JPS6246659Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は円筒形コンベアベルトの改良にかかる
ものである。

円筒形コンベアベルトは中央のコンベア部と該
コンベア部の両側端に各々一体的に形成された１
対の耳部とで構成され、その先端後端が接合され
たエンドレス状である。この円筒形コンベアベル
トは使用時に案内ローラ等で案内変形されコンベ
ア部の断面が円形状となり、かつその両側端に形
成された１対の耳部が合掌接触した形状となる。
そして円筒状のコンベア部で物体を移送する。

従来の円筒形コンベアベルトは、この１対の耳
部をコンベア部より肉厚としたり、あるいは耳部
を中央部に対して一定角度傾斜した形状としてい
た。このために、従来の円筒形コンベアベルトは
耳部を加硫成形するための特別の金型を必要とし
たり、あるいは、製造された円筒形コンベアベル
トを梱包、輸送する際にも、コンベア部と耳部と
では厚さが違つたり、形状が異なるために困難で
あつた。さらには、プーリ部での屈曲時に、肉厚
あるいは傾斜部を有する耳部に大きな歪が作用
し、耳部が異常変形するという欠点があつた。

本願考案は、上記した問題点を克服するもので
ある。

すなわち、本願考案の円筒形コンベアベルト
は、横断面で中央のコンベア部と該コンベア部の
両側端に各々一体的に形成された１対の耳部とで
構成され、該１対の耳部が対をなす挟持ローラで
合掌接触し、合掌した該耳部の端面が端面ローラ
で規制され、かつ該コンベア部が組をなす案内ロ
ーラで円筒形に形成されるとともに上方に押し上
げられ、該コンベア部の両端にある該耳部を該端
面ローラに押圧する円筒形コンベアベルトであつ
て、 上記コンベア部と上記耳部とは実質的に同一厚
さの平板状であり、かつその少なくとも一面の該
コンベア部と該耳部の境界には長手方向に伸びる
溝が形成されていることを特徴とするものであ
る。

本願考案の円筒形コンベアベルトにおいて、コ
ンベア部と耳部とを実質的に同一厚さ、同一上
面、同一下面をもつ平板状としたことに第１の特
色を有する。そして、コンベア部と耳部とを分け
る境界部には、上面、下面の少なくとも一面に、
長手方向に伸びる溝が形成されている。このコン
ベア部および耳部の構成は従来の平板状コンベア
ベルトの構成と同一でよい。なお、コンベア部と
耳部とにはそれらを一体的に連結する共通の補強
層が埋設されているのが好ましい。

耳部とコンベア部とを分ける溝は、コンベアベ
ルトの両面に形成してもよい。溝の深さはコンベ
アベルトの厚さの1/10〜1/3であるのが好まし
い。なお、コンベアベルトの両面に溝を形成する
場合には、各溝の深さは1/4以下であるのが好ま
しい。

なお、溝が浅い場合には、屈曲性がとぼしくな
る。逆に溝が深い場合には、境界部の強度低下が
大きくなる。又、溝の幅はコンベアベルトの厚さ
が厚いほどその幅が大きいようにするのがよく、
実用上は溝の深さの４倍程度がよい。耳部の幅お
よび中央部の幅は使用される使用状況により任意
に選択することができる。

本考案の円筒形コンベアベルトは、コンベア部
と耳部とが同一の厚さ、同一上面、同一下面をも
つために、従来の円筒形コンベアベルトでは不可
能と考えられていたベルトの上面、および下面を
物体移送面として使用できる。従つて、円筒形コ
ンベアベルトの耐久性が２倍程度向上する。ま
た、本考案の円筒形コンベアベルトは加硫時に特
別の金型を必要とせず、従来の平板状コンベアベ
ルトを製造する時に使用されるベルトプレスにて
製造することができる。この場合、コンベア部と
耳部との境界部に設けられる溝を形成する断面半
円状棒材をベルトプレスの少なくとも片面に取り
つける必要がある。また、本考案の円筒形コンベ
アベルトは、コンベア部と耳部とが厚さが同一で
あり、かつ、それらの各上、下両面が各々同一の
平面を形成するために梱包、輸送時においてもコ
ンベア部と耳部とを区別する必要がなく、平板状
コンベアベルトと同一の方法で梱包、輸送が可能
となり、梱包、輸送が容易となる。

さらに、本考案の円筒形コンベアベルトを使用
するに際し、プーリ部での屈曲時においてもコン
ベア部と耳部とにはほぼ同一の歪が作用するため
に、耳部に異常な変形応力が作用せず、耳部の異
常変形等の不都合が生じない。

