JPS6240435Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は貯蔵、輸送及び取り扱いに非常に便利
な改良された集積回路用のウエハーの個別型容器
に関するものである。

電子産業の著しい発展に伴ない、シリコン、ゲ
ルマニウム等により形成されるウエハーは、大面
積化しつつあり、直径が略々７cmから15〜18cmへ
と実用化が進められている。しかもウエハーから
製造される集積回路はますます高集積化、複雑化
している。ウエハーの多量利用に伴ない、ウエハ
ーの貯蔵、輸送及びその取り扱いに便利で安全な
容器が所望されている。なぜならば、ウエハー表
面の小さい摩擦跡でも、その部分を含む集積回路
は使用不可能になるばかりでなく、ほこり等の異
物が付着しても集積回路の不良率が増大するから
である。

従来から、これらの目的のために集積回路用ウ
エハーの個別容器が提案されているが、それらの
中には非常に複雑で、かつ不経済なものが多い。
現在用いられているものとしては、容器底部の円
錐状からなる傾斜を利用して、ウエハー下面を周
辺にて支え、環状部分から半径方向に延設した複
数の脚部を有するスプリングによりウエハー上面
を抑える方式のものであり、スプリングがなけれ
ばウエハーを固定することができないものであ
る。

このような従来の固定手段では、周辺部におい
てとは云え、複数の脚部がウエハー表面に接触
し、その摩擦力により固定、保持されているため
に、輸送時にウエハーが動き、脚部の摩擦により
傷つけるばかりか、長期保存時に脚部の弾性低下
により、ウエハーの固定が事実上不可能となつた
り、また輸送時にウエハーが動き、破損等の原因
となつている。さらには、容器内に環状部から半
径方向に延びた複数の脚部を有するスプリング
を、ウエハー固定に用いることは、容器とスプリ
ングの２種類の保持具を必要とすることになり、
これがため作業性が非常に悪くなるばかりか、１
枚のウエハーを固定保持するために、少なくとも
ウエハー厚みの10〜20倍以上、約100mm以上の厚
さを必要とする。これは輸送時に非常に大きな容
積空間を要することを意味し、輸送料が嵩むこと
はもとより、貯蔵保管にもスペースを要するなど
の欠点となる。

本考案は上記従来の欠点を解決するために考え
られたものであつて、その目的とするところは同
一構造の容器相互の嵌合によつて、スプリング部
材を要することなく、ウエハーを周辺部のみで確
実に固定保持でき、また場合によつては容器自体
の弾性をウエハーの固定保持に役立てて、限られ
た容器内の空間にウエハーを傷つけることなく貯
蔵でき、輸送時においても取り扱い易いきわめて
便利なウエハーの個別容器を提供することにあ
る。

上記目的によるこの考案のウエハー容器は、底
板の周辺に内径がウエハー外径よりも若干大径の
上側壁を突設してウエハー収容部となし、そのウ
エハー収容部の底板中央部を低く形成して上側壁
と接する底板周囲をウエハーの受座とし、かつ上
側壁の外側に段部を設けて嵌合用の下側壁を突設
した容器において、底板周囲の上面及び下面にリ
ブを放射状に突設し、同様な一対の容器相互の嵌
合によりウエハーを周辺にて底板周囲の上面及び
下面に突設した放射状リブ間に保持固定するよう
に構成したことを特徴とするものである。

以下本考案を図示の例により詳細に説明する。

図中１は、合成樹脂をもつて形成した平面状が
円形の容器本体、２はウエハーである。

容器本体１は、円形の底部１１の周辺に内径が
ウエハー２の外径よりも若干大径の上側壁１２を
突設して形成したウエハー収容部１３を有する。

上記ウエハー収容部１３の底面、即ち底板１１
はすり鉢状に形成され、それにより底板１１の中
央部１４は、上側壁１２と接する周辺部よりも低
く形成されて、上側壁１２とは傾斜面で接続され
ている。傾斜面上にはリブ１７を放射状に突設
し、リブ１７がウエハー２を周辺にて保持する受
座となるようにしてある。

また上側壁１２の外側には、内径が上側壁１２
の外径よりもわずかに大きく、かつ高さは略々等
しくする下側壁１５が段部１６を設けて突設して
あり、同様な構造の容器本体１を積み重ねたとき
に、上側壁１２の外側に下側壁１５が嵌り込むよ
うにしてある。

