JPS6231508Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、主として建築物、橋脚その他の構
築物の基礎杭を沈設する場合の中掘用のスパイラ
ルオーガーに使用する掘削ヘツドに係るものであ
る。

近年都市区域での基礎杭の工事は、打込工法で
は激しい打撃と振動を伴うため、穴を掘つて杭を
沈設する工法が採用されているが、杭の支持力が
弱いため、杭の先端部に根固め液を注入して、杭
先端部にコンクリート球根を形成し、支持力を向
上させる工法が近年脚光を呈している。

この考案はこの杭を沈設するとき、中空杭を用
いこの中にスパイラルオーガーを挿入して穴を掘
りながら順次杭を沈設し、杭が支持地盤に到達し
たならば、そのスパイラルオーガーの軸を利用
し、根固め液を圧送し、スパイラルオーガー先端
の掘削ヘツドのノズルから根固め液を噴射できる
掘削ヘツドに関するものである。

一般に根固め液は、普通セメント又は早強セメ
ントを主剤とし、これに少量のベントナイトを混
ぜた混合水であるが、場合によつては徴細砂を混
合したモルタルの場合もある。

何れにせよ徴細な鉱物質の硬質粒子を含むもの
であるから、ノズル孔内面の摩耗が激しい。また
上述のように、穴を掘削するときには、ノズルか
ら根固め液や、空気を噴射しないで使用すること
がある。

このようなときにはノズルから土砂が侵入しな
いようにノズルのすぐ内側に逆止弁を設けること
も考えられるが、根固め液は前述のようにセメン
ト混合液であるため或る程度の粘稠性もあり、徴
細粒子を含むものであるため、複雑な構造の逆止
弁では目詰りを起すだけでなく、高圧又は超高圧
即ち50Kg／cm²乃至300Kg／cm²の噴射を要求する場
合には、この逆止弁のために減圧され、要求され
る噴出圧が生じないこともあり、またその減圧分
だけ高出力のポンプを必要とし、省エネルギーの
立場のみならず、これら高圧力ポンプから生ずる
騒音は、無視できない程大きくなる。

この考案はこのような従来のノズル構造の欠点
を改善し、掘削時には確実に栓ができ、かつ根固
め液噴射時には噴射圧力で容易に開栓できる掘削
ヘツドを提供することをその目的とする。

この考案はノズルブロツクを貫通するノズル孔
の内端寄であり、該ノズルブロツクの長さの1/4
乃至2/5には、超硬合金よりなり、全長において
内径の等しく、内径寸法より長さが若干長いブツ
シユが嵌合固着してあり、これよりもブロツクの
外端よりのノズル孔径は、外側ほど径が大きいテ
ーパー孔に成形してある根固め液噴射ノズルが少
なくとも２個設けてあることを特徴とする掘削ヘ
ツドである。

図において、１０はスパイラルオーガーであつ
て、その中空軸１１の中には根固め液を圧送する
通路となる細径パイプ１２が装備されており、ス
パイラルオーガー１０の先端に装備された掘削ヘ
ツド１３に設けたノズル１４，１５に、前記細径
パイプ１２は連通している。

図示の掘削ヘツド１３においては、一方のノズ
ル１４は、水平方向でかつほゞ半径方向にノズル
の軸線を有しており、図示のものにおいては平面
にみて半径方向に対し、約30゜程度傾斜させて設
けてある。

この水平方向ノズル１４は図示のものにおいて
は、１個のものを示したが、180゜ごとに２個設
けてあつてもよいし、120゜ごとに３個設けてあ
つてもよい。

他のノズル１５は、掘削ヘツド１３の下面に設
けてあり、スパイラルオーガー１０の垂直軸線外
の位置にあつて、ノズル１５の噴射方向は、前述
の垂直軸線乃至はその近傍を通るように下向に設
けてあり、垂直軸線との傾斜角は25゜乃至30゜程
度としてある。

これらノズル１４，１５の構造は、第４図に示
すようになつている。即ち、全体としては円型
のノズルブロツク１６の軸線の中心にノズル孔１
７が穿設してあり、この内端寄には、超硬合金よ
りなるブツシユ１８が嵌合固着してあり、この内
径は通常２mm乃至４mmであつて、ブツシユの長さ
は約10mmである。前記ノズルブロツク１６のノズ
ル孔１７は、該ブツシユ１８寄においては、ブツ
シユの内径に等しく、外端は、10mm乃至15mm程度
のテーパー孔１９としてある。

