JPS626631B2 - - Google Patents
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- JPS626631B2 JPS626631B2 JP11745882A JP11745882A JPS626631B2 JP S626631 B2 JPS626631 B2 JP S626631B2 JP 11745882 A JP11745882 A JP 11745882A JP 11745882 A JP11745882 A JP 11745882A JP S626631 B2 JPS626631 B2 JP S626631B2
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Description
この発明は、すぐれた高温硬さ、耐熱衝撃性、
および耐酸化鉛腐食性を有し、特にこれらの特性
が要求されらる内燃機関のエンジンバルブおよび
同バルブシートの製造に、鋳物用あるいは肉盛溶
接用として使用するのに適したFe―Ni―Cr系合
金に関するものである。 従来、内燃機関のエンジンバルブや同バルブシ
ートの製造に際しては、肉盛溶接用として、アメ
リカ溶接協会規格5.13RCoCr―A(C:0.9〜1.4
%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、W:3.0〜
6.0%、Cr:26〜32%、Ni:3.0%以下、Fe:3.0
%以下、Mo:1.0%以下、Coおよび不可避不純
物:残り)や、同5.13RCoCr―B(C:1.2〜1.7
%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、W:7.0〜
9.5%、Cr:26〜32%、Ni:3.0%以下、Fe:3.0
%以下、Mo:1.0%以下、Coおよび不可避不純
物:残り、以上重量%)などのCo基合金(以下
従来Co基合金という)が多く使用されてきた。 一方、近年、内燃機関の高性能化がはかられる
ようになるにしたがつて、内燃機関のエンジンバ
ルブや同バルブシートにも、よりすぐれた特性を
具備することが要求されるようになつており、一
般に、いずれも肉盛溶接状態で、温度:800℃に
おけるビツカース硬さが285以上の高温硬さ、並
びに温度:700℃に15分間保持した後、水冷の操
作を繰返し行なつた場合に肉盛溶接部に割れが発
生するまでの前記操作回数が7回以上の耐熱衝撃
性、さらに温度:915℃に加熱した溶融酸化鉛中
に1時間浸漬した後の重量減が0.09g/cm2/hr以
下の耐酸化鉛腐食性を具備することが要求される
ようになつている。なお、これらの特性を具備す
ることは、鋳造により製造された内燃機関のエン
ジンバルブ鋳物や同バルブシート鋳物に対しても
同様に要求されることは勿論のことである。 しかしながら、上記の従来Co基合金は、高温
硬さの点で、上記要求条件を満足するものの、耐
熱衝撃性および耐酸化鉛腐食性については、これ
を満足する性質をもたず、したがつて高性能エン
ジンのエンジンバルブや同バルブシートの製造
に、前記従来Co基合金を肉盛溶接用として、さ
らに鋳物用として用いた場合に十分満足する使用
寿命を示さないのが現状である。 そこで、本発明者等は、上述のような観点か
ら、内燃機関、特に高性能エンジンのエンジンバ
ルブや同バルブシートに要求される高温硬さ、耐
熱衝撃性、および耐酸化鉛腐食性を具備し、かつ
肉盛溶接用および鋳物用として使用することので
きる材料を開発すべく研究を行なつた結果、C:
0.55〜1.90%、Cr:28〜37%、Ni:25〜49%、
Co:1〜8%、W:0.1〜15.0%、Mo:2〜8.0
%、Ti:0.01〜4.5%、Al:0.01〜4.5%、Si:0.1
〜3.0%を含有し、さらに必要に応じてNb:0.01
〜1.5%およびB:0.01〜1.5%のうちの1種また
は2種を含有し、残りがFeと不可避不純物から
なる組成(以上重量%)を有するFe―Ni―Cr系
合金は、温度:800℃におけるビツカース硬さ:
300以上のきわめて高い高温硬さを有し、また温
度:700℃に15分間加熱後水冷の操作を1サイク
ルとする熱衝撃試験で、割れ発生に至るまでのサ
イクル数が12回以上のすぐれた耐熱衝撃性を示
し、さらに温度:915℃に加熱した溶融酸化鉛中
に1時間浸漬の酸化鉛腐食試験では重量減が
0.039g/cm2/hr以下のすぐれた耐酸化鉛腐食性
を示し、しかも肉盛溶接用および鋳物用として使
