JPS6226136Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はひな人形、とくにおすべらかしひな
人形の頭部に天冠を着脱自在に取付けるための天
冠固定装置に関するものである。

従来、おすべらかしひな人形の頭部には天冠又
は玉ぐし金具のいずれか一方を取付けるようにな
つているが、玉ぐし金具に天冠を取付けて飾るこ
とも行われている。

しかしながら、単に玉ぐし金具に天冠の冠筒部
を被冠させただけでは天冠が不安定であつて、少
しの衝撃で天冠が落下したり、ひな人形の髪を損
傷するなどの不都合があつた。

このような問題を解決するために、例えば実公
昭55−49118号に開示されているように、玉ぐし
金具に天冠の冠筒部を被冠させ、該冠筒部に結合
させた結紐を束髪部に引張り状に巻き結んで固定
することも行われているが、本来結紐をおすべら
かしひな人形の束髪部に美麗に結止すること自体
が煩瑣であるうえ、かつ引張り状に正確に結止す
ることが困難ある。

そのため、結止めが緩い状態の場合には天冠の
ぐらつきを生じ、極端な場合には天冠の落下を生
ずる事態も避け難く、また強過ぎる引張りにより
髪形がくずれたりする事態が生ずる。

さらに、不使用時の収納等に際して天冠をひな
人形の頭部から取り外す場合も、操作がきわめて
煩瑣であると共に、天冠の着脱に際して、人の手
指によりひな人形の顔を汚損したり、毛髪の乱れ
を生起して折角のひな人形を台無しにする虞れも
あるなどの不都合があつた。

この考案はかゝる現状に鑑み、天冠を簡単かつ
きわめて容易にひな人形の頭部に戴冠でき、かつ
不必要なときには自在に取外しもできるひな人形
の天冠固定装置を提供することを目的としたもの
である。

すなわち、この考案のひな人形における天冠固
定装置は、表面に多数の係合条片を有する面フア
スナーの基部に係合孔を形成すると共に、前記基
部に対向する周縁部から係合孔に到る切込部を設
けて面フアスナーを一部接続状態で２片に分割
し、一方の片の裏面に台紙を貼着して他方の片を
拡開自在とした束髪部への取付具と、前記束髪部
への取付具の面フアスナーと係合する多数の係合
条片を有する面フアスナーにひな人形の頭部に載
冠する天冠への係止具を具備すると共に、この面
フアスナーの係合条片の全面を覆う台紙を接離自
在に設けた天冠固定用の取付具とから構成したも
のである。

この考案は、頭部に設けた玉ぐし金具に天冠の
冠筒部を被冠させるひな人形において、その天冠
を正確に形よく頭部に固定したものであり、相互
に係合可能な係合片を形成した雌雄一対の面フア
スナーよりなる取付具を使用し、天冠に結合した
係止具をこの取付具の一方に係着し、この取付具
をひな人形後部の束髪部に取付けた他方の係止具
に係合することによつて天冠を固定するものであ
る。

以下、この考案の実施例を添付の図面に基づい
て詳細に説明する。

１はひな人形３の束髪部５に直接取付けるため
のハート状乃至は扇状の取付具であつて、表面に
多数の係合条片を設けた面フアスナーの一方で構
成したフアスナー雌体１ａの基端近傍に前記束髪
部５を挿入保持するための係合孔１ｂを形成する
と共に、前記基端と対向する周縁部から前記係合
孔１ｂに到る切込部１ｃを形成し、このフアスナ
ー雌体１ａの前記切込部１ｃを境とする一方の裏
面、例えば片Ａ側の裏面に台紙１ｄを貼着し、他
方の裏面、例えば片Ｂ側の裏面は台紙１ｄを貼着
せずにフリーの状態としたものである。

したがつて、前記フアスナー雌体１ａの前記片
Ｂ側の部分を持ち上げるなど拡開することによつ
て、切込部１ｃから係合孔１ｂ内にひな人形３の
前記束髪部５を簡単に挿入することができる。

２は前記取付具１に対して係脱自在なハート状
乃至は扇状の取付具で、片面には前記取付具１の
表面の係合条片に係合して係止される多数の係合
突片を有するフアスナー雄体２ａを形成し、その
周縁の一部にひな人形３の頭部に載置する天冠６
に結合する紐等からなる係止具２ｂを係着すると
共に、前記係合突片の形成面側に該係合突片を覆
う台紙２ｃを前記係合突片に対して接触乃至離反
可能に設けたものである。

