JPS6247758B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自転車の多段変速切換装置において、
特にハンドルの握り部付近に取り付けて用いる操
作具に関するものである。

従来のこの種の操作具は、作動方向が横方向の
操作レバーを使用するものが多い。これに対して
本出願人は先に自転車用二段変速装置（特公昭55
−20909号）および自転車用多段変速切換装置
（特願昭57−36号）で、縦方向に作動する操作具
を提案した。しかしながらこれらの装置は各変速
段別に操作する複数のレバーを並設してある上
に、各レバー毎に戻しばねを要したので、多段化
するに従つて構造が複雑になると共に、レバーを
操作する場合に、操作する指と他のレバーとが接
触し易く窮屈であるという問題点があつた。

本発明は上述の問題点を解決するためになされ
たもので、１個のシーソー板を押し操作のみで作
動させることにより各変速段の変速を可能とする
ことにより、構造を簡単にすると共に、変速操作
を楽にすることを目的とするものである。

以下図面について本発明の実施例を説明する。
図中１は自転車のハンドル、２はその握り部、３
は変速装置に接続する切換操作ワイヤのアウター
ワイヤ、４はそのインナーワイヤ、５はインナー
ワイヤ４の索端に固定した止め具である。

６は第４図に示すような正面形状をした基板
で、この基板６の背面には、第３図に示すよう
に、基部をＬ字状に折曲すると共に、先端部を半
円状に彎曲した固定具７を固定し、この固定具７
の先端と係合する締め具８の彎曲部と、固定具７
の彎曲部とによりハンドル１を挟持すると共に、
ボルト９により固定具７と締め具８とを締めつけ
ることにより基板６をほぼ直立状態でハンドル１
に固定する。なお１０は固定具７に固着したナツ
トで、ボルト９と螺合するものである。

本実施例においては、基板６に孔６ａを設け、
この孔６ａにねじ孔を有する軸１１（第３図参
照）を自転車のハンドル１に対してほぼ前後方向
でかつ水平に固着し、第５図に示すような正面形
状のシーソー板１２のほぼ中央部に設けた孔１２
ａを前記軸１１に嵌合し、座金１３を介してボル
ト１４を軸１１のねじ孔にねじ込んで、シーソー
板１２を揺動自在に枢支すると共に、このシーソ
ー板１２の前記支点に対する左右両側をそれぞれ
上方に延長し、この一方の延長部を前方へ折り曲
げてその上面に押部１５を設けると共に、他方の
延長部を後方へ折り曲げてその上面に押部１６を
設ける。

またシーソー板１２の下縁に各変速段に対応す
る鋸歯状の位置決め歯部１７を形成し、この位置
決め歯部１７に沿つて前記インナーワイヤ４を案
内する円弧状のワイヤガイド１８（第３，５図参
照）をシーソー板１２に固着する。

そして前記アウターワイヤ３の端部を調整ねじ
１９およびナツト１９ａを介して基板６の折曲片
６ｂにねじ止めすると共に、インナーワイヤ４を
ワイヤガイド１８に沿つて導き、その索端の止め
具５をシーソー板１２およびワイヤガイド１８の
端部に設けた孔１８ａ（第５図参照）に嵌めこん
で固定する。

また基板６の下部を手前に折り曲げ、この短冊
状の折曲片６ｃの先端部をシーソー板１２に形成
した位置決め歯部１７と対向させると共に、孔６
ｄを設け、この孔６ｄに鋼球２０を挿入し、この
鋼球２０の下面を板ばね２１により弾性的に支承
する。すなわち板ばね２１の基部はリベツト２２
により折曲片６ｃに固定する。

なおインナーワイヤ４は、変速装置（図示せ
ず）に設けたばねの作用によつて、常にアウター
ワイヤ３内に引き込まれるような力をうけてお
り、この力はインナーワイヤ４がアウターワイヤ
３から引き出される長さの大小に比例している。

ばね２３はこのインナーワイヤ４に作用するば
ね力を軽減するために設けたねじりばねで、基板
６の背面に突設した軸２４に嵌合すると共に、そ
の一端を軸２４に係止し、他端をシーソー板１２
に突設した係止ピン２５に係止したものである。
基板６の６ｅは係止ピン２５が貫通する円弧状の
長孔である。

