JPS6240941B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は例えば、車両用交流発電機に使用され
るカーボンブラシを内蔵するブラシ保持装置に関
するものである。

〔従来の技術〕

従来周知のブラシ保持装置は、第１図に示すご
とく、一対のターミナルプレート１，１′をイン
サートモールドした絶縁材料からなるブラシホル
ダ２に各々一端が開口した箱状のブラシ格納箱２
ａ，２a′を有し、該格納箱２ａ，２a′の内部にス
ムーズに動けるようにギヤツプを有してカーボン
ブラシ５，５′が格納されている。さらに、カー
ボンブラシ５，５′をスリツプリング３に圧接す
るために、コイルスプリング４，４′がプレート
ターミナル１，１′とブラシ端面５ａ，５a′に両
面を接し、格納されている。カーボンブラシ５，
５′とプレートターミナル１，１′とを電気的に接
続するピツグテール６，６′は銅より線からな
り、スプリング４，４′の中心を通り、一端がプ
レートターミナル１，１′に半田付により電気的
に接続されている。ピツグテール６，６′の他端
はカーボンブラシ５，５′の端面５ａ，５a′にス
リツプリング３の方向にあけられた穴５ｂに銅粉
５ｃを用いて銅粉止めし（最も一般的なカーボン
ブラシとピツグテールとの結線方法）、機械的、
電気的に結線されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記のような従来構造のものによると下記のよ
うな問題点がある。即ち、 (1) ブラシが長いために、実際にスリツプリング
に接するように取り付けられたとき、ブラシの
大部分はブラシ内に格納されて、スプリングが
圧縮された状態になつているので、ピツグテー
ルは第１図に示すようにたるみ、多々生じるス
プリングのコイルとコイル間のかみ込み、振動
等によりかみ込みが繰り返されて切断してい
た。

(2) ピツグテールをプレートターミナルに半田付
する際、ピツグテールが銅より線であるため
に、毛細管現象により半田がブラシへと流れ、
ピツグテールの柔軟性が損なわれ、ブラシの摺
動性を悪化させたり、さらにブラシがブラシホ
ルダ内に格納できない状態であるブラシ上り不
良が多々発生していた。

(3) ブラシホルダの開口は防水性を高めるため
に、スリツプリングに面する一方向のみにあけ
られ、このためピツグテールがスプリング内を
通されている。これにより、ピツグテールとブ
ラシを結合する銅粉止めは、ブラシ向心方向に
なり、機械的、電気的な結合を満足させようと
すると、銅粉止めが長くなり、ブラシの有効長
Ｌが短くなる。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記の問題点に解消するために、カー
ボンブラシとピツグテールを各々別々に格納する
一対の箱を設け、スプリングとピツグテールとを
隔離しつつ、ピツグテールを格納する第３、第４
の箱を設けても、従来と同様の体格を有するブラ
シ保持装置を提供するものである。

〔実施例〕

以下本発明を図に示す実施例について説明す
る。第２図および第３図において、７，７′は一
対のカーボンブラシ、８はブラシ７，７′を電気
的に絶縁して格納するブラシホルダであつて、絶
縁材料により成形され、一方（スリツプリング３
側）が開口した一対の第１と第２の箱８ａ，８
a′を有している。第３、第４の箱８ｂ，８b′は第
１、第２の箱８ａ，８a′に挟まれ、周方向に並ん
で配置される。また、第３、第４の箱８ｂ，８
b′を隔てるための第３の壁８ｇは、第１と第３の
箱８ａ，８ｂおよび第２と第４の箱８a′，８b′が
隣接する第１、第２の壁８ｄ，８d′側が大きくな
るように、第３図に示す如く、傾斜している。さ
らに、第１、第２の８ｄ，８d′において第３の壁
８ｇ側には、ピツグテール９がスムーズに通るく
らいの第１、第２のスリツト８ｃ，８c′が点対称
位置に設けられている。また、第３と第４の箱８
ｂ，８b′の反開口端（上部）には、ピツグテール
９が挿入し易いように円錐状のくぼみ８ｅ，８
e′が設けられ、くぼみ８ｅ，８e′の中心部にはピ
ツグテールが通る程度の貫通穴８ｆ，８f′が設け
られている。

