JPS6242238B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は蓄熱貯槽設備の創案に係り、蓄熱貯槽
内において温度変化を繰返す液状熱媒体移送管路
を好ましい保温条件下において経済的且つ容易な
施工条件下に形成し耐用性の高い蓄熱貯槽設備を
提供しようとするものである。

高温排熱を溶融塩のような熱媒体で回収しその
熱エネルギーを再利用するような場合における蓄
熱熱交換システムとして従来から知られているも
のは高温側貯槽と低温側貯槽とを設け、高温側蓄
槽には例えば500℃、低温側貯槽には250℃のよう
な各溶融塩を貯え、これら２基の貯槽を接続する
配管の途中に熱交換器を設けて、熱回収時には過
剰蒸気から熱を回収し、再利用時には飽和蒸気を
加熱するもので、各貯槽には元弁を設けると共に
払出しノズル側には循環ポンプが設けられてい
る。ところでこのような蓄熱システムとしては前
記したように貯槽２基を用いるものの外に１基の
貯槽を用い、その下部に低温媒体を収容し、その
上部に比重の軽い高温熱媒体を貯え、夫々の部分
に設けた上記同様の各ノズルと熱交換器により前
記同様に蓄熱、放熱状態を切換え形成して運転す
るシステムも知られているが、これら従来一般技
術によるものでは夫々に不利欠点がある。つまり
２槽方式のものでは貯槽を２基とすることからプ
ラントの建設敷地が大きくなり、又その基礎工
事、貯槽工事、保温工事等も２倍近く掛ることと
なつて不経済であり、更に各貯槽内液上部の空間
には例えば窒素ガスのような不活性ガスを封入す
ることが安全性の面で推奨されるが２つの貯槽の
間には前記のように250℃、500℃の如き温度差が
あり、前記不活性ガスが低温部から高温部に移動
（熱媒体は高温側から低温側へ移動）すると、該
ガスは膨脹して貯槽内圧が上昇し、その反対の場
合には貯槽内圧が低下するので貯槽においては強
度上例えば調圧用ガスホルダーを設けるなどの特
別な配慮を必要とし、この点からもコストアツプ
とならざるを得ない。一方１槽方式にあつては低
コストと考えられるが液圧を受ける側板面が、前
記のような250〜500℃の温度差範囲内で上昇（膨
脹）下降（収縮）による熱応力に直接耐えること
が必要で、そのような素材（耐熱鋼）の入手が容
易でない。

本発明者等は上記したような従来一般のものの
不利を解消するように検討を重ねて、断熱材を設
けた外部貯槽に対し該外部貯槽と同心状に断熱材
を適宜に附設した内部貯槽を設け、該内部貯槽の
側壁下部に外部貯槽との連通孔を形成し、しかも
前記外部貯槽から熱交換器を介して内部貯槽と導
通した配管を設けることを提案した（特開昭59−
93185号公報参照）。即ちこのものは第１図に示す
通りであつて、基礎１０上に設けられた底部保温
材１２の上に構成された液密且つ気密の外部貯槽
８はその外部を保温材８ａで被覆されており、該
貯槽８の内部には同心円状に内部貯槽９を設け、
該内部貯槽９の上部には断熱屋根が設けられてい
る。又前記内部貯槽９は温度差をもつた熱媒体を
区分貯蔵するに足る断熱性能をもつた壁体で形成
されているが、その底部近くに外部貯槽８内に連
通する通孔９ａが形成され、両貯槽８，９の壁体
間隔は建設作業スペースを取つた適当な範囲内に
選ばれている。又外部貯槽８の底部側面には低温
側熱媒体を導入するノズル１６と払い出しノズル
１７とが設けられ、払い出しノズル１７は熱媒体
液面ａから所定の深さに開口した立上り配管１７
ａが設けられ、又これらのノズル１６，１７に元
弁１８が夫々設けられ、更に払い出しノズル１７
には配管１９、循環ポンプ１５を介して熱交換器
２０に連結されている。なお該熱交換器２０から
の配管２４は内部貯槽９に通ずる受入れノズル２
１と払い出しノズル２２に連結され、これらのノ
ズル２１，２２は内部貯槽９内に１本の管体２２
ｂとして導入されて該貯槽９内液面ａより所定深
さに達するように立上つた内部配管２２ａとされ
ている。これらのノズル２１，２２には元弁２３
が取付けられ、又循環ポンプ１５ａを有すること
は前記ノズル１６，１７の場合と同じであつて、
熱交換器２０には熱量を受払いするための蒸気配
管２７が通ぜしめられ、貯槽８内空間部には不活
性ガスの如きカバーガスを封入するための吸入側
安全弁２５と貯槽８自体の安全弁２６の如きが配
設されている。即ち、斯かる構成によれば、この
種設備を比較的且つ経済的に形成することがで
き、しかも温度変化による熱疲労を低減して保温
性および耐久性を良好ならしめるものとして工業
的に頗る有意義な設備と言える。

