JPS6245348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、例えばビデオ信号、各種デイジタ
ル情報等を記録し、再生するエンドレステープ装
置に関する。

例えば、ビデオ信号を磁気テープに対して記録
し再生するには、その信号の記録再生も行なう磁
気ヘツドとテープとの相対速度を、毎秒数メート
ルの高速状態に設定する必要がある。すなわち、
磁気ヘツドを固定設定した場合には、テープを毎
秒数メートルの高速度で走行させなければならな
いものであり、充分に長尺のテープを用いたとし
ても、長時間にわたるビデオ信号を記録すること
はできない。

したがつて、このような点を考慮してこれまで
のビデオテープレコーダにあつては、テープを円
筒状ガイドに沿つて且つこの円筒軸に傾斜させて
走行すると共に、磁気ヘツドを上記ガイド円筒外
周面にやや突出する状態で回転させ、テープに対
してその長手走行方向に傾斜する記録トラツクを
形成するヘリカルスキヤニング方式が一般的に使
用されている。しかし、このような構造では、テ
ープの走行駆動機構、さらに回転するヘツドの同
期制御等が必要となり、著るしく複雑化するもの
である。このため、基本的には固定設定される磁
気ヘツドによつて、ビデオ信号のような信号の記
録および再生が、充分長時間範囲にわたつて行な
える磁気テープ装置が望まれる。

このような点を考慮してエンドレステープによ
りビデオ信号を記録再生することが考えられてい
る。すなわち、エンドレスにしたテープを環状の
固定リールの外周に巻装し貯蔵するもので、この
固定リールに切欠きによるテープ引き出し窓を形
成し、巻装されたテープの内周部をリール内周部
に引き出すようにする。そして、このリール内周
部にヘツド機構、さらにキヤプスタンおよびピン
チローラからなるテープ走行駆動機構を設け、テ
ープをヘツド機構に接触させながら高速度で走行
駆動するものである。

この場合、ヘツド機構は位置を固定して設定さ
れるもので、その記録再生ヘツドは走行するテー
プの幅方向に微細に移動制御し、例えば1/2イン
チ幅のテープに対して300本以上のトラツクが形
成されるようにする。そして、エンドレスのテー
プ１回転走行毎に記録再生ヘツドをテープ幅方向
に１トラツク分移動させ、上記300本以上のトラ
ツクが連続されるようにするものである。

このように構成したエンドレステープ装置によ
れば、固定ヘツド機構によりエンドレステープの
300回走行分以上の長尺の記録トラツクの形成さ
れるもので、例えばテープを100ｍ程度のものと
しても、充分に長時間のビデオ信号を記録し再生
することが可能となる。

しかし、このような構成のエンドレステープ装
置にあつては、リール外周に長尺のテープが巻装
され、このテープはリール外周で高速で回転する
状態でテープ走行が行なわれる。したがつて、実
際にテープが高速で走行する状態にあつては、巻
装されたテープ相互間、さらに巻装テープの最内
周と固定リールの外周面との間に空気層が形成さ
れ、円滑にテープ走行制御がされるようになるも
のであるが、テープ走行停止状態で見ると、巻装
されたテープ内周面とリール外周面とは接触する
状態にあり、したがつてその接触抵抗によつてテ
ープは円滑に走行起動されない状態にあり、また
もし滑り起動走行したとしてもリール外周面に空
気層が良好に形成され難い状態となる。すなわ
ち、テープの走行起動トルクが著るしく増大する
傾向にあり、また安定高速走行状態に至るまでに
多くの時間を要し、テープに不要な延びを発生さ
せ、また切断事故等も生じ易いものである。

この考案は上記のような点に鑑みなされたもの
で、特に円滑に小さな起動トルクでテープ走行制
御が行なうことができ、さらに安定した高速走行
制御を行なうことができ、ビデオテープレコーダ
として、また各種データの記録用等として効果的
に使用し得るようにするエンドレステープ装置を
提供しようとするものである。

以下図面を参照してこの考案の一実施例を説明
する。第１図はその構成を示したもので、環状に
した固定リール１１を備え、このリール１１の外
周にはエンドレスにした磁気テープ１２が巻装さ
れ貯蔵される。上記固定設定されるリール１１に
は、その内外周を連通するテープ引き出し窓１３
が形成されるもので、この窓１３から巻装された
テープ１２の内周部がリール１１の内周部に引き
出されるようになる。

