JPS6238049Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は往復動機関のピストンにコンロツドを連
結するピストンピンがピストンピン孔内から抜け
ることがないように取付けるピストンピン抜止用
スナツプリング溝装置に関するものである。

第１図に示すよう、ピストン１にはコンプレツ
シヨンリング２、オイルリング３等のピストンリ
ングを取付けてある。

一方、ピストン１はコンロツド４にピストンピ
ン５を介して連結し、クランク軸６の回転により
シリンダ７内を往復動させられる。

このため、シリンダ７はクランクアーム６Ａの
長さと、コンロツド４の長さおよびピストンピン
５からピストンヘツド１Ａまでの高さ等によつて
全高が定まる。

ところで、近年、シリンダの小形軽量化と機関
の高出力化が強く要求されており、排気量の増大
化が図られてきている。

排気量を増大するには、通常、シリンダボアの
増大とストロークの増大のいずれかあるいは双方
が必要となるが、シリンダの大きさを変えないで
排気量を増大させるにはストロークを増大させな
ければならないが、シリンダの大きさをそのまま
とするとピストンがシリンダヘツドに衝突してし
まう惧れがある。このためピストンピン５からピ
ストンヘツド１Ａまでの高さを低くする必要があ
る。

しかし、ピストンピン５からピストンヘツド１
Ａまでの高さを低くすれば、ピストンリングの位
置も下げなければならず、第２図に示すように、
ピストンピン孔８の上方においてピストンピン孔
８に最も近いピストンリング溝９は著しくピスト
ンピン孔８に接近する。

一方、ピストンピン５はピストンピン孔８内に
スナツプリング１０，１０により抜止めしてあ
る。

スナツプリング１０は第３図に拡大正面図で示
したワイヤスナツプリングあるいは第４図に示す
プレートスナツプリングとし、ピストンピン孔８
内の所定位置に設けたスナツプリング溝１１，１
１内にそれぞれ装填される。

然して、スナツプリング溝１１は、従来、ピス
トンピン孔８と同心の溝であつて、全周に亘つて
溝の深さが均一であるため、第５図に拡大断面図
で示したように、溝底１１Ａが、ピストンピン孔
８の直上位置に設けるピストンリング溝９に著し
く近接してしまう。

このようにピストンリング溝９とスナツプリン
グ溝１１が接近すると、強度上に問題が生じる
し、出力向上に伴いピストンピン孔８径を大きく
しようとしても全くその余地が無くなるなどの不
都合が生じる。

本案はこれに鑑み、ピストンの高さを低くして
もピストンピン孔内に設けるスナツプリング溝と
ピストンピンの直上位置のピストンリング溝とが
互いに接近および干渉するおそれのないピストン
ピン抜止用スナツプリング溝装置を提供するもの
で、ピストンピン孔の内周面にスナツプリング溝
を設け、スナツプリング溝に嵌込むスナツプリン
グによりピストンピンの軸線方向移動を阻止する
ピストンピン抜止用スナツプリング溝を有するピ
ストンにおいて、スナツプリング溝の深さをピス
トンピン孔の上端側、即ちピストンリング溝側に
おいて零若しくは極めて浅く定めてなるピストン
のピストンピン抜止用スナツプリング溝装置であ
る。

つぎに、図面を参照しながら本案の実施例を説
明する。

第６図には本案装置の第１実施例を側面図で示
してある。

この第１実施例は、第７図に示すように、ピス
トン１に穿設したピストンピン孔８の内周面所定
位置に設けるスナツプリング溝１２を、ピストン
ピン孔８の上端側、即ちピストンリング溝９側に
おいて深さを零とし、下端側において、従来の通
常のスナツプリング溝１１のほぼ２倍の深さとし
てある。

即ち、この第１実施例ではスナツプリング溝１
２をピストンピン孔８に対し、通常必要とするス
ナツプリング溝の深さだけ下方に偏心させて設け
た一例である。

なお、スナツプリング１０、ピストンピン５等
は従来のものをそのまま使用している。

前記の構成からなるこの実施例は、ピストンピ
ン５をピストンピン孔８に挿入したのち、ピスト
ンピン５の両端に臨ませて従来通りスナツプリン
グ１０，１０をスナツプリング溝１２，１２（一
方のみ図示）に嵌込み、ピストンピン５の抜止め
を図るが、スナツプリング溝１２の深さがピスト
ンピン孔８の上端側であるピストンリング溝９側
において零であるため、ピストンピン孔８上端側
であるピストンリング溝９側におけるスナツプリ
ング溝１２へのスナツプリング１０の噛合量が零
であるものの、他部分の噛合により、ピストンピ
ン５に対する抜止め機能は十分に確保されたもの
となる。

このように、ピストンピン孔８の上端側である
ピストンリング溝９側において深さが零のスナツ
プリング溝１２は、ピストンピン孔８との間隔を
拡げることができるので強度を確保することがで
きて破損するおそれがない。従つてピストンピン
径を大きくすることと、ピストンピン軸心からピ
ストンヘツドまでの高さ（圧縮高さ）の縮減が可
能となり排気量の増加を図ることができる。

第８図に側面図で示した第２実施例は、スナツ
プリング溝１３を、ピストンピン孔８の上下端に
おいて深さを零とし、左右端において最大とした
点においてのみ前記第１実施例と異る。

この第２実施例においてもピストンピン５、ス
ナツプリング１０等は従来のものをそのまま使用
すればよいが、スナツプリングの形状をスナツプ
リング溝１３に対応した形状としてもよい。

以上の説明から明らかなように、本案装置は、
ピストンの圧縮高さを低くしてシリンダブロツク
の全高を短かくし、小形コンパクトでしかも排気
量の大なる機関の開発を行なう上で、ピストンピ
ン孔の大径化および、ピストンリング溝の下方移
動等を可能にする優れた利点を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の装置を具えたピストンの一例を
示す縦断正面図、第２図は圧縮高さを低くしたピ
ストンの一例を示す縦断正面図、第３図、第４図
はスナツプリングの各例を示す正面図、第５図は
第２図のピストンにおけるスナツプリング溝部分
の拡大縦断正面図、第６図は本案装置の第１実施
例の側面図、第７図は同第１実施例の要部縦断面
図、第８図は本案装置の第２実施例の側面図であ
る。 １……ピストン、１Ａ……ピストンヘツド、４
……コンロツド、５……ピストンピン、６……ク
ランク軸、６Ａ……クランクアーム、７……シリ
ンダ、８……ピストンピン孔、９……ピストンリ
ング溝、１０……スナツプリング、１１，１２，
１３……スナツプリング溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストンピン孔の内周面にスナツプリング溝を
   設け、スナツプリング溝に嵌込むスナツプリング
   によりピントンピンの軸線方向移動を阻止するピ
   ストンピン抜止用スナツプリング溝を有するピス
   トンピンにおいて、スナツプリング溝の深さをピ
   ストンピン孔のピストンリング溝側において零若
   しくは極めて浅く定めてなるピストンのピストン
   ピン抜止用スナツプリング溝装置。