JPS6251998B2 - - Google Patents

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JPS6251998B2
JPS6251998B2 JP59064228A JP6422884A JPS6251998B2 JP S6251998 B2 JPS6251998 B2 JP S6251998B2 JP 59064228 A JP59064228 A JP 59064228A JP 6422884 A JP6422884 A JP 6422884A JP S6251998 B2 JPS6251998 B2 JP S6251998B2
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JP
Japan
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heat treatment
pitch
phenols
mesophase
pitches
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JP59064228A
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JPS60208394A (ja
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Mitsuaki Matsumoto
Norio Tomioka
Hirofumi Sunago
Masatoshi Furuyama
Masakazu Higuchi
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Priority to US06/717,069 priority patent/US4631181A/en
Priority to DE8585302226T priority patent/DE3568796D1/de
Priority to EP85302226A priority patent/EP0157615B1/en
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Publication of JPS6251998B2 publication Critical patent/JPS6251998B2/ja
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  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は炭素繊維やニードルコークス等の高級
炭素材を製造するための原料ピツチの改質法に関
するものである。
従来技術 炭素繊維やニードルコークス或はそれを使用し
た人造黒鉛電極などの炭素製品は、黒鉛類似の結
晶構造を持つことにより、ヤング率および電気伝
導度などの機械的、電気的特性に優れた性能を発
現する。
一般に炭素製品を製造するには、ピツチ類を熱
処理または抽出などの方法によつて軟化点、分子
量などを調節してまず炭素製品用ピツチとなし、
これを繊維などの所要の形状に成形してから、炭
化あるいは黒鉛化する方法を経るのが普通であ
る。
ピツチ類を原料としてこれら炭素製品を製造す
る過程において、一般的にはピツチ類を加熱して
ゆくと等方的な液体の中から光学異方性の液晶質
のいわゆるメソフエース球晶が発生し、それが成
長、合体、変形しながらメソフエースの量が増大
し、500〜600℃での炭素六角網目の積層を持つ黒
鉛類似の微結晶子の集積状態を経て、更に高温で
処理するにつれて網面が発達し、巨大結晶に成長
してゆく。これら炭素製品を構成する組織成分の
結晶を発達させて黒鉛構造に近ずけるには、炭素
製品用ピツチの状態から分子が高い光学的一軸配
向性を持つていなければならない。
例えばピツチ系炭素繊維の製造においては、炭
素繊維用ピツチ中の分子が溶融紡糸過程で繊維軸
方向に高度に配向し得るかどうかが焼成後の炭素
繊維の結晶の成長度や配向度を大きく支配する。
従つて、求められる炭素繊維用ピツチは分子群が
