JPS6241392Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は磁気記録再生装置に用いるテープ状の
磁気記録媒体（以下テープと称す）の走行におい
て、回転する上シリンダに設けられた磁気ヘツド
突出窓近傍でのテープと上シリンダとの接触を緩
和し、テープや上シリンダの損傷を発生しにくく
した磁気記録再生装置のシリンダ装置に関するも
のである。

従来例の構成とその問題点 近年VTRは小型軽量化、高密度記録化の開発
が進み、それにつれてテープも高保磁力、高残留
磁束密度の材料で磁性面が鏡面且つ厚みの薄いも
のが開発されつつある。以下に従来のシリンダ装
置について第１図〜第４図に基づき説明する。１
は回転する上シリンダ、２は固定状態の下シリン
ダ、３は磁気ヘツドで、上シリンダ１に取り付け
られている。４はテープである。以上のように構
成された従来のシリンダ装置の動作によいて説明
する。上シリンダ１と下シリンダ２に跨り斜めに
巻き回されているテープ４上に、上シリンダ１に
取り付けた磁気ヘツド３が上シリンダ１の回転に
伴ない信号トラツクを斜めに形成する。しかしな
がら従来のシリンダ装置では高密度記録化に対応
するため高硬度の磁性材料を磁性膜に使用した厚
みの薄いテープ（例えば蒸着テープ、材料：Co
−Ni蒸着、厚み10μｍ程度、以下高性能薄型テ
ープと称す）を走行させる場合、上シリンダ１の
下端エツヂ部１ａとテープ４とが接触しやすくな
ると共に、磁気ヘツド３の回転に伴ない磁気ヘツ
ド３のテープ巻付出側近傍の静圧が低下しテープ
４の落ち込み変形４ａが発生する。この落ち込み
変形４ａと磁気ヘツド突出窓部１ｂが接触しやす
くなる。以上２個所の接触はテープ４を損傷させ
るだけでなく、回転する上シリンダ１も損傷す
る。テープ４の損傷により発生する磁気粉は第４
図斜線に示す範囲１ｃに散布され、ところによつ
ては回転する上シリンダ１表面に埋め込まれる。
埋め込まれた磁性粉はテープ損傷を促進すると共
に信号トラツクの消磁の原因となる。

考案の目的 本考案は上記従来の欠点を解消するもので、高
密度記録化に対応するため高硬度磁性材料を磁性
膜に使用し厚みの薄い高硬度性能薄型テープを、
テープ損傷やシリンダ損傷を発生させることなく
走行可能にするシリンダ装置を提供することを目
的とする。

考案の構成 上記目的を達成するため、本考案の磁気記録再
生装置のシリンダ装置は、磁気ヘツドを具備し回
転する上シリンダと、固定の下シリンダとから成
り、シリンダ外周面の一部にテープ状の磁気記録
媒体を巻回し、この磁気記録媒体の斜め方向に信
号トラツクを形成するように構成されたシリンダ
装置であつて、上シリンダの下端部に全周に亘つ
てテーパ部を設け、このテーパ部表面に多数の凹
部を設けたものである。

実施例の説明 以下、本考案の一実施例について、図面に基づ
いて説明する。第５図、第６図は本考案の基本と
なるポンピング効果の原理を示すものである。第
５図及び第６図において、５はテープ、６は不連
続な凹部６ａを持つ平板とする。平板６は高速で
図中矢印イ方向に走行し、テープ５は平板６上を
低速で走行するものとする。平板６が高速走行す
るとき平板６上の空気が凹部６ａに流れ込み、空
気流を遮る凹部６ａの側面６ｂ近傍の空気流が増
加し、テープ５と平板６との間に空気層を形成す
る。これをポンピング効果と呼び、これは空気流
を遮る凹部６ａの側面積が大きい程、又凹部６ａ
の底面６ｃと空気流を遮る凹部６ａの側面６ｂと
の間の角度θが小さい程効果が大きい。従つて第
６図の方が第５図に比べ効果が大きい。

