JPS624248Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の対象〕 この考案は、圧力調理器に関し、特に詳述すれ
ば、蓋体と容体との係合を確実にさせ且つ内部圧
が大気圧に近い値に下がる迄蓋体の解放を不可能
にさせる圧力調理器に関する。

〔従来技術とその問題点〕

圧力調理器では、第１図に示すように、容体１
の外周縁に外向きの複数個の離間した爪２を形成
し、又、蓋体３の開口周縁に内向きの複数個の離
間した係止片４を設け、爪２の間に係止片４を嵌
合せた後、容体１に対し蓋体３を回動させ、爪２
と係止片４を重ね合せ、蓋体３を容体１に保持さ
せる。このような例は、たとえば、実公昭52−
31174号公報に開示される。この従来例は、容体
１側の下把手５を蓋体３側の上把手６に重ね合せ
ることで、前述した爪２と係止片４との重なり合
いが確実に成されるように設計されている。しか
し、使用者によつては、上下把手の不充分な重な
り合い状態のまま、調理を始める。この場合、調
理器の内部圧が高くなつた時、上把手又は下把手
へのわずかな外力によつて、蓋体は容体に対し解
放されてしまうが、この解放は、明らかに、調理
器内部の煮物を吹上げることになり、きわめて危
険である。

即ち、従来技術は、蓋体の係止片と容体の爪と
が充分に重なり合つているかの確認、そして、内
部圧が高い時蓋体を容体から取外し不可能にさせ
る点の配慮に欠けている。

〔本考案の課題とその技術的手段〕

本考案は、調理器の内部圧が高い時には蓋体の
取外しを不可能にさせると共に、蓋体が容体に対
して不充分な重なり合いの時には、たとえ、調理
を開始しても、内部圧が上昇しないようにさせる
ことを課題としており、この課題を解決するた
め、下把手にカム溝を設け、上把手にスプリング
の附勢力を受けて保持されるスライド体の端部を
該カム溝に挿入可能にし、且つスライド体の他方
の端部を蓋体に設けた圧力調理器の上部に出入り
可能とさせる技術的手段を用いる。

〔本考案の作用効果〕

容体に対し蓋体が不充分な重なり合いの時、ス
ライド体の端部が圧力調整弁の上部に位置する。
このため、圧力調整弁は、調理器内部と大気とを
連通させたまゝとするので、内部圧の上昇はな
い。容体と蓋体とが初期通り正しく係合している
時は、カム溝によつて、スライド体は半径方向外
方へと移動し、調理器内部圧の上昇による圧力調
整弁の上方への移動を可能にする。内部圧が高く
且つ圧力調整弁が上限位置をとる時（即ち、内部
と大気との連通がない状態）、蓋体を回動しよう
としても、スライド体の端部が圧力調整弁に当接
し、スライド体のカム溝に沿う動きはなく、蓋体
は回動しない。内部圧が大気圧近く迄下がり、圧
力調整弁が下限位置をとると、蓋体の容体に対す
る回動が可能となり、蓋体を外すことができる。

このような作用は、圧力調理器による調理を安
全なものとし、一般家庭への普及を可能にする。

〔実施例〕

蓋体３に固定される上把手６にスプリング７の
附勢を受けるスライド板８を配す。スライド体８
は、略Ｌ字型をなし、その垂直片９がスプリング
７の附勢力を受け、蓋体３のピン又は突起１０と
上把手６の段部１１との間を往復動可能にさせ
る。スライド体８の水平片１２は、蓋体３の上壁
面に沿つて摺動可能であり、好ましくは、その端
部を該上壁面からは離間させる。スライド体８の
水平片１２の往復動方向に位置するよう圧力調整
弁１３を蓋体３に固定させる。

圧力調整弁１３は、下鍔１４と上鍔１５を有す
る円筒状の弁部材１６を有し、その下部に内部に
開放される開口１７と大気に通じる通孔１８を有
する。下鍔１４にパツキン１９を設ける。

この圧力調整弁１３の弁部材１６は、調理器の
内部圧が低いと、その自重により、第２図に示す
位置をとり、内部と大気とを連通させる。内部圧
が上昇すると、下鍔１４がこの上昇圧を受け、そ
の自重に抗して弁部材１６が上昇し、開口１７を
弁体２０内に位置させ、パツキン１９を弁体２０
の底面に当接させるので、調理器内部と大気との
連通は遮断される。

容体１側の下把手５に、第１図に示すように、
カム溝２１を設ける。カム溝２１は下把手５の一
側で開口し、下把手５の中央部で半径方向外方へ
とずれた形となつている。

蓋体３の自由状態では、スライド体８はスプリ
ング７の附勢力を受けて第２図の仮想線で示す位
置となつている。スライド体８が仮想線で示す位
置にある時は、スライド体８の水平片１２の端部
が弁部材１６の上方に位置し、弁部材１６の上方
への動きを阻止させる。

蓋体３の係止片４を容体１の爪２間に嵌合せた
後、蓋体３を容体１に対し回動させ爪２の下面に
係止片４を移動させる。この際、スライド体８の
垂直片９の端部が開口２２よりカム溝２１内に入
り、カム溝２１がスライド体８を半径方向外方へ
と移動させ始める。蓋体３が容体１に対して正し
い係合位置をとると、カム溝２１によりスライド
体８は、第２図の実線位置を占め、その結果、ス
ライド体８の水平片１２の端部が弁部材１６の上
部から離反する。即ち、この離反により、使用者
は、直ちに、蓋体３が正しい位置にあることを感
知する。仮りに、蓋体が正しい位置にない時、調
理を開始しても、スライド体の水平片１２が弁部
材１６の上部に位置し、弁部材１６が大気と調理
器内部とを連通させたまゝとするので、内部圧の
上昇がなく、蓋体を開け、再度、締め直しても全
く危険がない。尚、弁部材１６の上昇は、容体内
の圧が上昇していることを使用者に教え、又、調
理後の下降は内圧が大気圧に近くなり、蓋の開放
を可能にする時期がきたことを使用者に知らせ
る。又、ピン１０が蓋体に対し滑動自在とさせる
と、内圧が上昇し、パツキンがピンを第２図でみ
てスライド体８を左方に押すと、垂直板９がカム
溝２１の段部２３と対向し、把手６の回動防止を
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は圧力調理器の容体を輪切りして下方か
らみた底面図、第２図はこの考案の一例の部分断
面図である。 図中：１……容体、２……爪、３……蓋体、４
……係止片、５，６……把手、７……スプリン
グ、８……スライド体、１３……圧力調整弁、２
１……カム溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蓋体に固定した上把手にスプリングで附勢され
   たスライド体を配し、前記スライド体の該スプリ
   ングによる一方向の動きによりその一端が前記蓋
   体に設けた圧力調整弁の弁部材上部方向に移動可
   能であり、前記スライド体の他方向への移動が容
   体に固定した下把手に設けたカム溝に沿つて成さ
   れ、前記スライド体を該溝を用い他方向へ移動さ
   せることで、前記弁部材の上部から前記スライド
   体を退却可能としたことを特徴とする圧力調理
   器。