JPS6253660B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、建物躯体内にトイレ室、洗面化粧室
等を区画したり、或いは建物躯体内を複数個の室
に区画したりする場合のこれらの室の吊天井構造
に関するものであり、構造法の分類では壁式構造
法に属し、また施工法の分類では乾式工法に属す
る技術である。

〔従来の技術〕 建築物の構造方式には、壁面や床（スラブ）等
の平面的な構造体のみで構成する壁式構造法と、
柱や梁を主体として構成する軸組方式とがある。
壁式構造法には、壁式鉄筋コンクリート造・コン
クリートブロツク造等が含まれ、一般的に剛性の
高い建築物が得られる。また壁式構造法にあつて
は、施工法によつて、現場にて型枠内に配筋して
コンクリートを打設し、壁面やスラブ等を構成す
る湿式工法と、予めコンクリートパネルやタイル
パネル等の壁面構成体を製造しておき、現場にて
これを連結することで壁面やスラブ等を構成する
乾式工法とがある。乾式工法は、工期の短縮化や
現場での施工作業の簡略化が図れることで、湿式
工法に比較して優れている。一方、軸組方式に
は、木造・鉄骨造等が含まれ、一般には中層以上
の建築物を構築する場合に用いられている。

本発明は、既に構築された建物躯体内にトイレ
室、洗面化粧室等を区画するに際し、壁式構造法
を採用し、壁面はもとより天井をも乾式工法で構
築せんとするものである。

従来の一般的な壁式構造法における天井構造
は、湿式工法により壁面やスラブ等を構築し、ス
ラブ等から天井を吊下げる方式が採用されてい
る。この従来の吊天井方式を示せば、第１図及び
第２図の通りである。同図に示すように、従来の
場合は、コンクリート打設時にスラブ７の下面へ
インサート１を適宜間隔で埋設し、このインサー
ト１から吊ボルト２を吊下げている。そして、こ
の吊ボルト２へ吊金物３を連結し、更に該吊金物
３へ野縁受け４を係止させ、野縁連結金物５を介
して野縁６を取り付けている。従来の場合は、上
述の如くしてスラブ７から吊下げた野縁６へ、石
膏ボード等の天井板８を取り付け、天井９を構築
するものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、このような従来の壁式構造法におけ
る吊天井構造にあつては、コンクリート打設時に
多数のインサート１を配設する必要があり、その
作業が面倒であつた。またインサート１の配設位
置を間違うと、野縁受け４を支持する吊金物３が
直線状に並ばなくなり、野縁受け４の支持間隔が
長くなることがあつた。このため、十分な支持強
度が得られない場合があつた。更には、コンクリ
ート打設時に、上記インサート１が型枠から外れ
て移動する場合があり、前記と同様の欠点を有し
ていた。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は従来の吊天井構造の上記欠点に鑑み、
これを改良除去したものであつて、建物躯体内を
区画する場合に、壁式構造法を採用し、壁面はも
とより吊天井をも乾式工法にて構築せんとするも
のである。

而して、前記問題点を解決するために本発明が
採用した手段は、所定形状に枠組みしたフレーム
の正面にタイルパネルを固着し、少なくともフレ
ームの上端縁側に上記タイルパネルの非貼着部を
設けたタイルパネル構成体を連結して構築したタ
イルパネル壁面と、対向する一組のタイルパネル
壁面の上方フレーム間に連結固定される軽量形鋼
等の壁面連結部材と、該壁面連結部材に掛止され
た引掛け金物と、該引掛け金物に吊ボルト及び吊
り金物を介して取り付けられた野縁受けと、該野
縁受けに野縁連結金物を介して取り付けられた野
縁と、該野縁に取り付けられた天井板とより成
り、前記壁面連結部材はタイルパネル壁面の近傍
位置及び中間位置に配置されており、前記天井板
の端縁は前記非貼着部におけるタイルパネルの上
端面に当接配置されている。