用することができ、したがつてこのFe―Ni―Cr
系合金を高性能エンジンのエンジンバルブおよび
同バルブシートの製造に用いた場合にきわめて長
期に亘つてすぐれた性能を発揮するという知見を
得たのである。 この発明は、上記知見にもとづいてなされたも
のであつて、以下に成分組成を上記の通りに限定
した理由を説明する。 (a) C C成分には、Cr,W,Mo,Ti,およびNbなど
と結合して炭化物を形成し、常温および高温硬さ
を向上させる作用があるが、その含有量が0.55%
未満では所望の高硬度を確保することができず、
一方1.9%を越えて含有させると耐熱衝撃性が劣
化するようになることから、その含有量を0.55〜
1.9%と定めた。 (b) Cr Cr成分には、その一部が素地に固溶し、残り
の部分が炭化物を形成して、特に高温硬さを向上
させ、もつて高温耐摩耗性を向上させるほか、耐
酸化鉛腐食性を向上させる作用があるが、その含
有量が28%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方37%を越えて含有させると耐熱衝撃性
に低下傾向が現われるようになることから、その
含有量を28〜37%と定めた。 (c) Ni Ni成分には、オーステナイト地を安定にして
耐熱衝撃性および靭性を向上させるほか、Alお
よびTiと結合して金属間化合物:Ni3(Al,Ti)
を形成し、もつて高温硬さ(高温耐摩耗性)およ
び高温強度を改善し、さらにCrとの共存におい
て耐酸化鉛腐食性を向上させる作用があるが、そ
の含有量が25%未満では前記作用に所望の効果が
得られず、一方49%を越えて含有させてもより一
層の向上効果は得られず、経済性を考慮して、そ
の含有量を25〜49%と定めた。 (d) Co Co成分には、素地に固溶した耐熱衝撃性を一
段と向上させ、かつ高温硬さ(高温耐摩耗性)を
改善する作用があるが、その含有量が1%未満で
は前記作用に所望の効果を得ることができず、一
方8%を越えて含有させてもより一層の向上効果
は得られず、経済性を考慮して、その含有量を1
〜8%と定めた。 (e) W W成分には、炭化物を微細化すると共に、自身
も炭化物を形成し、かつ素地に固溶して、これを
強化し、もつて合金の高温硬さおよび高温強度を
向上させる作用があるが、その含有量が0.1%未
満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
15・0%を越えて含有させると肉盛溶接性や切削
性が劣化するようになることから、その含有量を
0.1〜15.0%を定めた。 (f) Mo Mo成分には、Wとの共存において、素地に固
溶して、これを強化し、かつ炭化物を形成して合
金の高温硬さ(高温耐摩耗性)および高温強度を
向上させる作用があるが、その含有量が2%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方9.0
%を越えて含有させると、W成分の場合と同様に
耐熱衝撃性および靭性が劣化するようになること
から、その含有量を2〜9.0%と定めた。 (g) Ti Ti成分には、素地の結晶粒の成長を抑制する
ばかりでなく、むしろ結晶粒を微細化し、かつ
MC型の炭化物および窒化物、さらにNiおよびAl
と結合してNi3(Al,Ti)の金属間化合物を形成
して、高温硬さおよび耐熱衝撃性、さらに高温強
度および靭性を向上させる作用があるが、その含
有量が0.01%未満では前記作用に所望の効果が得
られず、一方4.5%を越えて含有させると、炭化
物の量が多くなりすぎて耐熱衝撃性および靭性が
劣化するようになると共に、耐酸化鉛腐食性にも
劣化傾向が現われるようになることから、その含
有量を0.01〜4.5%と定めた。 (h) Al Al成分には、Crと共に耐酸化鉛腐食性を向上
さて、かつ上記のようにNiおよびTiと結合して
Ni3(Al,Ti)の金属間化合物を形成すると共
に、窒化物を形成して常温および高温硬さを向上
させて耐摩耗性を一段と高め、さらに耐熱衝撃
性、高温強度を改善する作用があるが、その含有
量が0.01%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方4.5%を越えて含有させると、溶湯の
流動性および鋳造性が低下するようになるばかり
でなく、溶接性および靭性も低下して実用的でな
くなることから、その含有量を0.01〜4.5%と定
めた。 (i) Si Si成分には、鋳造性、肉盛溶接性、および湯流
