JPS6230065Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はクラツチボルトをエクステンシヨン
ロツドに対して強固に固定し、演奏中における上
部シンバルの位置ずれを防止し得るようにしたハ
イハツトスタンド用上部シンバル止め具に関す
る。

足の踏込操作によるシンバルの演奏を可能にし
たハイハツトスタンドは、一般に第１図に示す如
く構成されている。すなわち、ハイハツトスタン
ド１は、３本の脚２ａ，２ｂ，２ｃ（２ｂ，２ｃ
は図示せず）からなる折畳み自在なスタンドド支
持脚２に立設された下パイプ３と、この下パイプ
３に挿通され蝶ねじ４によつて高さ調整される上
パイプ５と、この上パイプ５に挿通されて下端が
前記下パイプ３の下方に突出し、ペダル６の踏込
み操作によつて昇降されるエクステンシヨンロツ
ド７と、前記下パイプ３の下部にこれと並行して
配設されたスプリング収納ケース８内に収納され
前記エクステンシヨンロツド７を常時上方に付勢
するばね（図示せず）等からなり、前記上パイプ
５の上端部に下部シンバル９が下部シンバル止め
具１０によつて取付けられ、前記エクステンシヨ
ンロツド７の上端部に上部シンバル１１が上部シ
ンバル止め具１２によつて取付けられている。

しかしながら、従来の上部シンバル止め具１２
は、エクステンシヨンロツド７が挿通される中空
ボルト（図示せず）に螺合された一対のロツクナ
ツト１３およびクラツチナツト１４と、これらナ
ツト１３，１４間に介在されて前記上部シンバル
１１を挾持する一対のフエルトワツシヤ１５ａ，
１５ｂと、前記中空ボルトの上端部に一体もしく
は別個に設けられたクラツチボルト１６と、この
クラツチボルト１６の周面に螺合され前記エクス
テンシヨンロツド７を該クラツチボルト１６の中
心孔に圧接するボルト１７とで構成され、前記中
心孔の内周面とロツド７の外周面とを面接触させ
ているため、ボルト１７のロツド締付け力に限界
があり、そのため演奏中に滑りを生じて上部シン
バル１１の位置がずれるという欠点があつた。

そのため、ボルト１７のロツド締付け力を増大
させる手段として例えば第２図に示すようにクラ
ツチボルト１６の中心孔２０の上端部の内径をエ
クステンシヨンロツド７の外径とほぼ等しく設定
し、中央部の内径を前記ロツド７の外径より大き
く設定して隙間を設け、ボルト１７と、中心孔２
０の上端部および中空ボルト２１の上端部とでエ
クステンシヨンロツド７を押し曲げるようにして
クラツチボルト１６をエクステンシヨンロツド７
に固定し、該ボルト１６の滑りを防止するように
したものが知られている。しかし、このようなク
ラツチボルト１６においては孔加工が面倒で、製
造コストが高くなるという欠点を有している。

この考案は上述したような点に鑑みてなされた
もので、クラツチボルトの外周面中央部でかつロ
ツド締付け用のボルトと対向する部位にクラツチ
ボルトの中心孔に連通する切欠きを設けるという
極めて簡単な構成により、クラツチボルトをエク
ステンシヨンロツドに対して強固に固定でき、上
部シンバルの位置ずれを防止するようにしたハイ
ハツトスタンド用上部シンバル止め具を提供する
ものである。

以下、この考案を図面に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。

第３図はこの考案に係るハイハツトスタンド用
上部シンバル止め具の一実施例を示す正面図、第
４図は同止め具の分解斜視図、第５図はクラツチ
ボルトの固定状態を示す縦断面図である。これら
の図において、上部シンバル止め具３０はエクス
テンシヨンロツド７が挿通される中空ボルト２１
を有し、この中空ボルト２１の上端には後述する
クラツチボルト３１が一体に連設されている。前
記中空ボルト２１の外周面上端部には一対のロツ
クナツト１３Ａ，１３Ｂが螺合され、下端部には
クラツチナツト１４が螺合され、これと前記ロツ
クナツト１３Ｂとの間に円筒状に形成されて中空
ボルト２１に嵌装された上下一対のフエルトワツ
シヤ１５ａ，１５ｂが介在されている。そして、
上部シンバル１１は前記一対のフエルトワツシヤ
１５ａ，１５ｂの間に中空ボルト２１に嵌装され
た状態で配置され、これらワツシヤ１５ａ，１５
ｂにより挾持保持されている。この場合、上部シ
ンバル１１の取付け高さは、前記一対のロツクナ
ツト１３Ａ，１３Ｂおよびクラツチナツト１４を
緩めて微調整されるが、かならずしも一対のロツ
クナツト１３Ａ，１３Ｂを必要とするものではな
く、前記クラツチボルト３１をエクステンシヨン
ロツド７に固定するボルト１７を緩めて該ボルト
３１および中空ボルト２１を上下移動させること
により、粗調整および微調整を行うようにしても
よいことは勿論である。

