JPS6239957B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、原子炉において使用する核燃料集
合体に関するものである。

核燃料集合体１は第１図、第２図、第３図及び
第４図に示す如く、複数の燃料棒２を狭い間隔で
並行に整列させて備えている。複数の燃料棒２
は、制御棒案内シンブル管３等に固着位置決めさ
れている燃料支持格子４の格子穴５に挿通され、
燃料支持格子４に弾性的に接触して位置決めされ
て、核燃料集合体１を構成する。核燃料集合体１
の上下端部には上部ノズル６及び下部ノズル７が
取付けられる。燃料棒２は長尺のジルカロイ管か
らなる被覆管と、その被覆管内に充填密封された
燃料ペレツトとを有する。

このように構成された核燃料集合体１の複数は
原子炉の圧力容器内において炉心を形成する。圧
力容器８の内側には炉心槽９が同心円状に配設さ
れ、炉心槽９のさらに内側には炉心１１を囲むよ
うにしてバツフル板１２が配設されており、バツ
フル板１２はバツフル支持板１３により炉心槽９
に固定支持されている。

冷却材は入口ノズル（図示せず）から供給さ
れ、アツプフロー方式の場合は、圧力容器８と炉
心槽９とによつて区画される環状空隙１４を下降
し、下部プレナム（図示せず）に達した後、冷却
材の大部分は多数の核燃料集合体１が林立する炉
心１１を通過し、各燃料棒２から受熱し、残余の
冷却材の僅少部分は、炉心槽９とバツフル板１２
によつて区画される空隙１５を通り、それぞれ上
部プレナム（図示せず）に集められ、最後に出口
ノズル（図示せず）から排出されて熱交換器に送
られる。また、ダウンフロー方式の場合は冷却材
の大部分が圧力容器８と炉心槽９との間の環状空
隙１４を下降し、冷却材の残余の部分がバイパス
して空隙１５を下降し、全冷却材が下部プレナム
で合流した後、炉心１１を通過して上部プレナム
に集められ、最後に出口ノズルから排出されて熱
交換器に送られる。

ところで特にダウンフロー方式の場合に前記の
空隙１５を下降する冷却材については、空隙１５
の側が炉心１１側より冷却材流れの圧力損失が小
さいため、空隙１５を流れる冷却材の一部分が下
部プレナムに達する以前に、バツフル板接続部の
微小な隙間１６からジエツト流となつて炉心１１
側に流出する現象が起きる場合がある。このジエ
ツト流は炉心１１内の最外側に位置する核燃料集
合体１に衝突し、その核燃料集合体の特に周辺
部、若しくはその近傍に位置する燃料棒に不安定
振動を引起こし、このため燃料棒の水平方向の振
動により燃料支持格子との接触点において被覆管
が摩耗し、損傷する等の事故が発生する恐れがあ
り、この不安定振動を抑制するための技術の開発
が望まれている。

この発明は上記のごとき事情に鑑みてなされた
ものであつて、冷却材ジエツト流による燃料棒の
不安定振動を、容易かつ確実に防ぐことができる
核燃料集合体を提供することを目的とするもので
ある。

この目的に対応して、この発明の核燃料集合体
は、核燃料棒の複数をグリツドスパン間において
核燃料棒に嵌着して、核燃料棒を弾性作用によつ
て挾持可能なクリツプを核燃料棒の配列ピツチと
等しい間隔で備えた制振部材、によつて拘束して
なることを特徴としている。

以下、この発明の詳細を一実施例を示す図面に
ついて説明する。

第５図、第６図及び第７図において、２１は核
燃料集合体である。核燃料集合体２１は複数の燃
料棒２２を並行に整列させて備えている。複数の
燃料棒２２は、制御棒案内シンブル管２３等に固
着して位置決めされている燃料支持格子２４の格
子穴２５に挿通され、燃料支持格子２４から格子
穴２５に向つて突出しているばね３０に接触して
弾性的に支持されて位置決めされ、核燃料集合体
２１を構成する。核燃料集合体２１の上下端部に
は上部ノズル２６及び下部ノズル２７が取付けら
れている。特に注意すべき点は、この核燃料集合
体２１が制振部材を備えていることである。すな
わち、隣合う燃料支持格子２４の間、つまり、グ
リツドスパン間に制振部材２８が配設され、この
制振部材が隣合う燃料棒２２に嵌合して燃料棒２
２を拘束している。この制振部材２８による拘束
の対象となる燃料棒は、核燃料集合体２１の外周
部若しくはその近傍に位置する燃料棒の全部若し
くは一部、特に好ましくは、核燃料集合体２１が
炉心に装荷された場合に、バツフル板１２若しく
はバツフル板１２の隙間１６に対向する位置若し
くはその近傍に位置する燃料棒の全部若しくは一
部（第７図に符号２２ａで示す）である。

