JPS6248798B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は蒸気タービンを使用する例えば発電プ
ラントに設けられ、復水器から冷却塔へ復水を送
水する復水装置に関する。

〔発明の技術的背景〕

従来の蒸気タービンを使用する発電プラントの
設備は、大量の冷却水を確保するため、海あるい
は河川のそばに建設されていた。ところが例えば
地熱蒸気を利用して発電する地熱発電設備のよう
に、蒸気の出る場所が山奥で、海、河から遠く離
れている場合は、冷却水を得る手段として冷却塔
が多く利用されている。そしてこの冷却水の水源
としては、蒸気タービンを廻した地熱蒸気を復水
器で復水にしたものを有効に利用している。

第１図は従来の復水装置である。冷却塔１は温
水を塔上部から降らし、蒸発熱を奪い冷却して冷
却水を造る装置である。この冷却水は復水器冷却
水管２を通して復水器４に送水し、ノズル２０か
ら棚２１に向つて放出し、蒸気タービン１３を廻
して発電機１４運転に使われた蒸気を冷却して復
水にするのに供される。尚、復水器４内の２２は
ガイドである。冷却水量は冷却水調整弁３により
タービン負荷に合せた適正流量にコントロールさ
れる。蒸気タービン１３から出た蒸気は復水器４
にて復水にされ、ホツトウエルポンプ５にて復水
ライン２４により冷却塔１へ送られて再利用され
る。ホツトウエルポンプ５の復水ライン２４の前
記ポンプ５吐出側には復水器４の水位にて吐出量
を制御する復水器水位調整弁８がついており、水
位の低下によりホツトウエルポンプ５がキヤビテ
ーシヨンを起こすのを防いでいる。また水をポン
プにて昇圧する際に発生する水温度上昇（特にポ
ンプ効率の悪い少流量域で大きい）事故を防止す
るため、必要最小流量を流す復水再循環配管６が
あり、ホツトウエルポンプ５と復水器水位調整弁
８との間からとり出し、復水器４へ再循環させて
いる。こを復水再循環配管６には復水器再循環調
整弁７がついており、復水器水低位で開き、水を
復水器４へ戻し、ホツトウエルポンプ５のキヤビ
テーシヨンを防いでいる。蒸気中には不擬縮性の
ガスが含まれており、特に地熱蒸気の場合はこれ
が多いのであるが、これらを逆止弁２５を介して
復水器４外へ排出しないと復水器４を真空にして
動作させることが出来ない。この蒸気中の不擬縮
性ガスを連続的に排出するのがガス抽出機で、近
ごろは効率の良いガスコンプレツサ１０が採用さ
れている。このガスコンプレツサ１０は流量が少
なくなるとサージ現象域に入つてしまうため、サ
ージ防止用に最小流量を流す再循環ライン１１が
あり、流量を検知して高温ガス再循環調整弁１２
を開くことにより、復水器４へ戻している。

次に上記の復水装置内の各機器が、運転の際に
どのように機能するかについて説明する。

発電プラントの運転では、まず冷却水を循環す
ることにより始まる。水は全く初めての運転以外
の通常運転時は、冷却塔１内および復水器４に残
つている。冷却塔１と復水器４とは通常同一レベ
ルに設置されるため、水を復水器４へ流す方法と
しては、復水器４内を真空にすることにより得ら
れる大気圧との圧力差約10ｍを利用する方法がと
られる。一方、水が冷却塔１から復水器４へ流れ
ると、復水器４の水位は上がるが、冷却塔１は空
になる。従つて、このシステムとしての不連続を
防止するため、ホツトウエルポンプ５を運転して
おいて、復水器４の水位上昇と共に、連続的に水
を冷却塔１へ送ることが必要となる。このように
冷却水を循環するには、まずホツトウエルポンプ
５を運転する。ホツトウエルポンプ５を運転して
復水器４レベルが下がると復水器水位調整弁８が
閉まり、復水再循環調整弁７が開くため、復水器
４とホツトウエルポンプ５との間で再循環運転の
状態になる。つぎにガスコンプレツサ１０を運転
し、復水器４内の空気を逆止弁２５を介して外部
へ排出する。空気が排出されるにつれ復水器４内
は真空になつてゆくが、同時にガスコンプレツサ
１０を通過する流量も小量となる。従つて、高温
ガス再循環調整弁１２が開き、復水器４へ空気を
再循環し、必要最小流量を確保する。この際の再
循環空気は、ガスコンプレツサ１０にて圧縮され
た吐出ガスであり、高温になつているため、復水
器４の構成部材を局部的に変形させ、損傷を与え
ると同時に、ガスコンプレツサ１０の吸込空気の
比容積を大きくし、性能低下を招く。この現象は
冷却水が冷却塔１から復水器４へ流れ、冷却効果
の出る迄の間に起こる。復水器４が真空になる
と、運転員が冷却水調整弁３を開け、冷却水をノ
ズル２０から復水器４に入れ、復水器水位を上昇
させる。すると、復水再循環調整弁７が閉じ、復
水器水位調整弁８が開いて、水は冷却塔１へ流
れ、冷却水の流れがつながる。この状態にしてか
ら、蒸気タービン１３に蒸気が流されて発電機１
４を運転し、発電が始まつてゆくことになる。