規則的に配向しているメソフエースピツチであつ
て、且つ流動性を有するものであると言うことが
出来る。この様な要求は、人造黒鉛質炭素製品の
原料としての共通した要求である。
ところで、炭素製品用ピツチ中の分子群の規則
性、配向性は一般的に芳香族平面分子が大きくな
る程、またメソフエースの含有量が多くなる程強
まるが、通常はそれにつれて軟化点が高くなり流
動性が低下し、加工性が劣つてくる。炭素繊維の
製造においては、メソフエースの含有量が100%
近くなると、紡糸過程での流動が困難となつた
り、流動性を維持するために紡糸温度を高めるピ
ツチが一部分解する様な問題が生じてくる。
従つて、メソフエースピツチであつて且つ軟化
点の低いピツチ、換言すれば同じ軟化点でもメソ
フエース含有量の高いピツチを与える炭素製品用
ピツチの製造方法が求められている。この様なメ
ソフエースとしての流動性が大きい優れたピツチ
は、ピツチ類の熱処理過程でメソフエースが球晶
として発生した後もメソフエースの球体同志が容
易に合体して大きなドメインの合体構造を形成し
或はメソフエースが連続相を形成し易いものであ
る。これらのメソフエースピツチの特性を評価す
る方法の1つとしてメソフエースピツチのキノリ
ンなどの溶剤に対する溶解度の程度も炭素製品用
ピツチを評価する指標となつている。
代表的なメソフエースピツチの製法は、たとえ
ば特公昭54―1810号公報に記載されているよう
に、等方性ピツチを400℃で17時間加熱するもの
であり、これによつて約50%のメソフエースが形
成される。しかし、この方法で得られたメソフエ
ースは、ほぼすべてがキノリンあるいはピリジン
に不溶であり、このためメソフエースピツチの軟
化点が高く、紡糸が困難になる問題点があつた。
これに対して、キノリン可溶性のメソフエース
を含むメソフエースピツチは、軟化点が低いため
紡糸が容易になる利点があり、近年高性能炭素繊
維に好適の原料として注目を集め、その製造法に
ついての研究が積極的に行なわれている。キノリ
ン可溶性のメソフエースを含むメソフエースピツ
チの製造法に関する先行技術には次の様なものが
ある。
特開昭54―160427号公報では、等方性ピツチを
溶媒で抽出し、その不溶分を230〜400℃に加熱す
ることによつて、キノリン可溶性のメソフエース
を得ている。この発明者は、これをネオメソフエ
ース、加熱前の溶媒不溶分をネオメソフエース生
成画分(NMF画分)と呼んでいる。さらに一連
の特許において、NMF画分の増量、NMF画分分
離法の改良等を提案している。(特開昭55―58287
号、特開昭55―130809号、特開昭55―144087号、
特開昭56―2388号、特開昭56―109807号、特開昭
56―167788号、特開昭57―2393号各公報参照) 特開昭54―55625号公報では、等方性ピツチを
380〜430℃で撹拌しながら不活性ガスを通じて熱
処理し、ピリジン可溶性のメソフエースを含むメ
ソフエースピツチを得ている。この方法の加熱時
間は、2〜60時間である。
特開昭56―57881号公報では、ピツチに溶媒抽
出などの物理的操作を加えることによつて、ピリ
ジン可溶性のメソフエースを含むメソフエースピ
ツチを得ている。
特開昭56―101915号では、エチレンタールなど
のピツチ前駆物質を400〜550℃で加圧熱処理した
のち、不活性ガスを通じて大気圧下に熱処理する
ことによつて、ピリジン可溶性メソフエース含有
メソフエースピツチを得ている。この場合の熱処
理条件は、特開昭54―55625号公報に記載の条件
と同様であり、加熱時間が長い問題点を有する。
特開昭58―18421号公報では、ピツチをテトラ
ヒドロキノリン又は、触媒の存在下キノリンと水
素によつて340〜450℃で処理した後、50mmHg以
下の圧力下に450℃以上の温度で60分間以内熱処
理することによつてプリメソフエースと呼ぶ等方
性ピツチを得、これを用いて高性能の炭素繊維を
得ることが述べられている。
本発明58―154792号公報では特定のピツチを熱
処理してメソフエースピツチを得る方法が、又特
開昭55―15769号公報では石油残渣油を水素処理
し、これを加圧下に加熱処理して高純度の石油ピ
