JPS6226719Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、発射後に翼が開くようにしたミサイ
ル等の飛翔体における翼の固定に使用される飛翔
体の翼のロツク装置に関するものである。

(ロ) 従来の技術 例えば、近時のミサイルでは、翼をミサイル本
体に突没可能に枢着しておき、不要な際に該翼を
前記ミサイル本体内に収納しておくことができる
ようにしたものが少なくない。すなわち、この種
のミサイルは、発射管に装填されている間だけ前
記翼をミサイル本体内に待機させておき、発射直
後に前記翼をばね力等によりミサイル本体外に突
出させ得るようになつている。しかして、かかる
構成のミサイルには、ミサイル本体外に突出した
翼をばたつかないように所定の係止位置に固定す
るためのロツク装置を設けることが必要である。

ところが、従来のロツク装置は、固定力が弱い
ものや構成部品間のクリアランスにより翼の位置
精度が悪化するものがほとんどであり、また、構
造が複雑で軽量化が難しく、ミサイル等の飛翔体
の飛行性能に悪影響を及ぼす等の不都合がある。

すなわち、例えば、従来用いられているロツク
装置として爪機構を用いたものがあるが、このよ
うなものは開翼時に確実に爪を凹陥部に係合させ
るために該凹陥部を爪の大きさよりも大きくして
おく必要があるため、組立時にトリミング等の作
業を要するという手間がかかるとともに、開いた
翼にばたつきが生じるという不都合がある。

このような不都合を解消するために、本体に枢
着された翼が待機位置から係止位置にまで回動し
た瞬間に、前記翼側に設けたカム面と前記本体側
に設けた受圧面との間に弾性部材により押圧して
くさび形のロツク部材を喰い込ませ得るように構
成したロツク装置が考えられている。ところが、
このものは、弾性部材とロツク部材とを飛翔体の
内側中央部に設けているため、新たなスペースを
必要としそれだけ飛翔体が大形化してしまい、ま
た、カム面と受圧面との間にロツク部材を喰い込
ませるためにはロツク部材の方向および弾性部材
による押圧方向を正確に定めておかねばならずそ
れだけ高い精度を要するという不都合がある。

(ハ) 目的 本考案は、このような事情に着目してなされた
もので、収容に新たなスペースを要さず飛翔体を
小型にできるとともに、高い精度を要することな
しに確実に翼を所定の係止位置に固定することが
できる飛翔体の翼のロツク装置を提供することを
目的とする。

(ニ) 構成 本考案は、前記目的を実現するために、飛翔体
の翼のロツク装置を、翼側に設けられ該翼の回動
中心を軸とする円柱面を主体に構成したカム面
と、前記本体側に設けられた前記カム面に対向す
る受圧面と、この受圧面と前記カム面との間に介
挿した薄板と、この薄板の先端に固着したくさび
形のロツク部材と、本体の外郭近傍部に設けられ
弾性力により前記薄板を引き寄せて前記ロツク部
材を前記カム面と前記受圧面との間に喰い込む方
向へ付勢する弾性部材とを具備するものとしたこ
とを特徴とする。

(ホ) 実施例 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

飛翔体たるミサイル１にロツク装置２を搭載し
ている。ミサイル１は、本体たるミサイル本体３
に翼４の基端部を支軸５を介して枢着しており、
それによつて、前記翼４が待機位置ａから係止位
置ｂにまで回動し得るようになつている。待機位
置ａは、前記翼４が前記ミサイル本体３内に略完
全に格納される位置に設定されており、一方、係
止位置ｂは、前記翼４が前記ミサイル本体３外に
完全に突出して該翼４の一側縁４ａが前記ミサイ
ル本体３の係止面３ａに当接する位置に設定され
ている。そして、このようにしてなるミサイル１
が図示しない発射管内に装填されている場合に
は、前記翼４が前記発射管の内周面等に拘束され
て前記待機位置ａに保持されており、前記ミサイ
ル１が発射されて前記翼４が前記発射管による拘
束から解放された場合に該翼４が図示しないバネ
の力等により前記係止位置ｂにまで回動し得るよ
うになつている。

一方、ロツク装置２は、前記翼４の基端部に設
けたカム面６と、前記ミサイル本体３側に設けた
受圧面７との間にくさび形のロツク部材８を喰い
込ませ得るように構成したものである。詳述すれ
ば、前記カム面６は、前記翼４の回動中心０を軸
とする円柱面６ａと、該翼４が係止位置ｂにまで
回動した際に受圧面７に対向する平面６ｂにより
構成されている。また、前記受圧面７は平面によ
り構成されており、前記カム面６に微小な隙間を
介して対向させてある。また、前記ミサイル本体
３の外郭３ｂ近傍部所定部位に、支柱９に一端を
固着し該支柱９に巻付けた状態で設けられた弾性
部材たるゼンマイバネ１１の、薄板としての機能
を果たす先端部１１ａを前記受圧面７とカム面６
との隙間に介挿し、かかるゼンマイバネ１１の先
端にロツク部材８の尖端を固着させている。そし
て、このロツク部材８を、前記ゼンマイバネ１１
によつて、該ゼンマイバネ１１側に引き寄せる方
向、すなわち、前記カム面６と前記受圧面７との
間に喰い込む方向（矢印Ａ方向）へ付勢してい
る。

