JPS6235941B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、直線および曲線通過時の乗心地を良
好にする振り子電車の振動制御装置に関するもの
である。 〔発明の背景〕 現在、曲線通過時の遠心力による乗心地悪化を
防止し、高速走行をするために振り子電車が効果
を発揮して実用に供されている。（特公昭48−
4728号公報）その構成は、第５図に示すように軌
道１のカントで十分取れなかつた超過遠心力によ
る横方向加速度を打ち消すため、車体７を内側に
傾ける構造が取られている。この振り子電車の場
合は、ころ４上において車体７が自動的に傾斜す
るよう車体７の回転中心が重心より上になるよう
に設計されている。図において、２は台車、３は
ころ４上を転動し、空気ばね６を介して車体７を
支持する支持台である。このように構成された従
来の振り子電車においては、ころ４の摩擦の影響
で曲線の緩和区間に入つても摩擦に打勝つまで車
体７は傾斜せず、摩擦に打ち勝つと急激に傾斜す
るため、乗客に不快感を与えていた。また、空気
ばね６による揺り返し作用のため、幾何学的に必
要な位置まで傾斜させ得ないという欠点を有して
いた。さらに、ころ４の摩擦は、直線および曲線
での動揺に対しても悪影響を及ぼし、振動による
乗心地の悪化を来たすという欠点があつた。ま
た、他の例としては車体を支える左右の空気ばね
の高さを変えて該車体を傾斜させる構成のものが
あつた。（特公昭50−6927号公報，特公昭50−
31692号公報）ところが、前記構成においては曲
線路の検知を地上に設けた機器との間で行なうも
のであり、機器の増大によつてコスト面で不利で
あるとともに、消費空気量が増大し大型の空気供
給手段が必要になるという欠点があつた。 〔発明の目的〕 本発明の目的とするところは、簡単な構成で曲
線通過性能ならびに動揺に対する乗心地を著しく
向上させ得る振り子電車の振動制御装置を提供す
ることにある。 〔発明の概要〕 本発明は、車体に横方向の振動を検出する振動
加速度検出器および支持台と台車間に配置する流
体作動機構を設け、前記振動加速度検出器の出力
信号を遠心力に対応する低周波成分（0.3以下）
と動揺に対応する成分のそれぞれに対応した補償
回路に分岐，入力し、それぞれの出力をサーボア
ンプで加算フイードバツクした後に、該出力によ
りサーボ弁を介して前記流体作動機構を制御し、
曲線通過時および直線走行時の動揺に対する乗心
地向上を図るものであり、特に遠心力に対しては
0.3Hz以下の低周波成分の位相遅れをなくすよう
に配置し、動揺に対しては0.8〜２Hzの周波成分
の位相進み制御を効かし得るようにしたことを特
徴とするものである。 〔発明の実施例〕 以下、本発明により振り子電車の振動制御装置
の一実施例を第１図ないし第４図によつて説明す
る。なお、第１図および第２図は超電導磁気浮上
車両に適用したものである。第１図において、軌
道１には浮上コイル１Ａ、案内推進コイル１Ｂが
設けられている。台車２には超電導磁石を封入し
たクライオスタツト２Ａ、低速時の走行車輪２
Ｂ、案内車輪２Ｃ等が設けられている。３は前記
従来例と同様に車体７を空気ばね６を介して支持
する支持台で、ころ４上に載せられている。５は
支持台３と台車２との間を結ぶ流体作動機構の油
圧シリンダであり、８は車体７に取付けられた横
加速度検出器である。第２図において、９は曲線
通過時に車体７に加わる遠心力、１０は車体７の
動揺を引きおこす軌道からの外乱である。１１は
横加速度検出器８の出力の分岐した一方が入力さ
れる遠心力補償回路で、この実施例ではローパス
フイルタ１３、位相進み回路１４およびゲイン調
整器１５から形成されている。横加速度検出器８
の分岐されたもう一方の出力は動揺補償回路１２
に入力される。該動揺補償回路１２はこの実施例
では積分回路１６、位相進み回路１７、ゲイン調
整器１８から形成されている。２０はこれら二つ
