JPS6245428Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (1) 本考案の技術分野 本考案は、自動車のステイアリングホイールの
中央下面部に取付けられ、回転部材をなすステイ
アリングホイールに装着される各種コントロール
スイツチ等へ電気接続をなさしめるスリツプリン
グに関するものである。

(2) 従来技術とその問題点 従来、自動車のステイアリングホイールの中央
下面に取付けられるスリツプリングは、例えば、
第１図に示す一実施例の如く構成されていた。即
ち、１は自動車のステイアリングホイールであ
り、２はスリツプリングである。該スリツプリン
グ２は、ステイアリングシヤフト４の周部を巻回
した略環状をなし、中央穴部には方向指示器５を
自動復帰せしめるキヤンセルローター３が位置す
べく、ステイアリングシヤフト４に挿通されてス
テイアリングホイール１の下面部へ突起部３ａで
係合されて装備されていた。

しかしてスリツプリング２は、前記キヤンセル
ローター３と同じくステイアリングホイール１の
下面部へ突起部２ｂで係合されて一体的に回転さ
れる可動ケース２ａと、例えば、方向指示器５の
支持部材５ａの上面の所定位置に固着される固定
ケース２ｃとでなり、相互に回転自在に組合わせ
て、電気接続が形成されるように摺動接片（図示
せず）及び固定接点（図示せず）を内蔵してい
る。５は方向指示器であり、該方向指示器５は、
自動車の方向指示灯を所望に応じて、操作レバー
５ｂの操作により作動させるものであるが、一般
に自動車の方向転換がなされた時、ステイアリン
グホイール１の戻し回転操作で当該方向指示器５
の操作レバー５ｂを元のニユートラル位置に自動
復帰せしめるべく構成されており、しかして該方
向指示器５は、前記、スリツプリング２の中央穴
部に位置してステイアリングシヤフト４に挿通さ
れ、且つステイアリングホイール１の下面に係合
されて一体的に回転されるキヤンセルローター３
を具備しており、当該方向指示器５のキヤンセル
カム５ｃとで当該方向指示器５を自動復帰させる
ように構成されていた。尚、ここでキヤンセルロ
ーター３は、方向指示器５側に組付けず、ステイ
アリングホイール１の下面に、例えば、緊締具等
で固着する場合も有る。また更に、該キヤンセル
ローター３に代えて、第２図に示す如くキヤンセ
ルピン３ｂを植設する構成で自動復帰をなさしめ
る構成も知られている。しかしながら、このよう
な従来の構造にあつては、ステイアリングホイー
ル１と一体的に回転せしめるスリツプリング２の
可動ケース２ａ及び方向指示器５を自動復帰させ
るキヤンセルローター３とを、それぞれ個別にス
テイアリングホイール１へ係合あるいは固着させ
ねばならず、即ち、ステイアリングホイール１を
ステイアリングシヤフト４へ装着時、前記２つの
部品を係合せしめるべく位置決めを同時になさね
ばならないなど、組付作業工数が増大するのみな
らず、部品点数が多くなり、コストアツプの原因
となる欠点を有していた。

(3) 本考案の目的 本考案は、叙上の欠点に鑑み案出されたもので
あり、即ち、ステイアリングホイールに係合さ
れ、一体的に回転されるスリツプリングの可動ケ
ースと、キヤンセルローターとの２部品を一体化
して、方向指示器の自動復帰機能をも兼備するス
リツプリングにすることにより、組立作業の容易
化及び部品点数の削減によるコストダウンを図つ
たスリツプリングの構造を提供することを目的と
したものである。

(4) 本考案の構造 本考案に係るスリツプリングの構造の好適な一
実施例である第３図乃至第６図に基づき詳細に説
明する。

６は可動ケースである。該可動ケース６は、例
えば、第６図に示す如く有蓋の円盤状ケースをな
し、中央部にステイアリングシヤフト４を挿通す
る穴６ａを穿設した筒柱６ｂを所定の長さで下方
へ突き出して形成し、更に該筒柱６ｂの外周面の
所定位置には、軸方向へステイアリングハンドル
１の戻し回転操作で方向指示器１２のキヤンセル
カム１２ｂへ係合して、操作レバー１２ａをニユ
ートラル位置へ自動復帰せしめるための突条部６
ｃを突き出していわゆるキヤンセルローターを形
成している。

