JPS6234724Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、丸鋸盤の安全保護装置に関するも
のであつて、更に詳細には基台上に摺動自在に配
設した裁断テーブルから丸鋸の上部を露出させた
丸鋸盤において、前記丸鋸の露出部分を二重にカ
バーして木材等の裁断作業時における操作者の安
全を確保すると共に作業性を低下させることのな
いよう工夫配慮した安全保護装置に関するもので
ある。

クロスカツトソーの如き横切丸鋸盤では、基台
に丸鋸を回転自在に軸支し、前記丸鋸の上部を露
出させるスリツトを設けた裁断テーブルを前記基
台上に摺動自在に配設するように構成されてい
る。この種の丸鋸盤では裁断テーブル上に丸鋸が
その上部を露出させているので、作業者に危険を
及ぼすことがないよう一般に安全カバーが設けら
れるが、以下のような理由で必ずしも安全が確保
されておらず、また作業性が悪い等の欠点があ
る。すなわち、 丸鋸安全カバーは単独の一重構造であるため
鋸刃の露出部が多く、危険が解消されていな
い。

丸鋸安全カバーにはガイドローラを取付けた
ものもあるが、構造的に大径に出来ず、また丸
鋸安全カバーの取付構造は強度が充分とれず破
損し易く、保守性に難点がある。

丸鋸安全カバーを軸支する支点を充分遠くに
設定することが出来ないため、カバーの上下動
に無理があり作業性がよくない。

丸鋸安全カバーには多くの軸支点があるが、
この軸支点に材料裁断作業時に発生する切粉、
塵埃等が直接飛来して付着固化し、カバーの円
滑な動作を阻害し易い。

丸鋸による材料裁断時に小さな端材が飛来し
易く危険であり、またテーブルの丸鋸通過スリ
ツト付近に散乱する端材を常時除去する必要が
あるので作業者に負担が加わり、作業能率を低
下させる。

本考案は、従来技術に係る丸鋸盤の安全保護装
置が未解決のまま内在していた前記諸欠点を一挙
に解消するべく案出されたものであつて、丸鋸を
常時完全被覆した状態で裁断作業ができるように
して作業者の完全な安全を確保すると共に、作業
性を従来のものよりも向上させることを目的とす
る。

この目的を達成するため、本考案に係る丸鋸盤
の安全保護装置は、基台に丸鋸を回転自在に軸支
し、前記丸鋸が一部露出するスリツトを設けた裁
断テーブルを前記基台上に摺動自在に配設してな
る丸鋸盤において、裁断テーブルのスリツト端部
に前記スリツトを股いで延在するチヤンネル状の
第１丸鋸カバーを固定し、前記スリツトの上方に
張出したアームに、前記第１丸鋸カバーを股ぐチ
ヤンネル状の第２丸鋸カバーを、常には前方に傾
斜するように揺動自在に軸支し、前記第２丸鋸カ
バーの前方端に裁断テーブルと常に接触可能なガ
イドローラを回転自在に軸着したことを特徴とす
る。

この場合、前記スリツトの上方に張出したアー
ムは前記基台に固定し、第２丸鋸カバーはブラケ
ツトを介して前記アームに高さ調節自在に取付け
るようにすれば好適である。

また、前記ガイドローラは第２丸鋸カバーの先
端において長手方向軸線に対し直角となるよう水
平に軸着し、更に前記第２丸鋸カバーの先端に透
明樹脂板を取付けるようにすれば、裁断時の作業
性を向上させ、また端材の飛来防止及び防去を達
成する上で有益な効果が得られる。

次に、本考案に係る丸鋸盤の安全保護装置につ
き好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しなが
ら以下詳細に説明する。

第１図乃至第４図において、参照符号１０はフ
レーム状の基台を示し、この基台１０に配設固定
した軸受１２に、丸鋸１４を取付けた回転軸１６
が回転自在に軸支されている。前記回転軸１６
は、基台１０の底部に据付けた電動モータ１８の
回転軸２０にプーリ・ベルト接続されて、モータ
１８の回転が丸鋸１４に伝達される。基台１０の
上部には第２図に示すように一対の丸棒からなる
ガイドシヤフト２２，２２が水平に配設固定さ
れ、このガイドシヤフト２２，２２にボールブツ
シユ２４が摺動自在に挿通されると共に前記ボー
ルブツシユ２４上に木材等の材料を載置する裁断
テーブル２６が固定されている。この裁断テーブ
ル２６には、第２図に示すように丸鋸１４通過用
のスリツト２８が形成され、このスリツト２８を
介して丸鋸１４の上部がテーブル２６上面に露出
している。なお、参照符号３０は、被裁断材料３
２（例えば木板）を位置決めするためのＬ形アン
グル部材を示す。以上に述べたところが、一般的
な横切丸鋸盤の基本構造であつて、この丸鋸盤に
本考案に係る安全保護装置が付設される。

