JPS6249571B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、薄板の平面曲げ疲労試験装置に関す
るものである。

従来、薄板を対象とした平面曲げ疲労試験装置
には種々の型式のものが発表されているがこれら
はいづれも機構上の制約があつて、与え得る変位
が小さく、厚さ１mm以下の薄板の疲労破断に必要
な大変位を設定することができないという難点が
あつた。

本発明は、上記問題を解決するため偏心カムを
回転させて試験片に押し当てられたロールに繰返
し往復動作を与えることにより試験片に大変位を
与えるようにされた平面曲げ疲労試験装置を提供
するものである。本装置は片振り又は両振りいず
れでも可能であり、更に試験応力及び繰返し速度
を任意に広範囲に調整することもできる。

本発明による薄板平面曲げ疲労試験装置の一具
体例を第１図に示す。第１図に示すように、試験
片１０は上下端を夫々固定治具２及び１１によつ
て取り付けられ、その中間位置を上下一対の両端
を軸受で支持されたガイドロール７によつて保持
されている。又、試験片１０にはスプリング１２
によつて予じめ所定の引張力を与えることができ
る。試験片の中央には一対の応力ロール３が両面
を挾んで押し当てられているがこの応力ロール３
は減速装置４内の軸に取り付けられ偏心カム５と
連動するようになつている。偏心カム５は減速装
置４を介して可変モータ６によつて駆動される。
偏心カム５の回転数（即ち試験片１０に作用する
応力又は変位の繰返し回数）は装置本体フレーム
１５上に設けられた近接スイツチ１４によつて検
出されカウンタ１でカウントされる。又、試験片
１０の破断はリミツトスイツチ１３によつて検知
され直ちに可変モータ６の運転を停止するように
なつている。なお、９はモータリレーである。

本実施例の疲労試験装置は以上のような構成に
なつており、この構成から分るように試験片１０
には偏心カム５の長径と短径の差の変位を与える
ことができる。

この場合、試験片１０は大変位を与えても試験
片１０の長さはほとんど変化しないから、固定治
具１１の位置が必然的に上下動し、試験片１０と
応力ロール３およびガイドロール７の相対位置は
変化するが、各ロール３，７は試験片１０の動き
につれて回転するため、試験片１０とロール３，
７との間に相対すべりが発生することはない。

又試験片に作用する繰返し曲げ応力の大きさは
試験片面に当接された応力ロール３の直径によつ
て決まる。即ち、第２図のように応力ロール３に
よつて試験片に大きな変位が与えられたとき応力
ロール３の当接する点の曲げ応力σは次のように
計算できる。

１／ｒ＝Ｍ／ＥＩ ………(1) Ｉ／Ｚ＝ｔ／２ ………(2) ∴σ＝Ｍ／Ｚ＝Ｅｔ／２ｒ ………(3) ただしｒは応力ロールの半径、ｔは試験片の板
厚、同じくＥは縦弾性係数、Ｉは断面二次モーメ
ント、Ｚは断面係数又、Ｍは試験片中央部の曲げ
モーメント、σは曲げ応力であり、応力ロールに
接触する面で圧縮、その反対の面で引張りとな
る。

このように応力ロール３の直径が決まれば生ず
る曲げ応力は与えられる変位には無関係である。
従つて第４図の実施例に示す如く異つた直径の応
力ロールを使用すれば試験片に作用する引張り曲
げ応力と圧縮曲げ応力を任意に選択することがで
きこれにスプリング１２による初期張力を組み合
せることによつて更に広範囲の応力条件に対応で
きる。尚、偏心カム５の回転数すなわち応力又は
変位の繰返し回数は可変モータ６によつて任意に
調整することができる。

本試験装置による試験片セツト要領及び試験要
領は次の通りである。試験条件（即ち、片振りか
両振りか、最大曲げ応力、平均応力、応力振幅、
繰返し速度等の大きさ）が与えられると、先ず応
力条件から応力ロール３の直径、初期張力を決定
し、又片振りにするか、両振りにするかによつて
偏心カム５の初期回転角（試験片を取り付けた時
のカムの回転位置）を選択する。（第３図参照）
片振りの場合には、第３図においてカム５の外周
上の点ＣをＯ−O′線に合わせた状態で試験片１
０を取り付ければ良い。その時の変位δはδ＝
−である。又、両振りの場合には
ＯＡ−ＯＣ／２＝となるように外周上の点Ｂを予め Ｏ−O′び線に合わせて試験片１０を取り付け
る。

