JPS6234644Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、旋盤で被加工物の任意位置にポンチ
打ち加工するのに用いる旋盤用ポンチング装置に
関するもので、旋盤において芯出しをし、そのま
まポンチ打ち加工を簡便かつ正確に行うことがで
きる新規のポンチング装置を提供するものであ
る。

一般に、特に多種少量生産において、旋盤によ
つて所要形状に旋削加工した被加工物（以下ワー
クという）に、さらにボール盤によつて孔を穿設
するとき、旋削加工したワークを旋盤から外し
て、穿設すべき孔の位置をインデツクスで割出
し、その割出し位置に手でポンチ打ちを施し、し
かるのちワークをボール盤に取付けて穿孔加工す
る作業が行なわれている。

以上の従来の加工方法によると、ボール盤加工
前にインデツクス割出しを必要とするので、割出
しに時間を要すると共に、正確なポンチ打ちの為
には相当な熟練が必要になる。そして、熟練した
作業員によつてその加工を行つても、手打ちによ
るポンチ打ちでは概ね0.2〜0.3粍のバラツキが不
可避に生ずるので、好ましい穿孔精度が得られな
い問題がある。

本考案は、以上の実情を考慮してなされたもの
で、旋盤に取付けたワークを、簡略な構造によつ
て、簡易迅速かつ精度良くポンチングすることが
できる新規のポンチング装置を提供するものであ
る。

即ち、本考案は外周に角度目盛を刻設し、旋盤
主軸に取付けるメーンプレートと、刃物台に取付
けるポンチング主体との組合せからなり、前記ポ
ンチング主体は、刃物台に固定する基部と、前記
基部に設けたケーシング体に摺動自在に収納され
たポンチ体を有し、前記ポンチ体は刃部を前記メ
ーンプレートと対向して収納され、かつ後端は前
記ケーシング体から突設して操作部が設けてあ
り、さらに前記ケーシング体は前記基部に対して
上下位置が調整自在に構成されていることを特徴
としている。

以下図面を参照して本考案を詳しく説明する。
第１〜５図は本考案の一実施例を示し、第１図は
その全体を示す正面図、第２図はその平面図であ
り、１は旋盤の主軸、５はその旋盤の刃物台であ
る。図において、主軸１に取付けたメーンプレー
ト２には、その外周に円周角度を示す角度目盛４
が全周360゜に刻設してある。図中の３はワーク
７を固定する四方締めチヤツクである。一方、ポ
ンチング主体６は当該旋盤の刃物台５に角形杆状
の基部９を取付固定され、基部９の先端部分に形
成したケーシング体１０にポンチ体１１を収納
し、ポンチ体１１は先端の刃部１２の軸心がメー
ンプレート２の垂線上に概ね位置する様に、メー
ンプレート２と対向して取付け固定されている。
詳しくは、第３、４図を参照して、ケーシング体
１０は基部９の前端に取付けた枠部１３に上下位
置が調整自在になる様取付けてあり、刃物台５に
取付けられたポンチング主体６のポンチ体１１の
中心高さが任意位置に調整可能に構成されてい
る。即ち、枠部１３は方形に枠囲いした枠体内
に、縦方向に調整ねじ１４が設けてあり、ケーシ
ング体１０の前端から側方へ突設したケーシング
体１０の取付部１０′の背面と、調整ねじ１４が
係合させてあり、調整ねじ１４の下端の調整頭１
５を回転すると、取付部１０′は枠部１３に沿つ
て上下位置が自在に調整できる。そして、ケーシ
ング体１０は、第３図の様に、中空円筒形状を有
し、その中心部分は軸心に沿つて収納孔１７が貫
設されており、ポンチ体１１は収納孔１７にその
中間部分が収納されてガタなく嵌合すると共に、
両端部分は若干突き出す様に成つており、先端に
尖頭状の刃部１２と、後端に球形の操作部１８が
形成してある。なお、ポンチ体１１は後述する使
用時に外周面が基準面となる為、先端部分の直径
Ｄは極めて正確に形成してあり、かつ収納孔１７
と極めて正確に嵌合し、図示矢印Ａの様に、軸方
向に摺動自在と成つている。なお、第３図中の１
６はポンチ体１１の後端位置を規制するキヤツプ
状ストツパーである。

