JPS625581Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、空気調和装置等に使用されるフイン
チユーブ形熱交換器に関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来、空気調和装置等における熱交換器として
第１図に示すようなフインチユーブ形熱交換器が
使用されている。すなわち、多数のフイン１ａを
所定間隔ごとに平行に並べて平板フイン群１を形
成し、この平板フイン群１に直角に伝熱管２を多
段にわたつて貫通することによりフインチユーブ
形熱交換器が構成されている。そして空気は各平
板フイン１ａの相互間を矢印方向に流れて、伝熱
管２内の冷媒と熱交換を行う。

ところが、このような熱交換器の平板フイン１
ａの伝熱面上の温度境界層３の厚さは、第２図に
示すように、空気の流入部からの距離の平方根に
比例して増加するので、空気の流入部から離れる
にしたがつて、空気側熱伝達率が著しく低下し、
熱交換器としての伝熱性能が低いという欠点を有
していた。また、このような構造は、第３図に示
すように、伝熱管２の風下側に止水域４が存在す
るために、伝熱性能が悪いという欠点も有してい
た。

また、この従来の熱交換器を蒸発器として使用
した場合、フイン１ａの表面の伝熱管２近傍に凝
縮する水滴は、即座には落下せずフイン１ａの表
面に滞留したままとなつて、空気の通風抵抗を増
加させ、伝熱性能をより低下させるという欠点を
も有していた。

考案の目的 本考案は、上記従来の欠点を解消するもので、
空気側伝熱面における熱伝達率の著しい向上をは
かり、また熱交換器を蒸発器として使用した場合
に、伝熱管近傍のフイン表面に凝縮する水滴の水
切れ性を向上させることを目的とするものであ
る。

考案の構成 本考案のフインチユーブ形熱交換器は、フイン
群の各フインにおける伝熱管群の段方向に延び、
上方延長線上の前記伝熱管近傍において風下側に
迂回し、下方延長線上の前記伝熱管近傍において
風上側に迂回する凹凸条を設け、さらに前記伝熱
管群の段方向の相互間隙部の凹凸条の両側に空気
の流通方向に開口した切り起しを、フインの表裏
面に対して同一の傾斜度および方向となるように
複数設けたものである。

そして、前記凹凸条は空気の流通における乱れ
を促進し、前記伝熱管群の風下側に生じる止水域
を減少させ、前記切り起しは空気の流れにおいて
温度境界層の厚さを薄くし、流通空気の混合およ
び乱れを促進するため空気側熱伝達率が著しく向
上し、さらにこの熱交換器を蒸発器として使用し
た場合においても、前記凹凸条が前記フイン表面
の前記伝熱管近傍に発生する凝縮水の水切れ性を
向上させるため、長時間にわたつて通風性も良好
となり、熱交換性能を向上させることができる。

実施例の説明 以下本考案を、その一実施例を示す第４図およ
び第５図を参考に説明する。ここで、本考案の熱
交換器は基本的に従来のフインチユーブ形熱交換
器と同様の構成をなすものであるが、フインの構
造が従来と異なるものである。

第４図、第５図において、平板フイン１ａは、
一定間隔でバーリングされたフインカラー部１ｂ
を有している。このフインカラー部１ｂには伝熱
管２が挿入される。５は前記フイン１ａにプレス
加工手段等により形成された凹凸条で、矢印方向
に流入する空気の流れと直交する方向、すなわち
伝熱管２の段方向において、隣接する伝熱管相互
間における伝熱管２を段方向に結ぶ直線に沿う直
線部５ａと、直線部５ａの鉛直上方の隣接する伝
熱管２の近傍において空気流れの風下側に迂回す
る風下迂回部５ｂと、直線部５ａの鉛直下方の隣
接する伝熱管２の近傍において空気流れの風上側
に迂回する風上迂回部５ｃとより構成されてい
る。また、伝熱管２の段方向の相互間隙部に、凹
凸条５の直線部５ａを中心として左右に複数個の
切り起し６，７，８が設けられている。

この切り起し６，７，８の一部６は第５図に示
すように、凹凸条５の伝熱管２相互間の直線部５
ａを境として左右に、平板フイン１ａ面に対して
一定の傾斜度および方向になるように平板フイン
１ａの表裏両面に切り起されている。また、残り
の切り起し７，８は平板フイン１ａ面に対して前
記切り起し６と同一傾斜度および方向になるよう
に平板フイン１ａの片面に交互に、切り起し６の
左右に切り起されている。また切り起し６，７，
８は、平板フイン１ａの表裏面側に通風方向に開
口する開口部９，１０を有している。