銅より線からなる一対のピツグテール９は、第
３と第４の箱８ｂ，８b′の内部にたるみをもたせ
て格納されており、それぞれ一端が貫通穴８ｆ，
８f′を通して前記プレートターミナル１０に半田
付けされ、他端は、第１、第２のスリツト８ｃ，
８c′を通り、後記するブラシ７，７′の側面より
ブラシ７内へほぼスリツプリングの軸線方向に挿
入されるように、ブラシ成形時にピツグテール９
をインサートモールドし、機械的、電気的に接続
している。

１０はプレートターミナルであつて、貫通穴８
ｆ，８f′と同径の穴を有し、ブラシホルダ８にイ
ンサート成形されていて、外部に延びており、図
示しない他の部品と電気的に接続されている。

カーボンブラシ７，７′は、第１と第２の箱８
ａ，８a′と若干のギヤツプを有して、スムーズに
移動できるような寸法に加工され、第１と第２の
箱８ａ，８a′に格納されている。ブラシ７，７′
は、ブラシホルダ８の開口側の一端がスリツプリ
ング３に接触し、他端がブラシホルダ８の内部で
コイルスプリング１１，１１′に接している。コ
イルスプリング１１，１１′はブラシ７，７′の有
効長Ｌが摩耗して短くなつても、スリツプリング
３に必要な加圧力を保持できるように圧縮されて
いる。

上記構成において、外部からターミナル１０に
給電された励磁電流は、ピツグテール９を経てブ
ラシ７に給電され、ブラシ７がスリツプリング１
１に摺動接触して図示しない従来周知のロータコ
イルに給電されたあと、他方のスリツプリング１
１′、他方のブラシ７′、ピツグテールおよびター
ミナルを経て外部へ通電されるような閉回路を構
成している。この通電系路は、従来周知の構造、
系路であるので、ここでの詳細な説明は省き、本
発明の作動のみを以下説明する。

ブラシ７，７′は、ブラシホルダ８の第１と第
２の箱８ａ，８a′の中に向心方向にスムーズに上
下運動できるように格納されているので、使用初
期から有効長Ｌを摩耗した最終使用可能時までス
プリング１１，１１′によりスリツプリング３に
必要面圧を保持して摺動圧接される。これによ
り、使用回転数内でブラシ７，７′がおどること
なく安定して摺動できるようになつている。

一方、一対のピツグテール９は、ブラシ７，
７′のスプリング側端部から延びて、第１、第２
のスリツト８ｃ，８c′を通り、第３と第４の箱８
ｂ，８b′の中にたるみをもたせ格納されているの
で、ブラシ７，７′が有効長Ｌだけ摩耗した場
合、ピツグテール９が延びきつた状態になり、摩
耗しすぎによりピツグテール９とスリツプリング
３が摺動してスリツプリング３を傷つけないよう
になつている。また、ピツグテール９は、第３と
第４の箱８ｂ，８b′に格納されているために、た
るんでいてもスプリング１１，１１′にかみ込ん
だりすることなく自由に動くことができる。さら
に、ピツグテール９を第１と第２の箱８ａ，８
a′に進入させる第１、第２のスリツト８ｃ，８
c′は、ピツグテール９の大きさより若干大きな幅
としているだけなので、ピツグテール９がたるん
だときに、第１、第２の壁部８ｄ，８d′にあた
り、第１、第２のスリツト８ｃ，８c′を通して、
第１と第２の箱８ａ，８a′内にはみ出すことが少
なくなる。ピツグテール９は、第１、第２の箱８
ａ，８a′内でなく第３と第４の箱８ｂ，８b′にブ
ラシ７，７′とは別々に格納されているので、た
とえピツグテール９に半田が垂れ下つてもブラシ
上り不良を生じることもない。また、ピツグテー
ル９をターミナル１０の穴に挿入して、半田付け
する工程においても第３と第４の箱８ｂ，８b′の
奥が円錐状のすりばち型くぼみになつているので
容易にピツグテール９を挿入することができる。