れ性を改善する作用があるがその含有量が0.1%
未満では前記作用に所望の改善効果が得られず、
一方3.0%を越えて含有させてもより一層の改善
効果は期待できないことから、その含有量を0.1
〜3.0%と定めた。 また、Si成分には脱酸作用があるので、通常脱
酸剤として使用する場合が多く、この場合には不
可避不純物として0.1%未満の範囲で含有するこ
とにならるが、合金成分としての含有量は、この
不可避不純物含有量を含め、全体で0.1%以上に
なるようにすればよい。 (j) Nb Nb成分には、特に素地の結晶粒の成長を抑制
すると共に、MC型の炭化物および窒化物を形成
して高温硬さ(高温耐摩耗性)および高温強度を
一段と向上させる作用があるので、特に高温硬さ
が要求される場合に必要に応じて含有されるが、
その含有量が0.01%未満では前記作用に所望の向
上効果が得られず、一方1.5%を越えて含有させ
ると、耐酸化鉛腐食性および耐熱衝撃性が劣化す
るようになり、さらに靭性も低下するようになる
ことから、その含有量を0.1〜1.5%と定めた。 (k) B B成分には、高温硬さ(高温耐摩耗性)、耐熱
衝撃性、耐酸化鉛腐食性、および高温強度を一層
向上させる作用があるので、必要に応じて含有さ
せるが、その含有量が0.01%未満では前記作用に
所望の向上効果が得られず、一方1.5%を越えて
含有させると、耐熱衝撃性が低下するようになる
と共に、鋳造性および溶接性も劣化するようにな
ることから、その含有量を0.01〜1.5%と定め
た。 つぎに、この発明のFe―Ni―Cr系合金を実施
例により比較例と対比しながら具体的に説明す
る。 実施例 通常の溶解法により、それぞれ第1表に示され
る成分組成をもつた本発明合金1〜29、比較合金
1〜13、および上記の従来Co基合金に相当する
成分組成をもつた従来合金1,2を溶製し、引続
いて通常の条件にて連続鋳造することにより直
径:4.8mmφの溶接ロツドを成形した。なお、比
較合金1〜13は、いずれも構成成分のうちのいず
れかの成分含有量(第1表に※印を付したもの)
がこの発明の範囲から外れた組成をもつものであ
る。 ついで、この結果得られた本発明合金1〜29、
比較合金1〜13、および従来合金1,2の溶接ロ
ツドを用い、TIG自動溶接機にて、直径:120mm
φ×厚さ:20mmの寸法をもつたステンレス鋼
(SUS316)製台金の表面に、外径:100mm×幅:
20mm×厚さ:5mmの円環状ビードを2層肉盛溶接
した。 引続いて、上記台金上に形成された円環状ビー
ドについて常温におけるロツクウエル硬さ(Cス
ケール)および温度:800℃におけるビツカース
硬さを測定すると共に、前記円環状ビードを形
および耐酸化鉛腐食性を有し、特にこれらの特性
が要求されらる内燃機関のエンジンバルブおよび
同バルブシートの製造に、鋳物用あるいは肉盛溶
接用として使用するのに適したFe―Ni―Cr系合
金に関するものである。 従来、内燃機関のエンジンバルブや同バルブシ
ートの製造に際しては、肉盛溶接用として、アメ
リカ溶接協会規格5.13RCoCr―A(C:0.9〜1.4
%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、W:3.0〜
6.0%、Cr:26〜32%、Ni:3.0%以下、Fe:3.0
%以下、Mo:1.0%以下、Coおよび不可避不純
物:残り)や、同5.13RCoCr―B(C:1.2〜1.7
%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、W:7.0〜
9.5%、Cr:26〜32%、Ni:3.0%以下、Fe:3.0
%以下、Mo:1.0%以下、Coおよび不可避不純
物:残り、以上重量%)などのCo基合金(以下
従来Co基合金という)が多く使用されてきた。 一方、近年、内燃機関の高性能化がはかられる
ようになるにしたがつて、内燃機関のエンジンバ
ルブや同バルブシートにも、よりすぐれた特性を
具備することが要求されるようになつており、一
般に、いずれも肉盛溶接状態で、温度:800℃に
おけるビツカース硬さが285以上の高温硬さ、並
びに温度:700℃に15分間保持した後、水冷の操
作を繰返し行なつた場合に肉盛溶接部に割れが発
生するまでの前記操作回数が7回以上の耐熱衝撃
性、さらに温度:915℃に加熱した溶融酸化鉛中
に1時間浸漬した後の重量減が0.09g/cm2/hr以
下の耐酸化鉛腐食性を具備することが要求される
ようになつている。なお、これらの特性を具備す