以上の構造からなるポンチング装置は以下の様
に使用される。

第１、２図を参照して、当該旋盤において所要
の旋削加工が施されたワーク７は、そのままチヤ
ツク３に固定され、当該旋盤の刃物台５には、バ
イトを外してポンチング主体６が取付けられ、ポ
ンチ体１１の軸心がメーンプレート２の垂線上に
概ね位置し、かつ刃部１２がワーク７に対向して
固定（刃物台の固定ハンドルを緊締して）され
る。そして、ワーク７の前面に例えば第５図の様
に個々に位置が異なるP₁〜P₅の５個の孔をボール
盤によつて穿孔するとき、前記の段取を終えたポ
ンチング装置は以下の様に操作されて芯出しとポ
ンチ打ち加工を行う。まず、ハイトゲージ等を用
いてポンチ体１１の中心高さを測定し、調整頭１
５によつてその高さを主軸１の軸心１Ａに一致さ
せる。つぎに、最初の孔P₁位置のセンターを芯出
ししてポンチ打ち加工をする為に、主軸１の回転
機構を中立にしてメーンプレート２を手動回転
し、孔P₁を穿孔すべき中心位置（図面上で求めた
位置）を、第５図の様に主軸１の軸心１Ａを通る
水平線１Ｂ上に位置させて、メーンプレート２を
固定する。続いて、ワーク７外周の加工面を基準
面B₁として、第５図示のB₁点から孔P₁の中心位
置までの距離L₁を芯出しする為に、当該旋盤の
ハンドルによつて刃物台５を移動させ（ポンチ体
１１の高さは前記の調整高さのまま）、第２図示
のようにポンチ体１１の外周B₂を前記B₁に当接
させ、ポンチ体１１を図示１１Ａ位置に停止させ
る。しかるのち、刃物台５を若干後退させてワー
ク７とポンチ体１１の干渉をさけ、刃物台５のハ
ンドル回転数によつて正確に計量して所要の送り
量（L₁＋Ｄ／２）のみポンチ体１１を軸心寄りの１１ Ｂに正確に移動させ、刃部１２をワーク７に近接
させて刃物台５を停止させる。そして、その位置
において、ポンチ体１１後端の操作部１８に軽く
手で衝撃を加えると、刃部１２がワーク７の表面
に衝突し、孔P₁を穿設すべき正しい中心位置にポ
ンチ打ち加工が行なわれる。

続いて、図面上から求めた孔P₁とP₂の交角θ_１
と等しくなる様、メーンプレート２の角度目盛４
を計量してメーンプレート２を正確に回転させて
固定し、しかるのち、前記基準面B₁から孔P₂ま
での距離L₂に相当させて刃物台５を移動させ、
前記同様にポンチ打ち加工をする。以下続いて、
メーンプレート２の必要回転量θ_３θ_４を角度目
盛４によつて計量して回転させ、刃物台５を基準
面B₁からの必要な距離L₃L₄L₅に設定し、穿孔す
べき孔P₃〜P₅の中心位置を芯出しし、直ちにポン
チ打ち加工を施す。

なお、前記の操作におけるワーク７の基準面お
よび回転量を定める為の基準点は、前記実施例に
限定するものではなく、ワークの実情に応じて任
意に定めれば良い。

以上の様に、本考案のポンチング装置を用いる
と、加工されたワーク７の基準面B₁と正確に仕
上げられたポンチ体１１の外周を基準面B₂とす
ると共に、ポンチ体１１の移動量は当該旋盤の刃
物台５のハンドルによつて正確に計量して設定可
能であり、かつその計量による正確な平面移動
と、角度目盛４によるメーンプレート２の正確な
回転移動によつて、ポンチングすべき位置は二次
元的に正確に芯出しできるので、複雑な孔明け加
工の芯出し、ポンチ打ち加工が旋盤にワークを取
付けたまま可能となり、前記した従来方法に対比
して芯出し精度は極めて向上する（一実施例の精
度は0.1粍以内）効果がある。

そして、本考案のポンチング装置によると、従
来のインデツクスによる割出し加工が省略できる
ので、ワーク７の芯出しポンチ打ち作業が従来の
概ね１／２〜１／３に低減して、当該作業が著し
く迅速化され、かつ工数が低減する効果がある。
さらに、従来の様にポンチ打ち加工に熟練を要す
ることなく、旋盤を扱い得る程度の技能を有すれ
ばバラツキなく正確に芯出ししてポンチ打ち加工
ができる実用上の優れた利点がある。

なお、前記した本考案の構成において、ポンチ
体１１と収納孔１７間の間隙にポンチ体１１のリ
ターンばねを介装したり、または調整ねじ１４に
よる調整目盛を施しておくと、一層扱い易く便利
になる。

以上の様に、本考案のポンチング装置は、簡易
な構造から成るので安価に提供可能であり、特に
多種少量生産の汎用旋盤に適し、ワークの芯出し
とポンチ打ち加工の精度を向上して穿孔加工等の
品質を向上し、併せて工数低減、加工の迅速化等
当該作業能率を向上する有用な効果を有する考案
である。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案一実施例の全体を示す正面図、
第２図：第１図の平面図、第３図：第１図実施例
のケーシング体の拡大正面図、第４図：第１図実
施例のポンチング主体の左側面図、第５図：第１
図実施例による芯出し状態を示すワークの正面
図、 主な符号、１：旋盤主軸、２：メーンプレー
ト、３：チヤツク、４：角度目盛、５：刃物台、
６：ポンチング主体、７：ワーク、９：基部、１
０：ケーシング体、１１：ポンチ体、１２：刃
部、１４：調整ねじ、１５：調整頭、１８：操作
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周に角度目盛を刻設し、主軸に取付けるメー
   ンプレートと、刃物台に取付けるポンチング主体
   との組合せからなり、前記ポンチング主体は、刃
   物台に固定する基部と、前記基部に設けたケーシ
   ング体に摺動自在に収納されたポンチ体を有し、
   前記ポンチ体は刃部を前記メーンプレートに対向
   して収納され、かつ後端には操作部が設けてあ
   り、さらに前記ケーシング体は前記基部に対して
   上下位置が調整自在に構成されていることを特徴
   とする旋盤用ポンチング装置。