ところがこのような新しい方式によるものの場
合において、その熱媒体を内外部の各貯槽８，９
間に移送するための前記内部配管２２ａはその熱
媒体を移送するに当つて、低温溶融塩側と配管壁
を通じて熱交換し、貯槽の熱交率を劣化する不利
があり、しかもこのような内部配管２２ａは第２
図に示すように溶融塩中に没していて、このよう
な部分に通常の保温材を施しても溶融塩が滲透し
て保温性能が低下せしめられ、又その立上り部分
は高さｈの範囲内において溶融塩の移送に伴い
250℃の溶融塩Ｓ_Lから500℃の溶融塩Ｓ_H、或いは
その反対に500℃から250℃の溶融塩へと繰返して
温度変化による影響を受けるもので、このように
温度変化の繰返される内部配管２２ａに対する保
温施工は相当に困難である。即ちこのような保温
施工としては液密、気密を必要とするところその
ような液密、気密を確保して保温性を確保する構
造は相当に複雑なものとならざるを得ず、しかも
保温性又は伸縮性の何れかをそれなりに犠性とし
たものとならざるを得ないので、その機能は必ず
しも充分なものとならないものである。殊に前記
内部配管２２ａは屈曲して立上つたものであるか
ら伸縮方向が複合し、このような条件下でその保
温構成を的確に得ることは容易でない。

本発明は上記したような実情に鑑み検討を重ね
て創案されたものであり、その具体的実施態様は
全般的には第３図に示す通りである。即ち内部配
管２２ａの水平状導入部２２ｂに対しては外筒２
内に保温筒３を装入して該部分の保温を図り、外
筒２はその基筒２′が外部貯槽８の側板に対して
溶接して取付けられ、しかも、該基筒２′に対し
てフランジ相互を接合して外筒２を取付け、該外
筒２は立上つた内部配管２２ａに対する外筒５の
基端に配設された支持筒４に対してその一側の鞘
部４ａにおいて受入れられ、支持筒４は底板（又
はフランジ部）４ｂで内部貯槽８の底面に取付け
られ、又そのフランジ部４ａと前記外筒５のフラ
ンジ部５ａとによつて連結固定されている。更に
このようにして設けられた外筒５内には適当な間
隔を採つてブラケツト５ｄを設け、該ブラケツト
５ｄによつて流動制御部材たる円板部材７を段設
し、該円板部材７に形成された通孔７ｂに内部配
管２２ａを適当な間隙を採つたルーズ状態で挿通
支持しているが、このような円板部材７は又ブラ
ケツト５ｄに対して第４図に示すような止着孔７
ａにおいて固定されている。外筒２および５は第
４図および第６図に夫々示すように軸線方向にそ
つて半割りに分割されたもので緊締座２ａ又は５
ｂ相互を緊締することによつて取付けられ、しか
も前記した保温筒３および円板部材７もそれら第
４図と第６図に示すように軸方向にそつて分割さ
れたもので、場合によつては外筒２，５にそれら
の部材３，７を取付けたままで装脱することがで
き、何れにしても内部配管に対する装脱組付けを
容易且つ迅速ならしめるように構成してある。更
に前記したような外筒５はその上端が第３図に示
すように内部貯槽９の溶融塩液面より突出せしめ
て設けられ、このような突出部分を内部貯槽９の
内面に取付けられた保持部材１９によつて軸方向
における伸縮可能に保持されているが、斯うした
溶融塩液面部分において該外筒５の軸方向にそつ
た熱媒体導入部たる長孔５ｃが設けられているこ
とは図示の通りでその内部に溶融塩が流入するよ
うに成つている。なお前記したような保温筒３お
よび円板部材７は一般的にキヤスタブルと称され
るSiO₂およびAl₂O₃等を適当な割合で混合した不
定形耐火物で形成されることが有利であり、工場
において成形固化したものを搬入して組立てるこ
とが好ましいが、その熱伝導率としては0.6〜
0.7Kcal／mhr℃程度のものであつて前述したよ
うな溶融塩に対して適切な耐熱性および耐溶融塩
性を有している。