前記クラツチボルト３１は円筒状に形成され
て、その中心に前記エクステンシヨンロツド７が
挿通される中心孔３５を有し、また外周の中央部
適宜箇所には該ボルト３１の半径方向に形成され
て前記中心孔３５に連通するねじ孔３６が設けら
れ、このねじ孔３６に前記ボルト１７が螺合され
てエクステンシヨンロツド７を押圧している。前
記中心孔３５の孔径は前記中空ボルト２１の内径
と同一で、エクステンシヨンロツド７の外径より
若干大きく設定されている。また、前記クラツチ
ボルト３１の外周面中央部には切欠き３７がフラ
イス加工等により該ボルト３１の中心線と直交す
る方向に形成されている。この場合、切欠き３７
は、前記ねじ孔３６とは反対側の外周面に形成さ
れて該ねじ孔３６と対向し、クラツチボルト３１
の半径とほぼ等しい深さＤ（第５図参照）を有す
ることにより前記中心孔３５に連通され、またそ
の幅Ｗは前記ねじ孔３６の谷径よりも十分大で、
かつ切欠き３７によつてクラツチボルト３１の上
下端部に設けられた一対の半円形張出し部３９
Ａ，３９Ｂの強度を損ねない範囲で適宜な寸法に
設定される。したがつて、エクステンシヨンロツ
ド７の前記クラツチボルト３１の中心孔３５に挿
通されている部分の一部外周面は、前記切欠き３
７を通して外部から視認される。

このような構成からなる上部シンバル止め具３
０において、ボルト１７を締付けてその先端面で
エクステンシヨンロツド７の外周面を押圧する
と、該ロツド７は切欠き３７の存在により第５図
に示す如く押し曲げられる格好になるため、その
外周面のうち前記切欠き３７側外周面の上下部分
a₁，a₂がそれぞれ前記半円形張出し部３９Ａの下
面に開口する前記中心孔３５の開口端縁b₁と、半
円形張出し部３９Ｂの上面に開口する中心孔３５
の開口端縁b₂に圧接されることになる。したがつ
て、クラツチボルト３１はボルト１７の先端面
と、前記開口端縁b₁，b₂の３点によつてエクステ
ンシヨンロツド７に固定され、しかもこの時のエ
クステンシヨンロツド７との接触圧は中心孔３５
の内周面とエクステンシヨンロツド７の外周面と
の面接触に比べて十分大であるため、演奏時に振
動等によりずり動くことなく強固に固定される。

なお、上記実施例は中空ボルト２１とクラツチ
ボルト３１とを一体に形成した場合について説明
したが、この考案はこれに限らず別個に製作し、
クラツチボルトを中空ボルトの上端部に螺合連結
させたり溶接等によつて固定してもよい。また、
上記実施例は円筒状のクラツチボルト３１の外周
面中央部にフライス加工等によつて切欠き３７を
設けた場合について説明したが、この考案はこれ
に限らず、例えばクラツチボルトをプレス加工に
よつてコ形に形成することにより切欠きを設ける
ように構成してもよい。さらに、切欠きの断面形
状も上記実施例の半円形状に限らず、扇形形状、
方形形状等に形成してもよいことは勿論である。

以上説明したようにこの考案に係るハイハツト
スタンド用上部シンバル止め具は、クラツチボル
トの外周面中央部でかつエクステンシヨンロツド
締付け用のボルトが螺合されるねじ孔と対向する
部位にクラツチボルトの中心孔に連通する切欠き
を設け、ロツド締付け時に、前記エクステンシヨ
ンロツドを切欠きに逃がすことにより、クラツチ
ボルトを３点で前記ロツドに固定するように構成
したので、より強固にクラツチボルトを締付け固
定することができ、演奏中における上部シンバル
の位置ずれを確実に防止することができ、また構
造が簡単で容易に製作でき、既存製品などでも簡
単に改良することができるなど、その実用的効果
は非常に大である。

【図面の簡単な説明】

第１図はハイハツトスタンドの一部省略正面
図、第２図は従来のクラツチボルトの固定状態を
示す縦断面図、第３図はこの考案に係るハイハツ
トスタンド用上部シンバル止め具の一実施例を示
す正面図、第４図は同止め具の分解斜視図、第５
図はクラツチボルトの固定状態を示す縦断面図で
ある。 ７……エクステンシヨンロツド、１３Ａ，１３
Ｂ……ロツクナツト、１４……クラツチナツト、
１５ａ，１５ｂ……フエルトワツシヤ、１７……
ボルト、２１……中空ボルト、３０……上部シン
バル止め具、３１……クラツチボルト、３５……
中心孔、３６……ねじ孔、３７……切欠き。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エクステンシヨンロツドが挿通される中空ボル
   トと、この中空ボルトの外周に嵌合されて上部シ
   ンバルを上下から挾持する一対のフエルトワツシ
   ヤと、前記中空ボルトの上端部に設けられ前記エ
   クステンシヨンロツドが貫通するクラツチボルト
   と、このクラツチボルトに設けられたねじ孔に螺
   合されて前記エクステンシヨンロツドを押圧する
   ボルトと、前記中空ボルトの下端部に螺合されて
   前記一対のフエルトワツシヤを前記クラツチボル
   トとの間で挾持するクラツチナツトとを具備して
   なり、前記クラツチボルトの前記ねじ孔と対向す
   る部位に該ボルトの中心孔に連通する切欠きを設
   けたことを特徴とするハイハツトスタンド用上部
   シンバル止め具。