JPS6259235B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は主としてデイーゼル機関の燃料噴射弁
取付構造に関する。

一般にシリンダヘツド上方の弁腕室には潤滑油
の雰囲気が充満しており、もし弁腕室内に燃料油
が混入すると燃料油によつて潤滑油が希釈され、
潤滑性能が低下し、焼付等の原因になる。従来は
第２図に示すように燃料噴射弁６０の上端部、即
ち弁腕室６１内部分に燃料高圧管６２及び漏油管
６３が接続されており、従つて両管６２，６３と
燃料噴射弁６０との接続部分から燃料が漏れた場
合には、弁腕室６１内の潤滑油に混入するという
不具合が生じる。

最近では、燃料高圧管をシリンダヘツド側端面
からシリンダヘツド内に挿入し、シリンダヘツド
内で燃料噴射弁に接続しているものもあるが、漏
油管は弁腕室内部分で接続されており、従つて弁
腕室内の潤滑油に燃料が混入するという不具合が
生じるおそれがまた残つていた。

本発明は、たとえ燃料高圧管や漏油通路（漏油
管）と燃料噴射弁との接続部分から燃料が漏出し
ても、弁腕室内に混入することがないようにする
ことを目的としている。以下図面に基づいて本発
明を説明する。

第１図は本発明を採用したデイーゼル機関のシ
リンダヘツド部分を示し、この第１図において、
シリンダヘツド１の下半部分には燃焼室２に開口
する燃料噴射弁用の挿入孔３が形成され、挿入孔
３の上側には挿入３とつながる燃料噴射弁室４が
形成されている。燃料噴射弁室４は燃料噴射弁５
を余裕をもつて収納しうる大きな容積、即ち燃料
噴射弁５の上半部分の周囲に空間部が存在する容
積を有し、上開きに形成されている。燃料噴射弁
室４にはシリンダヘツド側端面１ａまで延びる横
向きの高圧管収納室６が連通している。高圧管収
納室６より下側には、シリンダヘツド側端面１ａ
から燃料噴射弁室４の下方まで横向きに延びる漏
油通路７が形成され、漏油通路７の燃料噴射弁室
４側端部には上方に延びるめねじ孔８が連通し、
めねじ孔８には燃料噴射弁室４内に上向きに突出
するコネクタ１０が螺着されている。

燃料噴射弁５の下端部にはノズル締付ナツト１
１によりスペーサ１２を介してノズル本体１３が
固着されており、燃料噴射弁５の下半部分及びノ
ズル本体１３は挿入孔３内に上方から挿入され、
ノズル本体の下端縁は燃焼室２内に突出してい
る。ノズル本体１３内のニードル弁１４はコイル
ばね１５により下側ばね受１６を介して下方へ付
勢されており、コイルばね１５の上端は上側ばね
受１７を介して噴射量調節用のロツド１８に係合
している。ロツド１８の上端部は燃料噴射弁５の
上端めねじ部に螺合すると共に、弁腕室１９内に
突出する長頭部１８ａを備えている。ロツド１８
はロツクナツト２０により上下方向の適切な位置
でロツクされる。

燃料噴射弁５の上端部にはＯリング２１を介し
て弁室蓋２２が嵌合し、燃料噴射弁５の上端面に
は環状押え板２５が当接し、押え板２５と蓋２２
との間にはコイルばね２４が装着されており、押
え板２５は燃料噴射弁押え金具２６により下方へ
押し付けられている。即ち押え金具２６及び押え
板２５によつて、燃料噴射弁５を下方へ押え付け
ると同時にコイルばね２４を介して弁室蓋２２を
下方へ押え付けている。２３はパツキングであ
る。なお押え金具２６はボルト２７によりシリン
ダヘツド１の上面に固着されており、また押え金
具２６の先端部分（第１図左端部分）は長頭部１
８ａを挟むようなフオーク形状に形成されてい
る。

燃料噴射弁５の上半部分には高圧管収納室６に
向くおねじ部（高圧管用接続）２８と、コネクタ
１０に対応する下開きの漏油通路用出口孔（漏油
管通路用接続部）２９が形成されており、おねじ
部２８とコネクタ１０は燃料噴射弁５の周囲の空
間部に位置し、出口孔２９はコネクタ１０に嵌合
接続している。おねじ部２８内の燃料通路３０は
燃料噴射弁５内の燃料通路３１を介して、ノズル
本体１３の環状通路２２に連通している。出口孔
２９は通路３３を介して、ロツド１８の外周面と
ロツド挿通孔３４の内周面の間に連通している。
なお出口孔２９はおねじ部２８より第２図の紙面
の裏面側に形成されており、両者２８，２９は同
一平面上（第２図紙面上）で重なつてはいない。