このような固定リール１１の内周部には、ヘツ
ド機構１４、キヤプスタン１５およびピンチロー
ラ１６からなるテープ走行駆動機構が設定される
もので、テープ引き出し窓１３から引き出された
テープ１２は、ヘツド機構１４に接触し、テープ
走行駆動機構に導かれて、キヤプスタン１４の矢
印で示すような回転によつて、高速度で走行され
るものである。そして、このテープ走行駆動機構
で引き出し走行されたテープ１２は、ガイド壁１
７，１８およびリール１２の内周面で形成される
テープたるみ収容部１９に排出され、さらにリー
ル１１を飛び越すオーバターンガイド２０を介し
てリール１１の外周部に導かれ、巻き取られるよ
うになる。

すなわち、キヤプスタン１５とピンチローラ１
６とでテープ１２をはさみ、キヤプスタン１５の
回転によつてテープ１２を引き出し窓１３から引
き出し走行することによつて、ヘツド機構１４部
で例えばビデオ信号の記録さらには再生が行なわ
れるようになる。そして、このテープ引き出し窓
１３からのテープ１２の引き出し走行に対応し
て、リール１１の外周の巻装されたテープ１２も
回転されるもので、この回転に対応してオーバタ
ーンガイド２０で導かれたテープ１２を自由張力
で巻き取るようになるものである。

この場合、テープ１２の巻装部にあつては、エ
ンドレステープ装置の構造から、その内周部と外
周部のテープ走行線速度は等しいものであり、し
たがつて巻装されたテープはその積層状態の層間
で滑るようにして回転し、また巻装テープ１２の
最内周面はリール１１の外周に対して滑る状態で
回転し、このテープ層間およびリール１１の外周
面に空気層が形成される状態で、テープ１２の高
速走行が円滑に行なわれるようになる。

そこで、このエンドレステープ装置にあつて
は、第２図および第３図に示すように、固定リー
ル１１の外周面に巻装されるテープ１２の長手方
向に沿つて、波形のうねり２１を形成し、巻装さ
れたテープ１２の最内周面との間に空気留まり部
２２が形成されるようにする。

すなわち、上記のように構成されるエンドレス
テープ装置によれば、テープ１２の停止状態にあ
つても、リール１１外周に巻装されたテープ１２
の内周面は、リール１１の外周面と極部的に接触
する状態となるものであり、その間には常時空気
留まり部２２が形成される状態となる。このた
め、この停止状態から、テープ１２の走行を開始
する起動時においても、テープ１２とリール１１
の外周面との間の接触抵抗は充分に小さなものと
することができ、またこの走行開始と共に空気留
まり部２２の空気が移動され、リール１１外周面
と巻装テープ１２の内周面との間に、簡単に空気
層が形成される状態となる。すなわち、起動トル
クを充分に小さくすることのできるものであり、
テープ１２に対して不要な張力を作用させること
なく、また円滑に高速安定走行状態に移行できる
ものである。

尚、このリール１１の外周に形成されるうねり
２１の大きさ、すなわち頂部の距離は、巻装され
るテープ１２の幅よりも大きいものとすると、高
速走行時において効果的に空気層が形成され、テ
ープ１２とリール１１の外周面との間の接触抵抗
を充分に小さなものとするために効果的である。

以上のようにこの考案によれば、ある程度以上
に長尺のエンドレステープを固定リールに巻装し
貯蔵する場合においても、その起動トルクを充分
に軽減し、特に高速のテープ走行特性を安定化す
ることのできるものであり、ビデオ信号、あるい
はデイジタル等の情報信号の記録再生特性を安定
化することができ、さらにテープの延び、切断等
の事故を確実に防止できるようになるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係るエンドレス
テープ装置を説明する平面から見た図、第２図は
上記装置のリール部を取り出し一部切欠いて示し
た側面図、第３図は上記リールの一部を取り出
し、拡大して示した図である。 １１……固定リール、１２……磁気テープ、１
４……ヘツド機構、１５……キヤプスタン、１６
……ピンチローラ、２０……オーバターンガイ
ド、２１……うねり、２２……空気留り部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンドレスにしたテープが外周に巻装されこの
   テープがテープ引き出し窓を介して内周部に引き
   出される環状にした固定リールと、このリール内
   周部に設定されるテープ走行駆動機構と、この駆
   動機構で走行されたテープをリール外周部に導く
   オーバターンガイドとを具備し、上記固定リール
   は、巻装されるテープの内周部が摺接する外周面
   を、テープの走行する長手方向に沿つてうねりを
   形成するように構成したことを特徴とするエンド
   レステープ装置。