ツチを得ている。
上述した様に、公知技術は、メソフエースピツ
チを製造する際に、抽出等の特別の処理が必要で
あつたり、多量の特殊なガスを用いたり、工程が
複雑、処理時間が長い、原料が特殊である等の問
題があつた。
又、特開昭58―185612号公報、特開昭58―
185613号公報では多核芳香族炭化水素をAlCl3
び有機アミン酸塩の混合物と反応させることによ
つてメソフエースピツチを得ているが、AlCl3
の特殊な試薬を使用する結果、これを除去するた
めの特別の手段が必要である。
発明の目的 本発明は上記従来技術の問題点を解決する全く
新しいメソフエースピツチの製造方法を提供する
ものである。
発明の構成および作用 本発明の構成はピツチ類をフエノール類の存在
下に250℃以上の温度で5分以上1次熱処理した
のち、メソフエースを生成させる2次熱処理を行
うことからなる炭素製品用メソフエースピツチの
製造方法であつて、次の実施態様を有するもので
ある。
(1) フエノール類存在下で行われる1次熱処理が
加圧下で行われること。
(2) ピツチ類に対してフエノール類を2重量%以
上添加し、1次熱処理温度が300℃以上で加圧
下で5分以上行われること。
(3) ピツチ類とフエノール類との1次熱処理が、
塩基性物質の触媒作用下で行われること。
(4) 2次熱処理が未反応のフエノール類を分離除
去したのちに行なわれること。
(5) 炭素製品用メソフエースピツチがメソフエー
スを40%以上含む炭素繊維用ピツチであるこ
と。
以下本発明の詳細を述べる。
本発明者等は上述した従来技術に代る高性能な
炭素製品用ピツチの製造について種々検討した結
果、ピツチ類にフエノール類を添加して1次熱処
理したのち、さらに2次熱処理することにより高
性能の炭素製品用に適したメソフエースピツチが
得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明でいうメソフエースとは、冷却固化した
ピツチを、表面を研磨して反射偏光顕微鏡を用い
て観察することにより決定できる光学的に異方性
を示す組織を指す。又メソフエースピツチ中のメ
ソフエースの含有量は、この様にして観察して認
められる異方性組織の割合をさす。
メソフエースは、炭素、No.116、P35(1984)
に記述されているように“分子群は規則的に配向
しているが、流動性を有し、且つ溶融解、再析出
等の可逆的相変化が可能な液晶状態”である。従
つてメソフエースピツチは高温ではその一部或は
全てが等方性組織に転換している可能性もある
が、高温での組織の観察は非常に難しく明確なこ
とはわかつていない。
従来フエノール類とピツチ類との反応や熱処理
については全く研究されていない。フエノール類
はピツチの原料であるコールタールや石炭液化油
等に含まれているが、これらの重質残渣であるピ
ツチ類を製造する際には、このフエノール類はカ
セイソーダなどの薬品を使つて予め除去してしま
うか、蒸留過程で軽質油側に追い出してしまうの
が常法であり、従つてピツチ中にほとんどフエノ
ール類は存在しない。
ピツチ類は炭素製品用原料として専ら用いられ
ているが、原料中の酸素は硫黄などとともに炭素
製品の黒鉛化を阻害するものと考えられており、
この点からもフエノール類は意識的に除去するの
が通例の炭素製品用ピツチの製造方法である。
極端な例として、フエノール類を原料として合
成されるフエノール類アルデヒド樹脂は、難黒鉛
化性炭素質の典型的な原料であるとされている
(大谷杉郎、真田雄三:炭素化工学の基礎P.117、
1980年オーム社)。
このようにフエノール類との熱処理は、黒鉛類
似の構造を要求される炭素製品用原料の製造手段
としては、常識的には全く考えられない事であ
る。
本発明者等は、この様な常識に反してピツチ類
と各種化合物との熱処理について詳細に検討を重
ねた結果、ピツチ類とフエノール類とを1次熱処
理し、次いでメソフエース化するまで2次熱処理
すればピツチ類を単独に熱処理する場合に比較し
て非常に異なつた優れた性質のメソフエースピツ
チが得られることを見出したのである。
本発明でいうピツチ類とは、重質石炭液化油、
石油蒸留残渣油、石油分解残油、コールタールな
