JPS6225980Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車輛のセルフステア輪の固定装置に
係り、特に車輛の後退時にセルフステア輪を固定
できるようにしたセルフステア輪の固定装置に関
する。

従来、車軸の両端に枢着されたナツクルに夫々
回動自在に支承された一対のセルフステア輪を備
えた車輛においては、セルフステア輪は車輛の前
進時には他の車輪に追従して自動的に好ましい方
向に回転するが、車輛の後退時には回転方向が定
まらず、セルフステア輪の回転方向によつては円
滑に後退できないという欠点があつた。

また実開昭50−26526には、多数車軸を有する
車両の舵取装置が開示されているが、該従来例は
セルフステア輪を対象としたものではなく、運転
席に備えたスイツチの操作により積極的に多数車
軸の車輪の舵取を行うようにしたものであつて、
本願考案とはその目的を異にするものである。し
かも該従来例においては、一対の空気ばねと一対
のシリンダとを必須の構成要件としているためコ
ストが高くなるばかりでなく、これらの相当重量
の大きい空気ばねを車軸の中心付近に固定するも
のであるため、車軸の重量、即ち車輛のばね下重
量が大きくなつて、例えば後輪２軸のバス等の場
合には乗心地に相当の悪影響が出て来るおそれが
あつた。更には該従来例では、車輪の固定装置が
タイロツドに取り付けられているため、該固定装
置の取付け及びその調整が容易に行い難いという
不具合があつた。

本考案は、上記した従来技術の欠点を除くため
になされたものであつて、その目的とするところ
は、車軸の両端に枢着されたナツクルに夫々回動
自在に支承された一対のセルフステア輪を備えた
車輛において、セルフステア輪を車輛の後退時に
固定輪と同方向に固定できるようにすることによ
つて、円滑に後退できるようにすることである。
また他の目的は、セルフステア輪を作動させるプ
ツシユロツドをピストン方式のエアチヤンバによ
つて固定できるようにすることによつて、構造簡
単かつ廉価なセルフステア輪の固定装置を提供す
ることである。更に他の目的は、ピストン自体を
プツシユロツドの制限部材として用いることによ
つて、構造をより簡単かつコンパクトにすること
である。

また他の目的は、セルフステア輪の車軸に装着
される部品を、エアチヤンバ等の軽量部品に限定
することによつて、車輛のばね下重量の増加を極
力抑制し、後輪２軸のバス等に用いても良好な乗
心地が得られるようにすることである。更に他の
目的は、エアチヤンバのプツシユロツドの一端を
連結部材を介してナツクルからタイロツドの反対
側に突出したアームに連結することによつて固定
装置の構造を簡易化し、また該固定装置の取付け
及び調整を容易に行い得るようにすることであ
る。また他の目的は、連結部材の長さを調節可能
に構成することによつて、固定装置各部の製作誤
差や取付け位置の誤差が生じても常に一対のアー
ムがプツシユロツドによつて確実に固定されるよ
うに調節できるようにすることである。

要するに本考案は、車軸の両端に枢着されたナ
ツクルに夫々回動自在に支承された一対のセルフ
ステア輪を備えた車輛において、前記車軸に固着
されたシリンダと該シリンダ内に嵌挿され摺動し
得るピストンとからなる一対のエアチヤンバと、
前記シリンダのボス部に摺動自在に支承され一端
が前記ピストンと当接し得る如く前記シリンダ内
に配置された一対のプツシユロツドと、該プツシ
ユロツドの他端と前記ナツクルからタイロツドと
反対側に突出し該ナツクルに一体的に固着された
アームとを連結枢支する一対の長さ調節可能な連
結部材とを設け、前記エアチヤンバの作動により
前記ピストンと前記シリンダのボス部とが当接す
る位置まで前記ピストンによつて前記プツシユロ
ツドを摺動させ、前記ナツクルを介して前記セル
フステア輪を固定し得るように構成したことを特
徴とするものである。

以下本考案を図面に示す実施例に基いて説明す
る。本考案に係るセルフステア輪の固定装置１
は、車軸２、ナツクル３、セルフステア輪４、エ
アチヤンバ５、プツシユロツド６及び連結部材７
を備えている。