〔作 用〕

乾式工法により、タイルパネル構成体を用いて
タイルパネル壁面を構築し、対向する一組のタイ
ルパネル壁面の上方フレーム間に壁面連結部材を
連結し、該壁面連結部材から天井を吊下げてい
る。従つて、乾式工法により天井をも構築するこ
とが可能であり、しかも従来の吊天井構造に用い
る金具類をそのまま使用することができ、別途専
用の連結金具等が不要である。

〔実施例〕

以下に本発明の構成を図面に示す実施例に基づ
いて説明すると次の通りである。尚、従来の場合
と同一符号は同一部材である。

第３図乃至第６図は、本発明に用いるタイルパ
ネル構成体１０の製造過程を示すものである。タ
イルパネル構成体１０の製造は、先ず、上方フレ
ーム１１ａ、下方フレーム１１ｂ及び中間フレー
ム１１ｃと、縦フレーム１１ｄ，１１ｅ，１１ｆ
より成る軽量形鋼等のフレーム１１を所定形状に
枠組みし、枠組みされたフレーム１１上に石綿セ
メント板、金属板及び合成樹脂板等の不透水性の
基板１２をビス（図示せず）等で固着している。
そして、該基板１２上に多数のタイル１３を配列
貼着し、タイルパネル構成体１０を製造する。そ
の場合にあつて、フレーム１１の上下端縁部側に
は、それぞれ基板１２とタイル１３の貼着されな
い非貼着部１４，１５を形成する。なお、基板１
２と該基板１２上に貼着されたタイル１３とは、
通常、総称してタイルパネルと呼ばれている。

このようなタイルパネル構成体１０は、自立設
置が可能であり、また既に構築された建物躯体内
をトイレ室や洗面化粧室或いは複数個の室等に自
由に区画することが可能である。しかも、その場
合の建て込み作業は、タイルパネル構成体１０の
前面側から、つまり室内側から順次構築でき、建
物躯体との間に作業用のスペース等が不要であ
る。建て込みは、先ず構築を予定するタイルパネ
ル壁面に対応して建物の床面に、第７図の如く、
断面コ字状のランナー部材１６をその開口部１７
が天井面に対向するように適宜の方法で固定し、
固定されたランナー部材１６の任意のコーナー部
から開始する。コーナー部の建て込みは、第８図
に示すように、タイルパネル構成体１０の下端縁
部側の非貼着部１５（下方フレーム１１ｂ側）を
コーナー部のランナー部材１６へ内嵌めする。そ
して、断面コ字状で且つ平面視した場合にＬ字状
の連結部材１８を、両壁面のタイルパネル構成体
１０，１０の上端縁部側非貼着部１４，１４（上
方フレーム１１ａ，１１ａ）へ嵌合させる（第９
図参照）。最後に上記連結部材１８上へ補強用の
平板２０を熔接等により、固定する。

これにより、コーナー部のタイルパネル構成体
１０，１０は仮建て込み状態となり、一応自立す
ることが可能である。しかしながら、未だタイル
パネル構成体１０，１０の固定は下十分であるの
で、その下端縁部は、ランナー部材１６とフレー
ム１１，１１とを、またその上端縁部は、フレー
ム１１，１１と連結部材１８とをそれぞれビス等
で締結する。

しかる後は、構築を予定する壁面の一方側から
直線部の建て込みを開始する。直線部の建て込み
は、第９図に示す如く、上記コーナー部のタイル
パネル構成体１０に続いて新たなタイルパネル構
成体１０を準備し、その下端縁部側の非貼着部１
５（下方フレーム１１ｂ側）をランナー部材１６
へ嵌め込む。そして、このような状態からタイル
パネル構成体１０，１０の上端縁部側の非貼着部
１４，１４（上方フレーム１１ａ，１１ａ）に、
断面コ字状で且つ直線状をなす長尺の連結部材１
９を嵌め込み、その下端縁部側にあつては、ラン
ナー部材１６と新たに配置したタイルパネル構成
体１０のフレーム１１とを、ビス等で締結する。
また上端縁部側にあつては、タイルパネル構成体
１０，１０のフレーム１１，１１と連結部材１９
とをビス等で締結すればよい。あとは上述と同要
領で順次タイルパネル構成体１０を連結し、タイ
ルパネル壁面を構築する。