尚、はカムの長径、は短径又Ｏ点はカ
ムの回転中心O′点は応力ロール３当接点と変位
零の線との交点である。

こうして偏心カム５の初期回転位置を定めた後
試験片１０を固定治具２，１１によつて取り付け
スプリング１２によつて試験片１０に所定の引張
力を加え選定された応力ロール３を試験片面に取
り付ける。試験片１０のセツトが完了したら可変
モータ６を作動させて偏心カム５を回転させると
偏心カム５の動きと連動して応力ロール３は繰返
し往復動作を行ないこの応力ロール３に当接した
試験片１０には往復動作に見合つた変位が繰返し
与えられる。この変位の繰返し回数は近接スイツ
チで検出されカウンタ１でカウントされる。

或る繰返し回数を経過した後試験片１０が疲労
破断した場合、その破断に伴う試験片１０の動き
をリミツトスイツチ１３で検知し、直ちに可変モ
ータ６停止させて試験は完了する。

以上述べたように本発明の試験装置によると従
来の装置では難しかつた大変位の薄板平面曲げ疲
労試験が可能となり、しかも偏心カムの初期回転
位置を選定することによつて片振り又は両振りの
いずれの試験も可能である。

又、繰返し曲げ応力及び繰返し速度が自由に選
択、調整できるので広範囲の試験条件に適合した
試験片が可能である。

勿論、常温、大気中での試験に止まらず別途装
置を付加すれば腐食疲労試験、熱疲労試験など各
種環境条件下での試験にも充分適用できる。

本発明の薄板平面曲げ疲労試験装置を試作して
実施したSUS304H（幅20mm×長さ168mm×厚さ
0.1mm）材の繰返し曲げ疲労試験結果を次に示
す。

試験条件は片振り（Ｏ−TENSION）、繰返し
速度＝60Hz 一定、応力レベルは４種類として
従つて応力ロールは直径ｄ＝15、20、22.5、25φ
mmのものを使用した。第５図には夫々の応力ロー
ル直径に対応する曲げ応力（公称応力）の関係を
示す。（ただし初期張力Ｔ＝Ｏとする） 試験で求めた曲げ応力と破断までの繰返し数の
関係（以下Ｓ−Ｎ曲線と称す）を第６図に、破断
後の疲労試験片の外観写真及び破面写真を参考図
ａ，ｂ，ｃに夫々示す。これらの写真から分かる
ように試験片破面には明瞭な縞模様が認められる
ので試験片には正しく繰返し応力が作用している
ことが証明できるし、又本試験装置によつて得ら
れたＳ−Ｎ曲線から見ても、本発明装置が薄板平
面曲げ疲労試験に充分適用できるものと判断され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による薄板平面曲げ疲労試験
装置の一具体例である。第２図は、応力負荷の機
構図を示したものである。第３図は、試験片の取
付要領を示す図である。第４図は異径ロールによ
る応力負荷の機構図を示したものである。第５図
は、応力ロールの直径と公称応力との関係を示し
たものである。第６図は、本発明装置の試験より
得られたＳ−Ｎ曲線の一例である。 １：カウンタ、２，１１：固定治具、３：応力
ロール、５：偏心カム、７：ガイドロール、１
０：試験片、１４：近接スイツチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 架台と、架台の上下部にそれぞれ固定されて
   試験片を固定する固定治具と、上下の固定治具の
   間にあつて試験片の上下方を表裏からささえる位
   置に固定された２対のガイドロールと、試験片の
   長手方向中央部を表裏から挾み試験片に垂直な方
   向に移動可能な１対の応力ロールと、応力ロール
   の軸を試験片に垂直な方向に往復移動させる偏心
   カムと、偏心カム軸を回転させる減速器と、減速
   器を回転させる駆動手段と、試験片の横方向の往
   復回数を計数記録するカウンタとを具備する薄板
   平面曲げ疲労試験装置。