車軸２はサスペンシヨン（図示せず）を介して
フレーム（図示せず）に取り付けられている。ナ
ツクル３は車軸２の左右両端にキングピン１０に
よつて夫々枢着されており、ナツクル３の図中上
方に一体的に固着されたアーム１１の上端には、
タイロツド１２の左右両端が夫々ボールジヨイン
ト１３によつて枢着されている。セルフステア輪
４はナツクル３に固着されたナツクルスピンドル
（図示せず）に回動自在に嵌挿されており、該セ
ルフステア輪にはタイヤ１４が嵌め込まれてい
る。

エアチヤンバ５は、シリンダ１６、ピストン１
７及び蓋板１８を備えており、シリンダ１６は円
筒状に形成されており、車軸２の中央部に対向し
て２個固着されている。また該シリンダには該シ
リンダ内に連通接続されたエアチユーブ２０が取
り付けられている。ピストン１７は円筒状に形成
されており、シリンダ１６の内周面に摺動自在に
嵌挿されている。またピストン１７の外周面には
複数のピストンリング２２が装着されている。蓋
板１８はシリンダ１６の開口部１６ａを遮蔽する
如くシリンダ１６に固着されており、蓋板１８の
中央部に形成されたボス部１８ａには、該ボス部
の両端面と一致する長さを有するブツシユ２３が
圧入されている。またピストン１７と蓋板１８と
の間にはコイル状の圧縮ばね２５が介装されてお
り、該圧縮ばねによつてピストン１７は、第２図
に示すように矢印Ａの方向に付勢されている。ま
た蓋板１８にはエア抜き用の穴１８ｂが形成され
ており、この穴には防塵用のフイルタ（図示せ
ず）が装着されている。プツシユロツド６はブツ
シユ２３に摺動自在に嵌挿されており、該プツシ
ユロツドの一端はピストン１７と当接し得る如く
ブツシユ２３より突出してシリンダ１６内に配置
されている。そして第４図に示すようにプツシユ
ロツド６の最右端の位置において、ピストン１７
とプツシユロツド６の一端との間には長さｌの間
隙が形成されている。プツシユロツド６と蓋板１
８のボス部１８ａとの間には塵埃が入らないよう
に伸縮自在なダストカバー２７が装着されてい
る。

連結部材７はターンバツクル３０とボールジヨ
イント３１とを備え、長さ調節自在に構成されて
おり、ターンバツクル３０は主ロツド３２と該主
ロツドの両端に植設された取付けねじ３２ａに
夫々ナツト３３によつて調節自在に一端を取り付
けられた副ロツド３４とからなつている。ボール
ジヨイント３１は副ロツド３４の他端に装着され
ており、該ボールジヨイントをプツシユロツド６
の他端とナツクル３の下方、即ちタイロツド１２
の反対側に突出して該ナツクルに一体的に固着さ
れたアーム３５の下端に枢支することによつてプ
ツシユロツド６とナツクル３とが連結されてい
る。

そしてエアチヤンバ５の作動によりピストン１
７と蓋板１８のボス部１８ａとが当接する位置ま
でピストン１７によつてプツシユロツド６を摺動
させ、ナツクル３を介してセルフステア輪４を固
定し得るように構成されている。

本考案は、上記のように構成されており、以下
その作用について説明する。第４図及び第５図に
示すように、セルフステア輪４がセルフステアの
状態においては、プツシユロツド６は、第４図に
示す如く最右端の位置、即ち該プツシユロツドの
一端がボス部１８ａの一端面より長さl₁だけ突出
した位置から、第５図に示す如く最左端位置、即
ちプツシユロツド６の一端がボス部１８ａの一端
面より長さl₂だけ引込んだ位置まで移動し得るも
のである。このプツシユロツド６の移動に伴つて
ナツクル３のアーム３５の下端は長さl₁＋l₂だけ
移動し、タイヤ１４はキングピン１０を中心とし
て回転し得る。従つてこの状態で車輛を前進させ
ると、セルフステア輪４は他の車輪（図示せず）
に追従して好ましい方向に回転する。この状態か
らトランスミツシヨンのシフトレバーをバツクギ
ヤ（以上いずれも図示せず）にセツトし車輛を後
退させようとすると、エアチユーブ２０からエア
が自動的にエアチヤンバ５に送られる。すると、
第６図に示すように、一対のピストン１７はエア
によつて互いに反対方向に摺動し、ボス部１８ａ
の一端面と当接した位置で停止する。これに伴つ
てプツシユロツド６が一対のアーム３５を互いに
逆方向に回転させるように押圧するので、タイロ
ツド１２との協同作用によつて一対のセルフステ
ア輪４は第６図に示すように固定輪（図示せず）
と同方向に固定される。