また、該可動ケース６の内面側、即ち、前記筒
柱６ｂの外周部を巻回して、当該スリツプリング
１１の固定ケース７を該可動ケース６とで相互に
回転自在に承支すべく遊嵌せしめる弾性舌片６ｄ
を、先端部に鉤部６ｅを設けて円筒状の軸部６ｆ
を形成している。更にまた、上面の外周部には、
ステイアリングホイール１の下面に、例えば、緊
締具８で固着する取付穴６ｇを穿設した取付フラ
ンジ部６ｈを複数個形成している。しかして該可
動ケース６は、内部に、例えば、摺動接片９を複
数個、固着して対向する固定ケース７側の固定接
点板１０へ摺接するものである。７は固定ケース
である。該固定ケース７は、前記可動ケース６と
の一対で当該スリツプリング１１の全体ケースを
なすもので、即ち、前記可動ケース６の下半分を
形成し、中央部には、前記可動ケース６の弾性舌
片６ｄでなる円筒状の軸部６ｆへ回転自在に遊嵌
される軸受穴７ａを穿設し、外周部には、前記可
動ケース６の外壁６ｉに適合する外壁７ｂを立設
している。また更に、外壁７ｂの所定位置には、
外部との電気接続をなす凸状の接続部７ｃを形成
し、リード線７ｄを接続すると共に、側面には、
例えば、方向指示器１２の支持部材１２ｃの係合
部１２ｄへ位置決めして当該ケース７を係止すべ
く、例えば、弾性片７ｅを形成して緩みなく嵌着
されるものである。しかして該固定ケース７は、
内部に前記可動ケース６の摺動接片９と対応して
電気接続をなす固定接点板１０を固着している。
９は摺動接片である。該摺動接片９は、例えば、
導電性の薄板ばね材でなり、自由端側には接点９
ａを付設して、固定ケース７側の固定接点板１０
へ摺接されるものである。尚、該摺動接片９及び
固定接点板１０は、それぞれ固定ケース７及び可
動ケース６へ入れ替えて組付けることも出来る。

かくして、スリツプリング１１は、一方の可動
ケース６の取付フランジ６ｈでステイアリングホ
イール１の下面部に取付けられ、該ステイアリン
グホイール１をステイアリングシヤフト４へ装着
する時、ステイアリングポスト１３へ固着されて
いる方向指示器１２の支持部材１２ｃの係合部１
２ｄへスリツプリング１１の他方の固定ケース７
の凸状の接続部７ｃを嵌着せしめることにより取
付けられるものである。しかして可動ケース６側
に形成された筒柱６ｂは、方向指示器１２のキヤ
ンセルカム１２ｂが、操作レバー１２ａの操作で
方向指示灯（図示せず）を作動させるべく所定位
置へ移動された時、キヤンセルカム１２ｂと衝当
係合関係を構成するものである。

(5) 本考案の作用 第３図に示す如く、スリツプリング１１は、ス
テイアリングホイール１の中央下面部へ、ステイ
アリングシヤフト４を軸心として、一方の可動ケ
ース６が緊締具８で固着され、他方の固定ケース
７は、当該スリツプリング１１の下面側に取付け
られている方向指示器１２の支持部材１２ｃの係
合部１２ｄへ当該固定ケース７の接続部７ｃが嵌
着されて固定されている。しかして固定ケース７
の接続部７ｃへ接続されたリード線７ｄは固定接
点板１０へ接続され、更に該固定接点板１０へ摺
接している可動ケース６の摺動接片９へ接続され
ている。しかして該摺動接片９の端子部をなす上
面の固着部６ｊへ接続されているリード線６ｋを
介して回転部材をなすステイアリングホイールの
各種コントロールスイツチ類への電気接続をなさ
しめるものである。また更に、当該スリツプリン
グ１１は、可動ケース６の中央部に一体で方向指
示器１２のキヤンセルカム１２ｂと係合する筒柱
６ｂ及び突条部６ｃでなるキヤンセルローターを
形成しているため、即ち、第４図に示す如く方向
指示器１２の操作レバー１２ａをニユートラル位
置Ｎから例えば、左方向位置Ｌへ操作して左方向
の指示灯を作動させるとキヤンセルカム１２ｂ
は、想像線で示す位置に可動部材１２ｅを介して
揺動され、当該キヤンセルカム１２ｂの内側に対
称的に形成された２つの爪部Ｘの一方が、キヤン
セルローターをなす筒柱６ｂの突条部６ｃの回転
軌跡内に進入する。しかしてステイアリングホイ
ール１を左方向へ回転させると、キヤンセルカム
１２ｂの爪部Ｘへ外側端面側の方向から中央方向
へ向けて突条部６ｃが衝当するため、当該キヤン
セルカム１２ｂは、他方端Ｐを支点として、当該
キヤンセルカム１２ｂを押圧しているスプリング
１２ｆの付勢に抗して押上げられ、突条部６ｃの
通過を許容するものである。次に、自動車が所望
する方向へ、方向を転換し、ステイアリングホイ
ール１の戻し回転操作を行なうと、即ち、右方向
に突条部６ｃが回転され、キヤンセルカム１２ｂ
の前記爪部Ｘへの衝当は、当該キヤンセルカム１
２ｂの中心側方向から外側端面側へ力が加わるた
め、キヤンセルカム１２ｂを介し、該キヤンセル
カム１２ｂを承支している可動部材１２ｅは、操
作レバー１２ａと共に突条部６ｃの回転移動に対
応してニユートラル位置Ｎに自動復帰されるもの
である。かくして可動部材１２ｅに係合されてい
る方向指示灯用スイツチ（図示せず）がOFFに
自動復帰されるものである。