高圧管収納室６には締付管３５が挿入され、締
付管３５内には燃料高圧管３６が挿入され、締付
管３５をおねじ部２８に螺着することにより、内
向フランジ３５ａ及びリング４０を介して燃料高
圧管３６の先端テーパ部３６ａをおねじ部２８の
円錐型受孔２８ａに押し付けている。また締付管
３５の第１図左端部分には外向きフランジ３６ｂ
が形成されており、外向きフランジ３６ｂ部分に
よつてパツキン４３を高圧管収納室用の側蓋４１
に押し付けている。側蓋４１はシリンダヘツド側
端面１ａに図に示していない別のボルトによつて
押し付けられている。側蓋４１の下端部には高圧
管収納室６に連通するドレンホール４２が形成さ
れており、ドレンホール４２はドレンタンクに通
じている。

燃料高圧管３６は燃料噴射ポンプに接続され
る。

漏油通路７のシリンダヘツド側端面部分には逆
止弁本体４５が螺着され、逆止弁本体４５には戻
し管４６が接続されており、戻し管４６は燃料タ
ンクに連通している。逆止弁本体４５は、ボール
４７、弁ばね４８及びばね押えねじ４９からなる
逆止弁機構を備え、漏油通路７から戻し管４６へ
のみ油を通すようになつている。

冷却型ノズル（図示せず）を使用する場合に
は、高圧管収納室６より上側に燃料噴射弁室４か
らシリンダヘツド側端面１ａに至る冷却油管挿入
孔５０を形成し、挿入孔５０内に挿入した冷却油
管５１を燃料噴射弁５の燃料噴射弁室内部分に嵌
合接続し、燃料噴射弁５内の冷却油通路（図示せ
ず）に連通する。

第１図の５５は冷却水ジヤケツト、５６は弁腕
室カバーである。なお弁腕室１９には潤滑油雰囲
気が充満している。

燃料噴射ポンプから燃料高圧管３６に供給され
る燃料は、燃料通路３０，３１を通つて環状通路
３２に送られ、ニードル弁１４の先端部を介して
燃料室２に噴射される。

ばね室１５ａ等燃料噴射弁内部に漏れる燃料
（漏油）は、ロツド１８とロツド挿入孔３４の間
から通路３３、出口孔２９、コネクタ１０及びめ
ねじ孔８を通つて漏油通路７内へ入り、漏油通路
７から逆止弁本体４５内のボール４７を介して戻
し管４６に入り、燃料タンクに戻る。

おねじ部２８や出口孔２９部分から燃料が漏れ
た場合には、漏れた燃料は燃料噴射弁室４から高
圧管収納室６を経てドレンホール４２に流入し、
ドレンタンクへ送られる。即ち弁腕室１９には流
入しない。また冷却油管５１と燃料噴射弁５の接
続部分から冷却油が漏れた場合でも、漏れた冷却
油はドレンホール４２へと流れ、弁腕室１９には
流入しない。

燃料噴射弁５等を取り付ける場合には、まずコ
ネクタ１０をめねじ孔８に螺着しておき、燃料噴
射弁５及びノズル本体１３等よりなる弁ユニツト
を上方から燃料噴射弁室４内に入れると共に下半
部分を挿入孔３に差し込む。このとき出口孔２９
とコネクタ１０は嵌合接続される。これによつて
燃料噴射弁５は中心軸回りの位置決めもされる。
次に弁室蓋２２を燃料噴射弁５に嵌めると共にば
ね２４及び押け板２５を装着し、押え金具２６に
よつて燃料噴射弁５を下方へ押え付けると同時
に、ばね２４を介して蓋２２を押え付ける。

燃料高圧管３６及び締付管３５はシリンダヘツ
ド側端面１ａから高圧管収納室６に挿入され、お
ねじ部２８に接続される。また冷却油管５１はシ
リンダヘツド側端面１ａから挿入孔５０内に挿入
され、受孔５８に嵌合接続される。冷却油管５１
のシリンダヘツド側端面部分は挿入孔５０のめね
じ部分に螺合する。

