JPS6253323B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は構築物、建築物等の基礎杭として主に
磨擦杭として用いられる節付コンクリート杭の製
造用型枠に関する。

従来、基礎杭として用いられているコンクリー
ト杭の製造においては、半割直円筒状の成形用型
枠と、駆動軸と従動軸を並設するとともに該両軸
上にそれぞれローラを配設した回転遠心装置とを
用い、前記の型枠を回転遠心装置のローラ上に乗
載し、回転遠心装置による回転作用によつて型枠
を回転させ、型枠内に充填したコンクリート材料
に遠心力を起成せしめ、予め装填された鉄筋篭等
の芯材と一体のコンクリート杭を成形するもので
ある。

しかるに、製造すべきコンクリート杭が所要間
隔ごとに節部を有する所謂節付杭である場合に
は、型枠自体にも所要間隔ごとに節部成形部分を
設ける必要があるが、円筒状型枠に外方へ膨出し
た節部成形部分を設けた従来の型枠形態のもので
あると、これを上記のごとき回転遠心装置に用い
た場合には膨出形状をなす前記節部成形部分の存
在のために回転時のバランスが崩れ易くなり、材
料分離を起成したり杭体が歪弱になる等の問題が
生じた。殊に前記のごとき形態の型枠はその製作
に手数がかかりコスト高となる上、Pc杭を製造
する場合には膨出した節部成形部分の屈曲部に応
力が集中し易く、従つて強度保持のために厚肉に
しなければならない等の欠点があつた。

本発明は、上記に鑑み、製作容易にして安価で
かつ強度保持に好適なしかもバランスよく良好な
回転遠心成形を行なえる節付コンクリート杭の製
造用型枠を提供すべくなしたものであり、半割円
筒状型枠の内側に節部成形部分と胴部成形部分を
構成する内型枠を組込んだことを特徴とする。

次に本発明の実施例を図面に基いて説明する。
１′，１′は円筒を長手方向に二等分した横断面半
円形状の一対の半割型であり、この一対の半割型
１′，１′にて分割開閉可能な半割円筒状型枠１が
構成されている。即ち前記半割型１′，１′の各接
合端部外側に係合フランジ２，２がそれぞれ延設
され、その所要個所をボルト、ナツト等の締結具
３にて締結自在に設けられている。

４は節部成形部分４ａと胴部成形部分４ｂとを
長手方向所要間隔ごとに構成する内型枠であつ
て、強化プラスチツクその他主として硬質の合成
樹脂、ゴム等により上記円筒状型枠１に相応した
半割円形に分割形成するとともに、全長にわたつ
て同外径にして胴部成形部分４ｂを厚肉ブロツク
状となし、外周全面を円筒状型枠１に内接するよ
う設けている。この内型枠４は、第１図のように
節部成形部分４ａと胴部成形部分４ｂとを全長に
わたつて交互に連続して形成する場合のほか、第
３図または第４図のように各節部成形部分４ａで
各胴部成形部分４ｂごとの複数体に分離形成して
おくことができる。第３図の場合は節部成形部分
４ａの外周面部１４ａの中央で分離成形してお
り、第４図の場合は外周面部１４ａを省略するこ
とにより胴部成形部分４ｂごとのブロツクに分離
形成している。この場合各ブロツク４１は一の胴
部成形部分４ｂとその一端または両端の節部成形
部分４ａの側面部２４ａとを含み、相隣るブロツ
ク４１，４１の側面部２４ａ，２４ａと円筒状型
枠１の内面とで節部成形部分４ａが構成される。

何れの実施例においても、内型枠４の半割体
４′，４′をそれぞれ円筒状型枠１の半割型１′，
１′の内側に内接するよう嵌込み、接着剤使用あ
るいは熱溶着その他の接着手段により固設するほ
か、図示するように胴部成形部分４ｂの厚肉ブロ
ツク状を利用して長手方向および周方向の所要間
隔ごとに円筒状型枠１の外側からボルト５をもつ
て締結固定している。

上記のほか、第５図のように内型枠４の半割体
４，４を円筒状型枠１の半割型１′，１′に嵌込む
とともに、この半割体４′の合せ面を押えるよう
に半割型１′，１′の接合端部内側に突起８，８を
設けて固定している。前記の突起８，８は長さ方
向に連続状に設けるほか所要間隔に設けることが
できる。また突起８，８の部分でボルト締着する
こともできる。

図中、６は回転動力を受ける受動輪であり、円
筒状型枠１の外側において半割型１′，１′に相応
した半割状をなしている。この受動輪６は図示す
る実施例のように節部成形部分４ａ，４ａ間の略
中央位置に配設するほか、節部成形部分４ａ相当
位置等の回転バランスの良い位置に配設しておく
ことができる。

本発明は上記の構成よりなり、これにより節付
コンクリート杭を成形するに際しては、予め円筒
状型枠１および内型枠４を分割開口して内部に鉄
筋篭等の芯材を装填するとともに、セメント、砂
利、水等を混練してなる所定量のコンクリート素
材を充填し、しかる後円筒状型枠１を内型枠４共
ども閉合締結しておき、また同時に型枠両端部に
円形状蓋７，７を嵌着しておく。そしてこの状態
の型枠Ａを第６図および第７図のように回転遠心
装置上に受動輪６の個所で受支するように載置
し、公知の方法で回転遠心成形を行ない、さらに
成形後の蒸気養生、硬化および脱型等を従来と同
様に行なつて、節付コンクリート杭Ｐを製造する
ものである。