このようにして一対のセルフステア輪４を固定
することによつて一対のタイヤ１４は平行となり
直進状態となるので車輛はその進行方向が定まつ
て円滑に後退できる。そしてこの状態から前進に
切り替えると、エアの供給は停止しピストン１７
は圧縮ばね２５の復元力によつて再び第４図及び
第５図に示す状態に復帰し、プツシユロツド６は
自由に摺動し得る如くなつてセルフステア輪４は
第４図及び第５図に示すセルフステアの状態とな
る。

なおエアチヤンバ５の作動時におけるプツシユ
ロツド６の移動量は、ターンバツクル３０の取付
けねじ３２ａに螺着されている副ロツド３４をナ
ツト３３をゆるめて左右に移動させて該ナツトを
締め付け固定することによつて任意に変化させる
ことができ、これによつて各部の製作誤差や取付
け位置の誤差が生じても常に一対のアーム３５が
プツシユロツド６によつて確実に固定されるよう
に調節することができる。

本考案は、上記のように構成され、作用するも
のであるから、車軸の両端に枢着されたナツクル
に夫々回動自在に支承された一対のセルフステア
輪を備えた車輛において、セルフステア輪を車輛
の後退時に固定することができるので、円滑に後
退することができるという効果がある。またセル
フステア輪を作動させるプツシユロツドをピスト
ン方式のエアチヤンバによつて固定することがで
きるので、構造簡単でかつ廉価なセルフステア輪
の固定装置を提供することができる利点がある。
またピストン自体をプツシユロツドの制限部材と
して用いているのでエアチヤンバの外部に制限部
材を別途設ける必要がなく構造がより簡単かつコ
ンパクトになる効果がある。またセルフステア輪
の車軸に装着される部品を、エアチヤンバ等の軽
量部品に限定したので、車輛のばね下重量の増加
を極力抑制でき、後輪２軸のバス等に用いても良
好な乗心地が得られるという効果がある。更に
は、エアチヤンバのプツシユロツドの一端を連結
部材を介してナツクルからタイロツドの反対側に
突出したアームに連結したので、固定装置の構造
を簡易化でき、また該固定装置の取付け及び調整
を容易に行い得るという効果がある。また連結部
材の長さを調節可能に構成したので、固定装置各
部の製作誤差や取付け位置の誤差が生じても常に
一対のアームがプツシユロツドによつて確実に固
定されるように調節できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例に係り、第１図はセルフ
ステア輪の固定装置の平面図、第２図はセルフス
テア輪のセルフステア状態におけるエアチヤン
バ、プツシユロツド及び連結部材の相互関係を示
す部分縦断面図、第３図はセルフステア輪の固定
状態におけるエアチヤンバ及びプツシユロツドの
相互関係を示す断面図、第４図及び第５図は夫々
セルフステア輪のセルフステア状態における各部
材の相互関係を示す部分断面平面図、第６図はセ
ルフステア輪の固定状態における各部材の相互関
係を示す部分断面平面図である。 １はセルフステア輪の固定装置、２は車軸、３
はナツクル、４はセルフステア輪、５はエアチヤ
ンバ、６はプツシユロツド、７は連結部材、１２
はタイロツド、１６はシリンダ、１７はピスト
ン、１８は蓋板、１８ａは該蓋板のボス部、３５
はナツクル３のアームである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車軸の両端に枢着されたナツクルに夫々回動自
   在に支承された一対のセルフステア輪を備えた車
   輛において、前記車軸に固着されたシリンダと該
   シリンダ内に嵌挿され摺動し得るピストンとから
   なる一対のエアチヤンバと、前記シリンダのボス
   部に摺動自在に支承され一端が前記ピストンと当
   接し得る如く前記シリンダ内に配置された一対の
   プツシユロツドと、該プツシユロツドの他端と前
   記ナツクルからタイロツドと反対側に突出し該ナ
   ツクルに一体的に固着されたアームとを連結枢支
   する一対の長さ調節可能な連結部材とを設け、前
   記エアチヤンバの作動により前記ピストンと前記
   シリンダのボス部とが当接する位置まで前記ピス
   トンによつて前記プツシユロツドを摺動させ、前
   記ナツクルを介して前記セルフステア輪を固定し
   得るように構成したことを特徴とするセルフステ
   ア輪の固定装置。