JPS6245607B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ビデオテープレコーダ（以下VTR
と称す）等の回転ヘツドに磁気テープを所定の範
囲に亘つて添接し記録再生する磁気記録再生装置
に使用される回転ガイドドラムに関するものであ
り、磁気テープを損傷することが少なく、記録再
生特性が良好な回転ガイドドラムを提供すること
を目的とする。

（従来の技術） 本発明の回転ガイドドラムに対応する従来の回
転ガイドドラムを説明する前に、本発明で問題と
している回転ガイドドラムが使用されるドラム組
立体につき一般的な例で説明する。

第１図は、従来の回転ガイドドラム又は本発明
に係る回転ガイドドラムが使用される一般的な
VTR用ガイドドラム組立体の一部縦断側面図で
あり、１はシヤフト２に固着されているフライホ
イール３に図示しないネジにより固定されている
回転ガイドドラムであり、シヤフト２はベアリン
グ４に軸受されて固定ガイドドラム兼ハウジング
５内に回転自在に収納され、図示されていない
が、モータの駆動力が該シヤフト２に伝達され、
回転ガイドドラム１が回転する。６は回転ガイド
ドラム１の下端面にネジ７により固定され、先端
に磁気ヘツド８が取付られているヘツドプレー
ト、９は磁気ヘツド８が挿入されるヘツド窓を形
成する切欠部、１０は回転部と固定部とで信号の
伝達を行なうロータリトランス、１１は本例が２
ヘツドである為、180度以上に亘つてリード１２
に案内されスパイラル状に添接走行している磁気
テープであり、記録再生時、回転ガイドドラム１
周面より僅少突出している磁気ヘツドによりスラ
ントスキヤンニングが行なわれ、磁気テープ１１
に記録され又は磁気テープにより再生が行なわれ
る。

（発明が解決しようとする問題点） 従来使用されている第１図のドラム組立体の如
きの装置においては、回転ガイドドラムとして第
２図Ａ，Ｂ，Ｃに明示される如くのものであつ
た。第２図Ａは回転ガイドドラム１Ａの底面図で
あり、回転ガイドドラム１Ａには、シヤフト２嵌
合用の中心孔１３Ａ、ヘツドプレート６Ａの位置
調整用の貫通孔１４Ａ、ヘツドプレート６Ａ固着
用のネジ孔７Ａがそれぞれ穿設され、更に同回転
ガイドドラム１Ａの底面には磁気ヘツドの取付位
置よりテープ案内外周面まで延びている切欠部９
Ａが形成されている。

かかる切欠部９Ａ内に磁気ヘツド８Ａを内在せ
しめ、回転ガイドドラム１Ａの外周面より僅少突
出させて記録再生することにより、固定ガイドド
ラム５と回転ガイドドラム１Ａとの間隔を小とし
得、磁気テープの安定走行上非常に都合の良いも
のである。しかるに前記切欠部９Ａは、回転ガイ
ドドラム１Ａの形成後に切削等により形成するよ
うにしているため、切欠部９Ａと回転ガイドドラ
ム１Ａの外周面１５Ａとの縁部１７Ａに、バリ、
カエリ等の微少突起１８Ａが生じていた。そし
て、このバリ、カエリ等の微少突起１８Ａにより
記録再生時に磁気テープにコーテイングされた磁
性体が剥れて磁気テープ１１が損傷したり、これ
によつてドロツプアウトの発生、更には剥がれた
磁性粉が磁気ヘツド８に付着してヘツド詰りの発
生や磁気テープに貼着して記録再生特性の低下を
招く等の欠点を有していた。このため、バフ、不
織布１９等により第２図Ａ中一点鎖線で示す如く
回転ガイドドラム１Ａの外方より、バリ、カエリ
等の微少突起１８Ａを研磨加工するようにしてい
るが、研磨加工後の側面図第２図Ｂ及び拡大図第
２図Ｃ中破線で示す如く、研磨により切欠部９Ａ
のドラム外周面側のヘツド窓の周囲に欠落部２０
が発生し磁気ヘツド８近傍の回転ガイドドラム１
Ａの真円度が損われる（該ヘツド窓が全体的に大
きくなる）ため、ヘツド当りが悪化（ヘツド窓の
負圧減少により生じる添接走行する磁気テープの
変形が大きくなるため）して、記録再生特性が劣
化するものであつた。

また、加工に際してはかかるバフ加工等は手作
業により行われている為、欠落部２０（ひいては
切欠部の開口部）のバラツキが大となり、精度を
出しにくく、作業自体に熟練を要するものであ
り、作業性が極めて悪くコスト高となると共に、
研磨加工として酸化クローム等を使用する場合に
は、製造時に公害処理装置が必要となる等の問題
点も有していた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであ
り、テープ案内外周面まで延びている切欠部に磁
気ヘツドを設け、磁気ヘツドと一体的に回転する
回転ガイドドラムにおいて、回転ガイドドラムの
外周面と切欠部とにより形成される縁部が、ドラ
ム内部方向の磁気テープと接触しない位置へ変形
していることを特徴とする回転ガイドドラム、ま
た、テープ案内外周面まで延びている切欠部に磁
気ヘツドを設け、磁気ヘツドと一体的に回転する
回転ガイドドラムにおいて、該切欠部の巾を、ド
ラム外周の開口部より内部を大とすると共に、外
周面と切欠部とにより形成される縁部が、ドラム
内部方向の磁気テープと接触しない位置へ変形し
ていることを特徴とする回転ガイドドラムを提供
するものである。

