの間隔は搬送
シート体の各吊り手の間隔に略等しく、例えば荷
吊り用フツク１１ａと荷吊り用フツク１１ｂとの
間隔は、前述した胴布の端部に設けられた一対の
吊り手間隔に略等しい。

また本例では前記各荷吊り用フツクの背面長手
方向に周縁が内側に反つた矩形状の当て板１３を
設けており、荷解きの際、荷吊り用フツクが荷造
りされた袋体貨物等に接触しないようにしてい
る。

第２図ロは第２図イに示した実施例の変形例を
示している。

前記第２図イに示した吊り具は、荷解きの際荷
を傷めないようにするために当て板１３が荷吊り
用フツクに設けられているが、本例では先端に掛
け輪１３ａを有する長尺の補助ロープ１３ｂを、
つりロープ１０と枠体８とが結ばれる場所から
各々吊り下げて、荷解きの際、この補助ロープ１
３ｂを搬送シート体の引抜き手に通し、さらに掛
け輪１３ａを荷吊り用フツクに掛けるようにして
荷の損傷を防ぐようにしている点に特徴がある。

このような構成によれば、荷解きの際、荷吊り
用フツクが第１図に示す搬送シート体の引抜き手
に掛けられる位置まで、吊り具を下げる必要がな
いため、パレツト上に搬送ユニツトを降ろすと、
すぐに荷解き作業が行え、作業効率が向上すると
いう効果がある。

第３図は本発明の方法に使用される荷降し台の
一実施例を示している。

図中、１４は鋼材で形成された矩形状の台枠体
１５の表裏両面に各々鋼板１６が取り付けられた
剛性の台本体を示し、この台本体１４の長さ方向
中央で、幅方向に沿つて仕切壁１７が立設され
て、この仕切壁１７の左右に第１のパレツト載置
面１８と、第２のパレツト載置面１９とが形成さ
れている。この仕切壁１７は２個同時に吊り降ろ
された搬送ユニツトを、前記第１、第２のパレツ
ト載置面に予め用意されたパレツト２０に振り分
けるためのもので、搬送ユニツトのスムーズな振
り分けが行なわれるために、本例では仕切壁１７
の先端に、その長手方向に沿つてパイプ２１が溶
接されている。また、この仕切壁１７はパレツト
を３段積み重ねし得るような高さを持ち、連続し
て荷解作業が行えるようにしている。２２は前記
仕切壁１７と対向して、各々前記第１のパレツト
載置面１８の端辺と、前記第２のパレツト載置面
１９の端辺に立設された案内部材を示し、この案
内部材２２はその先端部が外側に湾曲した構造に
形成されている。ここで案内部材２２の先端部を
外側に湾曲させているのは、搬送ユニツトがパレ
ツト載置面の真上から吊り降ろされなくても、こ
の湾曲された先端部によつてパレツト２０の所定
位置に載置されるようにするためである。

本例において、前記案内部材２２は搬送ユニツ
トの案内を容易とするために多数のローラ２３が
上下方向に並設されたローラコンベア構造に形成
されている。また、搬送具によつては、例えば第
１図に示すような搬送シート体のように、引抜き
手５が搬送シート体の底部両外側に離隔して一対
設けられているものもあるので、本例では、前記
案内部材２２の幅を、前記引抜き手５の離隔距離
よりも若干狭くしている。

以上述べた構造の荷降し台を使用すれば、搬送
ユニツトはパレツトの所定位置に載置され、そし
て前記搬送シート体のスリツトを拡開させなが
ら、引抜き手を上方に吊り上げると、シート体は
袋体貨物の底から抜き取られ、パレツトの上に袋
体貨物が梱包荷姿のままで載置されることとな
る。

