JPS6233867Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、上フランジと、上フランジの巾より
も狭い底巾を有する下フランジと、底巾よりも巾
狭のウエブとによつて断面Ｔ字状に形成され、前
記ウエブの桁長方向中間部に前記底巾と等しい巾
の横締用ダイヤフラムが、また前記ウエブの桁長
方向両端側には端部側に至るにつれてウエブ巾か
ら前記底巾と等しい巾へと拡大する拡腹部がそれ
ぞれ形成され、かつ、ポストテンシヨンによるプ
レストレス導入用PC鋼材が埋設されたPC桁の製
造に用いられる型枠の改良に関する。

上記所謂ポストテンシヨンＴ型PC桁は、標準
断面の寸法が規格化されており、上フランジの巾
や厚み、下フランジの底巾や厚みは一定であり、
ウエブの巾や上下長さ（換言すれば桁高）も複数
種類に規格化されている。しかし乍ら、桁長やウ
エブ両側面に対する横締用ダイヤフラムの位置関
係、拡腹部の位置及び長さ等については、各現場
ごとにまちまちである。

このため、従来では、PC桁製造用型枠とし
て、ウエブ部分の形状変化に対処しやすいよう
に、耐水ベニヤと骨板とからなる木製の型枠を使
用していたが、これによる場合は、型枠の組立、
解体に多大の手間を要するばかりでなく、材質上
耐久性が乏しく、吸水と乾燥の繰返し、現場での
手荒な取扱い等により、７〜８回程度の繰返し使
用によつて型枠が全損（スクラツプ化）するもの
であつた。

また、耐久性の大きい金属製型枠が用いられる
こともあるが、これによる場合は、型枠の製造コ
ストが木製型枠の２倍程度に達し、しかも、現場
ごとに異なる横締用ダイヤフラムの位置関係、拡
腹部の位置及び長さや桁高等の変化に対処するた
めには多大の手間を要し、費用も高く付き、それ
故、同一形状のPC桁を多量に必要とする場合で
ない限り、採算がとれなかつた。

本考案は、木製と金属製との合成型枠とするこ
とにより、つまり、PC桁のうち、寸法が一定の
部分を成型するための型枠部分を何回もの繰返し
使用が可能なように耐久性の高い金属製とし、現
場ごとに形状、寸法が変化する部分を成型するた
めの型枠部分を形状変化に対処しやすく、かつ、
安価である木製とすることによつて、上記の従来
欠点を一掃せんとするものである。

即ち、本考案は、前記下フランジ及び上フラン
ジの一部を成型するための型枠部分を金属製と
し、前記ウエブを成型するための型枠部分を木製
とし、前記金属製型枠部分同士を、それらの桁長
方向両端部外側に設けられた上下に分割可能な金
属製の接合用フランジ及び桁長方向中間部外側に
設けられた上下に分割可能な金属製スチフナーを
介して連結し、前記木製型枠部分の骨板を前記接
合用フランジ及びスチフナーに連結した点に特徴
があり、この構成によつて、木製型枠に比べて組
立て、解体が容易であるのみならず、金属製型枠
部分については、何回もの繰返し使用が可能であ
り、それでいて、現場ごとに形状、寸法の異なる
部分は木製の型枠部分であるため、型枠全体を金
属製とする場合に比べて、形状、寸法の変化に容
易かつ安価に対処でき、これらの結果として、従
来の木製型枠や金属製型枠よりも、トータルコス
トを低減し得るに至つたのである。

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図は、ポストテンシヨンによつてプレスト
レスが導入されるＴ型PC桁Ａの側面を示し、第
２図はその横断平面を示す。第３図は、該PC桁
Ａ…を巾方向に並べて柱（図外）に架設すると共
に、その上面に現場打ちコンクリート等による舗
装Ｂを施し、かつ、間詰コンクリートＣを打設し
た高架道路の断面を示す。

第４図及び第５図は、夫々前記PC桁Ａの縦断
面を示す。上フランジ１の横一側面の形状が異な
るが、後述の説明によつてそれら上フランジ１，
１の形状が成型面において実質同一であることが
明らかになるであろう。

第６図は、鉄筋６…と、ポストテンシヨンによ
るプレストレス導入用PC鋼材７とこれを内装し
たシース８…、及び、隣接するPC桁連結用のPC
鋼材９を挿通するためのシース１０…の埋設状態
を示す。

前記PC桁Ａは、上下のフランジ１，２と、そ
れらにわたるウエブ３と、桁長方向中間部におい
て前記ウエブ３よりも左右両側に膨出し、且つ、
下フランジ２の底巾と等しい巾を有する横締用ダ
イヤフラム４…と、桁長方向両端側においてウエ
ブ３よりも左右両側に膨出する拡腹部５…を備え
ており、成型後における前記PC鋼材７の引つ張
りによりプレストレスが導入される。拡腹部５…
は、端部側に至るにつれて、ウエブ３の巾から最
大巾、つまり、下フランジ２の底巾と等しい巾と
なるように拡大されている。