ることは、鋳造により製造された内燃機関のエン
ジンバルブ鋳物や同バルブシート鋳物に対しても
同様に要求されることは勿論のことである。 しかしながら、上記の従来Co基合金は、高温
硬さの点で、上記要求条件を満足するものの、耐
熱衝撃性および耐酸化鉛腐食性については、これ
を満足する性質をもたず、したがつて高性能エン
ジンのエンジンバルブや同バルブシートの製造
に、前記従来Co基合金を肉盛溶接用として、さ
らに鋳物用として用いた場合に十分満足する使用
寿命を示さないのが現状である。 そこで、本発明者等は、上述のような観点か
ら、内燃機関、特に高性能エンジンのエンジンバ
ルブや同バルブシートに要求される高温硬さ、耐
熱衝撃性、および耐酸化鉛腐食性を具備し、かつ
肉盛溶接用および鋳物用として使用することので
きる材料を開発すべく研究を行なつた結果、C:
0.55〜1.90%、Cr:28〜37%、Ni:25〜49%、
Co:1〜8%、W:0.1〜15.0%、Mo:2〜8.0
%、Ti:0.01〜4.5%、Al:0.01〜4.5%、Si:0.1
〜3.0%を含有し、さらに必要に応じてNb:0.01
〜1.5%およびB:0.01〜1.5%のうちの1種また
は2種を含有し、残りがFeと不可避不純物から
なる組成(以上重量%)を有するFe―Ni―Cr系
合金は、温度:800℃におけるビツカース硬さ:
300以上のきわめて高い高温硬さを有し、また温
度:700℃に15分間加熱後水冷の操作を1サイク
ルとする熱衝撃試験で、割れ発生に至るまでのサ
イクル数が12回以上のすぐれた耐熱衝撃性を示
し、さらに温度:915℃に加熱した溶融酸化鉛中
に1時間浸漬の酸化鉛腐食試験では重量減が
0.039g/cm2/hr以下のすぐれた耐酸化鉛腐食性
を示し、しかも肉盛溶接用および鋳物用として使
用することができ、したがつてこのFe―Ni―Cr
系合金を高性能エンジンのエンジンバルブおよび
同バルブシートの製造に用いた場合にきわめて長
期に亘つてすぐれた性能を発揮するという知見を
得たのである。 この発明は、上記知見にもとづいてなされたも
のであつて、以下に成分組成を上記の通りに限定
した理由を説明する。 (a) C C成分には、Cr,W,Mo,Ti,およびNbなど
と結合して炭化物を形成し、常温および高温硬さ
を向上させる作用があるが、その含有量が0.55%
未満では所望の高硬度を確保することができず、
一方1.9%を越えて含有させると耐熱衝撃性が劣
化するようになることから、その含有量を0.55〜
1.9%と定めた。 (b) Cr Cr成分には、その一部が素地に固溶し、残り
の部分が炭化物を形成して、特に高温硬さを向上
させ、もつて高温耐摩耗性を向上させるほか、耐
酸化鉛腐食性を向上させる作用があるが、その含
有量が28%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方37%を越えて含有させると耐熱衝撃性
に低下傾向が現われるようになることから、その
含有量を28〜37%と定めた。 (c) Ni Ni成分には、オーステナイト地を安定にして
耐熱衝撃性および靭性を向上させるほか、Alお
よびTiと結合して金属間化合物:Ni3(Al,Ti)
を形成し、もつて高温硬さ(高温耐摩耗性)およ
び高温強度を改善し、さらにCrとの共存におい
て耐酸化鉛腐食性を向上させる作用があるが、そ
の含有量が25%未満では前記作用に所望の効果が
得られず、一方49%を越えて含有させてもより一
層の向上効果は得られず、経済性を考慮して、そ
の含有量を25〜49%と定めた。 (d) Co Co成分には、素地に固溶した耐熱衝撃性を一
段と向上させ、かつ高温硬さ(高温耐摩耗性)を
改善する作用があるが、その含有量が1%未満で
は前記作用に所望の効果を得ることができず、一
方8%を越えて含有させてもより一層の向上効果
は得られず、経済性を考慮して、その含有量を1
〜8%と定めた。 (e) W W成分には、炭化物を微細化すると共に、自身
も炭化物を形成し、かつ素地に固溶して、これを
強化し、もつて合金の高温硬さおよび高温強度を
向上させる作用があるが、その含有量が0.1%未
満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
15・0%を越えて含有させると肉盛溶接性や切削
性が劣化するようになることから、その含有量を
0.1〜15.0%を定めた。 (f) Mo Mo成分には、Wとの共存において、素地に固
溶して、これを強化し、かつ炭化物を形成して合