上記底板１１の下面の周面は傾斜面上に、上面
と同様なリブ１８を放射状に突設され、リブがウ
エハー２を周辺にて弾力的に押圧固定できるよう
になつている。

また、底板の上面及び下面の傾斜面上に放射状
に突設されたリブ１７及び１８は、ウエハーの保
持を弾力的に行なうために薄肉に形成されており
リブを図示のように複数列並べて形成してもよ
い。なお前記傾斜面に代えて底板を平らにしてリ
ブの高さを外側に向けて徐々に高めてもよいし、
リブを別途用意して容器本体に入れてもよい。

しかして、上記容器本体１をもつてウエハー２
を収容するには、ウエハー２をウエハー収容部１
３に落し込み、同様な構造の容器本体１を第３図
に示すように嵌め込むだけでよい。

容器本体１，１の相互の嵌合により、底板１１
の上面及び下面の傾斜面上に突設したリブ１７，
１８がウエハー２の外周部を上方及び下方から、
はさむように押圧して抑え、ウエハー２を周辺部
のみによつて弾力的に保持固定して、ウエハーの
内部移動を阻止する。したがつて容器本体１を内
部にウエハー２を入れながら積重嵌合を行うだけ
で多段的にウエハー２を別々に保持固定すること
ができる。

また、容器本体相互の嵌合には、複雑な構造を
必要とせず、従来周知の手段を応用してきわめて
容易に嵌合及び取外しをなすことができる。

第３図はその例を示すもので、上側壁１２と下
側壁１５とに、それぞれ互に嵌合する突起１２
ａ，１５ａを部分的に突設し、その突起１２ａ，
１５ａを交互に位置させて上側壁１２と下側壁１
５とを嵌め会わせたのち、横方向に移動させて突
起相互を上下に嵌合する。この場合突起１２ａ，
１５ａは円周上に傾斜をもつて突設し、上下に嵌
合させるために横方向に移動させると同時に容器
１，１が上下に移動して、突設したリブ１７と１
８の間隔がウエハー２の厚さ以内に近づく必要が
あり、この嵌合操作により、リブ１７，１８間に
ウエハー２が保持・固定される。

なお、本考案において、最上段の容器本体がカ
バーの役割をも兼ねることは勿論である。また容
器本体も合成樹脂をはじめ、ウエハーを弾力的に
保持固定し得るものであればどのような材料であ
つてもよい。

本考案は上述のように、容器本体１のウエハー
収容部１３を形成する底板１１の中央部１４を、
低く形成して、底板１１の上面及び下面に突設し
たリブ１７，１８により、同様な一対の容器相互
の嵌合によりウエハー２を周辺部のみで弾力的に
保持固定するようにしたことからウエハーの集積
回路等を施こす表面に摩擦などによる損傷が生じ
ない。しかも容器内のウエハーは周辺部の弾力的
な保持により横ずれも防止され、震動や衝撃を受
けてもずれ動くこともなく、周辺部での押圧力も
嵌合の度合いにより調整することができるばかり
か、リブの弾力性によつているため、弾力性を長
く維持することができるばかりか、スプリング部
材が省略され、構造が簡単なので多量生産にも適
し、安価であるなどの特長を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るウエハー容器を例示するを
もので、第１図はウエハーの斜視図、第２図は容
器本体の斜視図、第３図はウエハーを収容した状
態における嵌合用突起を備えた複数の容器本体の
縦断面図である。 １……容器本体、２……ウエハー、１１……底
板、１２……上側壁、１３……ウエハー収容部、
１４……底部の中央部、１５……下側壁、１６…
…段部、１７……固定用リブ、１８……固定用リ
ブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底板の周辺に内径がウエハー外径よりも若干大
   径の上側壁を突設してウエハー収容部となし、そ
   のウエハー収容部の底板中央部を低く形成して上
   側壁と接する底板周囲の上面および下面をウエハ
   ーの受座とし、かつ上側壁の外側に段部を設けて
   嵌合用の下側壁を突設した容器において、底板周
   囲の上面及び下面にリブを傾斜状態で放射状に突
   設し、しかも該上側壁と下側壁とに、それぞれ互
   いに嵌合するように部分的に突設し、かつ円周方
   向に傾斜をもつた突起を有する同様な一対の容器
   相互の回転によつて生じる嵌合によりウエハー周
   辺を前記リブ間に保持固定するようになしたウエ
   ハー容器。