かゝる取付具１と２から構成される固定装置を
使用して天冠６をひな人形３の頭部４に固定する
には、まず天冠６をひな人形３の頭部４の前方に
固定されている玉ぐし金具（図示せず）に天冠６
の冠筒部６ａを外嵌して天冠６を頭部４に仮固定
する。

ついで、第２図の鎖線で表示するように取付具
１を構成するフアスナー雌体１ａの基端側を下方
にした状態で切込部１ｃに沿つて左右に分割され
る一方の片Ｂ側部分を押し拡げつつ束髪部５の下
側に取付具１をセツトし、その台紙１ｄを頭部４
に当接しながら係合孔１ｂ内に束髪部５を挿入保
持したのち、片Ｂを第３図に示すように元の状態
に戻して頭部４と一体の束髪部５に取付具１を取
付ける。

つきに、第３図に示すように取付具２の台紙２
ｃと前記取付具１のフアスナー雌体１ａとが対向
する状態で係止具２ｂの一端を天冠６の冠筒部６
ａの後面に設けられている装飾片６ｂに係止させ
たのち、台紙２ｃを上方に引き上げかつ折り畳ん
だ状態に保持して、フアスナー雄体２ａの係合条
片をフアスナー雌体１ａの係合条片と係合し、以
て取付具１と取付具２とを一体的に係着させて天
冠６をひな人形３の頭部４に不動に固定するもの
である。

なお、ひな人形３の頭部４から天冠６を取外す
場合には、フアスナー雄体２ａをフアスナー雌体
１ａより引剥し、係止具２の緊張を緩めて該係止
具２と天冠６の装飾片６ｂとの係止を解けば天冠
６はひな人形３の頭部４から容易に取外すことが
できるものである。

この考案の天冠固定装置は、以上述べたように
ひな人形の束髪部を係止する係合孔を設けた面フ
アスナーよりなる取付具と、天冠への係止具を設
けた面フアスナーよりなる取付具とから構成し、
一方の取付具の係合孔に束髪部を挿入保持するこ
とによつて該取付具を束髪部に取付け、他方の取
付具の係止具を天冠に係止せしめたのち、両取付
具を一体に係合させて天冠をひな人形の頭部に固
定するようにしたので、天冠を容易かつ簡単にひ
な人形の頭部に取付ることができ、また、天冠の
取外しも簡単にでき、各取付具はひな人形の頭部
後方に取付けるためひな人形の体裁を損なうこと
がない。

さらに、取付けに際しては一方の取付具の係止
具を天冠の装飾片等に係止するだけでよいため、
既存の天冠も簡単にひな人形の頭部に固定できる
と共に、頭部に天冠を固定しないときは天冠をそ
のまゝ天冠飾りとして利用できるなどの優れた効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のひな人形の天冠固定具を構
成する各取付具の斜視図、第２図乃至第４図は天
冠をひな人形の頭部に固定するための順序を説明
する説明図で、第２図は取付具を束髪部に取付る
場合、第３図は束髪部に取付けた取付具に他方の
取付具を取付ける場合を、第４図は取付け終了時
の状態を示すものである。 １……取付具、１ａ……フアスナー雌体、１ｂ
……取付具１の係合孔、１ｃ……切込部、１ｄ…
…台紙、２……取付具、２ａ……フアスナー雄
体、２ｂ……係止具、３……ひな人形、４……頭
部、５……束髪部、６……天冠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 表面に多数の係合条片を有する面フアスナーの
   基部に係合孔を形成すると共に、前記基部に対向
   する周縁部から係合孔に到る切込部を設けて面フ
   アスナーを一部接続状態で２片に分割し、一方の
   片の裏面に台紙を貼着して他方の片を拡開自在と
   した束髪部への取付具と、前記束髪部への取付具
   の面フアスナーと係合する多数の係合条片を有す
   る面フアスナーにひな人形の頭部に載冠する天冠
   への係止具を具備すると共に、この面フアスナー
   の係合条片の全面を覆う台紙を接離自在に設けた
   天冠固定用の取付具とから構成されるひな人形に
   おける天冠固定装置。