本発明は、上述のようにして壁式構造法におけ
る乾式工法にて建て込まれたタイルパネル構成体
１０を利用し、吊天井構造をも乾式工法にて構築
せんとするものである。

吊天井の構築は、第９図及び第１０図に示すよ
うに、先ず対向する一組のタイルパネル壁面Ａ，
Ｂと直交する方向のタイルパネル壁面Ｃ，Ｄの近
傍にあつて、該壁面Ｃ，Ｄ（尚、第９図では壁面
Ｄの図示を省略する）と平行する方向のフレーム
１１上方へチヤンネル鋼等の壁面連結部材２１を
準備する。そして、壁面連結部材２１の前後端側
をコーナー部の補強用平板２０に載置し、第１１
図に示す如く、ボルト２２で固定する。壁面連結
部材２１の長手方向途中にあつては、振れ止め板
２３を上面に備えてなる断面Ｆ字状の連結金物２
４を、直線部の連結部材１９へ外嵌して壁面連結
部材２１の振れ止めを行う。次にタイルパネル壁
面Ａ，Ｂの中間部にあつて、直線部の連結部材１
９に、断面Ｆ字状の連結金物２５を外嵌する。そ
して、チヤンネル鋼等の壁面連結部材２６を上記
連結金物２５上に載置し、第１２図に示す如く、
ボルト２２等で固定する。

これにより、壁面連結部材２１，２６で対向す
るタイルパネル壁面ＡおよびＢの補強をすること
が可能である。

このようにして、タイルパネル構成体１０の上
端側にあつて、壁面Ｃ，Ｄの近傍及び壁面Ａ，Ｂ
の中間部に壁面連結部材２１，２６を固定した後
は、直交する壁面どうしの連結補強を行う。この
補強は、第９図、第１０図および第１３図に示す
ように、先ず壁面Ｃ，Ｄ近傍の壁面連結部材２
１，２１の途中下面に連結用の平板２７を熔接等
の手段で固定する。そして、該平板２７と、壁面
連結部材２６，２６のそれぞれ前後端を連結する
ための断面Ｆ字状の連結金物２５との間へ、斜め
壁面連結部材２８を架け渡してボルト２２で固定
すればよい。

これにより、連結強度に優れたタイルパネル壁
面Ａ乃至Ｄを得ることが可能である。

しかる後は、第１４図及び第１５図に示すよう
に、壁面連結部材２１，２６に引つ掛け金物２９
を係止し、該金物２９の下端側に吊ボルト２を吊
設する。そして、以後は従来の場合と同要領で、
天井９を構築すればよい。すなわち、上記吊ボル
ト２に吊金物３を連結し、該吊金物３へ野縁受け
４を係止させ、更にこの野縁受け４へ野縁連結金
物５を係止させる。そして、上記野縁連結金物５
へ野縁６を嵌合させ、該野縁６へ石膏ボード等の
天井板８を固着すればよい。なお、天井板８の端
縁は、第１５図に示す如く、タイルパネル構成体
の非貼着部におけるタイルパネル（基板１２及び
タイル１３）に当接しており、室内側から吊天井
金具類が一切見えることはない。