前記凹部の深さはシリンダ・テープ間の相対速
度により最適値があり、深すぎると空気圧の増加
が少なくなる。本検討の場合、10μｍ以下の凹部
が最適であつた。

第７図は本考案の一実施例におけるシリンダ装
置の斜視図、第８図は本考案の一実施例における
シリンダ装置の磁気ヘツド突出窓近傍の拡大断面
図である。図において、１１は下端部に全周に亘
つてテーパ部１１ａを設け、このテーパ部１１ａ
表面に深さ10μｍ以下の不連続な多数の凹部１１
ｂを設けた上シリンダ、１２は固定の下シリン
ダ、１３は上シリンダ１１に取り付けられる磁気
ヘツド、１４はテープである。

以上のように構成された本実施例のシリンダ装
置の動作について説明する。磁気ヘツド１３を取
り付けた上シリンダ１１が回転するとき、上シリ
ンダ１１の下端部とテープ１４との接触は上シリ
ンダ１１の下端部にテーパ部１１ａを設けること
で緩和され、回転に伴ない発生する凹部１１ｂの
ポンピング効果でテープ１４を浮上させる。この
ため、磁気ヘツド１３の回転に伴ない磁気ヘツド
１３のテープ巻付出側近傍での圧力低下によるテ
ープ１４の落ち込み変形が少なくなり、磁気ヘツ
ド突出窓部１１ｃとテープ１４との接触が緩和さ
れる。

以上のように本実施例によれば、上シリンダ１
１の下端部にテーパ部１１ａを設け、このテーパ
部１１ａの表面に深さ10μｍ以下の凹部１１ｂを
設けることにより、上シリンダ１１の下端部及び
磁気ヘツド突出窓部１１ｃとテープ１４との接触
を緩和させ、高硬度高性能薄型テープ１４をその
テープ１４上シリンダ１１を損傷させることなく
走行させることができる。尚凹部１１ｂの断面形
状は第５図、第６図に示す何れの形状であつても
良く、その形状は特に限定されない。

考案の効果 以上のように本考案のシリンダ装置は、上シリ
ンダの下端部に全周に亘つてテーパ部を設け、こ
のテーパ部の表面に多数の凹部を設けたことによ
り、上シリンダの下端部及び磁気ヘツド突出窓部
とテープとの接触を緩和し、高硬度高性能薄型テ
ープを上シリンダ、テープを損傷させることなく
走行させることができ、その実用的効果は大き
い。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は従来例を示し、第１図はシリ
ンダ装置の斜視図、第２図はその拡大縦断面図、
第３図は磁気ヘツド近傍の拡大横断面図、第４図
は長時間走行後の斜視図、第５図及び第６図は本
考案の基礎となるポンピング効果の原理を示す説
明図、第７図は本考案の一実施例におけるシリン
ダ装置の斜視図、第８図はその磁気ヘツド近傍の
拡大横断面図である。 ５……テープ、６……平板、６ａ……凹部、６
ｂ……側面、６ｃ……底面、１１……上シリン
ダ、１１ａ……テーパ部、１１ｂ……凹部、１１
ｃ……磁気ヘツド突出窓部、１２……下シリン
ダ、１３……磁気ヘツド、１４……テープ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 磁気ヘツドを具備し回転する上シリンダと、
   固定の下シリンダとから成り、シリンダ外周面
   の一部にテープ状の磁気記録媒体を巻回し、こ
   の磁気記録媒体の斜め方向に信号トラツクを形
   成するように構成されたシリンダ装置であつ
   て、上シリンダの下端部に全周に亘つてテーパ
   部を設け、このテーパ部表面に多数の凹部を設
   けた磁気記録再生装置のシリンダ装置。 ２ テーパ部に設けた凹部の深さが10μｍ以下で
   ある実用新案登録請求の範囲第１項記載の磁気
   記録再生装置のシリンダ装置。