金の高温硬さ(高温耐摩耗性)および高温強度を
向上させる作用があるが、その含有量が2%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方9.0
%を越えて含有させると、W成分の場合と同様に
耐熱衝撃性および靭性が劣化するようになること
から、その含有量を2〜9.0%と定めた。 (g) Ti Ti成分には、素地の結晶粒の成長を抑制する
ばかりでなく、むしろ結晶粒を微細化し、かつ
MC型の炭化物および窒化物、さらにNiおよびAl
と結合してNi3(Al,Ti)の金属間化合物を形成
して、高温硬さおよび耐熱衝撃性、さらに高温強
度および靭性を向上させる作用があるが、その含
有量が0.01%未満では前記作用に所望の効果が得
られず、一方4.5%を越えて含有させると、炭化
物の量が多くなりすぎて耐熱衝撃性および靭性が
劣化するようになると共に、耐酸化鉛腐食性にも
劣化傾向が現われるようになることから、その含
有量を0.01〜4.5%と定めた。 (h) Al Al成分には、Crと共に耐酸化鉛腐食性を向上
さて、かつ上記のようにNiおよびTiと結合して
Ni3(Al,Ti)の金属間化合物を形成すると共
に、窒化物を形成して常温および高温硬さを向上
させて耐摩耗性を一段と高め、さらに耐熱衝撃
性、高温強度を改善する作用があるが、その含有
量が0.01%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方4.5%を越えて含有させると、溶湯の
流動性および鋳造性が低下するようになるばかり
でなく、溶接性および靭性も低下して実用的でな
くなることから、その含有量を0.01〜4.5%と定
めた。 (i) Si Si成分には、鋳造性、肉盛溶接性、および湯流
れ性を改善する作用があるがその含有量が0.1%
未満では前記作用に所望の改善効果が得られず、
一方3.0%を越えて含有させてもより一層の改善
効果は期待できないことから、その含有量を0.1
〜3.0%と定めた。 また、Si成分には脱酸作用があるので、通常脱
酸剤として使用する場合が多く、この場合には不
可避不純物として0.1%未満の範囲で含有するこ
とにならるが、合金成分としての含有量は、この
不可避不純物含有量を含め、全体で0.1%以上に
なるようにすればよい。 (j) Nb Nb成分には、特に素地の結晶粒の成長を抑制
すると共に、MC型の炭化物および窒化物を形成
して高温硬さ(高温耐摩耗性)および高温強度を
一段と向上させる作用があるので、特に高温硬さ
が要求される場合に必要に応じて含有されるが、
その含有量が0.01%未満では前記作用に所望の向
上効果が得られず、一方1.5%を越えて含有させ
ると、耐酸化鉛腐食性および耐熱衝撃性が劣化す
るようになり、さらに靭性も低下するようになる
ことから、その含有量を0.1〜1.5%と定めた。 (k) B B成分には、高温硬さ(高温耐摩耗性)、耐熱
衝撃性、耐酸化鉛腐食性、および高温強度を一層
向上させる作用があるので、必要に応じて含有さ
せるが、その含有量が0.01%未満では前記作用に
所望の向上効果が得られず、一方1.5%を越えて
含有させると、耐熱衝撃性が低下するようになる
と共に、鋳造性および溶接性も劣化するようにな
ることから、その含有量を0.01〜1.5%と定め
た。 つぎに、この発明のFe―Ni―Cr系合金を実施
例により比較例と対比しながら具体的に説明す
る。 実施例 通常の溶解法により、それぞれ第1表に示され
る成分組成をもつた本発明合金1〜29、比較合金
1〜13、および上記の従来Co基合金に相当する
成分組成をもつた従来合金1,2を溶製し、引続
いて通常の条件にて連続鋳造することにより直
径:4.8mmφの溶接ロツドを成形した。なお、比
較合金1〜13は、いずれも構成成分のうちのいず
れかの成分含有量(第1表に※印を付したもの)
がこの発明の範囲から外れた組成をもつものであ
る。 ついで、この結果得られた本発明合金1〜29、
比較合金1〜13、および従来合金1,2の溶接ロ
ツドを用い、TIG自動溶接機にて、直径:120mm
φ×厚さ:20mmの寸法をもつたステンレス鋼
(SUS316)製台金の表面に、外径:100mm×幅:
20mm×厚さ:5mmの円環状ビードを2層肉盛溶接
した。 引続いて、上記台金上に形成された円環状ビー
ドについて常温におけるロツクウエル硬さ(Cス
ケール)および温度:800℃におけるビツカース
硬さを測定すると共に、前記円環状ビードを形
【表】
【表】
成した台金に対して、温度:700℃に加熱して15