どの瀝青質類から製造したピツチ留分を指す。こ
れら瀝青質類からは通常フエノール類やナフタリ
ン類などの軽質油を除去して、軟化点約25℃以上
のピツチが製造される。
本発明で言うフエノール類とは、フエノール、
クレゾール、キシレノール等の一価フエノール、
レゾルシン、ヒドロキノン等の2価フエノール、
ヒドロキシヒドロキノン等の多価フエノール等の
フエノール性水酸基を有する化合物である。
ピツチ類とフエノール類との1次熱処理は、
250℃以上好ましくは300℃〜550℃の間で5分間
以上加熱して行なわれる。250℃より低温では効
果がない。また高温になるとピツチ類のコークス
化反応が激しくなり好ましくない。
1次熱処理はフエノール類が封じ込められるこ
とが必要であり、従つて自生圧以下の加圧下で行
なわれる。この圧力は用いられるフエノール類の
沸点が低い場合は臨界圧を超えることもある。
1次熱処理の効果は次のようにして知ることが
出来る。即ち、1次熱処理を行なつた後、さらに
ピツチ類を2次熱処理することにより、ピツチ中
にメソフエースが生じる。熱処理を強化するに従
い、メソフエースの量は増加し、遂にはコークス
化する。この間メソフエースの含有量が多くなる
に従いメソフエースピツチの軟化点は高くなる
が、第1図に示すようにフエノール類とともに1
次熱処理したピツチ類から得られるメソフエース
ピツチの軟化点は、同一のメソフエース含有量で
は、フエノール類と1次熱処理したものから得ら
れたピツチの方が約10℃〜60℃低い。またフエノ
ール類と1次熱処理を行なつた場合とそうでない
場合の、メソフエースが連続相を形成したメソフ
エースピツチの反射偏光顕微鏡による組織観察を
行なつたところ、フエノール類との1次熱処理を
行なつたピツチから得られるメソフエースの方
が、同一メソフエース含有量で比較すると、メソ
フエース中のドメインが大きい。
換言すると、積層の欠陥が少ないことがわか
る。
以上のことからフエノール類存在下での1次熱
処理を行なつたピツチを、さらに2次熱処理して
生じるメソフエースは、フエノール類と1次熱処
理をさせていないピツチを熱処理して生じるメソ
フエースより流動性が高いことがわかる。
ピツチ類とフエノール類とを1次熱処理すると
何故上述の様な効果があるのかは、ピツチの加熱
反応がフエノール類が存在することにより特異な
ものとなつている事が考えられるが、詳細につい
ては、まだ明らかに述べることは出来ない。
ピツチ類とフエノール類とを1次熱処理した
後、2次熱処理して得られるメソフエースピツチ
の軟化点の低下は、フエノール類の添加比率によ
つて変る。第1図はコールタールピツチにフエノ
ールの添加比率を変えて1次熱処理を行なつたピ
ツチを2次熱処理したメソフエースピツチのメソ
フエース含有量70%における軟化点を比較したも
のであるが、フエノール類のわずかな添加でもか
なりの軟化点の低下が生じることがわかる。
さて、メソフエースピツチの軟化点の低下によ
る効果は、ピツチから炭素繊維を製造する場合に
顕著に現われる。ピツチ系炭素繊維は、先づピツ
チを溶融紡糸することによつて行なわれるが、通
常ピツチの紡糸は軟化点より20〜60℃高い範囲で
行なわれる。紡糸温度が高温になると、ピツチの
一部が熱分解を起こしてガスが発生したり、コー
キングを起こすようになる。従つて紡糸温度には
自ずと限界があり、その温度は、380℃〜400℃程
度である。他方ピツチから製造した炭素繊維が弾
性率などで優れた物性を示すには、紡糸ピツチ中
のメソフエース含有量が多くなければならないと
されており、含有量は40%以上、好ましくは60%
以上が望ましい。
本発明により、メソフエース含有量が、高くな
るまでピツチ類を熱処理しても、フエノール類と
の1次熱処理を行つたものは、行なわない場合に
比較して数度〜数10度も軟化点を低くできる。従
つて高いメソフエース含有量の炭素繊維用ピツチ
を紡糸できることになり、高品質の炭素繊維を製
造するのに極めて有利となる。この様な効果を発
現せしめるには、フエノール類の添加量はピツチ
類に対して2重量(wt)%以上が望ましい。ま
た1次熱処理は加圧下に5分以上が好ましい。
ピツチ類とフエノール類との1次熱処理におい
