JPS6254150B2

JPS6254150B2 -

Info

Publication number: JPS6254150B2
Application number: JP1786680A
Authority: JP
Inventors: Sadao Ishikawa; Hiroshi Murakami; Eiki Yorozu
Original assignee: Toshiba Chemical Products Co Ltd
Current assignee: Toshiba Chemical Products Co Ltd
Priority date: 1980-02-18
Filing date: 1980-02-18
Publication date: 1987-11-13
Also published as: JPS56115367A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、ワニスクロスおよびワニスチユーブ
の製造に用いられる布管用電気絶縁ワニスに関す
るもので、そのワニスに１，２，４−トリアゾー
ルまたはその誘導体のアミン塩を添加することに
よつて、ワニスクロス、ワニスチユーブなどと銅
との接触面に発生する青錆を少くすることを目的
とするものである。従来、ワニスクロスは、平滑に整理加工を施し
た綿、合成繊維または無アルカリガラス繊維の
布、不織布などの基材に、油性系、またはアルキ
ツド、エポキシエステル、アクリル、ポリウレタ
ン、シリコーンなどの樹脂系の布管用電気絶縁ワ
ニスを塗布乾燥して製造されるもので、電気機器
類、電線、ケーブルなどの電気絶縁材料として使
用される。また、ワニスチユーブは、艶糸またはナイロ
ン、テトロンもしくはガラス繊維などで編んだス
リーブに、ワニスクロスの場合と同様な布管用電
気絶縁ワニスを塗布乾燥して製造されるもので、
電気機器類の口出線、配線などの絶縁および保護
のために使用される。しかし、従来のワニスを用いたワニスクロスや
ワニスチユーブと接触した銅の表面に、青錆が発
生するという問題があり、その防止法の改善が求
められている。特に、高温多湿にて密閉された環
境下に曝された場合には、顕著な青錆がしばしば
発生する。この青錆は、ワニスクロスやワニスチ
ユーブの絶縁性能を低下させ、電気機器類の電気
的機械的性能を損傷させるのみならず、銅が特に
細線状の導体である場合には、断線事故を誘発す
るなど電気機器類の寿命を左右する重大な問題と
なつていた。この青錆の発生の問題を効果的に防止するため
に、１，２，４−トリアゾールまたはその誘導体
を添加したワニスを用いてワニスクロスやワニス
チユーブを製造することが、すでに提案されてい
る（特願昭54−71851号：特開昭55−164263号公
報）。しかしながら、１，２，４−トリアゾール
またはその誘導体を用いた場合には、一般にワニ
スに含有する溶剤およびワニスの希釈シンナーで
あるアルコール系、石油系、芳香族系溶剤に対し
て溶解性が乏しく、溶解に長時間を要するばかり
でなく、低温下で分離析出し易いなどの欠点があ
つた。本発明者らは、この欠点を解消するため種々検
討した結果、青錆防止剤として、水、アルコール
系、石油系、芳香族系およびケトン系の溶剤に可
溶な１，２，４−トリアゾールまたはその誘導体
のアミン塩を添加した布管用電気絶縁ワニスを用
いてワニスクロスやワニスチユーブを製造するこ
とにより、上記した実用上の欠点を取り除き、か
つ防錆効果を増加できることなどを見出した。も
つとも、本発明はワニスクロスやワニスチユーブ
などに用いられる布管用電気絶縁ワニスである
が、青錆防止剤として１，２，４−トリアゾール
またはその誘導体のアミン塩を添加することは、
含浸用ワニス、仕上用ワニス、接着用ワニスなど
の電気絶縁ワニスにも適用できる。すなわち、本発明は、１，２，４−トリアゾー
ルのアミン塩及び１，２，４−トリアゾール誘導
体のアミン塩からなる群より選ばれた少くとも１
種の化合物を、0.01〜５重量％含有せしめたこと
を特徴とする布管用電気絶縁ワニスである。１，２，４−トリアゾールまたはその誘導体の
アミン塩である化合物は、一般式