以上説明の如く、当該スリツプリング１１は、
ステイアリングホイール１へ当該スリツプリング
１１を取付けるのみで固定側の支持部材１２ｃ側
から回転部材をなすステイアリングホイール１側
へ電気接続の機能を構成すると共に方向指示器１
２の自動復帰をなさしめるキヤンセルローターの
機能をも兼備するものである。

以上説明した上記の実施例は、スリツプリング
１１をステイアリングホイール１側に取付け、固
定ケース７の接続部７ｃを、方向指示器１２の支
持部材１２ｃ側へ嵌着せしめる構成であるが、第
７図に示す他の実施例の如く、スリツプリング１
４を方向指示器１７の支持部材１７ａ側へ取付け
る構成にすることも容易に出来る。即ち、固定ケ
ース１６側に取付フランジ部１６ａを形成して支
持部材１７ａに固着し、可動ケース１５の上面に
は、接続部１５ｂを形成し、ステイアリングホイ
ール（図示せず）と一体的に回転されるように係
合せしめると共に、ステイアリングホイール側へ
の電気接続をなす接続コネクター端子１５ｃをも
内蔵せしめる構成としたものである。しかしてそ
の作動は、前記一実施例の場合と同一になされる
ものである。

(6) 本考案の効果 本考案はステイアリングホイール中央下面部に
係合されると共に該ステイアリングホイールの回
転作動に応じて回転し、かつ摺動接片を備えた可
動ケースと、上記摺動接片と接触する固定接点板
を有しかつ上記可動ケースと回動自在に嵌合する
固定ケースとで構成された自動車用スリツプリン
グにおいて、外周面に２本の突条部を垂下形成し
た筒柱でなるキヤンセルローターを前記可動ケー
スの下面略中央に一体的に垂下形成し、該、筒柱
の周囲に前記固定ケースと係合する円筒状の弾性
舌片を有した自動車用スリツプリングでなるの
で、キヤンセルローター部が簡易な構成で方向指
示器のキヤンセル機能を図ると共に、該可動ケー
スに一体的に形成しているので、小型、コンパク
ト化が実現し、量産性が高いものである。また円
筒状の弾性舌片を該キヤンセルローターの周囲に
配設したので可動ケースが固定ケースとの組付け
がワンタツチ的となり組付性が向上する等種々の
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車用スリツプリングの構造
の一実施例を示す要部の断面図である。第２図は
従来、ステイアリングホイールの下面に植設さ
れ、自動復帰作用をなす他の実施例であるキヤン
セルピンの説明図である。第３図は本考案に係る
自動車用スリツプリングの構造を示す要部の断面
図である。第４図は第３図矢視Ａ−Ａ線方向の平
面図である。第５図は本考案に係る自動車用スリ
ツプリングの構造の一実施例を示す斜視図であ
る。第６図は本考案に係る自動車用スリツプリン
グの構造の可動ケースの一実施例を示す斜視図で
ある。第７図は本考案に係る自動車用スリツプリ
ングの構造の他の実施例を示す斜視図である。 ６……可動ケース、６ｂ……筒柱、６ｃ……突
条部、７……固定ケース、９……摺動接片、１０
……固定接点板、１１……スリツプリング、１２
……方向指示器、１２ｂ……キヤンセルカム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステイアリングホイール中央下面部に係合され
   ると共に該ステイアリングホイールの回転作動に
   応じて回転し、かつ摺動接片を備えた可動ケース
   と、上記摺動接片と接触する固定接点板を有し、
   かつ上記可動ケースと回動自在に嵌合する固定ケ
   ースとで構成された自動車用スリツプリングにお
   いて、外周面に２本の突条部を垂下形成した筒柱
   でなるキヤンセルローターを前記可動ケースの下
   面略中央に一体的に垂下形成し、該筒柱の周囲に
   前記固定ケースと係合する円筒状の弾性舌片を有
   したことを特徴とする自動車用スリツプリングの
   構造。