以上説明したように本発明によると： (1) シリンダヘツド１内に、上端開口状の燃料噴
射弁室４を形成し、燃料噴射弁室４の大きさ
を、燃料噴射弁５の上半部分の周囲に空間部が
存在する大きさとし、燃料噴射弁室４内の上記
空間部に燃料高圧管用接続部と漏油通路用接続
部とを位置させ、弁室蓋２２により弁腕室１９
と燃料噴射弁室４とを隔離し、燃料噴射弁室４
に連通する高圧管収納室６にドレンホール４２
を連通しているので、おねじ部２８や出口孔２
９等の接続部から燃料油が漏れても、それは燃
料噴射弁室４内に流出し、高圧管収納室６及び
ドレンホール４２を通つて排出され、弁腕室１
９内に流入することはない。

従つて弁腕室１９内の潤滑油雰囲気が漏油等
によつて希釈される心配はなくなり、潤滑作用
に悪影響を及ぼす心配がなくなる。即ち機関の
焼付等を確実に防止できる。

(2) 燃料噴射弁室４は余裕をもつて燃料噴射弁５
を収納しうる容積を有していので、おねじ部２
８を有する燃料噴射弁５であつても簡単に燃料
噴射弁室４に収納することができる。即ち燃料
噴射弁５の取付作業に手間がかからない。

(3) 上開きの燃料噴射弁室４の上端部を弁室蓋２
２によつて弁腕室１９から隔離し、しかも燃料
噴射弁５の周囲の空間部に燃料高圧管用接続部
と漏油通路用接続部とを位置させているので、
弁室蓋２２を外すだけで、おねじ部２８等の接
続部分を点検することができる。即ち燃料高圧
管３６を燃料噴射弁５から外すことなく接続部
を点検でき、点検作業が容易になる。

(4) 大きな容積の燃料噴射弁室４を形成するの
で、シリンダヘツド１の軽量化を達成すること
ができる。

(5) 燃料噴射弁室４を弁室蓋２２によつて弁腕室
１９から隔離し、燃料噴射弁室４の大きさを、
燃料噴射弁５の上半部分の周囲に空間部が存在
する大きさとしているので、従来のようにＯリ
ングを介して燃料噴射弁室の内周面と燃料噴射
弁とを直接嵌合する場合に比べ、燃料噴射弁室
４の内周面全体を精密に仕上げ加工する必要は
ない。

従つて鋳造成形のみによつて燃料噴射弁室４
を形成することが可能になり、シリンダヘツド
の製造が容易になる。

しかも燃料噴射弁室４を、燃料噴射弁５の上
半部分の周囲に空間部が存在する大きさとして
いることにより、第１図のように燃料高圧管３
６が当接する円錐型受孔２８ａ及びねじ部２８
によるオーソドツクスな信頼製の高い接続部を
簡単に形成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を適用した内燃機関のシリンダ
ヘツド部縦断面図、第２図は従来例の縦断面図で
ある。 １…シリンダヘツド、４…燃料噴射弁室、５…
燃料噴射弁、７…漏油通路、１９…弁腕室、２２
…弁室蓋、２８，２９…おねじ部、出口孔（接続
部）、３６…燃焼高圧管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダヘツド１内に、燃料噴射弁５を収納
   する上端開口状の燃料噴射弁室４と、該燃料噴射
   弁室４からシリンダヘツド側端部に至る高圧管収
   納室６及び漏油通路７とを形成し、燃料噴射弁室
   ４の大きさを、燃料噴射弁５の上半部分の周囲に
   空間部が存在する大きさとし、燃料噴射弁５の上
   半部分に燃料高圧管用接続部２８と漏油通路用接
   続部２９とを形成すると共に、燃料噴射弁５の周
   囲の上記空間部に、燃料高圧管用接続部２８と漏
   油通路用接続部２９とを位置させ、高圧管収納室
   ６のシリンダヘツド側端面側を閉塞すると共にド
   レンホール４２を接続し、シリンダヘツド１の側
   端面から高圧管収納室６を通つて燃料噴射弁室４
   内に至る燃料高圧管３６と上記漏油通路７を、燃
   料噴射弁室４内で燃料高圧管用接続部２８と漏油
   通路用接続部２９にそれぞれ接続し、燃料噴射弁
   ５の上端部に液密状態に弁室蓋２２を嵌合すると
   共に、弁室蓋２２を燃料噴射弁室４の上部のシリ
   ンダヘツド上端面に固定して、弁腕室１９と燃料
   噴射弁室４と隔離したことを特徴とする内燃機関
   の燃料噴射弁取付構造。