第４図中、l₁は上フランジ１の巾、l₂は下フラ
ンジ２の底巾、l₃はウエブ３の巾である。

前記ウエブ３は、下フランジ２の上方角部に連
なる下拡がりの下部傾斜面３ｂ，３ｂと、下フラ
ンジ２よりも巾広の状態で上フランジ１の下面１
ｂに連なる上拡がりの上部傾斜面３ｃ，３ｃを、
外側面３ａ，３ａに連ねており、また前記ダイヤ
フラム４は、膨出端面４ａが下フランジ２の外側
面２ａと面一であり、その膨出端面４ａに対する
両側の面４ｂ，４ｂが、前記ウエブ３の外側面３
ａに連なる傾斜面となつている。

また前記拡腹部５は、PC桁Ａの端部側におけ
る膨出端面５ａが下フランジ外側面２ａと面一で
あり、その端面５ａに連なるダイヤフラム側の面
５ｂがウエブ外側面３ａに連なる傾斜面となつて
おり、かつ、他方の面５ｃがPC桁Ａの端部と面
一になつている。

前記PC桁を製造する型枠は、桁長方向で複数
個に分割された合成型枠１４を所定個数連結する
ことによつて構成されるものであり、各々の合成
型枠１４は、上フランジ１及び下フランジ２を成
型するための第１及び第２の型枠部分１１，１２
と、残りのウエブ３（即ち、ダイヤフラム４や拡
腹部５が形成される部分）を成型するための第３
型枠部分１３とを有している。

第１型枠部分１１は、上フランジ１の両側面１
ａ，１ｂに対応するせき板２４以外が全て金属製
（具体的には鋼製である。以下同じ。）となつてお
り、第２型枠部分１２はその全体が金属製であ
り、第３型枠部分１３はその全体が木製である。
そして、第７図、第８図に示すように第１及び第
２の型枠部分１１，１２同士を、それらの桁長方
向両端外側に設けられた上下に分割可能な金属製
の接合用フランジ１９…及び桁長方向中間部外側
に設けられた上下に分割可能な金属製スチフナー
１９′…を介してボルト連結し、第３型枠部分１
３の骨板１３ｂ…を前記接合用フランジ１９…及
びスチフナー１９′…にボルト連結することによ
つて、合成型枠１４となる。前記接合用フランジ
１９…及びスチフナー１９′…は、実質的に同じ
構造であり、両端のものがユニツト化された合成
型枠１４…同士の接合に用いられるのである。

合成型枠１４各部の構造をさらに詳述すると、
次の通りである。

前記第２型枠部分１２は、下フランジ２の下面
２ｂに対面する金属製下板１５と、左右側面２
ａ，２ａに対面する金属製側板１６，１６、及
び、下板１５と側板１６を解除自在に連結するク
ランプ機構１７からなり、前記下板１５の下面側
にはアングル材よりなる枠１８が設けられ、側板
１６の外面側には、その上端を上方に大きく突出
させる状態でフランジ部材１９ａ…及びスチフナ
ー部材１９ｂ…が長手方向に間隔をへだてて設け
られている。

前記第１型枠部分１１は、前記上フランジ１の
下面１ｂと下フランジ２の巾よりも張出す上部傾
斜面部分３c′，３c′に対面する左右一対の金属製
せき板２０，２０と、それの長手方向に間隔をへ
だてて設けたクランク状のフランジ部材１９a′…
及びスチフナー部材１９b′と、これらの部材１９
a′，１９b′の立上り部分に対して上下に間隔をへ
だてて設けたアングル部材２１…、及び、左右の
上部アングル部材２１，２１にわたる単管等より
なる連結部材２２…とを有し、そのフランジ部材
１９a′及びスチフナー部材１９b′と、第２型枠部
分１２のフランジ部材１９ａ及びスチフナー部材
１９ｂの夫々を、金属製のスペーサー部材２３…
を介してボルト連結することにより、前記第２型
枠部分１２に支持させるようにしてある。そして
上下のアングル部材２１，２１にわたつてその内
面側に、第１０図イに示すように、上部側ほど内
方に傾斜させる状態で防水ベニヤ等のせき材２
４，２４を取付けることによつて、上フランジ１
の左右両側面１ａが傾斜した第４図に示すPC桁
Ａが、かつ、同図ロに示すように、一方のせき材
２４をアングル部材２１に当接させることによつ
て一方の側面１ａのみが傾斜した第５図に示す
PC桁Ａ、所謂耳桁が成型されるものであり、こ
れによつて、第４図及び第５図に示すPC桁Ａ，
Ａが実質同一の型枠部分１１によつて成型され、
かつ、その形状が一部異なるも成型面において実
質同一であることが理解できよう。