尚、区画する室の形状や種類及び設置数、壁面
連結部材２１，２６の設置数及び設置間隔等は、
上記実施例のものに限定されるものではなく、適
宜の変更が可能である。

〔発明の効果〕

このように、本発明の吊天井構造は、予め枠組
み形成された軽量形鋼等のフレームと、基板と、
タイルとより成るタイルパネル構成体のフレーム
上端面側にボルトで固定した壁面連結部材から天
井を吊設するものである。従つて、従来のように
コンクリート打設時にスラブ下面へインサートを
埋設する必要がなく、型枠へインサートを配列し
て固定する等の面倒な作業を省略できるものであ
る。すなわち、タイルパネル構成体を利用してい
るので、壁面の構築はもとより吊天井をも乾式工
法で構築することができ、工期のより一層の短縮
化及び施工作業の簡略化が図れる。また上記壁面
連結部材はタイルパネル壁面どうしの連結強度を
補強するものであり、壁面全体の強度アツプが図
れる。更には、壁面連結部材は、対向する一組の
タイルパネル壁面と直交する方向のタイルパネル
壁面と平行して該壁面の近傍位置にも配されてい
るので、壁面連結部材に平行なタイルパネル壁面
側での天井のタレ下がりがない。また天井を吊下
げる金具類は、その殆どが従来のものを使用で
き、別途専用の金具類を多数製作する等の手間が
不要である。更にまた、天井板はタイルパネル構
成体の非貼着部におけるタイルパネルの上端面に
当接しており、室内側へ吊天井金具類等が全く露
出しないので、非常に見栄えの良い天井となる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の吊天井構造を示すも
ので、第１図は天井壁面を下方から見た部分断面
斜視図、第２図は天井壁面の縦断面図、第３図乃
至第６図は本発明に利用するタイルパネル構成体
の構造要領を説明するためのもので、第３図は枠
組みしたフレームの正面図、第４図はタイルパネ
ル構成体の側面図、第５図はタイルパネル構成体
の斜視図、第６図はタイルパネル構成体の上端面
を示す平面図、第７図及び第８図はタイルパネル
構成体の建て込み要領を説明するためのもので、
第７図はランナー部材の設置例を示す斜視図、第
８図はコーナー部の建て込み状態を示す斜視図、
第９図乃至第１５図は本発明に係る吊天井構造の
構築要領を説明するためのもので、第９図は壁面
連結部材及び斜め壁面連結部材の取付状態を示す
斜視図、第１０図は同平面図、第１１図は対向す
るタイルパネル壁面と直交する方向のタイルパネ
ル壁面近傍に配設される壁面連結部材の前後端側
の取付状態を示す縦断面図、第１２図は中間部に
配設される壁面連結部材の前後端側の取付状態を
示す縦断面図、第１３図は斜め壁面連結部材の取
付状態を示す縦断面図、第１４図及び第１５図は
吊天井構造の縦断面図である。 １１……フレーム、１２……基板、１３……タ
イル、１０……タイルパネル構成体、１４……上
端縁部側の非貼着部、２１，２６……壁面連結部
材、２９……引つ掛け金物、２……吊ボルト、３
……吊金物、４……野縁受け、５……野縁連結金
物、６……野縁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 所定形状に枠組みしたフレームの正面にタイ
   ルパネルを固着し、少なくともフレームの上端縁
   側に上記タイルパネルの非貼着部を設けたタイル
   パネル構成体を連結して構築したタイルパネル壁
   面と、対向する一組のタイルパネル壁面の上方フ
   レーム間に連結固定される軽量形鋼等の壁面連結
   部材と、該壁面連結部材に掛止された引掛け金物
   と、該引掛け金物に吊ボルト及び吊り金物を介し
   て取り付けられた野縁受けと、該野縁受けに野縁
   連結金物を介して取り付けられた野縁と、該野縁
   に取り付けられた天井板とより成り、前記壁面連
   結部材はタイルパネル壁面の近傍位置及び中間位
   置に配置されており、前記天井板の端縁は前記非
   貼着部におけるタイルパネルの上端面に当接配置
   されていることを特徴とするタイルパネル構成体
   を利用した吊天井構造。