て触媒を使用することは一層効果的である。触媒
としては苛性アルカリ、炭酸アルカリ、タール塩
基類等などの塩基性物質が有効である。触媒の使
用により同一効果を得るための1次熱処理の処理
温度の低下、処理時間の短縮、フエノール類の添
加比率の削減が図れる。
また1次熱処理後のメソフエース化のための2
次熱処理は、未反応のフエノール類を除いてから
行なう。
これには蒸留や抽出の方法があるが、一般にフ
エノール類とピツチ類との沸点差が大きいので蒸
留が有利である。
なお、通常2次熱処理は、常圧または減圧下あ
るいは不活性ガス吹込み下に高温で行なわれるの
で、1次熱処理後引き続いて2次熱処理をしても
フエノール類は自然に留去しうる。
2次熱処理には公知の方法を使用することがで
きる。例えば、減圧下で350〜500℃で加熱する方
法、不活性ガスのブローイングを行ないながら
350〜500℃で加熱する方法、加熱処理を施した後
減圧蒸留又は不活性ガスのブローイングを行なつ
て軽質分を除去して軟化点とメソフエース含有量
を増加させる方法等がある。いづれの方法におい
ても必要とするメソフエース含有量の炭素製品用
ピツチを与える条件、例えば、熱処理温度、熱処
理時間、減圧度或は不活性ガス量等を当業者は、
容易に実験的に求めることができる。典型的には
400℃以上の温度で0〜60分間、50Torr以下の圧
力で2次熱処理することにより、メソフエースピ
ツチを得ることが出来る。
粗原料ピツチ類中のキノリン不溶性物質等は、
一般に生成した炭素製品用ピツチの品位を低下さ
せる。特に炭素繊維用の場合は、紡糸過程でノズ
ルを閉塞する原因となるなど好ましくない。本発
明においてもその用途に応じて粗原料であるピツ
チ中のキノリン不溶性物質等を除去することが必
要であるが、除去処理はフエノール類との1次熱
処理を行う前、又は1次熱処理後のいづれでも良
い。除去には、キノリンや各種溶剤を用いる溶剤
抽出、溶融濾過、遠心分離等公知の方法を使用す
ることができる。
本発明のメソフエースピツチを用いて、炭素繊
維やニードルコークス等の高級炭素製品を、公知
の方法でつくることができる。
例えば、炭素繊維は、メソフエースピツチを軟
化点より20〜60℃高い温度で溶融紡糸を行い、つ
いでこれを空気や酸素等の雰囲気中で酸化不融化
し、その後これを不活性雰囲気中で1000〜2000
℃、又は引続いて2000℃以上3000℃まで加熱する
ことにより、炭素繊維又は黒鉛化繊維を得ること
ができる。
本発明のメソフエースピツチは、メソフエース
含有量が高い割には軟化点が低いので、溶融紡糸
の際、低い温度で紡糸が出来て、コーキングを起
さず、安定して高品質の炭素繊維を容易に得るこ
とができる。
以下に実施例を示すが、メソフエース含有量は
面積基準であり、他は特に記していない限り部数
及び百分率は重量基準で記載した。
実施例 1 軟化点82℃、トルエン不溶分11%、キノリン不
溶分0%のコールタールピツチ100部とフエノー
ル100部とをオートクレーブに仕込み、内部の空
気をN2ガスで置換した後容器を密閉し、375℃で
90分間1次熱処理した。この時の圧力は20Kg/cm2
Gであつた。1次熱処理終了後軽質油分を300
℃、10Torrで留去した。
この1次熱処理ピツチを、450℃、15分間、
4Torrで2次熱処理してメソフエースピツチを得
た。このメソフエースピツチの反射偏光顕微鏡写
真を第2図に示す。第3図に示す比較例のものと
比べるとメソフエースのドメインが大きくなつて
いることがわかる。
実施例 2 軟化点82℃、TI11%、QI0%のコールタールピ
ツチ100部とフエノール100部をオートクレーブに
仕込み、内部の空気をN2ガスで置換した後容器
を密閉し、375℃で90分間1次熱処理した。この
時の圧力は23Kg/cm2Gであつた。
1次熱処理終了後300℃、10Torrで減圧蒸留
し、軽質留分を留去し、1次熱処理したピツチを
得た。
この1次熱処理ピツチを470℃、8分間、
6Torrで2次熱処理してメソフエースピツチを得
た。このメソフエースピツチの原料に対する収率
は9%で、軟化点353℃、メソフエース含有量は
ほぼ100%であつた。このメソフエースピツチを