次に、第３型枠部分１３は、第８図及び第９図
に示すように、ウエブ３に対応する防水ベニヤ等
からなるせき板１３ａとその外面に適当ピツチ
（前記接合用フランジやスチフナーのピツチと合
致させてある。）で釘付けした骨板１３ｂ…とに
よつて構成され、骨板１３ｂ…を前記接合用フラ
ンジ１９及びスチフナー１９′…にボルト連結す
べく構成されている。せき板１３ａの横断面形状
及び骨板１３ｂ…の巾は、標準断面のウエブ３や
ダイヤフラム４、拡腹部１５等の横断面形状に対
応して設定されたものであり、例えば、標準断面
のウエブ３を成型する場合には、せき板１６ａ及
び骨板１６ｂは第９図に示すような形状に製作さ
れ、ダイヤフラム４や拡腹部５を成型する場合に
は、第１１図に示すような形状に製作される。

この第３型枠部分１３の上下高さを変更すると
共に、それに応じて前記スペーサー部材２３の長
さを変更することによつて、第１及び第２の型枠
部分１１，１２をそのまま流用する状態で高さの
異なるPC桁Ａを製造でき、あるいは、第３型枠
部分１３におけるせき板１３ａ及び骨板１３ｂの
横断面形状を変更することによつて、ダイヤフラ
ム４の長さや位相あるいは拡腹部５の位置や長さ
の異なる各種のPC桁Ａを製造できる。即ち、第
１及び第２型枠部分１１，１２をそのままの形状
にする状態において、第３型枠部分１３のみの形
状を変更することにより多種のPC桁Ａを製造で
きるのである。

尚、２５はスチフナー部材１９b′…に付設した
短尺の部材で、これに係合する切欠きが前記骨板
１３ｂ…に形成され、その係合状態において第３
型枠部分１３の外方への張出しが阻止される。

２６は前記上部アングル部材２１の上部に設け
た受具で、この受具２６と前記せき板２４の間に
クサビ２７を打設することにより、前記せき板２
４を固定させるようにしてある。２８は接合用フ
ランジ１９…及びスチフナー１９′…間を連結す
るフラツトバー、２９は補強用のターンバツクル
で、上下のスチフナー部材１９b′と１９ｂ間に枢
支連結される。３０は合成型枠１４の倒れ防止用
の長さ調節自在なサポートで、下端側を接地させ
る状態で第１型枠部分１１に取付けてある。

次に、前記クランプ機構１７は、第１２図に示
すように、前記アングル材よりなる枠１８に対し
てそれの左右両側に、一対のアングル３１，３１
の複数組を長手方向に間隔をへだてて連設し、こ
のアングル３１，３１間の夫々に、前記側板１６
に連設された別のアングル３２に対して上方から
係止する状態と係止解除状態とに切換え自在なフ
ツク３３を取付け、そして前記係止状態において
前記アングル３２を下板１５に押圧させるクサビ
３４を、前記フツク３３とアングル３１の間に打
設させるようにしてある。３５はフツク３３を枢
支する挿抜自在なピンである。

また、型枠１４の長手方向両端に妻枠が設けら
れることは言うまでもなく、それら妻枠や合成型
枠１４に前記シース８が貫設されるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はPC
桁の側面図、第２図は同横断平面図、第３図は高
架道路の断面図である。第４図及び第５図はPC
桁の断面図、第６図は配筋状態を例示する断面
図、第７図は合成型枠の側面図、第８図は合成型
枠の右半分の断面図、第９図は合成型枠の左半分
の分解図、第１０図イ、ロは第１型枠部分の部分
断面図、第１１図はダイヤフラム位置における第
３型枠部分の断面図、第１２図はクランプ機構の
詳細図である。 １……フランジ、２……下フランジ、３……ウ
エブ、４……ダイヤフラム、５……拡腹部、１
１，１２，１３……型枠部分、１４……合成型
枠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上フランジと、上フランジの巾よりも狭い底巾
   を有する下フランジと、底巾よりも巾狭のウエブ
   とによつて断面Ｔ字状に形成され、前記ウエブに
   は、桁長方向中間部に前記底巾と等しい巾の横締
   用ダイヤフラムが、また桁長方向両端側に端部側
   に至るにつれてウエブ巾から前記底巾と等しい巾
   へと拡がる拡腹部がそれぞれ形成され、かつ、ポ
   ストテンシヨンによるプレストレス導入用PC鋼
   材が埋設されたPC桁を製造するための型枠であ
   つて、前記下フランジと前記上フランジの一部を
   成型するための型枠部分を金属製とし、前記ウエ
   ブを成型するための型枠部分を木製とし、前記金
   属製型枠部分同士を、それらの桁長方向両端部外
   側に設けられた上下に分割可能な金属製の接合用
   フランジ及び桁長方向中間部外側に設けられた上
   下に分割可能な金属製のスチフナーを介して連結
   し、前記木製型枠部分の骨板を前記接合用フラン
   ジ及びチフスナーに連結してあることを特徴とす
   るポストテンシヨンＴ型PC桁製造用合成型枠。