すなわち、第２図に示すように好適には横断面
が角トンネル状のチヤンネル部材からなる第１丸
鋸カバー３４を、前記裁断テーブル２６に形成し
たスリツト２８の端部近傍に前記スリツト２８を
股ぐようにして配設固定する。この場合、第１丸
鋸カバー３４は、前記スリツト２８の全長に亘つ
て股ぐように配設するのではなく、そのカバー３
４の大部分が裁断テーブル２６の後方に延在する
ように配置して、前記裁断テーブル２６を前後に
摺動させた場合にこの第１丸鋸カバー３４が前記
丸鋸１４上を常に通過するようにしておく（第１
図および第３図参照）。

次に、前記基台１０の後部には門形の直立支持
部材３６を配設し、この直立支持部材３６の頂部
に前記裁断テーブル２６のスリツト２８上方に延
在する張出しアーム３８を水平に固定し、この張
出しアーム３８に、前記第１丸鋸カバー３４を股
ぐようにして位置する同じくチヤンネル状の第２
丸鋸カバー４０を、揺動自在かつ高さ調節自在に
軸支する。すなわち前記張出しアーム３８の先端
にボルト４２を垂直に挿通して両側よりナツト４
４で固定し、前記アーム３８に対しボルト４２が
昇降して任意の高さに調節し得るように構成し、
このボルト４２の下端部にクレビス状のブラケツ
ト４６を固定すると共にこのブラケツト４６に前
記チヤンネル状の第２丸鋸カバー４０をピン４８
により揺動（シーソー動）自在に軸支する。更
に、前記第２丸鋸カバー４０の両外側部先端に、
夫々円板からなるガイドローラ５０をカバー４０
の長手方向軸線に対し直角にピン５２を介して回
転自在に軸着する。また、この第２丸鋸カバー４
０の手前（操作者に対し）開口部には、透明樹脂
板５４を配設しておけば好適である（第２図参
照）。このようにして第２丸鋸カバー４０はブラ
ケツト４０に揺動自在に軸支され、かつ前記ボル
ト４２を介して張出しアーム３８から懸吊される
結果、第４図に示すように第１丸鋸カバー３４を
股ぐようにしてその上方に第２丸鋸カバー４０が
位置し、裁断テーブル２６の前後摺動に伴い第１
丸鋸カバー３４は前記丸鋸１４の外方でかつ第２
丸鋸カバー４０の内方を前後に走行することが諒
解されよう。なお、第２丸鋸カバー４０の一方の
端部には前述したガイドローラ５０が軸着される
ので、ブラケツト４６による第２丸鋸カバー４０
の軸支位置を選択して、第１図に示すように第２
丸鋸カバー４０はガイドローラ５０を取付けた側
に傾斜するようにしておく。また図示の実施例で
は張出しアーム３８は門形の直立支持部材３６を
介して基台１０に取付けられるようになつている
が、このアーム３８は基台１０に直接固定されて
テーブル２６上方に張出すように構成してもよ
い。更に図中参照符号５６で示す門形の部材は、
スリツト２８が形成されたテーブル２６の補強部
材である。

このように構成した本考案に係る丸鋸盤の安全
保護装置の作用および効果について、次に説明す
る。

第１図において、裁断テーブル２６上に被裁断
材料（例えば木板）３２を載せてモータ１８を付
勢し、丸鋸１４を回転させるが、このとき第１丸
鋸カバー３４はテーブル２６上における丸鋸１４
の露出部を大部分包囲している。いま、木板３２
の裁断を行うべくテーブル２６を後方へ摺動させ
ると、このテーブル２６の移動につれて木板３２
の端部が第２丸鋸カバー４０に軸着したガイドロ
ーラ５０に当接するが、前記第２丸鋸カバー４０
はアーム３８に支持されたブラケツト４６に対し
揺動自在に軸支されているから、ガイドローラ５
０は第２丸鋸カバー４０をピン４８を中心として
時計方向に傾動させながら木板３２上に乗越える
に到る（第３図参照）。テーブル２６の後方への
移動が更に進行すると木板３２は丸鋸１４により
裁断される。このとき、第１丸鋸カバー３４は丸
鋸１４の上方を通過して後退し、丸鋸１４の露出
部の包囲は殆んどしていないが、これに代わつて
丸鋸１４の上方に位置する第２丸鋸カバー４０が
裁断作業中における丸鋸１４の包囲を完全に行
い、従つて丸鋸１４による作業者に対する危険は
完全に回避される。裁断が終了してテーブル２６
が手前に復帰前進する際も第２丸鋸カバー４０は
丸鋸１４の包囲を継続し、ガイドローラ５０が裁
断された木板３２から降下することにより第２丸
鋸カバー４０は再び第１図に示す位置に復帰す
る。またテーブル２６の復帰前進に伴い第１丸鋸
カバー３４も丸鋸１４上に到来し、これにより２
重の包囲が達成される。