つまりテーパー孔１９の中心角は10゜乃至25゜
にしてある。２０は合成ゴム、軟質合成樹脂又は
コルクよりなる栓で、テーパー孔１９に嵌合でき
る円錐台形状にしてある。ノズルブロツク１６の
外周には雄ねじ２１が刻設してあつて、掘削ヘツ
ド１３にねじ込み取付けられる。

叙上のように構成しているこの考案の掘削ヘツ
ドを使用するには、先ず、掘削時において栓２０
をノズルブロツク１６のテーパー孔１９に嵌合さ
せ、掘削を行う。

掘削を終了し、細径パイプ１２の上端に根固め
液供給の圧力ポンプ（図示していない）を接続
し、根固め液を圧送すると、根固め液は細径パイ
プ１２を通りノズル１４，１５部に達してそれぞ
れのブツシユ１８中を通り、テーパー孔１９に嵌
合している栓２０を、その圧力によつて外方に吹
き飛ばし、以後ノズル１４，１５より根固め液を
噴射し、掘削ヘツド１３の回転とノズル１４，１
５よりの根固め液の噴射流によつて、掘削部分の
地盤たる土砂と根固め液を混合する。

叙上のように構成しているこの考案のものにお
いては、掘削時においては、合成ゴム、合成樹脂
或はコルクなどの栓２０をテーパー孔１９に塞栓
嵌合するだけで、外部から泥水や土砂が侵入する
ことが阻止でき、殊にテーパー孔に形成してある
から、外部からの圧力により、栓２０は圧縮さ
れ、テーパー孔１９との圧接圧力は高まり、外部
からの異物、水の侵入は全くなく、ブツシユ１８
の孔が詰るおそれがない。

また内部から圧力が加えられゝば、その圧力は
細いブツシユ１８の孔を通り、径の大きくなつた
テーパー孔１９において栓２０の内面に作用し、
その押圧力は、増大して作用し、栓２０を外方に
押し出し、かつ栓２０はテーパー孔１９の内径の
大きい方へ押し出されるのであるから、確実に開
栓し、以後の根固め液の噴出の妨げとはならな
い。

殊にこの考案においては、構造の複雑な逆止弁
をノズル近傍に設ける必要なく、構造が簡単で故
障がなく、圧力損失が少なく、ノズル部の噴出圧
力が従来と同一とすれば、それだけ圧力ポンプが
低出力でよくなり、圧力ポンプが同一とすれば、
圧力損失が少ないだけ、噴出圧力が高める効果を
有する。

その他、テーパー孔の中心角が10゜乃至25゜の
範囲内においては、栓２０を一度嵌合すれば掘削
中に外れて開栓するおそれはなく、内圧を加えれ
ば容易に開栓する。

中心角が小さいときは、内圧が開塞しないおそ
れがあり、中心角が大きいときは、栓２０をテー
パー孔１９に嵌合しても、掘削中に外れるおそれ
がある。

その他、ノズル１４が２個又は３個水平方向に
設けてあるものは、１個のものより、単位時間当
りの根固め液の総噴出量が多くなり、作業能率が
向上する。

この考案においてノズルブロツク１６は、損耗
すれば、ノズルブロツク１６ごと掘削ヘツド１３
より取外し、新しいものと取替える。

その他掘削ヘツド１３の掘削刃２２は、正回転
のときは、第３図内側の鎖線の位置まで軸２３を
回転中心として縮少し、逆回転時は、実線の位置
まで張り出し、拡大刃となる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案に係るものであつて、第１図はス
パイラルオーガー全体の一部縦断側面図、第２図
は掘削ヘツドの拡大側面図、第３図は第２図の底
面図、第４図はノズルの拡大縦断側面図である。 図中符号、１４，１５…ノズル、１６…ノズル
ブロツク、１７…ノズル孔、１８…ブツシユ、１
９…テーパー孔、２０…栓。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ノズルブロツクを貫通するノズル孔の内端寄
   であり、該ノズルブロツクの長さの1/4乃至2/5
   には、超硬合金よりなり、全長において内径の
   等しく、内径寸法より長さが若干長いブツシユ
   が嵌合固着してあり、これよりもブロツクの外
   端寄りのノズル孔径は、外側ほど径が大きいテ
   ーパー孔に成形してある根固め液噴射ノズルが
   少なくとも２個設けてあることを特徴とする掘
   削ヘツド。 ２ 前記テーパー孔の中心角は10゜乃至25゜であ
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の掘削ヘツド。