分間保持後水冷の操作を1サイクルとして繰り返
し行ない、前記円環状ビードに割れが発生するま
での前記サイクル回数を測定する耐熱衝撃性試験
を行なつた。さらに同様に直径:15mmφ×長さ:
100mmの寸法をもつたステンレス鋼片(SUS316)
の一方端面に厚さ:5mmの2層肉盛溶接を行な
い、この鋼片の肉盛部より直径:12mmφ×厚さ:
12mmの寸法をもつた試験片を削り出し、この試験
片を用い、温度:915℃に加熱した溶融酸化鉛:
40g中に1時間浸漬の耐酸化鉛腐食性試験を行な
い、試験後の肉盛材の重量減を測定した。これら
の測定結果を第1表に合せて示した。 第1表に示される結果から、本発明合金1〜29
は、いずれも従来合金1,2に比して一段とすぐ
れた高温硬さ、耐熱衝撃性、および耐酸化鉛腐食
性を有することが明らかである。これに対して、
比較Ni基合金1〜13に見られるように、構成成
分のうちのいずれかの成分含有量がこの発明の範
囲から外れると、本発明合金に比して前記特性の
うち少なくともいずれかの特性が劣つたものにな
ることが明らかである。 なお、上記実施例では、この発明のFe―Ni―
Cr系合金を肉盛溶接用として用いた場合につい
て述べたが、これを鋳物用として使用しても肉盛
溶接の場合と同様にすぐれた特性を示すことは勿
論である。 上述のように、この発明のFe―Ni―Cr系合金
は、高性能エンジンのエンジンバルブおよび同バ
ルブシートに要求される上記の厳格な条件を十分
余裕をもつて満足するすぐれた高温硬さ、耐熱衝
撃性、および耐酸化鉛腐食性を有するので、これ
らの部材の製造に肉盛溶接用および鋳物用として
用いた場合、この結果の部材は著しく長期に亘つ
てすぐれた性能を発揮するようになるのである。
分間保持後水冷の操作を1サイクルとして繰り返
し行ない、前記円環状ビードに割れが発生するま
での前記サイクル回数を測定する耐熱衝撃性試験
を行なつた。さらに同様に直径:15mmφ×長さ:
100mmの寸法をもつたステンレス鋼片(SUS316)
の一方端面に厚さ:5mmの2層肉盛溶接を行な
い、この鋼片の肉盛部より直径:12mmφ×厚さ:
12mmの寸法をもつた試験片を削り出し、この試験
片を用い、温度:915℃に加熱した溶融酸化鉛:
40g中に1時間浸漬の耐酸化鉛腐食性試験を行な
い、試験後の肉盛材の重量減を測定した。これら
の測定結果を第1表に合せて示した。 第1表に示される結果から、本発明合金1〜29
は、いずれも従来合金1,2に比して一段とすぐ
れた高温硬さ、耐熱衝撃性、および耐酸化鉛腐食
性を有することが明らかである。これに対して、
比較Ni基合金1〜13に見られるように、構成成
分のうちのいずれかの成分含有量がこの発明の範
囲から外れると、本発明合金に比して前記特性の
うち少なくともいずれかの特性が劣つたものにな
ることが明らかである。 なお、上記実施例では、この発明のFe―Ni―
Cr系合金を肉盛溶接用として用いた場合につい
て述べたが、これを鋳物用として使用しても肉盛
溶接の場合と同様にすぐれた特性を示すことは勿
論である。 上述のように、この発明のFe―Ni―Cr系合金
は、高性能エンジンのエンジンバルブおよび同バ
ルブシートに要求される上記の厳格な条件を十分
余裕をもつて満足するすぐれた高温硬さ、耐熱衝
撃性、および耐酸化鉛腐食性を有するので、これ
らの部材の製造に肉盛溶接用および鋳物用として
用いた場合、この結果の部材は著しく長期に亘つ
てすぐれた性能を発揮するようになるのである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.55〜1.9%, Cr:28〜37%, Ni:25〜49%, Co:1〜8%, W:0.1〜15%, Mo:2〜9%, Ti:0.01〜4.5%, Al:0.01〜4.5%, Si:0.1〜3%, を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
成(以上重量%)を有することを特徴とする内燃
機関のエンジンバルブおよび同バルブシート用
Fe―Ni―Cr系合金。 2 C:0.55〜1.9%, Cr:28〜37%, Ni:25〜49%, Co:1〜8%, W:0.1〜15%, Mo:2〜9%, Ti:0.01〜4.5%, Al:0.01〜4.5%, Si:0.1〜3%, を含有し、さらに、 Nb:0.01〜1.5%, を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