木板３２等の裁断時に生ずる端材は２つの丸鋸
カバー３４，４０内に完全に封じ込められるた
め、前記端材が作業者に向けて飛散する危険も回
避される。なお、先に述べたように第２丸鋸カバ
ー４０の先端に透明樹脂板５４を配設しておけ
ば、前記端材の飛散をより効果的に阻止すること
ができ、また第２丸鋸カバー４０内に残留した端
材も、テーブル２６を手前に復帰摺動させる際に
前記透明樹脂板５４により掻寄せられまとめて除
去されるので便利である。また樹脂板５４が透明
であるため、鋸刃の状態を外部より容易に視認す
ることができる。

更に本考案では、ガイドローラ５０の軸心５２
から第２丸鋸カバー４０の枢軸４８までの距離を
充分とることができるため、第２丸鋸カバー４０
の摺動角度も大きく設定することができ、従つて
ガイドローラ５０の直径も大きくすることが可能
である。このため、被裁断材料３２に相当厚さが
あつても、これに対応してガイドローラ５０は容
易に乗越えることができる。また、材料３２の厚
さが極めて大きいときは、前記ボルト４２を上昇
させて第２丸鋸カバー４０の高さを調節してやれ
ばよい。

以上説明したように、本考案に係る丸鋸盤の安
全保護装置によれば、テーブル上における丸鋸の
露出部を常時２つの丸鋸カバーにより包囲するよ
うに構成したため、裁断作業時における安全性が
極めて向上し、また丸鋸カバーが円滑に揺動する
よう工夫したことにより作業性、保守管理性が著
しく向上した。更に、裁断作業時に発生する端材
の飛来を防止すると共にこれら端材はテーブルの
前後摺動時に確実に除去される等極めて多くの有
益な効果を奏するものである。

以上本考案に係る丸鋸盤の安全保護装置につ
き、好適な実施例を挙げて説明したが、本考案は
この実施例に限定されるものではなく、考案の精
神の範囲内で種々の改良・変更を施し得ること勿
論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る丸鋸盤の安全保護装置の
一部切欠側面図、第２図は本考案に係る装置の上
部斜視図、第３図は第１図と同様の一部切欠側面
図であつて、被裁断材料上をガイドローラが乗越
えた状態を示し、第４図は第３図の−線断面
図である。 １０…基台、１２…軸受、１４…丸鋸、１６…
回転軸、１８…電動モータ、２０…回転軸、２２
…ガイドシヤフト、２４…ボールブツシユ、２６
…裁断テーブル、２８…スリツト、３０…アング
ル部材、３２…被裁断材料、３４…第１丸鋸カバ
ー、３６…支持部材、３８…張出しアーム、４０
…第２丸鋸カバー、４２…ボルト、４４…ナツ
ト、４６…ブラケツト、４８…ピン、５０…ガイ
ドローラ、５２…ピン、５４…透明樹脂板、５６
…補強部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 基台に丸鋸を回転自在に軸支し、前記丸鋸が
   一部露出するスリツトを設けた裁断テーブルを
   前記基台上に摺動自在に配設してなる丸鋸盤に
   おいて、裁断テーブルのスリツト端部に前記ス
   リツトを股いで延在するチヤンネル状の第１丸
   鋸カバーを固定し、前記スリツトの上方に張出
   したアームに、前記第１丸鋸カバーを股ぐチヤ
   ンネル状の第２丸鋸カバーを、常には前方に傾
   斜するように揺動自在に軸支し、前記第２丸鋸
   カバーの前方端に裁断テーブルと常に接触可能
   なガイドローラを回転自在に軸着したことを特
   徴とする丸鋸盤の安全保護装置。 ２ スリツトの上方に張出したアームは前記基台
   に固定され、第２丸鋸カバーはブラケツトを介
   して前記アームに高さ調節自在に取付けられる
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の丸鋸盤の
   安全保護装置。 ３ ガイドローラは第２丸鋸カバーの先端におい
   て長手方向軸線に対し直角に軸着され、更に前
   記第２丸鋸カバーの先端に透明樹脂板を取付け
   ることからなる実用新案登録請求の範囲第１項
   または第２項記載の丸鋸盤の安全保護装置。