コンベアベルトの両面に溝が形成されている場
合には、片面に溝が形成されている場合に比較
し、耳部の合掌接触がより容易となる。

本考案の円筒形コンベアベルトを円筒形に変形
させる円筒形コンベア装置は、コンベア部と耳部
との境界に張力が作用しないように設計されたも
のを使用するのが好ましい。すなわち、１対の耳
部が対をなす挟持ローラによつて合掌接触し、合
掌した耳部の端面が端面ローラによつて規制され
る。そして、コンベア部は組をなす案内ローラに
よつて円筒形に形成されるとともに、耳部の端面
は端面ローラに押圧されるようにする。また、コ
ンベア部を円筒形に変形させる円筒形案内ローラ
による中心部への押圧力を強めに設定し、合掌接
触した耳部を遠心方向に付勢してもよい。

耳部のガイドとしては、１対の耳部を合掌接触
させる１対の挟持ローラおよび耳部の端面を押圧
する端面ローラからなる従来のガイドをそのまま
使用できる。

以下、実施例により説明する。

実施例 １ 本考案の第１実施例の円筒形コンベアベルトの
要部断面を第１図に示す。この円筒形コンベアベ
ルトは全幅135cm、長さ約50ｍで、幅120cmのコン
ベア部１と、幅６cmの耳部と、幅1.5cm、深さ４
mmの溝３をもつ境界部４とで構成されている。コ
ンベア部１および耳部２の厚さは20mmである。こ
の円筒形コンベアベルトには複数枚の帆布等の補
強層５が埋設されており、コンベア部１と耳部２
とを連設する補強層５は２層存在する。

この円筒形コンベアベルトは、従来の平板状コ
ンベアベルトを製造するのと同じ上下ベルトプレ
スを用いて製造した。すなわち、この下方のベル
トプレスの面に溝４の断面と同一断面形状を有す
る断面半円状の金属棒を固定し、そこに未加硫の
表面カバーゴム、帆布等の補強層５を従来の平板
状コンベアベルトと同様にして積層した。そして
上下のベルトプレスで加熱、加圧して一定長さの
ベルト部分を加硫成形し、成形した部分を順次移
動させて長さ約50ｍの本実施例の円筒形コンベア
ベルトを製造したものである。

この円筒形コンベアベルトを従来の円筒形コン
ベア装置に架装した。この装置により円筒形に変
形された状態を第２図に示す。本実施例の円筒形
コンベアベルトは７個の円筒形案内ローラ６によ
りコンベア部１がほぼ円形に変形され、かつ、耳
部２は１対の挟持ローラ７で合掌接触させられ、
かつ、耳部２の端面を規制する端面ローラ８で耳
部２の端面の位置が規制されている。

この実施例の円筒形コンベアベルトは、第２図
に示すように溝３をもつ境界部４でベルト部１と
耳部２との変形応力が吸収され、耳部２が浮き上
がる等の不都合がなかつた。また境界部４には圧
縮力が作用する傾向にあり、境界部４での引張応
力による破損等は考慮する必要性が少ないことも
確認された。

実施例 ２ 本考案の第２実施例の円筒形コンベアベルトの
要部断面を第３図に示す。

第２実施例の円筒形コンベアベルトは、第１実
施例の円筒形コンベアベルトに比較してベルト部
１と耳部２の間の境界部４の両面に溝３を形成し
たものである。その他の構成は実施例１の円筒形
コンベアベルトと全く同一である。この円筒形コ
ンベアベルトにおいては、溝３がコンベアベルト
の両面に形成されているために、境界部４におけ
る変形が一層容易となつている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例の円筒形コンベア
ベルトの要部断面図、第２図は第１図の円筒形コ
ンベアベルトを円筒形コンベア装置に架装した状
態の要部断面図、第３図は本考案の第２実施例の
円筒形コンベアベルトの要部断面図である。 １……コンベア部、２……耳部、３……溝、４
……境界部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 横断面で中央のコンベア部と該コンベア部の
   両側端に各々一体的に形成された１対の耳部と
   で構成され、該１対の耳部が対をなす挟持ロー
   ラで合掌接触し、合掌した該耳部の端面が端面
   ローラで規制され、かつ該コンベア部が組をな
   す案内ローラで円筒形に形成されるとともに上
   方に押し上げられ、該コンベア部の両端にある
   該耳部を該端面ローラに押圧する円筒形コンベ
   アベルトであつて、 上記コンベア部と上記耳部とは実質的に同一
   厚さの平板状であり、かつその少なくとも一面
   の該コンベア部と該耳部の境界には長手方向に
   伸びる溝が形成されていることを特徴とする円
   筒形コンベアベルト。 (2) 溝は平板状コンベアベルトの上下両面に形成
   されている実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の円筒形コンベアベルト。 (3) 一つの溝の深さはコンベアベルトの厚さの1/
   １０〜1/3である実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の円筒形コンベアベルト。 (4) コンベア部と耳部とには、それらを一体的に
   連結する共通の補強層が埋設されている実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の円筒形コンベア
   ベルト。