【式】又は

【式】で表わされる化合物で、式中、R₁は水素原子、ハロゲン
原子、ニトロ基、スルホン基、ヒドロキシル基、
カルボキシル基もしくは低級アルキル基であり、
またR₂は水素原子、アルキル基、オキシアルキ
ル基、アミノアルキル基、メトキシ基もしくはフ
エノキシ基である。なお、R₁，R₂の基は２種類
以上が複合されたものであつてもよい。１，２，４−トリアゾールのアミン塩および
１，２，４−トリアゾール誘導体のアミン塩から
なる群より選ばれた少くとも１種の化合物は、布
管用電気絶縁ワニスに対して、0.01〜５重量％、
好ましくは0.3〜３重量％を使用して良い結果が
得られる。0.01重量％未満であれば、青錆防止の
効果が少く、５重量％を超えれば絶縁性能などに
悪影響があり、0.3〜３重量％を使用すれば他の
性能ともバランスのとれたものとなるからであ
る。勿論、電気絶縁ワニスの種類やワニス濃度
（不揮発分）を考慮してその使用量を増減させる
ことができる。本発明が適用できる電気絶縁ワニスの化学的組
成は、油性系、もしくはアルキツド、エポキシエ
ステル、アクリル、ポリウレタン、シリコーンな
どの樹脂系のワニス、またはこれらの変性ワニス
のいずれでもよく、布管用電気絶縁ワニスとして
用いることのできる化学的組成のものに適用する
ことができる。また、本発明の思想は、電気機器
類に用いられる青錆の発生のおそれがあるエマル
ジヨン塗料、ラテツクス塗料、水溶性塗料、クリ
アラツカー塗料などにも適用できる。なお、本発明の布管用電気絶縁ワニスには、顔
料、染料、タルク、シリカ粉末、マイカ粉末、カ
ーボン、難燃剤、界面活性剤、乾燥剤、その他の
電気絶縁ワニスの添加剤を添加しても何ら問題を
生じない。１，２，４−トリアゾールまたはその誘導体の
アミン塩を、布管用電気絶縁ワニスに含有せしめ
るには、固体塩を微粉末にしてそのまま、あるい
は分散媒に分散せしめたものを、または塩の溶液
を添加混合すればよく、また支障がなければワニ
ス反応時に添加することもできる。本発明の布管用電気絶縁ワニスは、青錆防止剤
の溶解性が高く、溶解が短時間ですみ、ワニスへ
の分散が均一で、低温にしても分離析出し難いと
いう利点がある。そして、本発明の布管用電気絶
縁ワニスによつて製造したワニスクロスやワニス
チユーブなどを用うれば、それに接触した銅の青
錆の発生は、高温多湿にて密閉された環境下に曝
された場合でも抑制されて、ワニスクロスやワニ
スチユーブの絶縁性能の低下、電気機器類の電気
的機械的性能の損傷、口出線の断線事故などがな
く、電気機器類の寿命をのばすことができる。以下実施例を比較例と対比して、本発明を具体
的に説明する。部とあるのは重量部である。比較例１シナキリ油230部、亜麻仁油のスタンド油100部
およびギルソナイト180部を230℃で反応をすす
め、ワニスの250℃熱板上におけるゲル化時間が
20秒になつた時点で反応を止める。その後冷却し
て、ターペン200部、工業ガソリン250部および乾
燥剤（ナフテン酸マンガン溶液）５部を加えてワ
ニスを得た。比較例２ロジン変性フエノール樹脂40部、シナキリ油
170部および亜麻仁油480部を260℃で反応をすす
め、ワニスの200℃熱板上におけるゲル化時間が
19秒になつた時点で反応を止める。その後冷却し
て、ターペン200部、工業ガソリン600部および乾
燥剤（ナフテン酸マンガン溶液）6.5部を加えて
ワニスを得た。比較例３ヤシ油脂肪酸180部、イソフタル酸185部および
グリセリン117部を180〜240℃で反応をすすめ、
酸価が６になつた時点で反応を止める。その後冷
却して、ソルベントナフサ１号290部、工業ガソ
リン100部、J820スーパーベツカミン樹脂（大日
本インキ化学工業(株)ブチル化メラミン樹脂）185
部および乾燥剤（ナフテン酸鉛溶液）9.7部を加
えてワニスを得た。比較例４ヤシ油脂肪酸170部およびエピコート＃1004
（シエル石油化学社製エポキシ樹脂）280部を200
〜240℃で反応をすすめ、酸価が4.5になつた時点
で反応を止める。その後冷却して、キシロール
250部、工業ガソリン250部、J820スーパーベツカ
ミン樹脂（前出）220部および乾燥剤（ナフテン
酸亜鉛溶液）２部を加えてワニスを得た。実施例１比較例１で得たワニス100部に、１，２，４−
トリアゾール・トリエタノールアミン塩0.5部を
加え、撹拌混合したところ、容易に均一透明なワ
ニスを得た。このワニスと、１，２，４−トリア
ゾールを同様に加えたワニスとを、０℃恒温槽中
に３日間放置したところ、１，２，４−トリアゾ
ールのワニスは分離析出がみられたが、このワニ
スには異常がなかつた。実施例２比較例２で得たワニス100部に、１，２，４−
トリアゾール・ジエタノールアミン塩0.8部を加
え、撹拌混合したところ、容易に均一透明なワニ
スを得た。このワニスも０℃恒温槽中に３日間放
置して異常がなかつた。実施例３比較例３で得たワニス100部に、メチル−１，
２，４−トリアゾール・エチレンジアミン塩1.0
部を加え、撹拌混合したところ、容易に均一透明
なワニスを得た。このワニスも０℃恒温槽中に３
日間放置して異常がなかつた。実施例４比較例４で得たワニス100部に、メチル−１，
２，４−トリアゾール・ジエタノールアミン塩
1.5部を加え、撹拌混合したところ、容易に均一
透明なワニスを得た。このワニスも０℃の恒温槽
中に３日間放置して異常がなかつた。以上実施例１〜４と比較例１〜４で得たワニス
を用いて、各種基材のワニスクロス（基布厚さ
0.05〜0.07mm、仕上り厚さ0.07〜0.12mm）および
ワニスチユーブ（径６mm）を作成し、銅の青錆の
試験などを行つた結果を第１表に示す。