380℃に加熱して直径0.5mmのノズルから押出して
ボビンに巻取り12μの太さのピツチ繊維を得た。
このピツチ繊維を2500℃にて焼成した黒鉛化系
のヤング率は47T/mm2と高い値を示した。
実施例 3 軟化点82℃、TI11%、QI0%のコールタールピ
ツチ100部、クレゾール5部と触媒として苛性カ
リ0.05部をオートクレーブに仕込み、内部の空気
をN2ガスで置換した後、密閉して320℃で20分間
保持して1次熱処理した。この時の圧力は8Kg/
cm2Gであつた。1次熱処理終了後冷却して処理物
を取出し、軽質分を除去することなくそのままフ
ラスコに移し、470℃、5分間、4Torrで2次熱
処理を行ないメソフエースピツチを得た。このメ
ソフエースピツチは原料のコールタールピツチに
対して10%の収率で軟化点330℃、メソフエース
含有量は80%であつた。このメソフエースピツチ
を375℃に加熱して直径0.5mmのノズルから押出
し、ボビンに巻取つて10μの太さのピツチ繊維を
得た。
この繊維を2500℃にて焼成した黒鉛化系のヤン
グ率は40T/mm2と優れた値を示した。
比較例 1 実施例1で用いたコールタールピツチを、フエ
ノール類を添加することなく1次熱処理を行な
い、他の条件を実施例1と同様にして2次熱処理
における処理時間を変えて、種々のメソフエース
ピツチを得た。
第3図はそのうちの第2図と同程度のメソフエ
ース含有量を持つものの反射偏光顕微鏡写真であ
る。
比較例 2 実施例2,3で用いたコールタールピツチを、
1次熱処理することなく実施例1,2と同条件で
2次熱処理したところ、実施例2の条件では熱処
理中にコーキングを起した。
又、実施例3の条件では軟化点384℃、メソフ
エース含有量は90%であつた。そこで2次熱処理
温度を450℃、圧力4Torrで処理時間を変えてメ
ソフエースピツチを製造し、メソフエース含有量
を実施例1,2と同じほぼ100%、80%にしたも
のを製造した。軟化点はそれぞれ395℃、372℃で
共に紡糸することが出来なかつた。
発明の効果 以上詳述したように、本発明は従来全く考えら
れなかつたフエノール類存在下にピツチ類の一次
熱処理を行い、次いで2次熱処理を行うことによ
り、性能のすぐれた炭素製品用メソフエースピツ
チを製造する方法を提供するもので、産業上極め
て大きな価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、1次熱処理におけるフエノール添加
量と2次熱処理後のメソフエースピツチ(メソフ
エース含有量70%)の軟化点との関係図である。
第2図は、フエノール類を使つて1次熱処理を行
ない、さらに2次熱処理をして得られたメソフエ
ースピツチの反射偏光顕微鏡による組織写真であ
る。第3図は、フエノール類を添加することなく
1次熱処理を行ない、さらに2次熱処理を行なつ
て得られたメソフエースピツチの反射偏光顕微鏡
による組織写真である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ピツチ類をフエノール類の存在下に250℃以
    上の温度で5分以上1次熱処理したのち、メソフ
    エースを生成させる2次熱処理を行なうことから
    なる炭素製品用メソフエースピツチの製造方法。 2 フエノール類存在下に行なわれる1次熱処理
    が加圧下に行なわれる特許請求の範囲第1項記載
    の製造方法。 3 ピツチ類に対してフエノール類を2重量%以
    上添加し、1次熱処理が300℃以上で加圧下に5
    分以上行なわれる特許請求の範囲第1項記載の製
    造方法。 4 ピツチ類とフエノール類との1次熱処理が、
    塩基性物質の触媒作用下に行なわれる特許請求の
    範囲第1項記載の製造方法。 5 2次熱処理が未反応のフエノール類を分離除
    去したのちに行なわれる特許請求の範囲第1項記
    載の製造方法。 6 炭素製品用メソフエースピツチがメソフエー
    スを40%以上含む炭素繊維用ピツチである特許請
    求の範囲第1項記載の製造方法。
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