さらに、ピツグテール９を収納する第３、第４
の箱８ｂ，８b′を、第１、第２の箱８ａ，８a′間
に、周方向に並べると共に、ピツグテール９の端
部を第３、第４の箱８ｂ，８b′の上部より取り出
すようにした配置したから、第１、第２の箱８
ａ，８a′間の距離を短くし、コンパクトにでき
る。また、第３の壁８ｇを傾斜させることで、ピ
ツグテール９は、第１、第２の箱８ａ，８a′から
第３、第４の箱８ｂ，８b′に、第１、第２のスリ
ツト８ｃ，８c′をスムーズに通り、ピツグテール
９に無理な力が加わらず、振動等によつても強い
ものとなる。

なお、上記構成においてはブラシとピツグテー
ルの結線は、モールドでなされているが、従来と
同様に銅粉止めであつてもピツグテールの切断、
ブラシ上り不良の故障は解決できる。

なお、第３の壁８ｇが傾斜しているというの
は、少なくとも第３の壁８ｇの第１、第２のスリ
ツト８ｃ，８c′側が斜めに傾斜して、一対のピツ
グテール９が、それぞれ第１の箱８ａから第３の
箱８ｂに、第２の箱８a′から第４の箱８b′に無理
な力が加わらずに通るものであればよい。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明においては、ブラシが
ブラシホルダ内にピツグテールとは隔離されて格
納されているので、ピツグテールがたるんだとき
スプリングにピツグテールがかみ込むこともな
く、さらには切断する等の故障もなく、またピツ
グテールの半田付け作業のミスにより半田たれを
起こしてもブラシ上り不良とならず、大幅な工数
低減、不良率低減となり、さらにブラシホルダ金
高を利用してブラシの有効長Ｌを長くすることが
できるので、長寿命化され、省資源型のブラシ保
持装置にすることができるという優れた効果があ
る。

また、第３の壁を傾斜させることで、第３、第
４の箱を周方向に並べても、ピツグテールが第
１、第２のスリツトを無理な力が加わらずに通
り、振動等によつても強度的に強くすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のブラシ保持装置の縦断面図、第
２図は本発明のブラシ保持装置を示す第３図にお
けるＢ−Ｂ線に沿つた部分断面図、第３図は第２
図におけるＡ−Ａ線に沿つた断面図である。 ３……スリツプリング、７，７′……カーボン
ブラシ、８……ブラシホルダ、８ａ，８a′……第
１と第２の箱、８ｂ，８b′……第３と第４の箱、
８ｃ，８c′……第１、第２のスリツト、８ｄ，８
d′……第１、第２の壁、８ｇ……第３の壁、９…
…ピツグテール、１１，１１′……コイルスプリ
ング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 絶縁材料により一体成形されたホルダの内部
   に一対のカーボンブラシを有し、該ブラシがピツ
   グテールにより通電され、コイルスプリングによ
   つて一対のスリツプリングに圧接、摺動するよう
   にしたブラシ保持装置において、 前記ホルダは、前記スリツプリング側に開口
   し、前記スプリングおよび前記ブラシをそれぞれ
   収納し、互いに対向する第１、第２の箱と、これ
   ら第１、第２の箱の間で、かつ周方向に並んだ第
   ３、第４の箱と、これら第３、第４の箱を隔てる
   と共に、前記第１の箱と前記第３の箱が隣接する
   第１の壁部および前記第２の箱と前記第４の箱が
   隣接する第２の壁が大きくなるように傾斜させた
   第３の壁部と、前記第１の壁の、前記第３の壁部
   側に形成された第１のスリツトと、前記第２の壁
   部の、前記第３の壁部側に形成された第２のスリ
   ツトとを有し、 前記一対のピグテールは、それぞれ第３、第４
   の箱内に挿入され、一端は前記第３の壁部に沿つ
   て、前記第１、第２のスリツトを通して、ブラシ
   の上部に前記スリツプリングの軸線とほぼ平行に
   埋設されることを特徴とするブラシ保持装置。