続いて、前述した搬送シート体、吊り具並びに
荷降し台を使用した荷積み荷降し方法を第４図に
基づいて説明する。

図中、袋体貨物は搬送シート体２４によつて一
括梱包されているため、船２５の船倉にパレツト
を使用することなくして隙間なく積み上げること
ができる。

そして、目的地の岸壁ではクレーン２６に取り
付けた吊り具２７によつて搬送ユニツトが２個同
時に吊り上げられる。一方、陸側に置かれた荷降
し台２８にはパレツト２０が第１、第２のパレツ
ト載置面１８，１９に１個以上各各載置されてお
り、この荷降し台２７の上方から搬送ユニツトが
吊り降ろされて、仕切壁１７によつて各パレツト
２０に振り分けられる。そして、案内部材２２に
よつて搬送ユニツトがパレツト２０の所定位置に
案内載置される。さらに、今度は荷解きを行うた
めに、吊り具２６の各フツクを搬送シート体２４
の引抜き手５に掛け、これを上方に引き上げなが
らスリツトを拡開させて、シート体２４を袋体貨
物の底から抜き取る。この搬送シート体２４が取
り去られると、パレツト２０上に袋体貨物が多段
に積み重ねられた荷姿のままで載置される。そし
て袋体貨物はパレツト２０と共にフオークリフト
等により倉庫等へ保管される。

このような実施例によれば、袋体貨物を隙間な
く積載した状態で輸送することが可能となる。ま
た荷降しの際は多数の袋体貨物を一括して陸揚げ
することができ、しかも袋体貨物をパレツト上で
荷くずれすることなく直接荷解きすることができ
るため、荷役作業時間の短縮が可能となつた。

なお、本実施例においては、搬送ユニツトを２
個同時に吊り下げる形式の吊り具を使用している
が、これに限定されることはなく、通常使用され
ているクレーンのフツクによつて直接１個又は２
個吊り下げるようにしてもよい。また、１個吊り
の場合には、１個用の荷降し台を使用してもよ
い。

さらに搬送シート体は、第１図に示すものに限
定されることはなく、底が拡開して袋体貨物の底
から抜き取ることができるものであればよい。

以上述べた如く本発明によれば、袋体貨物の輸
送量を増大させることが可能となると共に、荷役
作業の短縮化が図れ、輸送コストの低減が可能と
なる秀れた効果を奏し、その利用性は大なるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による搬送シート体の一実施例
を示す平面図、第２図イ，ロは本発明による吊り
具の一実施例を示す斜視図、第３図は本発明によ
る荷降し台の一実施例を示す図で、第３図イは平
面図、第３図ロは側面図、第３図ハは正面図、第
４図イは荷積状態を示す図、第４図ロ，ハ，ニ，
ホ，ヘは荷役・荷解き作業工程を示す図である。 １……胴布、２……スリツト、３……吊り手、
４……基準線、５……引抜き手、６……結び紐、
７……結び輪、８……枠体、９……ワイヤーロー
プ、１０……吊りワイヤー、１１ａ，１１ｂ，１
１ｃ，１１ｄ……荷吊り用フツク、１２ａ，１２
ｂ，１２ｃ，１２ｄ……荷吊り用フツク、１３…
…当て板、１４……台本体、１５……台枠体、１
６……鋼板、１７……仕切壁、１８……第１のパ
レツト載置面、１９……第２のパレツト載置面、
２０……パレツト、２１……パイプ、２２……案
内部材、２３……ローラ、２４……搬送シート
体、２５……船、２６……クレーン、２７……吊
り具、２８……荷降し台。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 底部に幅方向両側へのシート拡開を許容する
   ためのスリツトが設けられた吊り用シート体を用
   いて、袋体貨物の多数を一まとめに一括梱包した
   搬送の一単位を、船倉等に多段に積み重ねして搬
   送し、荷降し時には、少なくとも矩形面の一側端
   部にパレツト取出用の開放部と他の側端部の少な
   くとも一つには吊り用シート体と接触しながらこ
   れを荷降し案内する案内部材とを有する荷降し台
   を用いて、この上に予め載置されたパレツトの上
   に前記吊り用シート体により袋体貨物の多数を一
   まとめに一括梱包した搬送の一単位を荷降しし、
   その後前記吊り用シート体は、スリツトを拡開さ
   せながら袋体貨物の底から抜き取ることを特徴と
   する荷積荷降し方法。