上記したような本発明によるものの作用につい
て説明すると、上記したような蓄熱目的で採用さ
れるに好ましい熱媒体としての硝酸塩類を用いた
溶融塩についての熱伝導率は0.52Kcal／mhr℃程
度（200〜600℃での平均）であり、このものが静
止状態であるとその伝熱性が頗る少ないものであ
る。従つて第７図に示すような放熱領域が充分に
縮少した放熱終了状態から蓄熱開始までの静止状
態においては溶融塩そのものが保温材的機能を呈
することとなり、又蓄熱を開始し内部配管内を溶
融塩が流れ始めると外筒５との間で熱交換するこ
ととなるが、その範囲が円板部材７で仕切られて
いるので対流による熱交換は頗る少ないものとな
る。更に第８図に示すような蓄熱終了から放熱開
始までの静止状態においても熱交換領域が多少広
くなるとは言え外筒５内の全般が500℃程度の溶
融塩となつて静止しているので保温を必要としな
いことは明かである。なお上記のように作用する
ものであるから液密、気密構造を内部配管２２ａ
の保温機構に関して全く必要としないことにな
り、単純な構成で設計製作され、構成部材の熱膨
脹伸縮に関しても特別な拘束を必要とせず、自在
な設計をなすことができる。

以上説明したような本発明によるときは内外槽
間において熱媒体を熱媒体たる溶融塩自体を保温
材的に利用し、即ち内部配管の周側にその静止状
態を形成して熱媒体移送時における熱交換を有効
に阻止せしめることができるものであり、従つて
溶融塩移送時における繰返し温度変化による影響
をならかしめ、特別に液密、気密を考慮した困難
な保温施工を必要としないで充分な保温構成を実
現し、比較的コンパクトで好ましい耐用性を有す
る蓄熱貯槽設備を経済的且つ簡易に提供し得るも
のであるから工業的にその効果の大きい発明であ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の技術的内容を示すものであつ
て、第１図は本発明者等の先行提案を断面的に示
した説明図、第２図はその内部配管についての溶
融塩内設定状態を示した説明図、第３図は本発明
による内部配管に対する保温機構の全般的関係を
示した断面図、第４図はその外筒内に設けられる
円板部材の説明図でその斜面図と外筒内セツト状
態の横断面および縦断面図、第５図は第３図…
線にそつた部分的断面図、第６図はその支持筒
内に設けられる保温筒の説明図で、その斜面図と
支持外筒内セツト状態の横断面および縦断面図、
第７図はその外筒部分における放熱終了状態から
の静止状態における放熱保温関係についての説明
図、第８図はその蓄熱終了からの静止状態での放
熱保温関係説明図である。 然してこれらの図面において、２は支持外筒、
３は保温筒、４は支持筒、５は外筒、５ｃはその
熱媒体導入部たる長孔、７は流動制御部材たる円
板部材、８は外部貯槽、９は内部貯槽、１０は基
礎、１２は底部保温材、２２ａは内部配管、２２
ｂはその水平状導入部を示すものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 断熱材を添設した外部貯槽に対して該外部貯
   槽内に断熱機能を有する内部貯槽を間隔を採つて
   設定し、該内部貯槽の側壁下部に前記外部貯槽と
   の連通孔を形成し、しかも前記外部貯槽から熱交
   換器を介して内部貯槽に導通した内部配管を設
   け、該内部配管に施した外筒とこの内部配管との
   間に流動制御板を配設すると共に前記外筒には熱
   媒体導入部を形成したことを特徴とする蓄熱貯槽
   設備。