（実施例） 本発明は、従来の回転ガイドドラムの上記欠点
を除去するものであり、以下に本発明の回転ガイ
ドドラムの実施例と共に説明する。第３図に示す
実施例は、第２図の従来の回転ガイドドラムと同
様円形切欠部が形成されている回転ガイドドラム
であり、第２図と同一部分には同一符号を付し説
明を省略する。本実施例においては、切欠部９Ｂ
と回転ガイドドラム１Ｂの外周面１５Ｂの縁部１
７Ｂは、一部拡大図である第３図Ｂに明示する如
く、ドラム内部方向に折曲変形させ、その変形部
２０Ｂ，２１Ｂの先端部が添接走行する磁気テー
プに接触しない位置となるようにしている。

かかる回転ガイドドラム１Ｂは、第２図Ａに示
される如く切欠部９Ａが形成され、切欠部９Ａと
外周面１５Ａとの縁部１７Ａにバリ、カエリ等の
微少突起１８Ａがある状態の回転ガイドドラムの
外方より、第３図Ｂ中二点鎖線で示すポンチ刃等
による工具２２を切欠部９Ｂのヘツド窓に嵌合
し、この工具２２に同図に示す矢印方向の押圧力
を付勢することにより、容易に第３図Ｂ中の縁部
１７Ｂを実線で示すようにドラム内部方向に折曲
変形させることができる。

この為、切欠部９Ｂを形成する際に生じるバ
リ、カエリ等の微少突起１８Ｂは、磁気テープ走
行面である外周面１５Ｂから、磁気テープとは接
触することのないドラムの切欠部内側に移動変形
されることになる。

かかる押圧付勢し変形の為の手段としては、一
般に市販され周知の自動ポンチの刀部を第３図Ｂ
中二点鎖線で示される形状、又は、その他の形状
の刃と交換使用することにより行え、熟練を要す
るこなく容易に所望の押圧力を回転ガイドドラム
の縁部に付勢し得、均一な変形部２０Ｂ，２１Ｂ
をドラム外周面を損傷することなく形成し得るこ
とが本出願人の実験結果より確かめられた。

このような変形部２０Ｂ，２１Ｂの形成作業
は、従来行なわれていたバフ研磨作業などに比
べ、熟練を要することなく簡単に行ない得るた
め、同作業の簡素化に伴つてバラツキが少なく、
かつ精度が高くしかも廉価な回転ガイドドラムを
得ることが可能となる。またこの作業は容易に自
動化が行なえ、しかも研磨加工として酸化クロム
などを使用することもなく、製造に際して公害処
理装置などが必要となるようなこともないもので
ある。

なお、第３図Ｃは、第３図Ｂの矢印方向よりの
側面図であり、斜線で示された部分が磁気テープ
添接面となる。（変形部を形成後に、更にテープ
添接面を仕上切削してもよい） この為、第３図にＡに図示される回転ドラム１
Ｂを第１図のガイドドラム組立体に組立て、磁気
テープを走行させて記録再生を行なう際、バリ、
カエリ等の微少突起１８Ｂは磁気テープに接触す
ることなく、磁気テープを損傷することもなく、
記録再生特性等を向上させることができる。

また、磁気ヘツド近傍のヘツド窓（切欠開口
部）、変形部を均一なものとして精度を高めるこ
とができるので、ガイドドラム組立体間でのテー
プ走行状態を安定なものとし得、かつ磁気テープ
に対する磁気ヘツドの当り（接触状況）を均一な
ものとして互換性の向上が図れる。

第３図Ｄに示される実施例においては、切欠部
９Ｂの上端部も外周面１５Ｂとの縁部１７Ｂと同
様に押圧して、ドラム内部方向に折曲し、変形部
２２を形成した場合の実施例である。前記実施例
においては、ヘツド用の切欠部９として円形切欠
部を形成しているため、バリ、カエリ等の微少突
起により磁気テープを損傷することもなく、その
切削加工が容易であり、更に、磁気ヘツド近傍の
磁気テープ添接面でのヘツド窓（切欠開口部）を
小とすることが容易に可能であり、磁気テープの
安定走行上都合が良い。更に、切欠部の内部にお
いては、切欠開口部に比較し比較的大なる巾の切
欠部を形成し得るため、ヘツド取付工程が容易と
なり、製造上都合の良いものである。