〔背景技術の問題点〕

このように、今迄のプラントにおいては、復水
器４内の真空が形成された後に冷却水が復水器４
へ入り、冷却水源が確保されるまでの間は、ガス
コンプレツサ１０の再循環ライン１１からの高温
ガスによる悪影響があるという欠点があつた。ガ
スコンプレツサ１０が起動し、冷却水源が確保さ
れる迄の時間は、運転員が操作する時間を入れて
数十分程度の短時間であるが、上記悪影響は無視
できず、解決を迫られていた。

〔発明の目的〕

本発明はガスコンプレツサから吐出される高温
ガスを再循環ラインから復水器内に吐出する際に
水を混ぜて低温にし、信頼性の高い復水装置を提
供することを目的とする。

〔発明の概要〕

本発明においては、ホツトウエルポンプの復水
再循環調整弁の下流の復水器との間の復水再循環
配管から分岐し、ガスコンプレツサの高温ガス再
循環ラインに接続する冷却水管を設けることによ
り、高温ガスを再循環ラインから復水器内に吐出
す際に水を混ぜて低温にするものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の一実施例について、第２図を参
照して説明する。なお第２図において第１図と同
一部分には同一付号を付して説明を省略する。

本実施例においては、復水再循環調整弁７の下
流から復水再循環配管６を分岐して、ガスコンプ
レツサ１０の高温ガス再循環ライン１１の復水器
４への入口４ａ直前の配管部分１１ａに接続する
冷却水管１５を設け、なお、その冷却水管１５の
途中には冷却水の流量を制限する流量制限装置で
あるところのオリフイス１６を設ける。他は第１
図に示した従来例の通りである。

次に作用について説明する。

先に従来例で述べたように、地熱発電プラント
においては、必ず初めにホツトウエルポンプ５が
運転され、復水器４との間の復水再循環運転が行
なわれる。その後ガスコンプレツサ１０を運転し
て復水器４を真空にするのであるが、復水器４内
の真空度が高くなるにつれて、ガスコンプレツサ
１０を通過する流量も小量となるので、高温ガス
再循環調整弁１２を開き、復水器４内へ高温ガス
の一部を再循環する。このとき、再循環する復水
器４の入口４ａの直前の配管１１ａの高温ガスの
中へ冷却水管１５から水を注入しているので、こ
の水が気化してその潜熱により高温ガスを冷却し
てしまう。従つて、低温ガスが復水器４内へ入る
ことになるので、復水器４の構成部材を損傷する
ことが無いし、又、ガスコンプレツサ１０が吸込
む空気の比容積も大きくならず、ガスコンプレツ
サ１０の性能低下を招くことも無い。この高温ガ
ス中に注入する水は気化潜熱を利用するものであ
るから小量でよく、従つて、冷却水管１５は小口
径のものでよく、水量は最終的にはオリフイス１
６によつて制限できる。従つて、プラントの冷却
水用に特別の水源から配管をするようなことや、
ガスコンプレツサ１０の再循環の作動を特別に検
知して再循環高温ガス中に冷却水を流す特別な装
置を必要とせず、プラントの運転の際に必要な復
水再循環配管６をたくみに利用した冷却水管１５
を設けるだけで実施出来るため、経済的にも有利
で、信頼性の高い復水装置となる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、復水器に
再循環する高温ガスを冷却するのに特別に高価な
装置を必要とせず、プラントの運転の際に必要な
復水再循環配管をたくみに利用した安価な冷却水
管を設けるだけで実施出来るため、経済的にも有
利で、信頼性の高い復水装置を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の復水装置を一部断面で示す系統
図、第２図は本発明の復水装置の一実施例を一部
断面で示す系統図である。 １…冷却塔、４…復水器、５…ホツトウエルポ
ンプ、６…復水再循環配管、７…復水再循環調整
弁、８…復水器水位調整弁、１０…ガスコンプレ
ツサ、１１…高温ガス再循環ライン、１３…蒸気
タービン、１５…冷却水管、１６…流量制限装置
であるオリフイス、２４…復水ライン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 蒸気タービンを使用するプラントにて、復水
   器と冷却塔を結ぶ復水ラインに、ホツトウエルポ
   ンプおよび復水器水位調整弁を設けると共に、前
   記ホツトウエルポンプ吐出側から分岐し復水再循
   環調整弁を経由して復水器へ水を再循環する復水
   再循環配管を設け、又、復水器内の高温ガスをガ
   スコンプレツサにより抜出してその高温ガスの一
   部を再び復水器内へ再循環する高温ガス再循環ラ
   インを設けた復水装置において、復水再循環調整
   弁の下流から分岐して前記高温ガス再循環ライン
   に接続する冷却水管を設けたことを特徴とする復
   水装置。 ２ 冷却水管には冷却水の流量を制限する流量制
   限装置を設けたことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の復水装置。