成(以上重量%)を有することを特徴とする内燃
機関のエンジンバルブおよび同バルブシート用
Fe―Ni―Cr系合金。 3 C:0.55〜1.9%, Cr:28〜37%, Ni:25〜49%, Co:1〜8%, W:0.1〜15%, Mo:2〜9%, Ti:0.01〜4.5%, Al:0.01〜4.5%, Si:0.1〜3%, を含有し、さらに、 B:0.01〜1.5%, を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる
組成(以上重量%)を有することを特徴とする内
燃機関のエンジンバルブおよび同バルブシート用
Fe―Ni―Cr系合金。 4 C:0.55〜1.9%, Cr:28〜37%, Ni:25〜49%, Co:1〜8%, W:0.1〜15%, Mo:2〜9%, Ti:0.01〜4.5%, Al:0.01〜4.5%, Si:0.1〜3%, を含有し、さらに、 Nd:0.01〜1.5%, B:0.01〜1.5%, を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
成(以上重量%)を有することを特徴とする内燃
機関のエンジンバルブおよび同バルブシート用
Fe―Ni―Cr系合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11745882A JPS599147A (ja) | 1982-07-06 | 1982-07-06 | エンジンバルブおよび同バルブシ−ト用Fe−Ni−Cr系合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11745882A JPS599147A (ja) | 1982-07-06 | 1982-07-06 | エンジンバルブおよび同バルブシ−ト用Fe−Ni−Cr系合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS599147A JPS599147A (ja) | 1984-01-18 |
JPS626631B2 true JPS626631B2 (ja) | 1987-02-12 |
Family
ID=14712164
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11745882A Granted JPS599147A (ja) | 1982-07-06 | 1982-07-06 | エンジンバルブおよび同バルブシ−ト用Fe−Ni−Cr系合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS599147A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CH668604A5 (de) * | 1985-05-15 | 1989-01-13 | Castolin Sa | Durch ein thermisches auftragsverfahren hergestellte schutzschicht und pulverfoermige werkstoffe zum herstellen derselben. |
WO1996017098A1 (fr) * | 1994-12-02 | 1996-06-06 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Alliage chrome-nickel a haute teneur en chrome resistant bien a l'usure et a la corrosion par le plomb et soupape de moteur |
US9340856B2 (en) | 2011-11-28 | 2016-05-17 | Fukuda Metal Foil & Powder Co., Ltd. | Ni—Fe—Cr alloy and engine valve welded with the same alloy |
-
1982
- 1982-07-06 JP JP11745882A patent/JPS599147A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS599147A (ja) | 1984-01-18 |
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