なお第１図および第２図に示す２６はカバー
で、ビス２７により基板６の折曲片６ｆ，６ｇに
ねじ止めするものである。

第９図および第１０図は、本発明の他の実施例
を示すもので、図中前記符号と同一の符号は同等
のものを示す。この実施例で変つているところは
シーソー板の位置決め機構であつて、基板６に変
速段数に対応する複数個（本実例では３個）の位
置決め孔２８を設けると共に、シーソー板１２に
孔２８と対応する１個の孔２９を設け、この孔２
９内に鋼球２０を挿入し、この鋼状２０の外側を
板ばね３０によつて弾性的に支承したものであ
る。３１はこの板ばね３０の基部をシーソー板１
２に固定したリベツトである。

つぎに上述のように構成した本発明装置の作動
を説明する。第６図〜第８図は各変速段における
操作状態を示すもので、第６図はトツプの位置で
ある。この時インナーワイヤ４は最も引き出され
た状態にあり、その位置決めは鋼球２０と歯部１
７の係合によつて行われている。

このトツプ状態からセコンドに減速するには、
シーソー板１２の押部１６を第１図に示すように
指で押し下げ、シーソー板１２を第７図の位置に
回動させる。このようにすればインナーワイヤ４
が矢印Ａの方向へ移動して変速装置をセコンドに
切り換える。この場合鋼球２０は位置決め歯部１
７の歯を一つ乗り越えるが、この作動は板ばね２
１の動きで吸収される。

また第７図のセコンドからローに減速するに
は、押部１６を押してシーソー板１２を第８図に
示す位置に回動させればよい。

逆にローからトツプまで増速する場合は、シー
ソー板１２の押部１５を押すことにより、第８図
から、第７図を介して第６図に示す状態まで順に
シーソー板１２を回動させればよい。

上述の作動は、第９図および第１０図のものも
同様に行われるが、この場合、シーソー板１２の
位置決めは、鋼球２０が基板６に設けた３個の孔
２８に順次嵌合することによつて行われる。

本発明装置は上述の通りであるから次のような
効果が得られる。

(1) 変速時の操作方向は、増速時も減速時もすべ
て押し操作のみであるから、ハンドルを握つた
ままで親指の動きのみによつて容易に、しかも
安全に操作することができる。

(2) シーソー板の押部は、シーソー板の軸を中心
にその両側に配置してあるので、変速操作時に
押指が他のレバー等に接触することがなく、ス
ムーズで確実な動作ができる。

(3) 操作部は１個のシーソー板のみによつて構成
してある上に、戻しばねが不要であるから、構
造が簡単であり、安価に製造できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置を取り付けた自転車のハン
ドル部の平面図、第２図はその正面図、第３図は
その側断面図、第４図は基板の正面図、第５図は
シーソー板の正面図、第６図〜第８図は本発明装
置の作動説明図、第９図は他の実施例を示す正面
図、第１０図はその要部の断面図である。 １……ハンドル、２……握り部、３……アウタ
ーワイヤ、４……インナーワイヤ、５……止め
具、６……基板、７……固定具、８……締め具、
９……ボルト、１０……ナツト、１１……軸、１
２……シーソー板、１３……座金、１４……ボル
ト、１５，１６……押部、１７……位置決め歯
部、１８……ワイヤガイド、１９……調整ねじ、
２０……鋼球、２１……板ばね、２２……リベツ
ト、２８……ばね、２４……軸、２５……係止ピ
ン、２６……カバー、２７……ビス、２８……位
置決め孔、２９……孔、３０……板ばね、３１…
…リベツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 自転車のハンドルに固定したほぼ前後方向の
   水平軸に中央部を枢支して揺動自在にしたシーソ
   ー板の前記支点に対する左右両側をそれぞれ上方
   に延長し、この一方の延長部を前方へ折り曲げる
   と共に、他方の延長部を後方へ曲げてそれぞれ押
   部を形成し、このシーソー板に変速切換操作ワイ
   ヤのインナーワイヤを繋止すると共に、各変速段
   に対応してシーソー板を停止させるための位置決
   め機構を設けたことを特徴とする自転車用多段変
   速切換装置の操作具。