制振部材２８は第８図及び第９図に示すよう
に、帯板２９と複数のクリツプ３１とを備えてい
る。複数のクリツプ３１は核燃料集合体２１にお
ける燃料棒のピツチと同じ間隔で帯板２９に固着
されている。クリツプ３１はそれぞれ両側に押え
片３２ａ，３２ｂを立上がらせて備え、押え片３
２ａ，３２ｂの間に空間３３を区画する。

この空間３３は上下端部と前端部３４が開放
で、この前端部３４を通して燃料棒２２に嵌合
し、燃料棒２２を空間３３に挿通させることがで
きる。燃料棒２２と押え片３２ａ，３２ｂ、との
接触状態を点接触若しくは線接触にする場合に
は、押え片３２ａ，３２ｂから空間３３に向けて
突出する突起を１個若しくは複数個設け、その突
起で燃料棒２２と接触させる。クリツプ３１は空
間３３に挿通した燃料棒を弾性力の作用で挾持す
ることができる寸法、形状をもち、かつ、その弾
性的挾持を可能にし、しかも、燃料棒のクリープ
ダウンによる減径や熱膨張による増径に追随し得
る弾性を備えることが必要である。この様な特性
を備える材料としては、例えばインコネルを使用
することができる。この制振部材２８は、燃料棒
に単に嵌着した状態で使用し、あるいは燃料棒に
嵌着した状態でさらに穴３５を利用してワイヤー
のごとき連結部材３６で燃料支持格子２４に連結
して使用する。

このように構成された核燃料集合体においては
隣合う複数の燃料棒が制振部材２８によつて弾性
的に連結されて、拘束し合い、それぞれの振動を
抑制すると共に、弾性を有するクリツプの吸振効
果によつてそれぞれの燃料棒の振動を抑制する。
したがつて炉心の外周部分においてバツフル板の
隙間に対向する位置にある燃料棒の不安定振動の
発生を確実に回避することができる。第１１図に
はこの発明の核燃料集合体の不安定振動に対する
制振効果の実験結果がグラフで示されているが、
制振部材を使用したこの発明の核燃料集合体にお
いては、冷却材の流速の増加にもかかわらず振動
がほとんど発生しないことが明らかである。この
ことは、第１０図に示された制振部材を使用しな
い従来の核燃料集合体についての実験結果と比較
すると明瞭に確認することができる。また、制振
部材は構造が簡単で、核燃料集合体に対して着脱
可能であり、その使用に際しては単に燃料棒に嵌
合させるだけであるから、操作が簡単で、かつ、
価格も低廉である。

なお、上記の実施例においては、制振部材は別
体の帯板とクリツプとを固着させているが第１２
図に示すごとく帯板を打抜き加工によつて帯板と
一体のクリツプを形成してもよい。

以上の説明から明らかなように、この発明によ
れば、冷却材ジエツト流による燃料棒の不安定振
動を容易かつ確実に防ぐ事ができる核燃料集合体
を得る事ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の核燃料集合体の正面説明図、第
２図は第１図におけるＸ−Ｘ部断面拡大説明図、
第３図は第２図におけるＡ部拡大説明図、第４図
は炉心の断面説明図、第５図はこの発明の一実施
例に関わる核燃料集合体の正面説明図、第６図は
第５図におけるＹ―Ｙ部断面拡大説明図、第７図
は第６図におけるＢ部拡大説明図、第８図は制振
部材の平面図、第９図は制振部材の正面図、第１
０図は従来の核燃料集合体の振動特性を示すグラ
フ、第１１図はこの発明の一実施例に関わる核燃
料集合体の振動特性を示すグラフ、及び第１２図
は他の制振部材を示す斜視説明図である。 ２１…核燃料集合体、２２…燃料棒、２８…制
振部材、２９…帯板、３１…クリツプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 核燃料棒の複数をグリツドスパン間におい
   て、前記核燃料棒に嵌着して前記核燃料棒を弾性
   作用によつて挾持可能なクリツプを前記核燃料棒
   の配列ピツチと等しい間隔で備えた制振部材、に
   よつて拘束してなる事を特徴とする核燃料集合
   体。