上記の構成において、平板フイン１ａは、多数
の切り起し６，７，８を設けているため、矢印で
示す空気の流通方向に短いフインが並んだ状態と
なるため、切り起し６，７，８上にそれぞれ形成
される温度境界層の厚さは薄くなる。しかも空気
は開口部９，１０を通つて、一方のフイン間から
他方のフイン間へ流れ込むため、空気流の混合お
よび乱れが促進される。また、凹凸条５の直線部
５ａにより空気の流れが乱される。また、凹凸条
５の風上迂回部５ｃと風下迂回部５ｂに沿つて空
気が流れて、伝熱管２の空気流動の風下側に存在
する止水域を減少させる。そのため、空気側熱伝
達率を大幅に向上させることができる。

さらに、この熱交換器を蒸発器として使用した
場合、平板フイン１ａの表面上の伝熱管２近傍に
発生する凝縮水は、矢印方向の空気流によつて凹
凸条５の風下側迂回部５ｂに導かれた後、凹凸条
５の毛細管現象により速やかに直線部５ｂを通つ
て風上迂回部５ｃへ落下し、風上迂回部５ｃの下
端で矢印方向の空気流動により風下側へ流され
て、風下迂回部５ｂあるいは直線部５ａを流れ落
ちている他の凝縮水と合流して連続的に落下して
いく。このため、水切れ性が向上し、通風抵抗の
増大が抑えられ、また、切り起し６，７，８の開
口部９，１０が凝縮水によつて閉塞されることが
ないので、切り起し６，７，８は、温度境界層の
厚さを薄くする効果や空気を混合する効果を長時
間にわたつて維持することができる。

なお、上記実施例においては、凹凸条５の断面
を第５図に示すように鋭角状としたが、断面が正
弦波状あるいは方形波状となるように凹凸条を形
成しても同様の効果が得られる。また、切り起し
の数は本実施例よりも多くしてもあるいは少なく
しても同様の効果が得られる。

考案の効果 本考案のフインチユーブ形熱交換器は、所定間
隔ごとに平行に並べられ、その各間を空気が流れ
る多数のフインからなるフイン群と、そのフイン
群を多段にわたつて直交しかつ内部を冷媒が通過
する伝熱管群とよりなるフインチユーブ形熱交換
器であつて、前記フイン群の各フインにおける伝
熱管群の段方向の相互間隙部において前記伝熱管
の段方向に延び、上方延長線上の前記伝熱管近傍
において風下側に迂回し、下方延長線上の前記伝
熱管近傍において風上側に迂回する凹凸条を設
け、さらに前記伝熱管群の段方向の相互間隙部の
凹凸条の両側に空気の流通方向に開口した切り起
しを、フイン表裏面に対して同一の傾斜度および
方向となるように複数設けたもので、前記凹凸条
が空気の流通における乱れを促進し、前記伝熱管
群の風下側に存在する止水域を減少させ、また、
前記切り起しが空気の流れにおいて温度境界層の
厚さを薄くし、流通空気の混合および乱れを促進
するため空気側熱伝達率が著しく向上し、さらに
この熱交換器を蒸発器として使用した場合におい
ても、前記凹凸条が前記フイン表面の前記伝熱管
近傍に凝縮する水滴の水切れ性を向上させるた
め、長時間にわたつて通風抵抗の上昇を抑えるこ
とができ、良好な熱交換性能を維持することがで
きるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のフインチユーブ形熱交換器の斜
視図、第２図は同熱交換器のフイン表面における
熱流体特性図、第３図は同熱交換器の伝熱管近傍
における熱流体特性図、第４図は本考案の一実施
例におけるフインチユーブ形熱交換器の要部平面
図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線による断面図であ
る。 １……フイン群、１ａ……平板フイン、１ｂ…
…フインカラー部、２……伝熱管、５……凹凸
条、５ａ……直線部、５ｂ……風下迂回部、５ｃ
……風上迂回部。６，７，８……切り起し。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所定間隔ごとに平行に並べられ、その各間を空
   気が流れる多数のフインからなるフイン群と、そ
   のフイン群を多段にわたつて直交しかつ内部を冷
   媒が通過する伝熱管群とよりなり、前記フイン群
   の各フインにおける伝熱管群の段方向の相互間隙
   部において、前記伝熱管群の段方向に延び、上方
   延長線上の前記伝熱管近傍において風下側に迂回
   し、下方延長線上の前記伝熱管近傍において風上
   側に迂回する凹凸条を設け、さらに前記伝熱管群
   の段方向の相互間隙部の凹凸条の両側に空気の流
   通方向に開口した切り起しを、フイン表裏面に対
   して同一の傾斜度および方向となるように複数設
   けたフインチユーブ形熱交換器。