【表】第１表に示す試験の方法は次の通りである。 (1) 絶縁破壊電圧 JIS C2120「電気絶縁用ワニ
スクロス類試験方法」およびJIS C2119「ワニ
スチユーブ類試験方法」に準ずる。 (2) 銅の青錆の試験 (a) ワニスクロスでは、第１Ａ図に示すよう
に、予め15mm巾に切断したワニスクロステー
プ１を３mm×10mm×100mmの平角銅線２の中
央80mmの長さの間に、1/2ラツプ２回重ね巻
きを行なつて試験片とする。試験は、第２図
に示すように、試験片６を１ガラスビーカ
ー８の中の架台９の上に載せ、10ｇの水１０
を入れ、アルミホイル１１にて密閉した状態
で、80〜90℃の恒温箱中に７日間保つ。その
後にワニスクロステープの剥離を行ない、銅
線表面が青色（又は緑色）に変色しているか
どうかをしらべる。 (b) ワニスチユーブでは、第１Ｂ図に示すよう
に、径６mm、長さ100mmの銅棒３を80mmの長
さのワニスチユーブ４に挿通し、ワニスチユ
ーブの両端を径0.3mmの銅線５にて締ばり、
試験片７とする。試験は(a)項に示すのと同様
である。第１表にみるように、本発明の実施例１〜４の
ワニスを使用したワニスクロスおよびワニスチユ
ーブは、いずれも比較例の対応するものと比較し
て、銅の青銅の発生が無く、絶縁破壊電圧も良好
である。以上の結果から、ワニスクロスおよびワ
ニスチユーブにより発生する銅の青錆を防止する
方法として、予め使用する布管用電気絶縁ワニス
に１，２，４−トリアゾールまたはその誘導体の
アミン塩を添加することが、極めて優れた方法で
あることがわかる。

【図面の簡単な説明】

第１Ａ図は、銅の青錆の試験に用いたワニスク
ロスの試験片を示す斜視図、第１Ｂ図は、同様な
ワニスチユーブの試験片の斜視図である。第２図
は、銅の青錆の試験装置を示す概念図である。

Claims

【特許請求の範囲】１１，２，４−トリアゾールのアミン塩及び
１，２，４−トリアゾール誘導体のアミン塩から
なる群より選ばれた少くとも１種の化合物を、
0.01〜５重量％含有せしめたことを特徴とする布
管用電気絶縁ワニス。２化合物を、油性、アルキツド、エポキシエス
テル、アクリル、ポリウレタン、若しくはシリコ
ーン系ワニス、又はこれらの変性ワニスに含有せ
しめた特許請求の範囲第１項記載の布管用電気絶
縁ワニス。