しかして本発明に係る型枠Ａは、全長にわたつ
て同一径の単なる半割円筒状型枠１と節部成形部
分４ａおよび胴部成形部分４ｂを構成する内型枠
４とを組合せてなるものであるから、その構造上
外側の円筒状型枠１に鉄材を使うことによつて遠
心成形時や運搬時等に必要な所定の強度を該型枠
１に負担させることができ、内型枠４には本発明
のごとく鉄材に比べ軽量で比較的強度の低い強化
プラスチツク等合成樹脂、ゴム等にて形成するこ
とが製作上可能となり、極めて経済的である。特
にその内型枠４は胴部成形部分４ｂを肉厚にして
外周全面を円筒状型枠１に内接せしめているの
で、これが合成樹脂やゴム製であるにも拘らず、
充填コンクリートによる内部荷重を充分に支え得
る耐圧力を確保でき、遠心成形上全く支障が生じ
ないものである。しかも内型枠４が合成樹脂製で
あるがゆえに、節部、胴部を異形に成形したもの
であつても内型枠としては比較的軽量で、型枠Ａ
としての軸方向即ち長さ方向の重量バランスは鉄
材よりなる外側の円筒状型枠１で定まりかつバラ
ンスがとれており、このことと節部成形部分４ａ
が円筒状型枠１内にあつて外方へ張出していない
こととが相まつて、回転遠心成形時の安定性つま
りは回転バランスが外方へ膨出した節部成形部分
を有する従来形態の型枠に比して良好となり、振
れ等が生じ難く良好な遠心成形が行なえる。それ
ゆえ節部末端にまでコンクリート素材を確実に充
填でき、材料分離を起成したり杭体が歪弱になる
おそれがなく、強靭な良品質の節付コンクリート
杭を製造することができる。

また円筒状型枠１と内型枠４とを組合せた本発
明の型枠Ａは、軸心方向の圧縮強度に特に強く、
節付コンクリートPc杭を製造する場合に特に好
適なものである。即ち、外方へ膨出した節部成形
部分を有する異径断面の型枠ではその両端部より
Pc鋼材緊張時圧縮力が作用すると型枠屈曲部の
応力集中により座屈が生じるおそれがあるが、本
発明の場合には全長にわたつて同一径の鉄製円筒
状型枠１が上記圧縮力を負担するので座屈のおそ
れがなく、又合成樹脂製等の内型枠４の圧縮力の
負担が小さく、かつFRP等の合成樹脂、ゴム等
では弾性が大きく、外側の円筒状型枠の変形（圧
縮力による縦歪）に容易に追随する。

さらに内型枠４は、胴部成形部分４ｂを厚肉に
して外周全面を円筒状型枠１に内接させるように
した形態上、接着手段により固設することも、ま
た前記厚肉を利用してボルト締結により固定する
ことも容易である。特にボルト締結した場合にお
いては、組立て、分解および運搬等の取扱いに便
利であり、また内型枠４を複数体に分離形成した
場合には形状の決つた単体を大量に生産すること
ができコストを安くする利点があり、前記操作が
一層容易で製作し易すく、内型枠４が磨耗損傷し
た場合その個所の単体だけを取換えることができ
経済的である。また一の円筒状型枠１に対し径の
異なる数種の内型枠４を製造すべき節付コンクリ
ート杭に応じて組込み固定することができ従来型
枠に比べ軽量で便利である。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すものであり、第１図
は縦断側面図、第２図は前図―線における断
面図、第３図および第４図は他の実施例を示す縦
断側面図、第５図はさらに他の実施例を示す横断
面図、第６図は回転遠心成形時の状態を示す一部
欠截平面図、第７図は同横断面図、第８図は製造
すべき節付コンクリート杭を例示する斜視図であ
る。 １…半割円筒状型枠、１′，１′…半割型、４…
内型枠、４ａ…節部成形部分、４ｂ…胴部成形部
分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 分割開閉可能な半割円筒状型枠の内側にこれ
   に相応した半割円形をなしかつ節部成形部分と胴
   部成形部分とを構成する内型枠を組込んだ型枠で
   あつて、内型枠は胴部成形部分を厚肉に形成して
   外周全面を円筒状型枠に内接せしめてなることを
   特徴とする節付コンクリート杭の製造用型枠。 ２ 内型枠が強化プラスチツクその他の合成樹
   脂、ゴム等よりなる特許請求の範囲第１項記載の
   節付コンクリート杭の製造用型枠。 ３ 内型枠の半割体をそれぞれ円筒状型枠の半割
   型に接着手段により固設してなる特許請求の範囲
   第１項または第２項記載の節付コンクリート杭の
   製造用型枠。 ４ 内型枠の半割体がそれぞれ円筒状型枠の半割
   型にボルト締結手段により固定してなる特許請求
   の範囲第１項または第２項記載の節付コンクリー
   ト杭の製造用型枠。 ５ 内型枠を各節部成形部分で複数体に分離形成
   してなる特許請求の範囲第１項、第２項、第３項
   または第４項記載の節付コンクリート杭の製造用
   型枠。