の補償回路である遠心力補償回路１１および動揺
補償回路１２の出力を加算し増巾するサーボアン
プ、２１は前記サーボアンプ２０の出力により油
圧シリンダ５を制御するサーボ弁、２２は該サー
ボ弁２１を介して油圧シリンダ５を作動させる油
圧源である。 第３図は遠心力補償回路１１の周波数特性を示
すボード線図、第４図は動揺補償回路１２の周波
数特性を示すボード線図である。遠心力補償回路
１１においては、ローパスフイルタ１３で通常
0.3Hz以下，最大0.1ｇ（ｇは重力加速度）という
曲線通過時の遠心加速度のみをピツクアツプし、
ローパスフイルタ１３で遅れた位相分だけ位相進
み回路１４で補償し、ゲイン調整器１５で動揺補
償回路１２とのゲインのマツチングを図つて、サ
ーボアンプ２０に出力している。一方、動揺補償
回路１２では、0.8Hz〜２Hzにある動揺の固有振
動数に注目するので、１Hz以下の周波数成分につ
いてはほぼ積分回路１６による90゜遅れ、ゲイン
20dB／dCで低下し、１Hz以上でゲインアツプ、
位相も０〜30゜と逆に進ませ、さらに高周波成分
に対して急激にゲインが低下するよう構成され、
動揺に対して乗心地の良い振動制御を行う。 このような構成の振り子電車の振動制御装置に
よれば、従来の振り子電車において問題となつて
いたころの摩擦による悪影響を油圧シリンダ５に
より強制的に解決し、補償回路を除く制御機器は
それぞれ１台だけで曲線通過時の遠心力制御なら
びに動揺に対する振動制御ができ、良好な乗心地
を得ることができる。 なお、本実施例においては、0.3Hz以下の動揺
成分に対して遠心力補償回路１１も働くので、そ
の分だけ振動制御能力が低下する。この周波数成
分の車体横加速度は0.005ｇ以下であり、遠心力
補償回路１１ゲイン調整器１４に0.005ｇ以下に
対して不感帯をもたせておけばこのような悪影響
を除去することは容易である。 〔発明の効果〕 以上説明したように本発明によれば、流体作動
機構によつて曲線路における車体傾斜を制御する
構成とし、簡単な構成で乗心地の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による振動制御装置の一実施例
を備えた振り子電車の幅方向断面図、第２図は第
１図の振動制御装置の制御系を示すブロツク図、
第３図および第４図は第２図の補償回路の周波数
特性を示すボード線図、第５図は従来の振り子電
車の構成を示す車体の幅方向断面図である。 ５……油圧シリンダ、８……横加速度検出器、
１１……遠心力補償回路、１２……動揺補償回
路、１３……ローパスフイルタ、１４，１７……
位相進み回路、１５，１８……ゲイン調整器、１
６……積分回路、２０……サーボアンプ、２１…
…サーボ弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車体を弾性支持装置を介して支える支持台
   と、該支持台をころを介して支え車体を傾斜可能
   に支持する台車と、前記支持台と台車間に設けら
   れ伸縮することにより車体を傾斜させる流体作動
   機構と、該流体作動機構に対応して設けられ、そ
   の伸縮を制御する制御弁と、前記車体に設けられ
   該車体の横方向加速度を検出する横方向加速度検
   出器と、該横方向加速度検出器に接続され、その
   出力の遠心力成分を補償する遠心力補償回路と、
   前記横方向加速度検出器に接続され、その出力の
   動揺成分を補償する動揺補償回路と、前記遠心補
   償回路および動揺補償回路に接続され該各出力を
   加算フイードバツクし、前記制御弁へ流体作動機
   構の制御入力を出力する制御回路とから成る振り
   子電車の振動制御装置。 ２ 特許請求の範囲第１項において、遠心力補償
   回路をローパスフイルタ、位相進み回路、ゲイン
   調整器により形成し、動揺補償回路を積分回路、
   位相進み回路、ゲイン調整器で構成したことを特
   徴とする振り子電車の振動制御装置。