第４図、第５図は、本発明に係る回転ガイドド
ラムの他の実施例の第３図Ｂと同様、切欠部分の
拡大底面図であり、第３図の実施例と同一部分に
は同一符号を付し、Ｃ，Ｄを付け詳細説明を省略
する。本実施例は概略半円形の切欠部９Ｃ、矩形
の切欠部９Ｄを形成した後に、縁部を押圧してド
ラム内部方向に折曲し、変形部２０Ｃ，２０Ｄ，
２１Ｃ，２１Ｄを形成した場合の実施例であり、
磁気ヘツド近傍のドラム外周面の切欠開口部の大
小によるテープ走行状態の変化が問題とならない
場合、ヘツド取付工程上の問題が小である場合等
の実施例である。

前記の如く、本発明に係る回転ガイドドラムに
おいては、外周面と切欠部とにより形成された縁
部がドラム内部方向の磁気テープと接触しない位
置に変形してなるので、この縁部に生じていたバ
リ、カエリ等の微少突起も容易且つ確実に磁気テ
ープと接触しない位置へ変位させることができ、
従来この微少突起によつて発生していた磁気テー
プの損傷や磁気テープより剥れた磁性粉によるヘ
ツド詰り、磁気テープへの貼着を確実に防止し
得、これによつて記録再生特性等を向上させるこ
とができるものである。また、従来の回転ドラム
に比し、ドラム外周面のヘツド窓部を小さくでき
るので、ヘツド近傍の回転ガイドドラムの真円度
が確保でき、添接走行する磁気テープの変形を抑
えてより安定走行させることができ、ヘツド当り
を良効にし得、記録再生特性を向上できるもので
ある。

また、特に第１実施例の如く、ガイドドラムの
外周面より内部切欠部の巾を大とした場合におい
ては、磁気テープ添接案内部でのヘツド窓（切欠
開口部）をより小とし得、磁気テープ走行を一層
安定させることができると共に内部切欠部の巾が
大であるため、ヘツドの取付作業も容易となり作
業性の向上を図ることができるものである。

本実施例においては、ヘツド付の回転ドラムと
固定ドラムにより回転ヘツド組立体を形成した場
合につき述べたが、この種回転ヘツド組立体に限
定されるものでは当然なく、上下の固定ドラム間
で、ヘツドを有する回転ドラムが回転する回転ヘ
ツド組立体等その他の回転ヘツド組立体にも当然
に本発明回転ガイドドラムを使用し得るものであ
り、また、本発明に包含されるものである。

また、前記実施例においては、ヘツドはヘツド
プレートにより回転ドラムに固定されているが、
ヘツドは圧電素子等を介してヘツドプレートに取
付けられる等その他の方法により、所望範囲回転
ガイドドラムに対して移動可能に設けるようにし
た回転ガイドドラムにも同様に適用することがで
きるものである。

（発明の効果） 以上の如く本発明の回転ガイドドラムは、回転
ガイドドラムの外周面と切欠部とにより形成され
る縁部がドラム内部方向の磁気テープと接触しな
い位置に変形しているので、磁気テープの損傷や
磁気テープより剥れた磁性粉によるヘツド詰り、
磁気テープへの貼着を確実に防止し得、これによ
つて記録再生特性等を向上させることができ、ま
た、切欠部の巾をドラム外周の開口部より内部を
大とすることにより、従来の回転ドラムに比し、
ドラム外周面のヘツド窓部を小さくできるので、
ヘツド近傍の回転ガイドドラムの真円度が確保で
き、添接走行する磁気テープの負圧などによる変
形を抑えてより安定走行させることができ、ヘツ
ド当りを良好にして記録再生特性を向上できるな
どの特長を有する。また、上記の如くのガイドド
ラムの構成により、その製造作業の簡素化が可能
となりバラツキの少ない高精度の回転ガイドドラ
ムを得ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る回転ガイドドラムが使用
されている一般的回転ヘツド組立体の一部縦断側
面図、第２図Ａは従来の回転ガイドドラムの底面
図、第２図Ｂは従来の回転ガイドドラムのバフ研
磨後の側面図、第２図Ｃはその拡大図、第３図
Ａ，Ｂ，Ｃは本発明の回転ガイドドラムの一実施
例を示す底面図、第４図、第５図は本発明の他の
実施例の一部拡大底面図である。 １Ｂ……回転ヘツド、９Ｂ……切欠部、１５Ｂ
……外周面、１７Ｂ……縁部、２０Ｂ，２１Ｂ…
…変形部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ テープ案内外周面まで延びている切欠部に磁
   気ヘツドを設け、磁気ヘツドと一体的に回転する
   回転ガイドドラムにおいて、回転ガイドドラムの
   外周面と切欠部とにより形成される縁部が、ドラ
   ム内部方向の磁気テープと接触しない位置へ変形
   していることを特徴とする回転ガイドドラム。 ２ テープ案内外周面まで延びている切欠部に磁
   気ヘツドを設け、磁気ヘツドと一体的に回転する
   回転ガイドドラムにおいて、該切欠部の巾を、ド
   ラム外周の開口部より内部を大とすると共に、外
   周面と切欠部とにより形成される縁部が、ドラム
   内部方向の磁気テープと接触しない位置へ変形し
   ていることを特徴とする回転ガイドドラム。