次いで、この実施例の作動を説明する。

発射時には翼４は前述したように待機位置ａに
格納されているが、発射直後に該翼４が前記待機
位置ａから係止位置ｂにまで回動し、いわゆる翼
が開いた状態になる。この際には、カム面６の矢
印Ｂ方向への回動によりロツク部材８がゼンマイ
バネ１１の不勢力に抗して矢印Ａと反対方向へ押
圧されるため、翼４の回動が阻げられることはな
い。そして、前記翼４が前記係止位置ｂに到着し
て停止すると、前記カム面６の平面６ｂが受圧面
７に対向することになるので、前記ロツク部材８
がゼンマイバネ１１の付勢力によつて該カム面６
と受圧面７との隙間に喰い込むことになり、前記
翼４が前記ミサイル本体３にロツクされる。この
状態では、前記翼４が前記待機位置ａへ戻ろうと
すると前記ロツク部材８に喰い込む方向の摩擦力
が作用することになるため、前記翼４は前記係止
位置ｂに強固に固定されることになる。

このようにして、翼４を係止位置ｂに固定する
のであるが、このロツク装置によれば、弾性部材
たるゼンマイバネ１１をミサイル本体３の外郭３
ｂ近傍部に設けているので、新たなスペースを必
要とせず、それだけミサイル１を小型にすること
ができる。また、ゼンマイバネ１１の先端部１１
ａを薄板として受圧面７とカム面６との隙間に介
挿し、かかるゼンマイバネ１１の先端にロツク部
材８の尖端を固着させているので、翼４の回動後
に該ロツク部材８がゼンマイバネ１１の付勢力に
よつて該ゼンマイバネ１１側に引寄せられる際、
該ロツク部材８は、その位置や方向がどうであつ
ても前記先端部１１ａに案内されて確実に受圧面
７とカム面６との隙間に喰い込む。したがつて、
前述したロツク部材を弾性部材によつて押圧して
受圧面とカム面との間に喰い込ませるものにおけ
るようなロツク部材の方向や弾性部材の押圧方向
を正確に定めておくという必要がないため、高い
精度を要することなしに確実に翼４を係止位置ｂ
に固定することができる。

なお、本考案は前記実施例に限られないのは勿
論であり、カム面は平面を有しないものであつて
もよいが、平面を有するものであればより翼の固
定を確実に行なえる。

また、受圧面は、平面状のものに限らず、例え
ば、第３図に示すように、回転ローラ１２を本体
に軸着し、この回転ローラ１２の外周面を受圧面
７′としたものであつてもよい。

また、弾性部材は、ゼンマイバネに限らず、例
えばコイルバネであつてもよい。コイルバネを用
いる場合は、例えば、第４図、第５図に示すよう
に、先端にロツク部材８を固着させた薄板１３を
カム面６と受圧面７との間に介挿し、該薄板１３
の基端にコイルバネ１１′の一端を固着させると
ともに該コイルバネ１１′を支柱９に巻付けて該
コイルバネ１１′により該薄板１３を引寄せてロ
ツク部材８をカム面６と受圧面７との間に喰い込
む方向へ付勢するようにしたものになる。

その他、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々
変形が可能である。

(ヘ) 効果 以上、説明したように、本考案は、収容に新た
なスペースを要さず飛翔体をそれだけ小形にでき
るとともに、高い精度を要することなしに確実に
翼を所定に係止位置に固定することができる飛翔
体の翼のロツク装置を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の一実施例を示す概略
説明図、第３図は本考案の他の実施例を示す部分
説明図、第４図、第５図は本考案のさらに他の実
施例を示し、第４図は要部を示す斜視図、第５図
は部分説明図である。 １……飛翔体（ミサイル）、２……ロツク装
置、３……本体（ミサイル本体）、４……翼、６
……カム面、７，７′……受圧面、８……ロツク
部材、１１……弾性部材（ゼンマイバネ）、１
１′……弾性部材（コイルバネ）、１１ａ，１３…
…薄板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体に枢着された翼が待機位置から所定の係止
   位置にまで回動した場合に、該翼を前記本体に対
   して固定するための飛翔体の翼のロツク装置であ
   つて、前記翼側に設けられ該翼の回動中心を軸と
   する円柱面を主体に構成したカム面と、前記本体
   側に設けられ前記カム面に対向する受圧面と、こ
   の受圧面と前記カム面との間に介挿した薄板と、
   この薄板の先端に固着したくさび形のロツク部材
   と、前記本体の外郭近傍部に設けられ弾性力によ
   り前記薄板を引寄せて前記ロツク部材を前記カム
   面と前記受圧面との間に喰い込む方向へ付勢する
   弾性部材とを具備してなることを特徴とする飛翔
   体の翼のロツク装置。